「ハーブ&ドロシー」に続いてのもの。前作も良かったので、いそいそと出かけた。郵便局員のハーブと、図書館司書のドロシー、夫婦共通の楽しみは現代アートのコレクション。選ぶ基準はふたつ、小さなアパートに入る大きさとハーブの給与で買えること。生活はドロシーの給与が充てられている。慎ましい生活の中で約30年の歳月をかけコツコツと買い集めた現代美術作品は、4000点を超える、いつしか20世紀のアート史に残す作家の名作ばかりになる。
興味深いのは、二人が現代美術を大好きということだ。若き作家、無名の作家の作品に惚れ込んで購入、結果として美術館がこぞって寄贈をお願いする大コレクションになった。愛する作品はただの一点も手放したことがない。
美術作品を所有するということは、どういうことか。投資目的で購入する人たちとは異なる大きな幸せ、生きる力を作品から得ていった二人にただ感動。
この4000点を美術館に寄贈することになった。アメリカ50州の50の美術館に50作品ずつ、残りはナショナルギャラリーへ。奇跡のような実話。そしてハーブの死。私は、アーティスト、美術館長、ギャラリーオーナー、コレクター、4つの視点であらゆるシーンを噛み締めるように観た。
紹介される美術作品が1点1点ていねいに写されるのも嬉しい。名古屋市東区の名演小劇場で5月10日まで上映。
http://www.herbanddorothy.com/jp/