『ミッフィーからの贈りもの ブルーナさんがはじめて語る人生と作品のひみつ』ディック・ブルーナ(講談社文庫、2015年)
ミッフィーからの贈りもの、それは欲しい、ぜったい欲しい。と多くのミッフィーファンは思うだろう。
そして私もその一人である。
そんなミッフィー大好きな人たちに是非読んでほしい本である。
一言で言えば「ブルーナおじさんてこんな人」がわかる本である。
ディック・ブルーナは1927年、オランダのユトレヒトに生まれた。
アーティストを目指し、24歳からはグラフィックデザイナーとして活躍、1955年から絵本を描き始める。
オランダではミッフィーではなく「ナインチェ」という。
1964年、福音館書店が『ちいさなうさこちゃん』というタイトルで出版し、日本デビュー。いつまでも「うさこちゃん」というオールドファンも多い。
私がオランダ・アムステルダムに旅をしたときに、ミッフィーのグッズや版画が欲しくて郊外にあるナインチェ・ハウスにバスに乗って訪れた。
当時50歳を過ぎていたが、子供のように胸がときめいたことを忘れられない。
ナインチェ・ハウスは2階建ての小さなお店で、そこにミッフィーが住んでいるような気がした。
店にはたくさんのミッフィーグッズで溢れており、数万円も大人買いしてしまった。
さて本書は、質問に対してブルーナおじさんがやさしく答えてくれる形で進められている。
質問は77あって、「ミッフィーたちの絵本は、自宅で描いているのですか?」「ブルーナさんには、子どもはいますか?」「子どものころに、うさぎと遊んだことはあるの?」「ミッフィーは、どうやって生まれたの?」「目は点、口はバッテンなのに、ミッフィーの気持ちが伝わってくるのはなぜ?」「ミッフィーたちは、なぜいつも正面を向いているの?」というような子どもたちが知りたいこと、大人も知りたいこと、プロの私たちも知りたい質問がいっぱいで、どの質問にもわかりやすく、やさしく答えている。
清須市はるひ美術館では、2015年7月4日から9月30日まで、特別展「ミッフィーのたのしいお花畑」を開催。ディック・ブルーナさんはまだまだお元気だったが、2017年2月に89歳で亡くなられた。
たくさんのミッフィーファンに「さよなら」って笑顔を見せながら。
