29. 6月 2016 · 「アルフォンス・ミュシャ デザインの仕事」 はコメントを受け付けていません。 · Categories: 展覧会

2016年6月29日(火)

 

特別展「アルフォンス・ミュシャ デザインの仕事」が6月25日にオープンしました

  DSC_2442

ミュシャという芸術家、ご存知でしょうか?

名前を知らなくともどこかで絵を見たことがある、という人はきっと多いはず

淡い色彩で描かれた美しい女性や曲線的な柔らかい造形は、100年以上を経た今もなお、多くの人々を引き付けています。

黄道十二宮

19世紀末から20世紀初頭のヨーロッパで興ったアール・ヌーヴォーの潮流のなかで活躍したミュシャは、ポスターをはじめとするデザインの仕事において才能を発揮しました。

もともと油絵画家を目指していたミュシャ不本意な形でデザイナーとしての画業をスタートさせましたが、ポスターデザインのデビュー作《ジスモンダ》で一躍脚光を浴び、グラフィックデザイン全般、食器、ジュエリー、家具、室内装飾丸ごと、などさまざまなデザインの依頼を受けるようになります。

そもそも「デザイン」という概念が認識され始めたのもこのころです。普段何気なく使っている言葉ですが、改めて考えてみるとその定義は難しい。

広い意味では、日々の暮らしをより良いものに整えることや、問題を解決するための手立て、というとらえ方ができます。

(詳しくは講演会「“デザイン”ってそもそも何なの?」にて!)

鑑賞を主目的とする絵画や彫刻などの芸術とは異なり、情報を効果的に伝達したり、手に取って使ったり、身に着けたりすることを目的とするデザインは、人の暮らしに溶け込んでいます。

作り手の個人的な感情よりも、どんなデザインが見やすいか、目を引くことができるか、心地よいか、使いやすいかといった受け手の感触を第一に考えて作られるため、ある意味で客観的で科学的なところがあります。

デザイナーというのはそういったことをさりげなく潜ませながらデザインしていくわけですが、ミュシャももちろん例外ではありません。

街を歩く人々が注目するようなデザイン、媒体のモノとしての特徴を考慮したデザイン、誰が見ても美しく快く感じるようなデザインを研究・分析し、展開させていたのです。

 

***

日本ではこれまで何度もミュシャの展覧会が開かれてきましたが、初期から晩年までの作品を通してミュシャ像を俯瞰するような回顧展形式がほとんどで、テーマを絞った展示はあまりなされていません。

本展では、芸術家というよりも、職業デザイナーとしてのミュシャに焦点を当てることで、作品を見る視点に(ちょっとだけ)新鮮さを感じていただければ・・・ということを狙いとしています

「ポスター」、「装飾パネル」、「雑誌・挿絵」といったように媒体ごとでカテゴライズして展示しておりますので、ポスターのイメージが強いミュシャですがほかにもいろいろな仕事をしていたことがわかるのではないかと思います

出品作品のほとんどが個人コレクターの所蔵品ですので、なかなか見る機会のないマニアックな作品が多いのも見どころ

ミュシャファンの方も初めての方も、ぜひぜひお越しください

IMG_3335 IMG_3336

 

特別展「アルフォンス・ミュシャ デザインの仕事」

会  期:2016年6月25日(土)~9月25日(日)

開館時間:10:00~19:00 (入館は18:30まで)

休  館  日:月曜日(ただし祝日の場合は開館、翌平日が休館)

観  覧  料:一般800円、高大生600円、中学生以下無料

 

 

 

11. 6月 2016 · 第45回館長アートトーク はコメントを受け付けていません。 · Categories: 教育普及

2016年6月11日(土)

 

高北幸矢館長アートトークはここ最近、目に見えてお客様が増えてきました。

大変嬉しいことです。館長も、準備とトークにますます力が入ります。

 

今日のテーマは「印象派オーギュスト・ルノワール、薔薇色の絵画」。

偶然かどうか、館長のシャツも薄い薔薇色でした。

 

ルノワールはフランス中部リモージュの町に、仕立て屋の父とお針子の母のもとに生まれます。

3歳でパリに移り、画業のはじめには、磁器の絵付け職人として働きました。

ちょうど、東海地方の名だたる画家たちが、若き日にノリタケで絵付けをしていた例がたくさんあるのと同じですね。

 

Exif_JPEG_PICTURE

↑ これは、ルノワールが絵付けした壺。よく残っていたものです。

その後、機械化の波で職人仕事がなくなり、美術学校や画塾に通って画家となります。

ただ、職人としての経験は、印象派の画家のなかでも穏健なルノワールの画業に影響していると考えられています。

 

Exif_JPEG_PICTURE

↑ こちらは印象派の画家アルフレッド・シスレー夫妻の肖像。

人物画に定評があるルノワールですが、とりわけ人生の喜びに満ち溢れた、幸せそうな人々を描くのが得意でした。

温厚で画家仲間に慕われたらしく、睡蓮を描いたことで名高いクロード・モネともイーゼルを並べて

パリ郊外アルジャントゥイユで余暇を過ごす人々を描いていたりもします。

 

 

Exif_JPEG_PICTURE Exif_JPEG_PICTURE

↑ 現在国立新美術館で開催中の「ルノワール展」にも出品されている名作《ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会》。

当時パリっ子たちの間で流行っていたダンスホールでのひとこまを描いたものです。

着飾った人々が屋外で楽しげに過ごす様子を、すばやいタッチでとらえています。

実は、この同じ場所を描いたゴッホの作品が残っていますが、建物の外観を描いたやや寂しげな作品です。

余暇の喜びを画面にみなぎらせたルノワールとは対照的。

 

Exif_JPEG_PICTURE

また、同じこの場所を描いたロートレックの作品もあります。

こちらは、都会の疲れが出たような、退廃的な雰囲気。

こうして比較して見てみると、ルノワールが何を重視して描いたのかが分かります。

 

Exif_JPEG_PICTURE

↑ これはルノワール(左)とセザンヌ(右)が描いた、南仏のサント=ヴィクトワール山。

二人は家族ぐるみで仲良くしており、互いの家を訪ねて交流し、作風も影響しあいました。

けれど、目指すものはそれぞれ違います。ルノワールは純粋に風景を美しく描くことに重きを置き、

セザンヌは画面をいかに構築するかという造形的な関心が強かったことがうかがえます。

 

 

Exif_JPEG_PICTURE

今回の館長アートトークは、モネやゴッホ、セザンヌといった画家たちとの比較を通して、ルノワールの個性を際立たせるものでした。

ルノワールがこれほどまでに日本人に親しまれ、愛される理由は、何よりも画面に人々の幸せを捉えようとしたことにあるでしょう。

幸せそうな家族の肖像、友人と集いおしゃべりやレジャーを楽しむ人々の姿は、

100年を経てなお生の煌めきを放ち、眺める私たちの心まで満たしてくれるのです。

 

 

次回の館長アートトークについてはこちらをご覧ください。

 

 

 

【開催中】

清須ゆかりの作家

中川幸作写真展 命が煌めく瞬間

会   期:2016年4月23日(土)~6月14日(火)

開館時間:10:00~19:00 (入館は18:30まで)

休 館 日:月曜日

観 覧 料:一般300円、中学生以下無料