14. 1月 2021 · January 14, 2021* Art Book for Stay Home / no.52 はコメントを受け付けていません · Categories: 日記

『1964-67アンディ・ウォーホル』ナット・フィルケンスタイン、金井詩延訳(マガジンハウス、1994年)

1964-67年、写真家ナット・フィルケンスタインはファクトリーに自由に出入りし、ウォーホルを核に、そこに巣食う俳優、ミュージシャン、トランスジェンダー、作家、アーティストたちを撮影し続けた。本著はナットがその様々なシーンを写真とメッセージでレポートしたものである。

ファクトリーは、ニューヨークにあるアンディ・ウォーホルのスタジオであり芸術サロン、ウォーホルは作品を制作するだけでなく、巣食うメンバーとさまざまなコラボレーションを行った。また自主製作の実験的映画を撮影、上映された。1962年から1984年まで、そのファクトリーは最も熱く展開された。

著名なアーティストであることよりも、「スターになる」ことを宣言したウォーホルにとって、ファクトリーで頻繁に繰り返されるスキャンダルは、輝かしいステージでもあった。ファクトリーで演じる者は、ローリング・ストーンズ、ブリジッド・バルドー、ベッツィ・ジョンソン、ブライアン・ジョーンズ、ボブ・ディラン、デヴィッド・ボウイ、ジョン・レノン、マドンナ、ミック・ジャガー・・・気の遠くなるような輝きであるが、その誰もが主役ではなく、ウォーホルの脇役であった。もちろん、アーティストの出入りも多く、サルバドール・ダリマルセル・デュシャンロバート・ラウシェンバーグ、ロイ・リキテンスタイン、ミシェル・バスキア、ヨーコ・オノ、キース・ヘリング・・・。

そしてナットは、ウォーホルにバレリー・ソラナスを紹介する。バレリーは、全男性抹殺団(S.C.U.M. /Society for Cutting Up Men)のメンバー。そして1968年6月3日、ウォーホルを狙撃、殺人未遂。

成長し続けるアメリカのエネルギーと響き合うように輝き続けたウォーホルが、一気に輝きを衰えさせて行くのを、デザイナーからアーティストを目指していた私は淋しさをもってその時代を感じていた。