ニューズウイーク日本版によるとドイツ政府は、「アーティストは必要不可欠であるだけでなく、生命維持に必要なのだ」として大規模支援を打ち出した。
先に「アメリカは芸術を必要としている」として、米国芸術基金が約80億円の支援を決定したことに続いて、「芸術とは何か、芸術は人類にとってどういった存在なのか」の強いメッセージを受け止めた。
以下、ニューズウイーク日本版3月30日からの抜粋
25日、新型コロナウイルスによる経済への打撃を緩和するための総額7500億ユーロの財政パッケージがドイツ連邦議会で承認された。
<略>ドイツの救済パッケージでとくに注目を集めているのが、フリーランサーや芸術家、個人業者への支援だ。モニカ・グリュッタース文化相は「アーティストは今、生命維持に必要不可欠な存在」と断言。大幅なサポートを約束した。ドイツには約300万人の個人または自営の小規模起業家がおり、その半分近くが文化セクターで働いている。
昨今続くイベントのキャンセルは8万件以上にのぼり、引き起こされた損害は12.5億ユーロと推定されている。フリーランスやアーティストへの経済的支援を求める嘆願書への署名運動が今月から始まっていたが、このほど発表された財政パッケージには個人・自営業者向けの支援として最大500億ユーロが含まれている。<略>
予断を許さない異常な状況と先の見えない不安感のなかを生き抜くには、体の健康だけではなく、精神面での健康を保つことも大変重要だ。
「非常に多くの人が今や文化の重要性を理解している」とする。
グリュッタース文化相は「私たちの民主主義社会は、少し前までは想像も及ばなかったこの歴史的な状況の中で、独特で多様な文化的およびメディア媒体を必要としている。クリエイティブな人々のクリエイティブな勇気は危機を克服するのに役立つ。私たちは未来のために良いものを創造するあらゆる機会をつかむべきだ。そのため、次のことが言える。アーティストは必要不可欠であるだけでなく、生命維持に必要なのだ。特に今は」と述べ、文化機関や文化施設を維持し、芸術や文化から生計を立てる人々の存在を確保することは、現在ドイツ政府の文化的政治的最優先事項であるとした。<略>https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/03/post-92928.php
日本における芸術の位置は、概して「豊かな暮らしのために必要欠くべからずのもの」とされている。
したがって、こういう今のような「非常時には不要のものである」といった意見も多く見受けられる。いわゆる贅沢なものとして考えられているわけである。
私は以前より「芸術とは心を豊かにするものではなく、心を豊かにすることもあるが、そうではなく、生きていく上で必要欠くべからずのものであり、生きる力である。」と述べてきた。
こういう社会状況にあって、今こそ芸術、こういうときに力を発揮できなくて何が芸術か、と考えている。
特に、「芸術は心の癒やし」であるといった脆弱な捉え方は、芸術を理解する上で大きく誤解を招くものである。