06. 5月 2020 · May 6, 2020* Art Book for Stay Home / no.2 はコメントを受け付けていません · Categories: 未分類

『絵でわかる マンダラの読み方』寺林峻(日本実業出版社、1989年)

仏教美術といえば、仏像と寺院。時代や宗派が異なって、なかなか一筋縄では行かない。

美術的視点から、密教は手が混んでいて色彩も美しくおもしろそうだ。ところが核になっているものにマンダラがある、曼荼羅と書く。

「絵画を楽しむのに理屈なんかいらない、感覚的に愉しむことだ。」というのがあるが、マンダラはどうもそういう訳にはいかなさそうだ。密教の智恵が込められ、広大な宇宙が凝縮されているという。「胎蔵界マンダラ」と「金剛界マンダラ」がある、やっぱり難解そうだ。

難解なところに出会ったら、できるだけ初心者向けのものを読むことをお勧めする。マンダラに関してはこの本だ。「絵でわかる」というキャッチフレーズが付いているようにさし絵が多い。

寺林さんに講演会でお会いした。「この本はとても良く売れていまして、生活の支えになり続けています。売れない小説家にはありがたいことです。」

やっぱり初心者向けの本は、誰もがページを開くようだ、したがってロングセラー。小説家が書くからおもしろく解りやすいのかと思いきや、実家は高野山真言宗鹿谷山薬上寺で僧侶の資格を持っておられるとのこと。

04. 5月 2020 · May 4, 2020* Art Book for Stay Home / no.1 はコメントを受け付けていません · Categories: 日記

『謎解き アクセサリーが消えた日本史』浜本隆志(光文社新書、2004年)

アートの本というと、美術評論家や美術史家、あるいはアーティストによるものが多い。そこに「アートって難解」の要因がある。

美術の専門家が美術の専門用語を使って、読み手もまた美術関係者、あるいはコアな美術ファンだったりする。テーマもまたコアなものが多い。

浜本隆志は、ドイツ文学者、関西大学名誉教授。 専門はドイツ文化論、比較文化論。美術と無関係の分野ではないが、専門ではない。こういうスタンスで美術を捉えると、美術の専門家では気が付かない「あっ」というテーマに気づく。本書はそんな本。

指輪、耳飾り、首飾りなど日本のアクセサリー文化は、古代には勾玉など多く存在していた。古代資料館を訪れると、銅鐸、銅鏡とともに、多くの耳飾り、首飾り、冠などが展示されている。埴輪においてもそのことは確認され、アクセサリー文化が盛んであったことは否定しようがない。ところが、奈良時代以降、歴史の中で忽然と姿を消してしまう。復活するのは開国以降の明治維新からである。何故なのか。

民俗学、考古学、歴史学、宗教学社会学、図像学などさまざまな角度から解き明かしていく。