21. 8月 2018 · August 21, 2018* 超絶技巧という表現、作家の想いはどこにあるのか。 はコメントを受け付けていません · Categories: 未分類

岐阜県現代陶芸美術館で8月26日まで開催中の「驚異の超絶技巧!明治工芸から現代アートへ」を観てきた。

圧倒的な超絶技巧に眼を奪われるばかりの展覧会。

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入館いきなり安藤緑山の《胡瓜》。息を呑む技巧、畑から持ち帰ったばかりの鮮度が表現されている。彫刻としての構成力も見事である。

現代アートでは、髙橋賢悟の《origin as a human》、鈴木祥太の《綿毛蒲公英》、前原冬樹の有刺鉄線が技巧+αが魅力的だった。

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ところで、こういった超絶技巧表現というのは、その技巧に眼を奪われて作者の想いはどこにあるのか、見失いがちだ。

作者もまた超絶技巧を見せることが目的化している作品もある。それはそれでいいではないか、という考えもある。

想いと表現が高い次元で一つになることはとても難しいことだ。

ちなみに超絶技巧作家というのは男性が圧倒的に多いというのもおもしろい。

 

15. 8月 2018 · August 15, 2018* 元永定正とレイモン・サヴィニャック、ユーモアでつながる不思議。 はコメントを受け付けていません · Categories: 未分類

三重県立美術館で開催中の「サヴィニャック展」に行ってきたことは先に述べた。

展覧会を見終えて中庭をぼんやりと眺めているとそこに元永定正の彫刻があった。美術館には多分以前からあったに違いない。

見つけられたのは意識の違い、清須市はるひ美術館で「元永定正展」を開催中なので美意識がそこに広がっている。

また「サヴィニャック展」を観たあとはユーモアセンスが広がっている。感覚とはそういうものだ。

今週末18日の土曜日には館長アートトークでサヴィニャックを取り上げる。

今その準備中であるが、デザインの巨人亀倉雄策がアートディレクションした「クリエイション全20巻」の第2巻に元永定正の次にサヴィニャックが紹介されている。偶然とは思えない。

ポスターデザインで活躍したフランスのサヴィニャックと現代美術で活躍した日本の元永定正、二人の交流はないが、共通するビジョンに注目しながら館長アートトークを行いたいと思う。

   

09. 8月 2018 · August7, 2018* 「ピカソ!いったい何が天才なのか」ピカソの天才性について考えてみた。 はコメントを受け付けていません · Categories: 日記
8月5日、名古屋市千種区今池のアート倶楽部[カルチェラタン]で、芸術を巡る物語「ピカソ!いったい何が天才なのか」というテーマで講演。
ピカソといえば、「天才ピカソ」と言うくらいあたりまえになっている。
2年前、愛知県美術館で開催された展覧会名の「ピカソ、天才の秘密」というように天才を前提としたものだ。
果たしてピカソは本当に天才なのか。天才としたら何が天才なのか。その理由は何か。
私は、「ピカソは天才ではない」という仮説で考えてみた。
理由は、天才が併せ持つ狂気は全く見当たらず、何の努力もなしにフッと名作が生まれるといった状況では決してないからである。
画風が何度も変化してきたことは、ピカソの追求の苦悩の形と言える。
代表作のゲルニカは誰もが認める名作であるが、その膨大な習作の中身は天才の姿ではない。
代名詞となるキュビスムに至ってもブラックとの共同研究である。
うまくいかないから何枚も何枚も描く。
8歳で描いたデッサンは超人的なものだが、ピカソはそこに満たされたわけではなく、そこを評価されることはむしろ拒否すべき点であったろうと考えられる。
飽くなき追求の結果として、14万点を超えるピカソ作品は、天才を裏付けるものではない実証物件。
しかし、「天才ピカソ」はピカソ自身が求めたものであり、世界一多作で、総額世界一高額で、世界一有名なピカソは誰もが天才と認めた。
そしてピカソは天才ではなく、「ピカソは天才になった」と思う。
05. 8月 2018 · August 5, 2018* 「第33回 風景の会 絵画展ー瀬戸を描くー」瀬戸はやきものの土の風景。 はコメントを受け付けていません · Categories: 日記
東海地方、第一線で活躍する洋画家、日本画家、版画家が会派を越えて風景を描き、発表し続けている。
今年で33年目。
今年は瀬戸市がテーマ。
山、川、町、多面的な瀬戸であるが、全貌すると焼きものの土の匂いが大地の力となった風景だ。
8月7日まで、松坂屋名古屋展本館美術画廊。
02. 8月 2018 · August 1, 2018* 「サヴィニャック パリにかけたポスターの魔法」ポスターコレクションの底力。 はコメントを受け付けていません · Categories: 日記
猛暑の中、三重県立美術館で開催中の「サヴィニャック展」に行ってきた。
8月の館長アートトークの準備でもある。
入口の看板から、展示会場への案内、ロビーのSNS用エンターテイメントなど、サヴィニャックのキャラクターをうまく使って迎えてくれる。サヴィニャックマジックに包まれる楽しさだ。
サヴィニャックは20世後半のフランスのグラフィックデザイナーであるが、原画、リトグラフによるポスター、ポスターの掲示風景写真と完璧にコレクションされている。さすが芸術の国フランスである。
日本でもサヴィニャックと同評価の世界的グラフィックデザイナーは数十人レベルでいるが、これほどきちんと保存記録されていることはない。
ポスターコレクションそのものが、富山県美術館をはじめとするわずかの美術館でしかない。
それはともかく、「サヴィニャック展」は素晴らしかった。
ポスターの訴求力、街に掲示されることを前提とした楽しさ、明るさ、幸せさのすべてがアイデア、ユーモアに込められている。