全国美術館会議(1952年に設立され、現在、正会員:388館〈国立9館、公立246館、私立133館〉、個人会員:15名、賛助会員:54団体で構成)が発行している機関誌“ZENBI”に東海ブロックとしてレポートを投稿しました。
「休館が続く中、際立つ企画展」と題し、このところ東海三県で多くなっている耐震補強に、老朽化にともなう補修、施設充実による長期休館の美術館の現状と、その中でも際立つユニークな企画展を報告。
一方で、名古屋ボストン美術館の閉館と横山美術館の開館も特筆すべきこととして、加えた。
館長 高北幸矢のブログ
岐阜県現代陶芸美術館で8月26日まで開催中の「驚異の超絶技巧!明治工芸から現代アートへ」を観てきた。
圧倒的な超絶技巧に眼を奪われるばかりの展覧会。
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入館いきなり安藤緑山の《胡瓜》。息を呑む技巧、畑から持ち帰ったばかりの鮮度が表現されている。彫刻としての構成力も見事である。
現代アートでは、髙橋賢悟の《origin as a human》、鈴木祥太の《綿毛蒲公英》、前原冬樹の有刺鉄線が技巧+αが魅力的だった。
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ところで、こういった超絶技巧表現というのは、その技巧に眼を奪われて作者の想いはどこにあるのか、見失いがちだ。
作者もまた超絶技巧を見せることが目的化している作品もある。それはそれでいいではないか、という考えもある。
想いと表現が高い次元で一つになることはとても難しいことだ。
ちなみに超絶技巧作家というのは男性が圧倒的に多いというのもおもしろい。
三重県立美術館で開催中の「サヴィニャック展」に行ってきたことは先に述べた。
展覧会を見終えて中庭をぼんやりと眺めているとそこに元永定正の彫刻があった。美術館には多分以前からあったに違いない。
見つけられたのは意識の違い、清須市はるひ美術館で「元永定正展」を開催中なので美意識がそこに広がっている。
また「サヴィニャック展」を観たあとはユーモアセンスが広がっている。感覚とはそういうものだ。
今週末18日の土曜日には館長アートトークでサヴィニャックを取り上げる。
今その準備中であるが、デザインの巨人亀倉雄策がアートディレクションした「クリエイション全20巻」の第2巻に元永定正の次にサヴィニャックが紹介されている。偶然とは思えない。
ポスターデザインで活躍したフランスのサヴィニャックと現代美術で活躍した日本の元永定正、二人の交流はないが、共通するビジョンに注目しながら館長アートトークを行いたいと思う。
岐阜池田町の極小美術館へ、現在開催中の「加藤由朗展」「南谷富貴展」を観てきました。
グラフィックデザイナーとして50年、加藤さんのコンセプトの力強さは変わらず、凄い。
デザインの大きな力はアイデア。そしてそれをヴィジュアル化するセンス。単体としては1枚のポスター、個展会場ではそれらが群れのパワーとなって迫ってくる。
木片ブロックでインスタレーションを展開している南谷さんは、今展ではひび割れた木材から採取、ブロックに委ねる形が魅力的。
「ブロックを塗装していると、ずっとピシッ ピシッって音がし続けている」という話が印象的だった。
自然からのラストメッセージを身体でキャッチしながら制作している。自然への敬意と自らの造形が美しいセッションを奏でている。