26. 12月 2016 · December 27, 2016*あいちトリエンナーレ2016が終わって2ヶ月 はコメントを受け付けていません · Categories: 未分類

トリエンナーレとは、そもそも何か。トリエンナーレ(3年に一度)、ビエンナーレ(2年に一度)開催される現代美術の国際展。1895年からイタリアのヴェネツィアで開催され続けて、世界的な評価に至っている。ヴェネツィアの成功にならって、世界で200を超えるトリエンナーレ、ビエンナーレが開催されている。国内でもこの数年、小さなものを含めて50ほどあり、殆どが始まったばかりである。なおヴェネツィアビエンナーレは、美術の他に映画、建築、音楽、演劇、舞踊部門がある。

その目的は、国際交流や地域活性化、観光客の集客であり、その地域の人々が多様な国の多様な芸術に触れることを目的としている。目的に適うためには、地域の芸術・文化に刺激を与えるということが求められる。地域の芸術・文化を地域の人に紹介するということは、日常に行われていることである。3年に一度、他地域から優れたものを持ち込むことが、地域の芸術・文化に携わる者にも大きな刺激となる。どんなに優れた芸術・文化であっても、同じことが繰り返されれば澱み、停滞することになる。

さて、3回目を迎えた「あいちトリエンナーレ2016」を、そうしたトリエンナーレの本来の目的に照らし合わせて考えてみる。「トリエンナーレを開催する意味がない」という意見がある。それに対しては、開催されなかったこの7年を想像して比べてみれば判る。東京は別格として、極めて芸術・文化の集積が高い愛知県である。トリエンナーレが開催されなくとも、毎年恒例の芸術・文化催事は確実に開かれていたであろう。しかし、それらの刺激的進化は難しい状況にある。慢性的経済不況、それにともなう愛知県、名古屋市の文化予算削減という側面的な要因もあるだろう。

他県に比べて極めて多い芸術系大学の学生達が、情熱を持って向かう活躍の場が用意できなくなっている。トリエンナーレが開催されていなかったら、この地域における美術の現状はさらに大きな停滞を生み出していたことになるだろう。

一方で、あいちトリエンナーレがそうした状況に充分刺激的であったかという問いには、充分ではなかったと言えるだろう。愛知芸術文化センター、名古屋市美術館を核としたことは、交通の便、予算削減、運営機能の効率という点で利点が大きい。しかし、そこには公序良俗に反しないという強い規制が求められ、創作、発表に影響が出ているのではないか。長者町や栄、豊橋、岡崎の空きビルには刺激的で魅力の溢れる作品がいくつもあったが、トリエンナーレ全体を強くアピールするには至っていない。核となる二施設に圧倒的魅力に溢れる作品がなかったことは残念である。

あいちトリエンナーレのもう一つの柱、パフォーミングアートは、日本における他のトリエンナーレや芸術祭に比べてユニークであり、実験的なものも多く、パフォーミングアーツ分野に留まらず、伝統芸能や美術の領域にも刺激的であったと思われる。

「あいちトリエンナーレは、やるべきではない」といった議論の噴出も含めて保守的なこの地域に意義深いことだと思う。

%ef%bc%98%ef%bc%8f%ef%bc%91%ef%bc%94%e3%81%82%e3%81%84%e3%83%88%e3%83%aa%e8%b1%8a%e6%a9%8b%ef%bc%8f%e5%a4%a7%e5%b7%bb%e4%bc%b8%e5%97%a3-%e3%81%ae%e3%82%b3%e3%83%92%e3%82%9a%e3%83%bc

大巻伸嗣(豊橋会場)

%ef%bc%91%ef%bc%90%ef%bc%8f%ef%bc%92%ef%bc%91%e3%83%88%e3%83%aa%e3%82%a8%e3%83%b3%e3%83%8a%e3%83%bc%e3%83%ac%e3%83%8f%e3%82%9a%e3%83%95%e3%82%a9%e3%83%bc%e3%83%9e%e3%83%b3%e3%82%b9

カンパニー・ディディエ・テロン(名古屋市美術館サンクスガーデン)

07. 12月 2016 · December 7, 2016* 「人間国宝石黒宗麿のすべて」とモザイクタイルミュージアム。 はコメントを受け付けていません · Categories: 未分類

紅葉の景色が素晴らしい中央高速を使って、岐阜県現代陶芸美術館(多治見)で開催中の「人間国宝石黒宗麿のすべて」を観てきました。

陶芸では、富本憲吉、濱田庄司、荒川豊蔵とともに、最初の人間国宝に認定されました。多彩技法を堪能、全作品の完成度の高さはさすがです。器に描かれた絵が華やかで眼を奪われますが、私は横から観た黒釉葉文茶碗や鈞窯鉢の力強いバランスによる美しさに心を奪われました。

絵とフォルムが互いに行き過ぎていない器が好きです。その双方に能力の高い宗麿作品であるが故です。

%ef%bc%91%ef%bc%92%ef%bc%8f%ef%bc%96%e7%9f%b3%e9%bb%92%e5%ae%97%e9%ba%bf%e5%b1%95

続いて多治見の笠原町に出来たモザイクタイルミュージアムにも足を伸ばしてきました。藤森照信設計の建築は、ずるいほどかわいくてワクワクしての入館です。

4階に展示されたモザイクタイルのシンク。かつて実家にもあったものですが、こんなに美しいものだったのかと遠い眼になりました。

60代以上の方は懐かしい暮らしの風景があり、小さなこどもも楽しめる4世代で出かけることもお薦めです。産業ミュージアムらしい魅力に溢れています。

%ef%bc%91%ef%bc%92%ef%bc%8f%ef%bc%96%e3%82%bf%e3%82%a4%e3%83%ab%e3%83%9f%e3%83%a5%e3%83%bc%e3%82%b7%e3%82%99%e3%82%a2%e3%83%a0%ef%bc%91

%ef%bc%91%ef%bc%92%ef%bc%8f%ef%bc%96%e3%82%bf%e3%82%a4%e3%83%ab%e3%83%9f%e3%83%a5%e3%83%bc%e3%82%b7%e3%82%99%e3%82%a2%e3%83%a0%ef%bc%92

%ef%bc%91%ef%bc%92%ef%bc%8f%ef%bc%96%e3%82%bf%e3%82%a4%e3%83%ab%e3%83%9f%e3%83%a5%e3%83%bc%e3%82%b7%e3%82%99%e3%82%a2%e3%83%a0%ef%bc%93