13. 6月 2017 · 宮脇綾子の理知とあたたかさ。 はコメントを受け付けていません · Categories: 展覧会

今秋に開催予定の「宮脇綾子展」の調査のため、富山県の砺波市美術館に行ってきました。

 

(建物が大きい・・・!)

宮脇綾子(1905-1995)は、古布の端切れなどを使ったアプリケ作品で知られ、名古屋を中心に活躍した作家です。

「手仕事」として表現されたアプリケ作品の題材は、庭に咲いた草花や畑でとれた野菜などとても身近なものばかり。

日常のささやかな幸福を綴るように制作された作品たちは、どれも心がほっこりするあたたかさにあふれていて、幸せとは心の豊かさから生まれるのだなぁということをひしひしと感じました。

色や形の組み合わせの妙はセンスの塊で、子どものあそびのような無邪気さがありながら、一方でモデルとなった対象や素材の布選びに対して鋭い観察眼が感じられます。

身の回りの人たちや自然への限りない愛情、そして妥協を許さない厳しさも垣間見たような気がしました。

本展は当館での企画展とは別物ですが、新収蔵品を中心に、当館なりのアプローチで綾子さんの作品の魅力をお伝えできたらと考えています。どうぞお楽しみに!

 

砺波といえば、チューリップ。

残念ながら見ごろは過ぎていましたが、道中いたるところで隠れチューリップを発見

 

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13. 6月 2017 · 美術館の役割とは? はコメントを受け付けていません · Categories: その他

先日「全国美術館会議」というものに参加してきました。

全国美術館会議とは、1952年に設立された組織で、美術館のさまざまな問題をみんなで共有し、ともにつながりあう場として会合や研修会を開いています。

全国の美術館400館弱が加盟しており、美術館どうしの横のつながりを深める貴重な機会でもあります。

http://www.zenbi.jp/index.php

鎌倉で開催された第66回の総会では、美術館に関わる人たちが美術館の機能や役割についてどのように理解し、その内容をどのように共有していくべきか?ということについて、改めて話し合われました。

岐阜県美術館さんの「ミュージアムの女」やtwitterのハッシュタグ「♯学芸員のおしごと」等々、最近ようやく美術館の内部が社会に向けて発信される動きがありますが、

美術館や博物館は公共施設であるにもかかわらず、そもそもどういう役割をもっていて、誰がどんな仕事をしているのか、ということについて正しく理解されてこなかったのではないかと思います。

(美術は好きでも「美術館の中身」に関心を持つことは一般的に稀ですし、先日のニュースで初めて「学芸員」という言葉を耳にしたという方も少なくないでしょう…)

美術館は敷居が高いというイメージはいまだに根強く、関心がなければ一度も訪れることなく生涯を終えることもあるかもしれません。

もちろん、それぞれの美術館によって理念や特徴はさまざまですが、

美術館の活動基盤(調査・研究/収集・保存/展示・公開/教育・普及)のもと芸術を守っていくことを美術館に関わる者すべての共通理解とし、

そのためには芸術が人と社会に果たす役割を考え伝えていく努力をしなければならないということを改めて考えさせられました。

 

時代の流れによって、芸術のあり方も美術館のあり方も変化しています。

美術館はもはや象牙の塔やブラックボックスではなく、誰もがアクセスできるプラットフォームであるべきなのだろうと思います。

 

帰りに神奈川県立近代美術館にて「木魂を彫る 砂澤ビッキ展」を鑑賞。

黒蕨さんの作品と同じく、木彫作品のエネルギーがすさまじかったです。

写真は屋外展示のイサム・ノグチ《こけし》。

 

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