06. 3月 2020 · March6, 2020* 館長アートトーク「川合玉堂」、超遠近のうちに聴く音。 はコメントを受け付けていません · Categories: 教育普及プログラム
第90回館長アートトーク「四条派と狩野派を融和、日本の風景を記憶に留める川合玉堂の日本画。」を3月21日に開催予定していたが、新型コロナウィルスの影響で開催は中止となった。
必ず後日、日を改めて開催する。
川合玉堂の魅力は多様。
一つは遠景近景のスケールにあると思う。
この《月下擣衣(げっかとうい)》(1913年作)では、荒々しい岩肌の近景が特徴的。
絵を観る者はこの岩の手前に立っている。
遠くに民家と樹々、いやその向こうに何やらする二人がいる。
二人は作品名でわかるように擣衣を行っている(擣衣とは、木綿の布をしなやかにし、艶を出すために砧にのせて槌でうつこと)。
擣衣の手元を明るくしているのは月。二人の遥か上に静かにある。
この絵における超遠景として月があり、空、宇宙の存在がある。
果てしない背景の中で、槌を打つ音が聴こえてくる。
天空を取り込みながらそこにある、人々の何でもないような淡々とした暮らし。
川合玉堂の超遠近感についてのトークを必ず実施したいと考えている。

Comments closed