清須市生涯学習講座の一つとして「清須アートラボ」を清須市はるひ美術館が実施している。
募集呼びかけは「美術館めぐりは好きなんだけど、実はよくわからない。そんな方に美術の見方や楽しみ方を伝授。学芸員と楽しみながら学びましょう!近隣の美術館へも出かけます。」
今年度も15名のラボ生が決定、28日第一回が開催され、挨拶とミニレクチャー「芸術って何だろう」を行う。
館長 高北幸矢のブログ
東京オリンピック2020エンブレムが再公募により、ようやく決定した。決定デザインは、ひたすら類似問題を避ける方向を第一とし、本来のデザインのあり方が歪められたことは、誠に残念である。
さて、先の佐野研二郎デザイン案が「パクリ」とSNSで騒がれ、社会問題となった記憶はまだ生々しい。佐野自身がデザイン案を取り下げるということで、決着したかに見えるが、類似問題は解決していない。多くの人たちは、「あれはパクリだった」という記憶として残っているのではないか。
果たしてどうなのか、「デザインのオリジナリティとは何か」に焦点をあて、「デザインにおける類似問題」を追求講演。
高北幸矢アート&デザイントーク「東京オリンピック2020エンブレムの真相」2016年4月29日(金・祝)14:00~16:00、各務原産業文化センター、入場料500円、定員30名。主催:百科編集部、後援:各務原市、各務ケ原市教育委員会、各務原市文化協会、中日新聞社。
要予約・問合せ/さかだちブックス気付「百科編集部」宛 メールhyakka2015gifu@gmail.com FAX058-214-2444
梅雨空に入って、今日も昼間は雨のぱらつく土曜日。しかし、夕方になって晴れるという祭り日和、名鉄津島線に乗って西枇杷島で下車、「尾張西枇杷島まつり」に出かけた。
この土日の2日間で20万人と言う人出を噂に、初めて出かけたお祭りはワクワクしっぱなし。西枇杷島駅から賑わいが始まり、西枇杷島本通りに入ると夜店がぎっしりと連なり、人、人、人。
からくりで人気の五両の山車は、夕方からは曳き回されることはなく、飾られているだけだが、それでももの凄く立派で、動く最高工芸品とも呼ぶことができる。
土曜日の夜は、数百発の花火が打ち上げられ、腹に響く音とともに、見事な美しさを堪能した。
http://nishibi.net/
6月6日午後、名古屋造形大学に訪問のアメリカ・ボイジー州立大学の学生、フィンランド、香港の名古屋造形大学交換留学生、それに名古屋造形大学の学生が37名、先生の引率で来場された。
一通り鑑賞の後、鳥羽美花さんが英語通訳付きでギャラリートーク。日本の伝統技法「型染め」「屏風」に興味津々、またヴェトナムという国の歴史を含めての関心も大きな反応があった。
鳥羽美花さんは清須市在住の作家で、国内外に活躍されている。こういう機会に、清須市をはじめ地元の方々に観ていただくことはとても嬉しいことだが、美術館での展覧会はさらに広く開かれているもの。地域を越えて、あるいは日本から世界へ、美術発信して行く機会をもてること、それも美術館の大切な役割りの一つである。
メルヘンハウス(名古屋市千種区今池2-3-14/地下鉄東山線「千種駅」下車南方徒歩5分)は、子どもの本だけで2万5千種類、3万5千冊の蔵書を持つ。1973年に国内初の子どもの本専門店として、名古屋本山に誕生した。オープン当時から子どもや子どもをもつ大人だけではなく、美術好きの人たちも訪れる人気店だった。千種に移転して、その規模も拡大し、2階にはギャラリーも併設している。20年前から年齢別におすすめ本を毎月届ける「メルヘンハウス・ブッククラブ」を全国に展開。機関誌「ひろばメルヘン」も発行。
オーナーの三輪さんは1944年生まれ。大学卒業後、4年間機械関係商社勤務。退社後2年間のアメリカ生活を経て、メルヘンハウスを設立。設立に至るには、書店における子どもの本の扱いに憤りを感じていたという。名古屋を拠点に、絵本を通して子ども達の心を育む活動を40年も続けている。
清須市はるひ美術館では、現在「リサとガスパール&ペネロペ展」を開催中、三輪哲さんによるスペシャルトーク「親子で楽しむ絵本の魅力」が9月16日に開催される。多くの人に絵本の魅力を広げたい、三輪さんと私の願い。
http://www.museum-kiyosu.jp/exhibition_info/lisa_gaspard_penelope.html
7月6日(土)午後6時30分から8時まで、愛知芸術文化センター12階・アートスペースAで開催の名古屋造形大学公開講座2013で講演を行う。
昨年まで学長を務めていた名古屋造形大学からの依頼である。私が40年間研究の軸の一つにおいてきた「デザインとアートの関係」がテーマ。「応用美術」「純粋美術」など、日本では根本的にアートとデザインの関係を間違った方向に向けて来ている。それは義務教育の中でも「美術の時間内でデザインを学ぶ」といったところからも間違いを生じさせることになっている。
デザインは、美術の一部ではない。美術、理科、技術・家庭、社会など多くの科目に関わる学問であり、大学では工学部、社会学部の中でデザインが学ばれるということも珍しくない。
そのような日本の状況において、デザインを拒む形でアート活動が近年行われて来た。よく言えば「アートの自立」であった。しかしながら、結果的にはアートが社会から分離する特殊なものとして扱われるようになった。「崇高な」「難しい、理解困難」「超贅沢な」などの位置は、本来の美術のあるべき姿ではない。
「デザインを孕むアート」は、アートとデザインの本来の関係にあるもので、近代以前、光琳、クリムトなどの時代ではその区別さえなかった。反近代美術思考の現代美術では、アートがデザインを孕む流れになってきている。有名な「マルセル・デュシャンの泉」は、デザインがアートと分離されていることによって、デザインを孕む意味が明確にされることによって生まれることができたアートである。
90分の公開講座内容の概要をここで述べることは、とても難しい。多くの方に公開講座に出かけて欲しい。
※ 講義申し込み方法
氏名、住所、電話番号、FAX番号、高北幸矢講演聴講希望と書いて
Eメール:zokokai@nzu.ac.jp
往復はがき:〒485−8563小牧市大草年上坂6004/名古屋造形大学社会交流センター「公開講座」係宛
「ハーブ&ドロシー」に続いてのもの。前作も良かったので、いそいそと出かけた。郵便局員のハーブと、図書館司書のドロシー、夫婦共通の楽しみは現代アートのコレクション。選ぶ基準はふたつ、小さなアパートに入る大きさとハーブの給与で買えること。生活はドロシーの給与が充てられている。慎ましい生活の中で約30年の歳月をかけコツコツと買い集めた現代美術作品は、4000点を超える、いつしか20世紀のアート史に残す作家の名作ばかりになる。
興味深いのは、二人が現代美術を大好きということだ。若き作家、無名の作家の作品に惚れ込んで購入、結果として美術館がこぞって寄贈をお願いする大コレクションになった。愛する作品はただの一点も手放したことがない。
美術作品を所有するということは、どういうことか。投資目的で購入する人たちとは異なる大きな幸せ、生きる力を作品から得ていった二人にただ感動。
この4000点を美術館に寄贈することになった。アメリカ50州の50の美術館に50作品ずつ、残りはナショナルギャラリーへ。奇跡のような実話。そしてハーブの死。私は、アーティスト、美術館長、ギャラリーオーナー、コレクター、4つの視点であらゆるシーンを噛み締めるように観た。
紹介される美術作品が1点1点ていねいに写されるのも嬉しい。名古屋市東区の名演小劇場で5月10日まで上映。
http://www.herbanddorothy.com/jp/
「ヴァン・ゴッホ展」「オディロン・ルドン展」「デ・キリコ展」「シャガール展」「ドラクロワ展」・・・。これらは、展覧会会期中に限って会場で販売される展覧会図録である。展覧会カタログと呼ぶこともある。
図録とは、図や写真を記録のことで、美術館や博物館の展覧会パンフレットのことである。パンフレットと呼ぶにはページ数が多く、どう見ても書籍のようである。
なぜ書籍ではないのかが重要なところである。例えば「ゴッホ作品集」という書籍であれば、主に書店を通じて世界に販売され自由に購入することができる。そこにはゴッホの著作権料があり、本の代金に著作権料が含まれている。美術作品集の多くが高額になるのは、この著作権料が一つの要因である。
ところが図録の場合は、書籍ではなく展覧会の記録という特殊な枠組みにあり、展覧会出品作のみ著作権料なしである。従って、書籍に比べて破格の売価とすることができる。美術愛好家にとっては、とても嬉しい図録の存在である。
この図録は、展覧会終了とともに手に入らなくなるわけであるが、以前は古本屋で、現在はインターネットで手にいれることができる。しかも高額になっているものもある。図録は、展覧会会期中、開催会場のみ販売なので発行部数が少ないことも高額になる要因である。
こういう状況もあって、最近では図録であっても著作権料を支払うべきであるという意見もある。