13. 10月 2016 · 第6回清須アートラボ はコメントを受け付けていません。 · Categories: 教育普及

2016年10月13日(木)

 

今日は日本美術の講座を開催。

安土桃山時代に活躍した長谷川等伯の《松林図屏風》を取り上げました。

《松林図屏風》は大変人気が高い水墨画で、1969年に切手も発売されたので、

どこかで見たことがあるという方も多いことでしょう。

また、東京国立博物館で毎年正月に公開されているのを、ご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。

 

ただ、この作品には謎が多く、等伯の作品ではこれだけが群を抜いて有名なため、

今回は等伯の画業の最初から《松林図屏風》を描くに至るまでをたどりながら、お話ししました。

 

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現在の石川県七尾に生まれた等伯は、33歳頃まで郷里で、主に仏画を描いていました。

落款に26歳の時の作品と明記されたものもいくつか残されています。

その後上洛し、画力を蓄えて、大徳寺の三門の天井に龍を描いたり、

同じく大徳寺の塔頭寺院・三玄院の襖に山水図などを描きます。

 

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その後描かれた畢生の大作が、現在智積院に残る《楓図》(写真上)。

当時、信長や秀吉など名だたる天下人の注文を一身に受けていた狩野派の様式から

影響を受けながらも、瀟洒な秋草を散りばめた独自の表現を開拓しています。

 

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等伯は、古の名画からも多くを学び、中国の画僧・牧谿が描いた手長猿から

インスパイアされた作品をいくつか残してもいます。

牧谿に比べて猿の表情は豊かで、親子の情愛が強く打ち出されています。

そして秀逸なのが樹木の表現。勢いのある筆で画面に対角線上に枝が描かれています。

こうした牧谿の様式を消化して生まれたのが《松林図屏風》と考えられています。

 

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《松林図屏風》をプロジェクターで写し、受講者の方に印象を聞いてみました。

皆さんそれぞれに感じるところがあるようで、

春霞を描いたのではないかとか、冬の朝霧を思い起こさせるとか、

この松林の先にはお寺がありそうだとか、興味深い答えが返ってきました。

 

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等伯がいつ、何のために描いたか謎の多い作品《松林図屏風》。

本画ではなく下絵だったのではないかとか、もともとは屏風ではなく、

障壁画として描いたものを後に改装したのではないか、などと推測されています。

 

ともかく、私たちはこの絵から湿り気のある大気を感じることは確か。

ことさらに武勇を誇り、威を示す外向きの絵ではなく、静かで瞑想的な画面から、

一人の人間としての等伯の生き様をそこに重ね、共感を覚えるのです。

400年という時代を超えてなお愛されるのは、普遍的な心象風景に見えるからでしょう。

 

 

次回清須アートラボでは、名古屋市美術館で開催される「アルバレス・ブラボ写真展」を鑑賞します。

お楽しみに。

 

 

 

【開催中の展覧会】

「榊原澄人 永遠の変身譚(メタモルフォーシス)」

会期:2016年10月4日(火)~12月11日(日)

開館時間:10:00~19:00(入館は18:30まで)

休館日:月曜日

観覧料:一般500円 中学生以下無料

 

 

 

 

 

 

 

 

20. 8月 2016 · 博物館実習 はコメントを受け付けていません。 · Categories: 教育普及

2016年8月20日(土)

 

清須市はるひ美術館では、毎年数名の博物館実習生を受け入れています。

今年は2人と少なめでしたが、密度の濃い実習期間を過ごしてもらいました。

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特別展の開会式スタッフに始まり、ワークショップのアシスタント、書誌目録の作成、野外彫刻の清掃、IPM(虫菌害対策)の勉強、収蔵庫での作品の取り扱いと調査、展覧会解説、展覧会見学レポート、展覧会企画発表・・・と盛りだくさんの内容を一生懸命こなしてくれた2人。

特に最終日の見学レポートと企画発表は重い課題だったにもかかわらず、充実した内容を披露してくれました

 

展覧会見学レポート

はるひ美術館以外の美術館や博物館(行先は自由)に実際に足を運び、お客さんとしてだけではなく学芸的な視点を意識しながら展覧会を見、気づいたことを発表する課題。

それぞれ、ヤマザキマザック美術館「パリの巨匠 アイズピリ」展、豊田市美術館「杉戸洋 こっぱとあまつぶ」展を選びました。

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展覧会を見るポイントとしては、

・展覧会タイトル・・・内容と合っているか、行きたいと思わせるか、インパクトがあるか、など

・展示・・・導線、章立て、キーワード、文字情報の量は適切か、文字の大きさは適切か、展覧会企画者の意図は伝わってくるか

・発見・・・見終わって、新しい知識を得たり、今まで考えたことがなかったテーマについて考えさせられたりしたという発見はあるか、あれば具体的にどのようなことか

といったことが挙げられます。

美術館は美術作品を見せるところ、という認識は一般的にあるかと思いますが、その作品の見せ方は学芸員の腕にかかっています。

展覧会は、作品の良さをどのように伝えるのか、どのようなところを見てほしいのか、またその作品の魅力を損なわないためにどのような展示環境が適切なのか、といったことが綿密に練られていますが、普段私たちが美術館で作品を鑑賞する際にはそのような「見せ方」について意識することはほとんどないと思います。

逆に「なぜこんな展示の仕方をしているんだろう?」とか、「解説があまり頭に入ってこない…」とか、作品以外のところに違和感を感じてしまうときには「見せ方」に改善の余地があるということなのかもしれません(あえてそのような違和感を演出することによって作品を効果的に見せる手法もありなのでしょうが)。

2人とも、選んだ展覧会のなかでさまざまなことにアンテナを張りながら鑑賞してくれました

作品の配置と流れによって画風の変化がわかりやすく提示されていたこと、壁や床の色を変えることで作品に共通するテーマが視覚的にあらわされていたこと、壁にキャプション(作品のタイトルや解説が書いてあるパネル状のもの)を付けずハンドアウトにまとめていることで作品の見方に違いが出ることなど、いつもとは違う視点で展覧会を見ることで、多くの気づきが得られたようです

 

展覧会企画発表

午後からは最終課題の発表。

これまでの実習で学んだことも踏まえながら、はるひ美術館の展示室を使うことを想定して展覧会企画を考え、プレゼンしてもらいました

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それぞれ自分の関心や問題意識に基づいて興味深い企画を提案してくれました。

もちろん内容としては粗削りですが、2人とも「何を伝えたいのか」という展覧会の根幹となる思いを明確に持っていた点は素晴らしかったです

発表を聞いた館長からも高評価で、斬新なアイデアに私たちも発見がありました

レジュメや展示室の図面、広報イメージ、作品の画像、聞き手への問いかけなどを織り交ぜたプレゼンにも工夫が見られ、飽きることのない発表でした。

お互いの発表を聞いて学ぶことも多かったのではないかと思います。

 

全6日間(1人は7日間)のカリキュラムを通して、常に真剣に取り組み学んだことを身に着けようとする2人の姿勢に関心しっぱなしでした。

将来学芸員の道に進むか否かは別として、今回の経験をこれからの人生に役立ててもらえたならうれしいです

2人とも、おつかれさまでした

 

 【開催中】

特別展「アルフォンス・ミュシャ デザインの仕事」

会  期:2016年6月25日(土)~9月25日(日)

開館時間:10:00~19:00 (入館は18:30まで)

休  館  日:月曜日(ただし祝日の場合は開館、翌平日が休館)

観  覧  料:一般800円、高大生600円、中学生以下無料

 

 

 

 

 

10. 8月 2016 · ワークショップ「ゲイダイでリトグラフ体験!」 はコメントを受け付けていません。 · Categories: 展覧会, 教育普及

2016年8月10日(水)

 

開催中のミュシャ展の関連イベントとして、8月6日に「ゲイダイでリトグラフ体験!」を開催しました。

ミュシャの作品に用いられている版画技法「リトグラフ」を体験する目玉企画です

リトグラフは特殊な溶剤や水洗い場、そして大きなプレス機を必要とする技法なので、美術館内で開催するのはちょっと難しいかもしれない…でもやりたい…

ということで、清須市のお隣、北名古屋市にある名古屋芸術大学にご協力いただけないだろうかと依頼しました。

美術学部の教授である西村正幸先生が快く引き受けてくださり、名芸リトグラフ工房での開催が実現したのでした

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はじめに先生からリトグラフやミュシャの作品について説明してもらい、デモンストレーション。

リトグラフは「石版画」と書くように、もともとは石灰石を使いますが、手に入りにくく扱いも難しいため、最近ではアルミ版を使うことが多いようです。

油性のリトクレヨンで描画した後、薬品をかけて化学反応を起こし描画を定着させ、版を水洗い。版が乾かないよう気を付けながらローラーでインクを付けてプレス機で印刷する。

先生の慣れた手つきにみんな興味津々で見入っていました

 

ひと通り工程を理解したところで、いざ実践

まずは作品のイメージ作りからテーマは「たからもの」。自分や家族の好きなものや好きなことをそれぞれアルミ版に描いていきます

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絵が描けたらタルクとアラビアガムを塗布。

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版画コースの学生さんたちにも手伝ってもらって、化学反応を起こさせる薬品を版に塗っていきます。

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乾燥→水洗いを経ていよいよインクを付けるところ!

ほかの版画と同じくリトグラフも色ごとに版が必要ですが、今回は2つの版のなかでローラーを使って色を塗り分けました。

版画用インクですが、普通の絵具と同じように複数のインクを混ぜて自分の好きな色を作ることもできます色とりどりのインクが練られたテーブルを見るだけでわくわくしますね!

IMG_3640 細かいところはローラーで色分けするのがちょっと大変

IMG_3627 プレス機の重たいハンドルを一生懸命回して…

IMG_3612 そーっとめくる…できてる??

IMG_3613 完成!カラフルなインクがしっかり乗っています!

版画は複数枚同じものが作れるところも大きな特徴。同じ作品を4枚印刷し、2版多色刷りのオリジナル版画が世界に4枚ずつ生まれました

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個性あふれる作品たち。最後に自分のサインとエディションナンバーを書き込み、プロのアーティストのよう

インクの渇きが遅かったため、残念ながら当日中にお持ち帰りいただくことはできませんでしたが、後日美術館から郵送させていただきました

受け取ったみんなの反応が見たかった!

 

ミュシャ展でもよくある質問ナンバーワンの「リトグラフ」。

私たちが一般的にイメージする版画とは少し異なるので、言葉で説明してもなかなかわかりづらい技法です。

今回のワークショップで実際に制作するところを目の当たりにできて、学芸員自身も勉強になりました

参加者みんなの夏の思い出に残りますように!

 

 

特別展「アルフォンス・ミュシャ デザインの仕事」

会  期:2016年6月25日(土)~9月25日(日)

開館時間:10:00~19:00 (入館は18:30まで)

休  館  日:月曜日(ただし祝日の場合は開館、翌平日が休館)

観  覧  料:一般800円、高大生600円、中学生以下無料

 

 

 

 

 

16. 7月 2016 · 第1回清須キッズアートラボ はコメントを受け付けていません。 · Categories: 教育普及

2016年7月16日(土)

 

清須市内の小学生3・4年生を対象に開講している「清須キッズアートラボ」。

展覧会を一緒に見たり、工作したりして、美術に親しんでもらおうという講座です。

今日は今年度の初回ということで、15人のかわいい受講生たちの初顔合わせでした。

「一体今日は何をするのかな?」子どもたちはワクワク・ドキドキしています。

 

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まずは開催中の展覧会「アルフォンス・ミュシャ デザインの仕事」を見に展示室へ。

「デザイン」。実はここに、今日やることのヒントが隠れているのです。

 

展示室にあるミュシャの作品は、ほとんどが「リトグラフ」という技法で刷られた版画。

小学校では紙や木を版にした版画を習うと思いますが、リトグラフは石の版を使います。

ミュシャが活躍したのは約100年まえ。この頃ちょうどリトグラフの技術が飛躍的に進歩して、多彩なポスター芸術が生まれました。

ミュシャのポスターをよく見ると、文字、人物、幾何学模様などを、その都度効果的にデザインしていることが分かります。

 

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では、みんなも文字をデザインして、リトグラフに挑戦してみよう

今日は初対面なので、自己紹介を兼ねて、自分の名前の文字を書いてもらいました。

名前と一口に言っても、ひらがな、カタカナ、漢字、あるいはアルファベットと実にいろいろな文字で表現できます。

それぞれに、見た人に与える印象は異なります。また、文字のスタイル「書体」によっても、雰囲気が違ってきますね。

どういう大きさで、どのような書体を使って名前を書くと、自分のイメージが伝えられるか、

これを考えることがデザインなのです。

 

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文字にもいろんな表情があるということを理解した子どもたち。

早速自分の名前をデザインします。

太い文字、のこぎり型の文字、ふわふわと柔らかそうな文字など、いろんなアレンジを考え出してくれました。

 

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デザインができたら、いよいよそれをリトグラフにします。

リトグラフは水と油が混ざらずにはじき合う性質を利用したものなので、水と油は必須です。

今回は「キッチンリトグラフ」という、キッチンにあるもので手軽にできるリトグラフを行いました。

 

まず、版づくり。本格的なリトグラフの版は石ですが、台紙に貼ったアルミホイルで代用できます。

このアルミホイルに、筆を使って、それぞれがデザインした文字を反転させて書き写します。

その際、筆につけるのはオリーブオイル

そのあと、版になんとコーラと水を順番にかけ、それからローラーで油性インクをつけるのです。

 

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バレンでこすってめくったら。。。

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ほらこの通り。オリーブオイルで書いた文字が刷り上がりました。

 

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手順が分かって、子どもたちは版づくりに取り掛かります。

この時、アルミホイルに手を触れないのがコツ。手の脂が付かないようにするためです。

 

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博物館実習生の手を借りながら、一人ずつコーラと水をかけます。

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最後にローラーでインクを付けて、紙を置き、上からこすると出来上がり。

紙をひっくり返して、刷り上がりを見る時が一番ワクワクします。

 

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こうして1時間ほどでみんな自分の名前をデザインし、刷ることができました。

「刷り上がった文字は、みんなの想像通りでしたか?」という問いかけに首を横に振る子がちらほら。

思いのほか文字が細かったり、細部がくっきり出なかったり、逆にノイズが出たりして、

予想外の仕上がりに戸惑ったようです。

ですが、これが版画の面白さ。思い通りにコントロールしきれないところが味になるのですよ~。

 

版画の楽しさ、難しさを実際に体験したところで、ミュシャのポスターを見ると、

また一段と違って見えるはず。

 

次回は本格的な版画を作りに、名古屋芸術大学にお邪魔します。

みんな、お弁当を忘れないで持ってきてね。

 

 

 

 

特別展「アルフォンス・ミュシャ デザインの仕事」

会  期:2016年6月25日(土)~9月25日(日)

開館時間:10:00~19:00 (入館は18:30まで)

休  館  日:月曜日(ただし祝日の場合は開館、翌平日が休館)

観  覧  料:一般800円、高大生600円、中学生以下無料

11. 7月 2016 · ワークショップ「あなたのミュシャ・スタイル」 はコメントを受け付けていません。 · Categories: 展覧会, 教育普及

2016年7月11日(月)

 

今回は、先日開催したワークショップ「あなたのミュシャ・スタイル」の模様について

このワークショップ、イベントのタイトルだけでは何をするのかわかりませんね。

まずミュシャ・スタイルとはなんぞや。

ミュシャの作品(おもにパリ時代のグラフィックデザイン)には、独特の「型」のようなものがあります。

明確に定義されているわけではありませんが、誰が見ても「これはミュシャの作品だ」あるいは「ミュシャっぽい」と思うような、ミュシャ作品らしい特徴を備えているということです(当然といえば当然なのですが)。

ミュシャが活躍していた当時からそれは「ミュシャ・スタイル」=ミュシャ様式 という言葉で呼ばれ、グラフィックデザインの流行として、“ミュシャもどき”のような多くの模倣作品が作られるまでに普及していたのでした。

ミュシャ・スタイルの特徴にはいくつかのポイントがあり、「パーツの組み合わせ」というのはキーワードの一つです

ミュシャの作品にはほとんどと言ってよいほど女性・植物・装飾文様のモチーフが登場しますが、それらは画面全体としてあらわされるというよりは、一つ一つ独立したパーツとして存在し、そのパーツの組み合わせによって画面が構成されています。

ミュシャ・スタイルが多くのデザイナーに模倣された背景には、個々のパーツに分解することができ、さらにその組み合わせによって無限にバリエーションを作ることができるミュシャ・スタイルの応用のし易さが影響していたのではないかと考えられます

そんなミュシャ・スタイルの特徴を生かしたのが今回のワークショップ

実際にミュシャの作品をパーツごとに分解して切り取り、それらを組み合わせて新たな作品を作る、というものです

手順はいたって簡単。色画用紙を台紙に、何種類もの作品から好きなパーツを切り取って貼り付けていくだけ

台紙の形も自由、ということにしましたが、あまり大きすぎると散漫なデザインになってしまうので、作品の画像シートはハガキサイズにしました。

どの作品にどんなモチーフが描かれているか、まずじっくりと作品を観察しながら、どのパーツを切り取るかアイデアをひねっているみなさんの様子が印象的でした

装飾フレームだけ切り取ってみたり、植物の装飾文様の一部を切り取ってみたり、人物モチーフを切り取ってみたり・・・

こちらはスタッフが用意したパーツのサンプルと制作例。本当にパーツを取り出せるんだということが実感できます。。

切り取ってからどのように配置するかということも肝ですね。みなさんかなり熱中して黙々と作業されていました

完成した作品の数々同じパーツを使っていても、まったく異なるデザインができあがっていますね。台紙の色や形によっても印象が変わってきます。

切り取り方もみなさんそれぞれオリジナリティーがあって、こんな作品にこんなモチーフが描かれていたのか!という新しい発見もありました

単純な作業ではありますが、性別・年齢を問わず楽しんでいただけたようです

このワークショップは同じ内容であと3回開催いたします。

(7月31日(日)、8月13日(土)、8月28日(日))

各回随時電話申込を受け付けておりますので、ぜひお気軽にご参加ください

 

・・・以下余談。

世の中のミュシャの受容度はどんなものかと日々検索エンジンやSNSなどを徘徊(?)してみたりしますが、インターネット上で「ミュシャ風」と検索すると驚くほどたくさんの「ミュシャ風イラスト」が出てきます。アニメキャラクターや少女漫画風の人物がパロディ化されているようなものがクオリティ高く表現されていたりして、オタク文化と結びつけられることも多いミュシャが日本人(特に若い世代!)に好まれる理由がちょっとわかるような気がします

これもミュシャ・スタイルの新たな形なのでしょうね

100年以上を経てもなお現代人に愛されるミュシャの魅力、おそるべし。

 

特別展「アルフォンス・ミュシャ デザインの仕事」

会  期:2016年6月25日(土)~9月25日(日)

開館時間:10:00~19:00 (入館は18:30まで)

休  館  日:月曜日(ただし祝日の場合は開館、翌平日が休館)

観  覧  料:一般800円、高大生600円、中学生以下無料

 

 

 

 

29. 6月 2016 · 「アルフォンス・ミュシャ デザインの仕事」 はコメントを受け付けていません。 · Categories: 展覧会

2016年6月29日(火)

 

特別展「アルフォンス・ミュシャ デザインの仕事」が6月25日にオープンしました

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ミュシャという芸術家、ご存知でしょうか?

名前を知らなくともどこかで絵を見たことがある、という人はきっと多いはず

淡い色彩で描かれた美しい女性や曲線的な柔らかい造形は、100年以上を経た今もなお、多くの人々を引き付けています。

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19世紀末から20世紀初頭のヨーロッパで興ったアール・ヌーヴォーの潮流のなかで活躍したミュシャは、ポスターをはじめとするデザインの仕事において才能を発揮しました。

もともと油絵画家を目指していたミュシャ不本意な形でデザイナーとしての画業をスタートさせましたが、ポスターデザインのデビュー作《ジスモンダ》で一躍脚光を浴び、グラフィックデザイン全般、食器、ジュエリー、家具、室内装飾丸ごと、などさまざまなデザインの依頼を受けるようになります。

そもそも「デザイン」という概念が認識され始めたのもこのころです。普段何気なく使っている言葉ですが、改めて考えてみるとその定義は難しい。

広い意味では、日々の暮らしをより良いものに整えることや、問題を解決するための手立て、というとらえ方ができます。

(詳しくは講演会「“デザイン”ってそもそも何なの?」にて!)

鑑賞を主目的とする絵画や彫刻などの芸術とは異なり、情報を効果的に伝達したり、手に取って使ったり、身に着けたりすることを目的とするデザインは、人の暮らしに溶け込んでいます。

作り手の個人的な感情よりも、どんなデザインが見やすいか、目を引くことができるか、心地よいか、使いやすいかといった受け手の感触を第一に考えて作られるため、ある意味で客観的で科学的なところがあります。

デザイナーというのはそういったことをさりげなく潜ませながらデザインしていくわけですが、ミュシャももちろん例外ではありません。

街を歩く人々が注目するようなデザイン、媒体のモノとしての特徴を考慮したデザイン、誰が見ても美しく快く感じるようなデザインを研究・分析し、展開させていたのです。

 

***

日本ではこれまで何度もミュシャの展覧会が開かれてきましたが、初期から晩年までの作品を通してミュシャ像を俯瞰するような回顧展形式がほとんどで、テーマを絞った展示はあまりなされていません。

本展では、芸術家というよりも、職業デザイナーとしてのミュシャに焦点を当てることで、作品を見る視点に(ちょっとだけ)新鮮さを感じていただければ・・・ということを狙いとしています

「ポスター」、「装飾パネル」、「雑誌・挿絵」といったように媒体ごとでカテゴライズして展示しておりますので、ポスターのイメージが強いミュシャですがほかにもいろいろな仕事をしていたことがわかるのではないかと思います

出品作品のほとんどが個人コレクターの所蔵品ですので、なかなか見る機会のないマニアックな作品が多いのも見どころ

ミュシャファンの方も初めての方も、ぜひぜひお越しください

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特別展「アルフォンス・ミュシャ デザインの仕事」

会  期:2016年6月25日(土)~9月25日(日)

開館時間:10:00~19:00 (入館は18:30まで)

休  館  日:月曜日(ただし祝日の場合は開館、翌平日が休館)

観  覧  料:一般800円、高大生600円、中学生以下無料

 

 

 

11. 6月 2016 · 第45回館長アートトーク はコメントを受け付けていません。 · Categories: 教育普及

2016年6月11日(土)

 

高北幸矢館長アートトークはここ最近、目に見えてお客様が増えてきました。

大変嬉しいことです。館長も、準備とトークにますます力が入ります。

 

今日のテーマは「印象派オーギュスト・ルノワール、薔薇色の絵画」。

偶然かどうか、館長のシャツも薄い薔薇色でした。

 

ルノワールはフランス中部リモージュの町に、仕立て屋の父とお針子の母のもとに生まれます。

3歳でパリに移り、画業のはじめには、磁器の絵付け職人として働きました。

ちょうど、東海地方の名だたる画家たちが、若き日にノリタケで絵付けをしていた例がたくさんあるのと同じですね。

 

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↑ これは、ルノワールが絵付けした壺。よく残っていたものです。

その後、機械化の波で職人仕事がなくなり、美術学校や画塾に通って画家となります。

ただ、職人としての経験は、印象派の画家のなかでも穏健なルノワールの画業に影響していると考えられています。

 

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↑ こちらは印象派の画家アルフレッド・シスレー夫妻の肖像。

人物画に定評があるルノワールですが、とりわけ人生の喜びに満ち溢れた、幸せそうな人々を描くのが得意でした。

温厚で画家仲間に慕われたらしく、睡蓮を描いたことで名高いクロード・モネともイーゼルを並べて

パリ郊外アルジャントゥイユで余暇を過ごす人々を描いていたりもします。

 

 

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↑ 現在国立新美術館で開催中の「ルノワール展」にも出品されている名作《ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会》。

当時パリっ子たちの間で流行っていたダンスホールでのひとこまを描いたものです。

着飾った人々が屋外で楽しげに過ごす様子を、すばやいタッチでとらえています。

実は、この同じ場所を描いたゴッホの作品が残っていますが、建物の外観を描いたやや寂しげな作品です。

余暇の喜びを画面にみなぎらせたルノワールとは対照的。

 

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また、同じこの場所を描いたロートレックの作品もあります。

こちらは、都会の疲れが出たような、退廃的な雰囲気。

こうして比較して見てみると、ルノワールが何を重視して描いたのかが分かります。

 

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↑ これはルノワール(左)とセザンヌ(右)が描いた、南仏のサント=ヴィクトワール山。

二人は家族ぐるみで仲良くしており、互いの家を訪ねて交流し、作風も影響しあいました。

けれど、目指すものはそれぞれ違います。ルノワールは純粋に風景を美しく描くことに重きを置き、

セザンヌは画面をいかに構築するかという造形的な関心が強かったことがうかがえます。

 

 

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今回の館長アートトークは、モネやゴッホ、セザンヌといった画家たちとの比較を通して、ルノワールの個性を際立たせるものでした。

ルノワールがこれほどまでに日本人に親しまれ、愛される理由は、何よりも画面に人々の幸せを捉えようとしたことにあるでしょう。

幸せそうな家族の肖像、友人と集いおしゃべりやレジャーを楽しむ人々の姿は、

100年を経てなお生の煌めきを放ち、眺める私たちの心まで満たしてくれるのです。

 

 

次回の館長アートトークについてはこちらをご覧ください。

 

 

 

【開催中】

清須ゆかりの作家

中川幸作写真展 命が煌めく瞬間

会   期:2016年4月23日(土)~6月14日(火)

開館時間:10:00~19:00 (入館は18:30まで)

休 館 日:月曜日

観 覧 料:一般300円、中学生以下無料

19. 5月 2016 · 第2回清須アートラボ はコメントを受け付けていません。 · Categories: 教育普及

2016年5月19日(木)

 

今年度2回目の清須アートラボは、美術講座(西洋美術編①)ということで、

1600年頃のイタリアで活躍した画家カラヴァッジョを取り上げました。

 

カラヴァッジョ展

現在、東京・上野の国立西洋美術館で「カラヴァッジョ展」を開催しているのをご存知でしょうか。

西洋美術館は先日、ユネスコの世界遺産に指定されたことでも大注目されていますね。

カラヴァッジョの作品は、日本ではなかなか見ることができないので、とっても貴重な機会です。

 

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カラヴァッジョの特徴を簡単に言うと、

①当時の衣服を着た人々の日常の情景を描いたこと

②人や物を写実的に描くのが抜群にうまかったこと

③光と影のコントラストが強い、これまでにない新しい描き方をしたこと

 

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今回は、上記の展覧会にも出品されていない、イタリア・ローマにある

教会のために描かれた大作(宗教画)を中心にお話しました。

なじみの薄い、キリスト教の聖書の物語がベースになっているので、

初めて聞く登場人物の名前に戸惑った方も多かったと思います。

ですが、画面の緊迫感、ただならぬ雰囲気に、みなさん食い入るように見入っていました。

 

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カラヴァッジョの作品は、後の画家たちにも大きな影響を与えています。

実人生においては、喧嘩っ早く、しょっちゅうもめごとを引き起こし、

ついには殺人まで犯してローマから逃亡。

けれど、その波乱万丈の人生と、残した作品の魅力とで、現代の私たちをもひきつけてやみません。

 

 

さて、次回6月のアートラボは、徳川美術館の「ジャパン・デザイン」展にお邪魔する予定です。

洋の東西を問わず、時代も古いものから新しいものまで、

古今東西のアートを股に掛けて、みんなで楽しんじゃいましょう!

 

 

 

 

【開催中】

清須ゆかりの作家

中川幸作写真展 命が煌めく瞬間

会   期:2016年4月23日(土)~6月14日(火)

開館時間:10:00~19:00 (入館は18:30まで)

休 館 日:月曜日

観 覧 料:一般300円、中学生以下無料

04. 5月 2016 · 新年度 はコメントを受け付けていません。 · Categories: 展覧会, 教育普及

2016年5月4日(水)

 

新年度・・・といっても早くも1ヶ月が過ぎてしまいました。

世はゴールデンウィークまっただなか。お天気もよくお出掛け日和です

 

私事ですが、はるひ美術館に来てようやく1年が過ぎ、

徐々に「はるひ民」になっているのかなぁとしみじみ思います。

(周りの方々にはもう何年もいるみたい、と言われますが…)

 

4月はバタバタしているうちにあっという間に終わってしまったので、ここでちょっと振り返り。

 

清須ゆかりの作家 中川幸作写真展 命が煌めく瞬間

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今年度1発目の企画展です!これまで2人の作家を取り上げてきた「清須ゆかりの作家」シリーズ第3弾。

清須市在住の写真家である中川幸作さんは、おもに人物写真を撮り続けています

節談説教師・祖父江省念をはじめ、伝統工芸などに携わる職人、画家、彫刻家、音楽家や、

俳優、ダンサー、指揮者、オペラ歌手などの舞台芸術家、そして「きんさんぎんさん」も被写体になっています。

作品総数はなんと145点!

展示作業は夜遅くまで続きましたが、中川さんは誰よりもアクティブに動き回っておられました

重いカメラや機材を担いで日本中飛び回る中川さんやっぱり体力が違います。

よく笑い、よくしゃべる、とても素敵なお人柄です。

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表情や動きの一瞬の煌めきを捉えた作品の数々。

指揮者の振るオーケストラの音色を聞いたり、画家の描いた作品を見たりすることがあっても、

それらを生み出す人の表情というのはあまり意識することがないのではないでしょうか?

今回の展示では中央に不思議な立体物も。ぜひ間近でご覧ください。

 

清須アートラボ

毎年恒例の生涯学習講座、清須アートラボ今年は15名の方にご参加いただくこととなりました。

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第1回はオリエンテーション。

館長のお話やメンバーの自己紹介をしたあと、中川幸作展の鑑賞会もおこないました。

緊張気味のみなさんでしたが、これから仲良くなっていくことでしょう

1年間同じメンバーで活動するというのは市の生涯学習講座のなかでも異色(なはず)。

美術講座やミュージアム鑑賞ツアーを通して自らの知識や経験を蓄えることも大切ですが、

それらの体験を仲間と共有することが何よりも醍醐味なのではないかと思います

 

清須アートサポーター

今年度のアートサポーターの活動も始まりました。

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美術館のさまざまな活動をお手伝いしていただいているボランティアのみなさん。

アートラボを卒業された有志の方々がメンバーとなっています。

昨年度のアートラボ受講生からも数人仲間入りして、総勢23名。活動場所が少々手狭になってまいりました…

「美術館運営チーム」「イベント企画チーム」「広報チーム」に分かれて活動していますが、

新メンバーも加入しましたのでチーム替えもおこないました。

新しい風を感じながら、初回からみなさん活発に議論していて、大変たのもしいです!!

今後の活動が美術館にどう生かされていくのか、乞うご期待です。

 

 

今年度は中川幸作展にはじまり、6月18日(土)・19日(日)には清須市4中学校美術部展、

夏の特別展には「アルフォンス・ミュシャ デザインの仕事」展、

秋の企画展にはアートアニメーションの「榊原澄人展」が控えております!

それぞれよい展覧会にできるよう、せっせと準備中です。ぜひぜひお越しください。

 

 

 

【開催中】

清須ゆかりの作家

中川幸作写真展 命が煌めく瞬間

会   期:2016年4月23日(土)~6月14日(火)

開館時間:10:00~19:00 (入館は18:30まで)

休 館 日:月曜日

観 覧 料:一般300円、中学生以下無料

 

 

 

 

24. 3月 2016 · 第4回アートサポーター親子ワークショップ はコメントを受け付けていません。 · Categories: 教育普及

2016年3月24日(木)

 

先週19日(土)、親子ワークショップ「写真たてをつくろう!」を開催しました。

 

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美術館のすぐ外では川津桜が満開。ヒヨドリがさかんに蜜を吸っています。

 

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アートサポーターのイベント企画チームの皆さんは、開始の1時間前からスタンバイ!

この日のために、何を作るか、どうやったら子どもたちが楽しんで作れるか、

試作品を持ち寄り、みんなで知恵を出しあって型紙やパーツなどを準備してきました。

 

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今回の申込者は、3~9歳の子どもたち8人とその親御さんたちです。

 

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材料はダンボール。

かたちは、飛行機、パンダ、機関車、さる、ゾウの中から好きなものを選べます。

まず、どのかたちの写真たてをつくるか決めて、その型紙にそってダンボールを切ります。

 

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こちらではお兄ちゃんを真似て、3歳の女の子がダンボールを切るのに夢中。

小さな手で、驚くほど巧みにハサミを操って分厚いダンボールを切っていました。

 

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写真たての中央に開ける窓の部分は最も苦労するところ。こちらは上手にカッターを使いこなしています。

 

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ダンボールが切れたら、絵具で色を塗っていきます。

絵具と筆を使うのは初めてという子が多かったようですが、

あっという間に鮮やかな色に変わる様子を見て、目が輝いていました。

加える水の量を調節するのが少し難しかったね。

 

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写真たての裏側に細長いダンボールを3本貼って、写真を固定する枠づくり。

取り付ける場所が肝心です。

サポーターさんたちが優しく教えます。

 

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最後にスタンド部分をつくります。

2本切り目を入れて、真ん中を少し折り返すと出来上がり。

 

みんなの作品。とっても素敵な写真たてができました。

絵を描いて、さっそく写真たてに飾ってみた子もいます。

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中央の写真、パンダの窓部分には、笹の葉をもつパンダの手が描かれています。

ユニークな発想にサポーターさんたちもびっくり。

 

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こちらは大好きなトーマス。

 

みんな、おうちに大事に持って帰って、使ってくださいね。

たくさんの素敵な写真が、この手作り写真たてに飾られますように!

 

大好評のアートサポーターワークショップ。

これからも年に3回ほど開催していく予定です。ご期待ください

 

 

【開催中の展覧会】

貸ギャラリー展示

■清須市文化協会 第10回春日絵画クラブ作品展

会   期:2016年3月22日(火)~3月27日(日)

開館時間:10:00~18:00(最終日16:00まで)

 ■清須市文化協会 第12回春日写影会写真展

会   期:2016年3月22日(火)~3月27日(日)

開館時間:10:00~18:00(最終日16:00まで)