11. 6月 2020 · June 11, 2020* Art Book for Stay Home / no.15 はコメントを受け付けていません。 · Categories: 日記

『猪熊弦一郎のおもちゃ箱 』監修:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、公益財団法人ミモカ美術振興財団(小学館、2018年)

この本は著者が具体的に示されていない。
どういう本かと問われれば、画集、絵本、エッセイ、伝記、そのどれでもあって、どれでもない。
前半は猪熊弦一郎の人生を追うように物語になっている。語り手は、ゲンおじさんのことが大好きでとても良く知っている姪のような立場でやさしいインタビューになったり、ひとり語りになったりする。
奥付を見ると、文章/小宮山さくらとなっているが猪熊弦一郎との関係は具体的にされていない、著者でもない。そしてときどき猪熊弦一郎の言葉のメッセージが挿入してくる。小宮山さくらさんは、やさしいファンを代表する形になっている。

後半は、猪熊弦一郎のコレクションやアトリエ風景が写真で紹介されていて、それについて本人がエッセイ風に紹介している。

猪熊弦一郎の作品は結構多く紹介されているものの、画集と言った体裁ではない。
一言で言えば「猪熊弦一郎さんとはこんな素敵な人」という本である。
画家というのは描かれた作品が全てである、という考え方がある。それは誰もが否定することができない。画家の人格を通して絵を鑑賞するというのは間違っている。ときには作者不詳であっても絵の価値が変わるものではない。

その上で、一人の画家の人生がどのようなものであったか、どのような人物であったか知りたいと思う。そこから描かれた絵の鑑賞を深くするということも愉しいことである。
猪熊弦一郎は、会ったこともない作家ではあるけれど、この本を通じて「猪熊さん」と話しかけながら絵を観ると「この絵はね・・・」って絵の中から話しかけてくれるような気がする。