28. 2月 2019 · 安曇野市での研修会 はコメントを受け付けていません。 · Categories: 教育普及

当館のボランティア組織である清須アートサポーターについて、ブログで発信したりしているせいか(最近あまり記事にしていませんが)、興味を持ってくださる方がたまにいらっしゃいます。

長野県安曇野市の職員の方から、「美術館職員やボランティアさんが集まる研修会で、活動について教えてくれませんか?」というお話をいただきまして、「茅野市美術館に続き再び・・・うちでいいのか??」と恐縮しつつ、お邪魔させていただきました。

長野は日本のなかでも美術館の多い県ですが、とくに安曇野市は「安曇野アートライン」という一帯を築くほどにたくさんの美術館・博物館がぎゅっと集まっている地域です。

美術館同士の連携が強く、ボランティア組織の「ミュージアムサポーター」も一つの館に所属するのではなく、お仕事があるたびに市内の複数の館に派遣されるというスタイルなのだそうです。

このミュージアムサポーターは昨年から始動したばかりなので、今後の活動の参考にするために、他館の例をいろいろと学んでいるとのことでした。

研修会前に寄った安曇野髙橋節郎記念美術館、田淵行男記念館、研修会会場の安曇野市豊科近代美術館。

天気が良くて、北アルプスの山脈が綺麗に見えました!

 

研修会には美術館の学芸員やサポーターの方々20名ほどにお越しいただきました。

当館のサポーターのこれまでの歩み、現在の活動状況、意義や課題など可能な範囲でお話させていただきました。

職員とサポーターとの心理的な距離感やサポーターの活動に対する姿勢に関する質問など、私にとっても勉強になる時間でした。

 

安曇野では、サポーターによる資料調査を展覧会として企画したり(髙橋節郎館で実際に展示中でした)、外国人観光客向けの英語ガイド(!)なども見据えているそう。

ボランティアスタッフの在り方は今後ますます多様になってくるのかもしれません。

当館もまだまだ模索中。現在のサポーターさんたちとの絆を大切にしながら、今後の活動を考えていきたいと気持ちを新たにいたしました。

 

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29. 1月 2019 · 収蔵作品展のワークショップ はコメントを受け付けていません。 · Categories: 展覧会, 教育普及

2019年1月26日(土)

現在、展示室1にて「どこからみる?彫刻・立体作品の魅力」展を

開催しています。

「これまであまり展示する機会がなかった彫刻・立体作品をみせたい!」

という思いのもと、企画しました。

いつも絵画の展示ばかりなので、

彫刻、立体作品の展示はすこし新鮮でした。

どこを正面と捉え、作品の向きはどうするか。

ちょっとした角度の違いが重要で、

作品のもつ迫力や纏っている空気感を生かすか殺すか・・・

ライティングもいろいろ試し、影のでき方をチェックします。

とくに難しかったのは、

渡辺おさむさんの《KARESANSUI》シリーズでした。

名前のとおり、枯山水・・・

「間のとり方が試されている!!?」と

あーでもない、こーでもないとせっせと向きや角度をかえ、

離れて近づいて何度も確認、そして・・・納得のいく位置に。

そして、展示室の床には、なぞのマークが!

大量の「!!(ビックリマーク)」ではありません・・・

鑑賞のお手伝いツールとして足跡マークを貼ってみました。

本展のねらいは、意識してからだを使って鑑賞をしてもらうこと。

絵画作品をみるときも、近づいて画家の筆致をみたり、

離れて構図や色合いのハーモニーをみたり、みなさんも

おそらく知らず知らずのうちに動き回っていると思います。

彫刻や立体作品も、作品のサイズによって

離れたり、近づいたりと作品との距離をかえて鑑賞されることでしょう。

今回はそこにもうひとつ。「上から・下から見ることを追加したい!」と

ワークショップ「どこからみる?からだをつかった鑑賞体験!」の

第1回目を実施しました!

作品の解説をしつつ・・・

こんなことをしたり

・・・こんなことまで!!!

(安心してください。洋服が汚れないようにシートの上です!)

なんともシュールな光景に。

(学芸員Fは、左端ローアングルからの《KARESANSUI》がおすすめ)

上からみないとわからない服の皺の表現。

下からみないとわからない奥行きの表現の仕方。

同じ作品でも、目線の位置や高さをかえることで

作品のみえるものは異なり、印象もがらりとかわります。

このブログを読んで、ちょっと気になったそこのあなた!

2回目の開催が決まっています!

是非お申込みください!!

【ワークショップ詳細】

日 時 : 1月26日(土)、2月23日(土) 各日、10:30~11:30
場 所 : 清須市はるひ美術館 展示室1
参加費 : 無料(観覧料は別途必要)
定 員 : 各日、先着6名(小学校低学年以下は保護者同伴)
申 込 : 電話受付 TEL: 052-401-3881

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おそらく、展示室に横になることができるのは

このときくらいしかないのでは・・・?!

いっしょに好きなアングルをみつけましょう!

【開催中の展覧会】

収蔵作品展「どこからみる?彫刻・立体作品の魅力

会期:2018年12月4日(火)~2019年3月8日(金)

開館時間:10:00~19:00(入館は18:30まで)

休館日:月曜日(ただし祝日の場合は開館、翌火曜日が休館)

観覧料:一般200円 中学生以下無料

F

 

 

 

 

 

24. 1月 2019 · アーティストシリーズVol.88 田岡菜甫展「全く同じ家」 はコメントを受け付けていません。 · Categories: はるひ絵画トリエンナーレ, 展覧会

当館恒例企画のアーティストシリーズは、開館当初からおこなっている絵画(平面作品)の公募展「はるひ絵画トリエンナーレ」の受賞者のなかから選抜してご紹介する展覧会です。

新しい審査体制となった第9回はるひトリエンナーレで大賞を受賞した田岡菜甫さんの個展を開催中です。

大賞受賞作《遠吠え》

田岡さんの作品を予備知識なしで見たとき、「なんだかよくわからないけどなんか変??」みたいな感想を抱く人が多いのではないかと思います。

描かれているものはなんとなくわかるけど、どうやって描いているのか、画面上で何をしているのかがとらえがたいというか、ノイズが入った途切れ途切れの音声のような、捕まえられそうで捕まえられないもどかしさを感じます。

田岡さんの関心は、オリジナリティの追求にあります。

芸術作品である以上それは当たり前といえば当たり前のことなのですが、田岡さんの場合は制作の過程がおもしろい。

例えば、

・実物を見て描いた絵と、描いた絵を見ながらそっくりそのまま写した絵を並べる

・両手で同じ題材を同時に描く

・キャンバスの四辺から異なる題材を描く

・自由に手を動かして引いた線を避けながら、別の絵を重ねて描く

・モノの輪郭線の一部を写し取り、脈絡なく別の部分のラインを繋ぎ合わせていく

・見たことのないものを想像で描く

等々、作品ごとにいろいろなことをおこなっているのですが、すべて描くうえでストレスとなるような行為であることがポイントです。

自分の好きなものを描いたり、思い通りに描くことをせずに、あえて「やりにくい」状態で描くことで、オリジナリティ(制御されてもなお発生してくるもの、癖や無意識の領域にあるようなもの)をあぶり出していく、という手法で制作しています。

田岡さんは、完成した一枚のキャンバスではなく、描く前の画材選びから展示空間にすべての作品を配置するところまでを含んで一つの作品ととらえています。

綿密に練られた展示構成のなかでは、見上げるような高さにある作品や、床に平置きされている作品、壁に立てかけられているだけの作品も。

また絵に描かれた題材の実物や造花などのモノも重要な役割を果たしています。

そういう、「なんか変」な展示のなかで、私たちは否応なく作品とモノを見比べたり、見る角度を変えてみたり、「なんでこれがこんなところにあるんだろう?」とか、「隣同士にあるこの作品たちはこういうところが共通しているな」とか、単純に「なんか変な組み合わせだな~」とか、翻弄されたりヒントを得たりしながら鑑賞していくことになります。

(謎の提灯!)

「全く同じ家」という展覧会タイトルには、コピーやトレース、シンクロといったイメージが含まれていますが、展示の内容と合わせて想像を膨らませていただければと思います。

かめばかむほどおもしろい“スルメ作品”ですので、ぜひ会場にて空間全体をじっくり鑑賞してみてください。

 

【開催中の展覧会】

清須市はるひ絵画トリエンナーレ アーティストシリーズVol.88 田岡菜甫展「全く同じ家」

会期:2019年月1月16日(水)~2月8日(金)

開館時間:10:00~19:00(入館は18:30まで)

休館日:月曜日(ただし祝日の場合は開館、翌火曜日が休館)

観覧料:一般200円 中学生以下無料

 

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24. 1月 2019 · アートサポーター活動「名古屋市営地下鉄壁画めぐり」 はコメントを受け付けていません。 · Categories: 教育普及

今年度もさまざまな活動をおこなっているアートサポーター。

「みんなでどこかにお出かけしたい!」というご要望もあり、プチトリップを企画しました。

サポーターのみなさんは美術館にはよく足を運んでいるので、「美術館・博物館以外の隠れ(?)アートスポット」をお題に、12月の回にみんなで行先を話し合いました。

いろいろ出ましたが、最終的に「地下鉄アート」に決定!

「地下鉄アート」とは、ここでは名古屋市営地下鉄の壁画を指しています。※地下鉄アートという固有名詞が付いているわけではありません。

名古屋市内に住む学芸員Oが、通勤途中に出会う壁画を見ながらなんとなく気になっていたのがきっかけで、候補に推してみました(最終的に私の個人的な趣味にお付き合いいただいた感じに。ありがとうございます!m(__)m)。

名古屋近辺にお住まいの方なら必ず利用するであろう、名古屋市営地下鉄。公共建築によくある壁画が、ここにも設置されているのですが、なかなか面白いのです。

言い出しっぺなので、下調べをして旅のしおりも作ってしまいました。

調べてみると、6路線ある地下鉄のうち、後発の新しい路線である桜通線(1989年開通)に、計画的に壁画が設置されたことがわかりました。

今回は時間が限られていたので、桜通線のうちの7駅をピックアップしてめぐることにしました。

名古屋駅:高松次郎《イメージスペース・名古屋駅の人々》

ハイ・レッド・センターで有名な高松次郎の「影」シリーズがこんなところに。

吹上駅:ウィリアム・マクエルチュラン《“PLEASE DO NOT RUN”》

等身大の金属彫刻が大迫力です。

「そんなに早く走らないで。人生で最も美しいものを見失ってしまうから。」という言葉が添えられています。

 

桜山駅:《桜山物語》

桜が舞い散る金屏風と、その隙間から市電が走る昔の桜山のモノクロ風景がだまし絵のように描かれています。かなりクオリティの高い作品だと思うのですが、作者は不明です。

野並駅:川村秀樹《WHITE CONCEPTION》

セラミックデザイナーが手がけた、ボーンチャイナという高級磁器製の壁面装飾です。野並駅近くに本社がある鳴海製陶が寄贈しています。すべすべした特殊施釉が心地よい。

ところどころにスリットや突起があり、平面に表情を生んでいます。

・・・

このほかに、桜本町駅、御器所駅、車道駅を回りました。

サポーターは清須在住・在勤の方々なので、もともと桜通線を利用することは少ないようですが、「地下鉄にこんな見どころがあったなんて!」と興味津々に鑑賞していました。

なぜ桜通線にまとまって壁画が設置されたのか、他の路線にはどのような作品があるのか、作者がわからない作品などについて、詳しく調べることはできませんでしたが、劣化・損傷が激しい作品や、目に留める人がほとんどいない様子を見ると、これから顧みられることはないのかもしれないなと残念な気持ちにもなりました。

 

普段素通りしているようなところにも、アートがあったりします。

それに気づいたときはちょっとうれしくなりますし、日常の視点がちょっと変わるかもしれません。

 

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21. 11月 2018 · 収蔵作品展「連想ゲーム」 はコメントを受け付けていません。 · Categories: 展覧会

「美術に対する知識がないから、何をどう見たらいいのかわからない。」

お客様からよく言われる言葉の一つです。

学芸員としては「これはですね・・・」とすべてに対して明確にお答えしたいのはやまやまですが、実際のところ私たちにもよくわからないものもたくさんあります。

もちろん、知識があるに越したことはありません。しかし「わからない」から「見ない」のは早計です。

開催中の収蔵作品展「連想ゲーム」は、絵画鑑賞のひとつの楽しみ方を提案する企画です。

タイトルの通り、ゲームのように鑑賞のルール(手順)を設けています。

キャプションにあるキーワードから、連想して作品をつなげていくようなイメージで展示室を進んでいきます。

例えばこちらのキャプション。キーワードが2つありますがサンプルとして「幻想的な赤色」を選んでみましょう。

作品①と②はどちらも同じキーワードが当てはまりますが、①の「幻想的な赤色」と②の「幻想的な赤色」は全く同じではないはずです。

同じ赤色でも、温かさのある夕焼け空のような赤色、鮮烈な血液のような赤色、神秘的な夜の空気をまとう赤ワインのような赤色と、表現はさまざま。

見る人によっても解釈が異なるでしょう。

キーワードを足掛かりにして、共通するところ、違うところを比較しながら鑑賞してみるだけでも、作品を見る行為を主体的に楽しめるのではないかと思います。

ちなみにキーワードの内容は描かれたモチーフや制作技法、作者の心情、作品の雰囲気などさまざまな観点から設定しています。後半になるにつれて難易度が上がります(個人差あり)。

(先日アートサポーターの皆さんにも実践してもらいました。キーワードを選びながら思い思いにうろうろ。)

 

人は一般的に、「理解できること」「知っていること」「見たことがあるもの」に対して安心感を持ち、「理解できないこと」「知らないこと」「見たことがないもの」を拒絶します。

わからないからこそ、見て、感じて、考える(考えてもやっぱりわからなければそれはそれで良いのです)という、ある意味「手間」とも言える作業を惜しまずに、生きていきたいものです。

 

収蔵作品展「連想ゲーム

会期:2018年11月3日(土)~11月28日(水)

開館時間:10:00~19:00(入館は18:30まで)

休館日:月曜日(ただし祝日の場合は開館、翌火曜日が休館)

観覧料:一般200円 中学生以下無料

 

O

 

10. 11月 2018 · 臨時休館中の美術館では・・・ はコメントを受け付けていません。 · Categories: その他

前回のブログから2ヶ月が経ってしまいました。

元永展のみどころをご紹介するはずだったのですが、台風21号の暴風雨を受け、展示室に雨漏りが発生。

そのため、元永展は9月11日(火)より開催中止となりました。

そして、長期間の臨時休館をいただいて、補修工事を行っていました。

不幸中の幸いで、作品に被害がなかったことが何よりでした。

酷暑だった8月からようやく涼しくなってきた9月末、

これから元永展に行こうと予定を立てていただいていた皆様には、

大変ご迷惑をおかけし、誠に申し訳ありません。

「元永展をより多くの方にみていただきたかった。魅力を紹介したかった。

楽しんでいただきたかった。」という思いを抱きながら、

作品のこと、これからの展覧会と美術館のことを考えると、

いま休館することが良いのではないかという判断となりました。

ただただ悔しい気持ちで胸がいっぱいでした。

「台風なんてこなければ・・・」「もっと前から対策ができたのでは?」と

沢山の「たられば」が頭をかすめつつ、臨時休館に伴う普段とは異なる

慣れない業務に追われました(この対応が相応しいのだろうかという不安に苛まれる日々)。

そして、一刻も早く開館できるように、雨漏りの原因解明につとめていました。

ですが、雨漏りの原因解明は一筋縄ではなかなかいかず、

怪しいとおぼしき箇所を補修しては、雨を降るのを待ち、

雨が降ったら、また雨漏り・・・。

「さて、次に怪しいところは・・・」の繰り返しでした。

他にも、建物の図面を引っ張り出してきて、建物の構造を確認したり、

過去の修繕記録を確認して「この建物の弱いところは、ここか」と知ったり。

前向きに捉えるならば、

これまで以上に、はるひ美術館について詳しく知ることができました。

学芸員のお仕事は

「収集・研究」、「展示・公開」、「保存・保管」、「教育普及」とよくいわれますが、

美術館の建物自体を知ることも重要なことですね。

とくに当館のような小さな美術館では、改修する予算を得ることも難しく、

予算が下りずに閉館を余儀なくされることも。

美術館を存続させていくためには、魅力的な展覧会を企画しつづけるだけではなく、建物自体を長く維持することも必要なのです。

今年は、愛知県美術館や豊田市美術館など改修工事で休館する美術館が多いです。

休館のあいだは、展覧会がみられないので寂しい・物足りないでしょうが、

建物自体の長寿命化は、美術館の長寿命化だとポジティブに考え、

次の展覧会を楽しみにゆったりと待つのもいいかもしれませんね。

そして当館は、11月3日(土)より開館しています。なんとか雨漏りがとまりました!!

現在は、収蔵作品展「連想ゲーム」を開催中です。

また、来月12月4日(火)からはお待たせしていた

清須市はるひ絵画トリエンナーレ アーティストシリーズVol.87 田中秀介展」がはじまります!

※当初のスケジュールから変更がありましたので、

新しいスケジュールはこちらからご確認ください。

無事にふたたび開館することができ、美術館スタッフ全員一安心。

(でも、やっぱり元永展中止は悔しい・・・)

これからも、はるひ美術館をどうぞよろしくお願いします。

【開催中の展覧会】

収蔵作品展「連想ゲーム

会期:2018年11月3日(土)~11月28日(水)

開館時間:10:00~19:00(入館は18:30まで)

休館日:月曜日(ただし祝日の場合は開館、翌火曜日が休館)

観覧料:一般200円 中学生以下無料

F

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

01. 9月 2018 · 元永定正展 おどりだすいろんないろとかたちたち はコメントを受け付けていません。 · Categories: 展覧会

元永定正展を7月14日(土)より開催しております!

外観風景 

具体美術協会(略称、具体)の代表的なメンバーでもあり、

人気絵本『もこ もこもこ』(文・谷川俊太郎)の絵を担当された元永定正さん(1922-2011)。

本展では、絵本原画を入口として元永さんの多岐にわたる作品をご紹介しています!

本展は4つのチャプターで構成しています。

 

あああ

▶Chapter 1 おと と かたち

展示風景

ここでは、絵本原画を展示しています。

 

元永さんは、「これまでにないものをつくる」というモットーを掲げていた具体に参加していました。

その精神は具体を脱退後も引き継がれており、抽象画の絵本をつくることとなりました。

『もこ もこもこ』では、オノマトペと何にでも見える生き物が登場します。

みなさんは、何にみえますか?山?パックマン?切れ込みのあるかまぼこ??

元永さんの作品には、何にでも見える抽象的なかたちがたくさん登場します。

特にみどころは、『ころころころ』(どれも、みどころですが)!!!

《ころころころ》の展示風景

回は、都合上一列に展示することができなかったのですが、

実は、ページの終りの道の高さと、次ページの道のはじまりの高さが

同じで、絵本のページを追うと一本道になるようになっています。

凸凹の道や下り道、雲の上の道など、いろんなところを転がる色玉たち

転がる道に意識すると、自然に「ころころころ」の読み方も変わるのではないでしょうか?

▶Chapter 2 空間 を あそぶ

ああ

ここでは、立体物と色玉シリーズの作品を展示しています。

展示している《ななころびやおき》と《もーやんるーれっと(黒)》は実際に触ってお楽しみいただけます。

《ななころびやおき》は靴下のようなⅬ字型をしており、おきあがりこぼしなのです!

時間があれば、ずっと作品をゆらゆらしていたくなります。

\\ そして、なんといっても今回の目玉はこれ!!//

展示風景

《いろだまごまいしろ》(内4枚のみ展示)と《いろだまボール》です!

平面に描かれた色玉が実際に木製の色玉となって床を転がり始めました!

色玉は元永さん作品によく登場するモチーフのひとつです。

神戸の摩耶山のてっぺん辺りに輝くネオンの光からインスピレーションを受け、

ひっくり返したお椀のようなものの上に色玉をいくつか乗せた作品を描きました。

そこから色玉は絵画作品のみならず絵本『ころころころ』にも登場します。

展示室を転がっているカラフルな色玉は、なんと240個

触りたくなるのですが、この作品は触れません・・・!!

とある日、保護者の方に止められながらも、

「靴を脱いだら入れるのでは?」と考えた幼児が頑張って自分の靴を脱ごうと

している姿が微笑ましくも、「酷なことをしてしまった!?」と

思わずにいられませんでした。

(そのかわり、2階のさわったり踏んだりするコーナーでしっかりと遊んでもらいました

\\ 子どもたちに大人気!!!//

名古屋芸術大学の学生さんがつくってくれました

ああ

▶Chapter 3  いろ と かたち

ここからは、もうひとつの展示室に移動します。

一番大きな作品(Chapter 4 で説明)以外は、版画作品です。

いろいろなかたちを見てもらおうと、ランダムに配置しています。

絵本に登場していたかたちや、よく登場する「Q」のようなかたち。いろいろと探してもらうと面白い・・・!

元永さんは、水たまりのかたちや壁の染み、傷など自然の中から

たくさんのかたちを見つけ出し、ヒントにしていました。

水たまりのかたちなんて、なかなかじっくり見る機会はないですよね。

意識をすると、身の回りに面白いかたちが溢れているのかもしれません。

 

ああ

▶Chapter 4 理屈のない世界

ここでは、唯一、具体参加当時の作品を展示しています。

具体は、1954年に結成された関西の前衛美術グループです。

リーダーは吉原治良(よしはら・じろう)で、グループのモットーは

「これまでにないことをすること」、「他人の真似をしないこと」でした。

グループのメンバーは、足で絵を描いた白髪一雄(しらが・かずお)、

木枠に貼ったハトロン紙(計42枚)のあいだを突っ走って紙を破いた村上三郎(むらかみ・さぶろう)がいました。

それを聞いた人は、きっと「???」「なにがアートなの???」となってしまうのではないでしょうか。

ですが、彼らの中には確たるものがありました。それは、「精神と物質」についてです。

「具体美術は物質を変貌しない。具体美術は物質に生命を与えるものだ。具体美術は物質を偽らない。

具体美術に於ては人間精神と物質とが対立したまま、握手している。物質は精神に同化しない。

精神は物質を従属させない。物質は物質のままでその特質を露呈したとき物語りをはじめ、絶叫さえする。

物質を生かし切ることは精神を生かす方法だ。精神を高めることは物質を高き精神の場に導き入れることだ。 」

(「具体美術宣言」『芸術新潮』1956年12月号)

物質(絵具や紙など)を何かの表現するための道具として扱うのではなく、

精神を表現するときの相棒として物質と向き合っていました。

物質性を強調する白髪さんの盛り上がった絵具、

自らの身体・精神と物質を衝突させた村上さん。

そういった視点でみると、彼らの作品はとても面白いんです。

さて、本チャプターで展示している《作品》をみて、

元永さんの物質との関わり方を感じてみてください。

元永展のみどころはまだまだありますが、

とても長く書きすぎてしまったようなので、また次回に。

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【開催中の展覧会】

元永定正展 おどりだすいろんないろとかたちたち

会期:2018年7月14日(土)~9月30日(日)

開館時間:10:00~19:00(入館は18:30まで)

休館日:月曜日(ただし祝日の場合は開館、翌火曜日が休館)

観覧料:一般800円 高大生600円 中学生以下無料

 

 

 

 

 

 

 

 

06. 7月 2018 · 清須市第9回はるひ絵画トリエンナーレ閉幕と美術館賞! はコメントを受け付けていません。 · Categories: はるひ絵画トリエンナーレ, 展覧会

2018年7月1日(日)をもちまして、清須市第9回はるひ絵画トリエンナーレが閉幕いたしました。

ご来館いただいたみなさま、誠にありがとうございました。

前回のブログでも触れましたが、今回は前回のトリエンナーレに比べてお客様の賛否が両極端に分かれたような気がしています(あくまで個人的な印象ですが)。

好きな作品、嫌いな作品、とても共感できる作品、まったく意味が分からない作品。

いろいろあって当然です。それが公募展の醍醐味でもあります。

美術館はさまざまな価値観を受け止め、生み出す場所でありたいと思っています。

ポジティブなものであれ、ネガティブなものであれ、何かしらみなさまの琴線に触れる体験となったならば、幸いです。

・・・

さて、入館者の投票によって展示作品(入賞、入選)28点から選出される「美術館賞」が決定しました。

干場 月花《青になるまで。》 96票

全投票数493票のうち約2割もの票を集めました。

本作は「きよす賞」とのダブル受賞(きよす賞は入選のなかから選出されていますので、合わせるとトリプル受賞!)となりました。

日常の何気ない風景を切り取り、目の覚めるような青緑色とダークな色味のコントラストで仕上げた新鮮な作品です。

干場さん、おめでとうございます!

・・・

今回は28点の作品すべてに1票以上の投票がありました。

それはどの作品にもそれぞれの魅力があり、また私たちの感性が千差万別であることを裏付けています。

正解のないアートだからこそ、自由に楽しみたいものです

 

O

15. 5月 2018 · 清須市第9回はるひ絵画トリエンナーレ、審査会の様子。 はコメントを受け付けていません。 · Categories: はるひ絵画トリエンナーレ, 展覧会

過ごしやすい季節になり、はるひトリエンナーレの審査会がおこなわれた2月末が遠い過去のよう。。。

受賞作品展が5月4日より開幕しております。→展覧会詳細

各種広報媒体でもお伝えしている通り、第9回を迎えた本展、過去最高の応募点数が集まりました。

※はるひ絵画トリエンナーレとは何ぞやという方はこちら

怒涛の準備を終え、新たな顔ぶれの審査員が揃った審査会の様子を少しだけお届けいたします

 

2018年2月27日(火)・28日(水)@清須市春日B&G体育館

直接搬入・委託搬入で集まった作品は全部で1,200点以上。これらの作品をどうやって審査するかと言うと、

体育館を仮設パネルで仕切り、いくつか通路を設けて作品をずらっと立てかけ、

審査員が通路を歩きながら作品を見ていく、という方法。

第8回から採られた審査方法ですが、審査員が座って作品が流れていくという方式よりも、審査員自身のペースで作品を見ることができ、また近寄ったり離れたり、気になる作品を再度見ることが出来たりとメリットが多いのです。(座って見るより疲労も軽減されるようです。)

審査員は各自付箋を持ち、気になる作品に貼って投票していきます。

もちろん票が重なることもありますが、最初の段階では投票数ではなく、1票でも投票されていれば通過としました。単純な多数決になることを避け、できるだけ多くの作品に可能性を残すためです。

これを何度も何度も繰り返し、少しずつ上位作品を絞っていきました。(一次審査では、作品を並べる→審査→撤去のサイクルを36回!)

高北幸矢館長、岡﨑乾二郎さん、杉戸洋さん、加須屋明子さん、吉澤美香さん、5名の審査員それぞれが1点1点の作品と真剣に向き合っている様子がわかると思います。

1,200点以上という膨大な数の作品を数時間で見るという作業は大変過酷です。しかも作品の個性は十人十色、審査員たちの個性もまったく違います。

作品の中身はもちろん、通過条件などの細かい審査内容についても、その都度議論を重ねながら進めていきました。

 

こうして2日間にわたり、一次~十二次の工程を経て、大賞1点、準大賞2点、優秀賞5点、入選20点、佳作30点が選ばれたのでした。

 

今回の受賞作品は、例年よりも「とがっている」印象を受けるかもしれません。

展覧会が開幕し1週間ほど経ちましたが、「面白い」「斬新」といった意見もあれば、「よくわからない」「理解できない」といった声もあります。

明確な審査の方針があったわけではありませんが、終わってみると確かに、万人が納得するような作品というよりも、今までにない表現や新鮮さ、技術だけでない純真さ、粗削りであっても挑戦的な意思が感じられる作品が選ばれたように思います。上位であってもすべての審査員が推したわけではなく、作家の個性と審査員の個性のぶつかり合いのなかで組まれたチーム編成、のような感覚に近いのではないでしょうか。(ここらへんの詳細はぜひ展覧会図録の「座談会」をお読みください!)

自分だったらこの作品を大賞にするのに、とか、この作品のどこが良いんだろう?とか、審査員に代わって作品を鑑賞することができるのも公募展の面白さかもしれません。

会期中には来場者による「美術館賞」の投票も受け付けています。多種多様な作品28点のなかから、ぜひお気に入りの作品を選んでいただければと思います。

 

また、予想をはるかに超えた応募数に対し事務作業が追い付かず、受付確認や作品返送が遅れるなど応募者の皆さまには大変ご迷惑をおかけいたしました。

この場を借りて、お詫び申し上げます。

 

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【開催中の展覧会】

清須市第9回はるひ絵画トリエンナーレ

会期:2018年5月4日(金・祝)~7月1日(日)

開館時間:10:00~19:00(入館は18:30まで)

休館日:月曜日(ただし祝日の場合は開館、翌火曜日が休館)

観覧料:一般300円 中学生以下無料

 

 

 

16. 2月 2018 · 茅野市美術館との交流会 はコメントを受け付けていません。 · Categories: 未分類

茅野市美術館は、複合施設である茅野市民館のなかにある美術館です。

地元の作家に注目した展覧会企画はもちろん、複合施設であることを生かした取り組みや、地域へのアウトリーチなどチャレンジングな活動をおこなっていて、個人的に気になる美術館ではありました。

http://www.chinoshiminkan.jp/

そんな茅野市美術館から「ボランティアスタッフどうしで交流をしませんか?」というお誘いがあり、「うちでいいのか!?」と思いつつ、せっかくの機会に乗らせていただくことになりました。

茅野市美は毎年サポートメンバーを募集していて、実際にスタッフとして活動をする前にさまざまな講座を設けて美術館について学んでもらうのだそう。

連続講座のなかに「他の美術館を見学しよう」という回があり、そこで見学+ボランティアスタッフとの交流をおこなう機会にしているのだとか。

http://www.chinoshiminkan.jp/museum/2018/0121.html#hirogaru

当館のアートサポーターの存在を知った学芸員さんが声をかけてくださったわけですが、ボランティアスタッフのいる美術館がたくさんあるなかで、当館を選んでくださったのは嬉しい限りです

 

当日は大型バスで30人以上の方がご来館

アーティストシリーズ川邉耕一展を鑑賞後、当館のアートサポーターと交流会をおこないました。

部屋の密度がかなり高くなってしまいました・・・

2館の活動をスライドでご紹介し、その後はそれぞれのテーブルで座談。

茅野チームの人数と熱意に圧倒されていたはるひチームでしたが、座談の時間にはアートを介して集う同士として話に花が咲いていました

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どの美術館も人手が足りているとはいえない状況の昨今、多くの館にボランティアで活動に携わるスタッフがいて、館の特色に合わせてさまざまなサポートをおこなっています。

こまごまとした雑務(だけどやっていただくととても助かる)のような裏方仕事からギャラリートークといったお客様相手の業務まで、その活動内容は幅広く、美術館にとって大きな存在であるといえます。

しかしあくまでもそれらは無償で、自発的におこなっていただいていること。美術館は日々のサポートに甘えるのではなく、感謝の気持ちを忘れず、今後も美術館を応援してもらえるように、努力をしていかなくてはならないのだと思います。

普段、他館のボランティアと関わる機会はまずないなかで、サポーターも学芸員も、貴重な経験をさせていただきました。

後日のサポーター活動日におこなった交流会の振り返りでは、「こういうところは、ここでも生かせるのでは?」という意見も。

今後ますます、アートサポーターがパワーアップしていくことを期待しています

 

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