07. 6月 2014 · June 7, 2014* 「鳥羽美花展」に、外国人の来場者。 はコメントを受け付けていません · Categories: 未分類

 6月6日午後、名古屋造形大学に訪問のアメリカ・ボイジー州立大学の学生、フィンランド、香港の名古屋造形大学交換留学生、それに名古屋造形大学の学生が37名、先生の引率で来場された。

 一通り鑑賞の後、鳥羽美花さんが英語通訳付きでギャラリートーク。日本の伝統技法「型染め」「屏風」に興味津々、またヴェトナムという国の歴史を含めての関心も大きな反応があった。

 鳥羽美花さんは清須市在住の作家で、国内外に活躍されている。こういう機会に、清須市をはじめ地元の方々に観ていただくことはとても嬉しいことだが、美術館での展覧会はさらに広く開かれているもの。地域を越えて、あるいは日本から世界へ、美術発信して行く機会をもてること、それも美術館の大切な役割りの一つである。

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10. 7月 2013 · July 10, 2013* 子どもの本専門店「メルヘンハウス」、絵本が開く子どもの感性。 はコメントを受け付けていません · Categories: 未分類

 メルヘンハウス(名古屋市千種区今池2-3-14/地下鉄東山線「千種駅」下車南方徒歩5分)は、子どもの本だけで2万5千種類、3万5千冊の蔵書を持つ。1973年に国内初の子どもの本専門店として、名古屋本山に誕生した。オープン当時から子どもや子どもをもつ大人だけではなく、美術好きの人たちも訪れる人気店だった。千種に移転して、その規模も拡大し、2階にはギャラリーも併設している。20年前から年齢別におすすめ本を毎月届ける「メルヘンハウス・ブッククラブ」を全国に展開。機関誌「ひろばメルヘン」も発行。

 オーナーの三輪さんは1944年生まれ。大学卒業後、4年間機械関係商社勤務。退社後2年間のアメリカ生活を経て、メルヘンハウスを設立。設立に至るには、書店における子どもの本の扱いに憤りを感じていたという。名古屋を拠点に、絵本を通して子ども達の心を育む活動を40年も続けている。

 清須市はるひ美術館では、現在「リサとガスパール&ペネロペ展」を開催中、三輪哲さんによるスペシャルトーク「親子で楽しむ絵本の魅力」が9月16日に開催される。多くの人に絵本の魅力を広げたい、三輪さんと私の願い。

http://www.museum-kiyosu.jp/exhibition_info/lisa_gaspard_penelope.html

04. 6月 2013 · June 4, 2013* 公開講座「デザインを拒むアート、デザインを孕むアート。」 はコメントを受け付けていません · Categories: 未分類

 7月6日(土)午後6時30分から8時まで、愛知芸術文化センター12階・アートスペースAで開催の名古屋造形大学公開講座2013で講演を行う。

 昨年まで学長を務めていた名古屋造形大学からの依頼である。私が40年間研究の軸の一つにおいてきた「デザインとアートの関係」がテーマ。「応用美術」「純粋美術」など、日本では根本的にアートとデザインの関係を間違った方向に向けて来ている。それは義務教育の中でも「美術の時間内でデザインを学ぶ」といったところからも間違いを生じさせることになっている。

 デザインは、美術の一部ではない。美術、理科、技術・家庭、社会など多くの科目に関わる学問であり、大学では工学部、社会学部の中でデザインが学ばれるということも珍しくない。

 そのような日本の状況において、デザインを拒む形でアート活動が近年行われて来た。よく言えば「アートの自立」であった。しかしながら、結果的にはアートが社会から分離する特殊なものとして扱われるようになった。「崇高な」「難しい、理解困難」「超贅沢な」などの位置は、本来の美術のあるべき姿ではない。

 「デザインを孕むアート」は、アートとデザインの本来の関係にあるもので、近代以前、光琳、クリムトなどの時代ではその区別さえなかった。反近代美術思考の現代美術では、アートがデザインを孕む流れになってきている。有名な「マルセル・デュシャンの泉」は、デザインがアートと分離されていることによって、デザインを孕む意味が明確にされることによって生まれることができたアートである。

 90分の公開講座内容の概要をここで述べることは、とても難しい。多くの方に公開講座に出かけて欲しい。

※ 講義申し込み方法

氏名、住所、電話番号、FAX番号、高北幸矢講演聴講希望と書いて

Eメール:zokokai@nzu.ac.jp

往復はがき:〒485−8563小牧市大草年上坂6004/名古屋造形大学社会交流センター「公開講座」係宛

07. 5月 2013 · May 7, 2013* 映画「ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの」に感激。 はコメントを受け付けていません · Categories: 未分類

「ハーブ&ドロシー」に続いてのもの。前作も良かったので、いそいそと出かけた。郵便局員のハーブと、図書館司書のドロシー、夫婦共通の楽しみは現代アートのコレクション。選ぶ基準はふたつ、小さなアパートに入る大きさとハーブの給与で買えること。生活はドロシーの給与が充てられている。慎ましい生活の中で約30年の歳月をかけコツコツと買い集めた現代美術作品は、4000点を超える、いつしか20世紀のアート史に残す作家の名作ばかりになる。

興味深いのは、二人が現代美術を大好きということだ。若き作家、無名の作家の作品に惚れ込んで購入、結果として美術館がこぞって寄贈をお願いする大コレクションになった。愛する作品はただの一点も手放したことがない。

 美術作品を所有するということは、どういうことか。投資目的で購入する人たちとは異なる大きな幸せ、生きる力を作品から得ていった二人にただ感動。

 この4000点を美術館に寄贈することになった。アメリカ50州の50の美術館に50作品ずつ、残りはナショナルギャラリーへ。奇跡のような実話。そしてハーブの死。私は、アーティスト、美術館長、ギャラリーオーナー、コレクター、4つの視点であらゆるシーンを噛み締めるように観た。

 紹介される美術作品が1点1点ていねいに写されるのも嬉しい。名古屋市東区の名演小劇場で5月10日まで上映。

http://www.herbanddorothy.com/jp/

06. 5月 2013 · May 6, 2013* 展覧会の図録は書籍ではない。 はコメントを受け付けていません · Categories: 未分類

 「ヴァン・ゴッホ展」「オディロン・ルドン展」「デ・キリコ展」「シャガール展」「ドラクロワ展」・・・。これらは、展覧会会期中に限って会場で販売される展覧会図録である。展覧会カタログと呼ぶこともある。

 図録とは、図や写真を記録のことで、美術館や博物館の展覧会パンフレットのことである。パンフレットと呼ぶにはページ数が多く、どう見ても書籍のようである。

 なぜ書籍ではないのかが重要なところである。例えば「ゴッホ作品集」という書籍であれば、主に書店を通じて世界に販売され自由に購入することができる。そこにはゴッホの著作権料があり、本の代金に著作権料が含まれている。美術作品集の多くが高額になるのは、この著作権料が一つの要因である。

 ところが図録の場合は、書籍ではなく展覧会の記録という特殊な枠組みにあり、展覧会出品作のみ著作権料なしである。従って、書籍に比べて破格の売価とすることができる。美術愛好家にとっては、とても嬉しい図録の存在である。

 この図録は、展覧会終了とともに手に入らなくなるわけであるが、以前は古本屋で、現在はインターネットで手にいれることができる。しかも高額になっているものもある。図録は、展覧会会期中、開催会場のみ販売なので発行部数が少ないことも高額になる要因である。

 こういう状況もあって、最近では図録であっても著作権料を支払うべきであるという意見もある。

04. 4月 2013 · April 4, 2013* スケッチすることは、スケッチ画を作ることではない。 はコメントを受け付けていません · Categories: 未分類

 私が生物をテーマに創作をするようになって25年、やがて植物に絞られ、花になり、この3年は、椿に執着している。特に薮椿が好きだが、椿と聞けば心が落ち着かなくなるほど虜になっている。

 4月にもなると椿の季節もあと僅か、惜しむように毎日スケッチに追われている。この命を、この切ない美しさを描き留めたいと心がはやる。椿を作品のモチーフとしてからは、「我が庭の椿を差し上げます、どうぞ自由にお持ち下さい」という嬉しい声もいただく。

 スケッチは、人物や風景などを大まかに描写すること。写生、素描とも言う。スケッチした画をスケッチ画という。しかしスケッチは、本来スケッチ画のために描くのではない。造形表現のための基本的な作業で、造形訓練としても行われる。本来スケッチそのものが目的ではない。

 大画家の展覧会に行くと、スケッチが展示されていることがある。絵画を制作するために必要な作業であることが、一目瞭然である。描きたいものがあるからスケッチが行われるのである。スケッチにその執念のようなものが見て取れる。

 描きたい風景がある、スケッチするには時間がかかる。多くは写真を撮って済ませる。私にもその経験がある。しかし、写真はスケッチの代わりにはならない。スケッチで最も大切なことは、興味の惹かれた対象物をしっかりと眺めることにある。写真のシャッタースピードは、1秒にも満たない。

 私が椿を描く時は30分から1時間、つまりその時間中、椿を眺めつづけるのである。色、形、匂い、命の姿を記憶に刻み込んで行く時間なのだ。だから作品制作のときに、そのことが鮮やかに甦ってくるのである。それが創作の源となる力である。

27. 1月 2013 · January 27, 2013* ブライアン・ウィリアムズの曲面絵画。 はコメントを受け付けていません · Categories: 未分類

 ブライアン氏が「なぜこのような絵を描くことになったのか」は、このホームページ上やチラシ裏面に説明されている。そのことは、多くの美術ファンにとって大変興味深いことである。

 一方で、改めて近代における四角い絵画(歴史的には宮廷絵画として円、楕円というものもある)について考えてみたい。ブライアン氏の言葉を借りれば、四角い絵画というものは不自然である。眼の動きに適っていないということである。それは説得のある説明である。

 しかし、その不自由な四角い画面であるが故に、多くの画家たちはイメージする絵(特に風景画)をどのように四角の画面に収めるかを工夫してきた。いわゆるどのような構図にするかということ。主テーマをどのように見せるか、何を省くか、その中で構図が生まれてきた。

 絵画を観る一つの楽しみ方として、この構図がある。ブライアン・ウィリアムズの曲面絵画を楽しんだ後、改めて四角い絵画を楽しみたい。

 曲面は、理に適っていると言う意味でも、屏風絵や扇子絵などやはり平面ではない絵画を曲面絵画と比べてみることもおもしろいと思う。

16. 9月 2012 · September 16, 2012* 美術館での作品を撮影したいという来館者の欲求。 はコメントを受け付けていません · Categories: 未分類

 近年ブログ、ツイッター、フェイスブックなどのソーシャルメディア(SM)の人気にともなって、美術館での作品を撮影したいという来館者の欲求が高まっている。異常とも思えるほどであるが、私もブログ、ツイッター、フェイスブックを楽しむ身としてそのことはとてもよく解る。

 基本、日本の美術館での作品撮影は禁止である。「日本の」と書いたのは、欧米の美術館では殆どが撮影が許可されている。ルーブル美術館、オルセー美術館、大英博物館、メトロポリタン美術館、ニューヨーク近代美術館など、大美術館もみな撮影を認めている。ただし、フラッシュは絶対禁止である。理由は、強い光が作品を痛める可能性が高いこと、他の鑑賞者の大きな妨げになることが理由である。もっともである。

 美術館の先進国である欧米で認められていることが、何故日本では一般に認められないのか。「著作権を侵害する」というのが大きな理由であるが、著作権に関しては欧米の場合も同様である。撮影をしてソーシャルメディアも含めて個人的に楽しむのは著作権の侵害にはあたらない。撮影した作品を、ビジネス目的で利用したり、年賀状等の印刷物に使用したり、あるいは作品を写真上で変更を加えたりした場合に著作権の侵害にあたる。日本では、それに関するルールがきちんと認識されていないというのが大きな問題で、撮影した写真を自分のものと考えてしまうことによる。

 また撮影を許可すると、すべての気に入った作品を撮影し、作品集やポストカードが売れないといった理由もある。展覧会で観た作品を写真で再度楽しむというのであれば、プロの写真家が撮影した作品集を求めるのが本来であるが、多くの日本人の場合、単に記念写真感覚であるので、こういう撮影不可が一般的になってしまう。

 とは言うものの、ソーシャルメディア大流行の現代において、撮影不可は広報効果の点で大きなマイナスである。美術館においては、そのあたりの加減を考えなければならない時代である。

 現在開催中の「渡辺おさむ お菓子の美術館」では、ロビー作品のみ撮影を許可している。互いの鑑賞者へ配慮し、ソーシャルメディアへは、どんどんアピールして行きたいと願っている。おかげで、「渡辺おさむ お菓子の美術館」の来館者は増加の一途をたどっている。

02. 8月 2012 · August 2, 2012* 観るアートから買って観るアートへ、アートフェア。 はコメントを受け付けていません · Categories: 未分類

 アートを楽しむために、最も手軽で充実しているのが美術館に出かけること、それは多くの人の知るところである。少し積極的な人は、街の画廊に出かけて行って、もう少し身近に楽しむという方法もある。

 今、東京、大阪、京都、そして名古屋で、多くの画廊が一堂に会し、お薦め作家を紹介するアートフェアが人気である。名古屋でもART NAGOYA 2012が昨年に続いて開催される。会場はウエスティンナゴヤキャッスル9Fエグゼクティブフロア、8月4日、5日の2日間に渡って開催される。入場料は1000円。今年は地元のほか東京、大阪、金沢、パリから27画廊が参加している。ホテルの一室が各画廊となり、来客者が訪れるというシステムである。

 美術館と大きく異なるのは、作品が購入できるという点にある。従って殆どの作品に価格が付いている。美術作品を経済価値で観ることは、目を曇らせることもあるし、美術を観る眼を養うこともできる。大切なことは美術館展示作品のように価値が定まったものではなく、自らの眼で観るということである。

 美術館においても、美術館で展示されている作品だから芸術性が高いという先入観ではなく、主観を大切にしなければ美術はおもしろくない。アートフェアは、美術作品を購入し、大好きな作品とともに暮らし、人生を豊かにするという魅力がある。そこには真剣な視点が求められる。

 美術作品と言うと、何十万円、何百万円するという概念があって、身近なものという認識が不足している。そういうものもあるが、何千円単位からあるので、こういう機会に出かけてみるのも楽しい。買いたい作品がなくても、買うかも知れないというドキドキ感は、美術への新しい感性を養ってくれるだろう。

若いアーティストを支援するという素晴らしい機会でもある。

16. 7月 2012 · July 16, 2012* 芝居見物の幕間には、緞帳名画を楽しもう。 はコメントを受け付けていません · Categories: 未分類

 先日、取り壊しが決定している御園座で、六月大歌舞伎「市川海老蔵 石川五右衛門」を観劇。さすがに気合いの入った海老蔵の演技、そして壮大なスペクタルの演出、満足度の高い歌舞伎であった。

 一幕と二幕の間に45分の幕間がある。お手洗い、お茶、お食事、おみやげを買いに売店に行ったりと、なかなか忙しい時間でもある。舞台は緞帳が降ろされ、二幕のために息をひそめている。

 緞帳の絵は、日本画家片岡球子の大富士である。ドーンと居座った富士に紅白梅、牡丹、紫陽花が咲き誇り、雲のように山帽子が咲いている。片岡球子の大スペクタルを客席に座って楽しむことができる。

 それぞれの劇場に緞帳名画がある、幕間にはゆったりと客席から楽しみたいものである。