25. 5月 2014 · 鳥羽美花展 アーティストトーク2 はコメントを受け付けていません · Categories: 展覧会

2014年5月25日(日)

 

「清須ゆかりの作家 鳥羽美花展 時空を超えて―辿りついた場所より」

今日は鳥羽美花さんによるアーティストトークの2回目。

1回目は、前期展示期間中の4月26日に行いました。

5月13日から始まった後期展示では初めての開催です。

前回を上回る、なんと80名ほどのお客様にお越しいただき、会場は熱気に包まれました。

 

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まずはエントランスロビーで、鳥羽さんご自身がこれまでの作家活動と、この展覧会のコンセプトをご説明。

今回の展覧会の副題は、鳥羽さんの発案によるものです。

鳥羽さんは1994年に初めてベトナムを訪れ、風景やそこに住む人々に魅了されて以来20年、

一貫してベトナムの風景を型染め技法を使って染め描いてこられました。

 

「気づいたら20年経っていた。」

その20年間の集大成である三部作《辿りついた場所》を日本初公開する展覧会が本展なのです。

 

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展示室に入り、作品一点一点について、丁寧にベトナムでの取材地や制作動機について語ります。

その言葉は聞いている人を暖かく包み込む音楽のようにやさしいけれど、

芯の強さを感じさせる、凛とした響きがあります。

 

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後期展示では季節に合わせ、ベトナムの雨をテーマとした《雨上がり》《モンスーン》といった作品が新しく加わりました。

たたきつけるように降る雨、霧雨のような細い雨。

肌にまとわりつく湿度の高い空気まで感じることができます。

 

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↑こちらが本邦初公開となる三部作《辿りついた場所》。

展示室の奥に互い違いに立てて置き、インスタレーションとして展示してあります。

モチーフはベトナム中部にある世界遺産のミーソン遺跡。

まるで遺跡の中を歩くような感覚で、鑑賞していただけます。

 

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一番右の屏風は、一般的な屏風の広げ方とは違うのにお気づきになりますか?

通常4曲屏風は、上から見るとM字に折りたたんだり広げたりするようになっていますが、

これだけは一部ジグザグを逆にして広げています。

こうすることで、観る方の視線を誘導して、遺跡にたどり着きやすくしているのです。

自然に最奥へといざなわれている感じ。

屏風の置き方ひとつで、いろんな空間演出が可能になることを今回鳥羽さんから教わりました。

 

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今日は特別に、鳥羽さんのご配慮により屏風の裏側もご覧いただきました。

表具師さんに作品の遺跡のイメージを伝えたところ、古代裂(こだいぎれ)という古い織物をダーツにして貼り、

こんなすてきな表具に仕立ててくださったそうです。

見えないところになんとも粋な職人技ですね。

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引き続きもう一つの展示室でも作品解説していただきました。

お客さまが入りきらないほどの盛況ぶり。

 

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最後に2階で、型染めの制作工程をご覧いただきました。

《辿りついた場所》を制作する際に実際に使った型紙を約10点吊るして展示しています。

実物を見れば、型彫りがいかに根気が要る作業なのかが伝わってきて圧倒されます。

 

作品世界に浸り、また鳥羽さんのお人柄にふれてファンになられた方も大勢いらっしゃることでしょう。

そんな方に朗報です。

鳥羽さんは現在、建仁寺の襖絵52面を染め上げるプロジェクトを進行中です。

今秋11~12月には、完成に先駆けてその一部が建仁寺で公開予定。

これからまたどんな世界を私たちに見せてくれるのか、楽しみですね。

詳細は鳥羽美花さんの公式HPをご覧ください。→こちら

 

 

 

 

【開催中の展覧会】

清須ゆかりの作家 鳥羽美花展 時空を超えて-辿りついた場所より

会   期:2014年4月12日(土)~6月8日(日)

開館時間:10:00~19:00(最終日18:30まで)

休  館  日:月曜日(月曜日が休日の場合は次の平日が休館)

〈インターネット入館割引券〉

 

 

 

24. 5月 2014 · 第20回館長アートトーク はコメントを受け付けていません · Categories: 教育普及

2014年5月24日(土)

 

館長アートトークも今日でなんと20回目を迎えることができました。

いつもご参加いただいている皆様、本日初めてご参加いただいた皆様、

ありがとうございます

 

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さて、今回の館長アートトークは「愛の画家シャガール、その幻想世界」というタイトルです。

現在、愛知県美術館とメナード美術館でシャガール展を開催中ということもあり、

この地域ではシャガールブーム到来でしょうか。

熱心なシャガールファンや美術好きの方々もたくさんお集まりいただいていたようです。

 

まずは、シャガールの生い立ちや性格などをざっと振り返ります。

なかなかのイケメン、そして愛妻家。素敵ですね~

 

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シャガールの原点ともいえる初期の作品も登場。

右の写真は出産の場面をリアルに描いています。

シャガールは生涯を通して「愛」「幸福」「平和」をテーマに制作に取り組みました。

 

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シャガールの代表作ともいえるニューヨーク近代美術館所蔵《私と村》(左)と《誕生日》(右)。

左は同時代の芸術運動キュビスムの影響が見られる作品です。

右の作品は一人目の妻ベラとの新婚生活の幸せいっぱいの様子が描かれています。

浮遊する人物像はシャガールの特徴的な描き方ですね

 

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こんな感じで、どんどんシャガールの作品を見ていきました。

97歳という長寿だったシャガールは、作品も数多くあります。

そのいずれにも「愛」「幸福」「平和」のテーマが込められていて、見ているこちらも

なんともいえない幸福感に包まれる、そんな力を持った作品だと改めて感じました

 

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こちらはパリ・オペラ座の天井画です。右の壁面には愛知県美術館のシャガール展ポスターを貼ってみました。

愛知県美術館の今回のシャガール展はこの天井画を中心に、オペラの衣裳なども展示された、

これまでにないシャガール展となっています。

ちなみに、メナード美術館ではシャガールの版画作品を見ることができますよ

 

当館館長アートトークを聞いてから、愛知県美術館やメナード美術館へ行かれる予定の方も

何人もいらっしゃいました。

みなさん予習はばっちりできましたか?

 

本プログラムは一人でも多くの方に「美術っておもしろい!」と思っていただける

きっかけになればという思いから始めました。

今後も、さまざまなテーマに取り組み、みなさまを美術の面白さ、奥深さへの入口へご案内いたします

 

次回は、6月14日(土)16:00-17:00

「線の彫刻家ジャコメッティ、限界の造形・精神性」です。

ご興味のある方は是非一度ご参加ください

前日までお電話で受付けております(清須市はるひ美術館:052-401-3881)

 

 

【開催中の展覧会】

清須ゆかりの作家 鳥羽美花展 時空を超えて-辿りついた場所より

会   期:2014年4月12日(土)~6月8日(日)

開館時間:10:00~19:00(最終日18:30まで)

休  館  日:月曜日(月曜日が休日の場合は次の平日が休館)

〈インターネット入館割引券〉

 

 

 

21. 5月 2014 · 第2回清須アートラボ はコメントを受け付けていません · Categories: 教育普及

2014年5月21日(水)

 

今日は清須アートラボ美術史講座の初回でした。

清須アートラボは、美術史講座と近隣美術館見学を月替わりで開催しています

今月は、名画鑑賞(日本美術史編①)「マンガの原型!絵巻の世界にご案内」というタイトルで

絵巻について勉強をしました。

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絵巻は、奈良時代に中国から伝わったといわれていますが、その後、日本で物語や説話文学と結びついて、

独自の発展と洗練をみせていきました。

その背景には、日本固有の絵画様式「やまと絵」の成立が重要な役割を担ったのですが、

では、「やまと絵」ってどんな絵なの?!というところから話を始めてみました

スクリーンに映された2つの画像を見比べながら、それぞれの特徴を記述してもらいました。

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作品の特徴を書く。

一見単純な作業のように思えますが、これは美術作品を見るときにはとても役に立つトレーニングです。

見えたこと、気がついたことを言葉にするというのは、なかなか難しいのです

受講生の皆さんも「えー?!」と言いながらも、がんばって特徴を書いてくれていましたね。

そして「やまと絵」の特徴をしっかり理解した上で、数々の絵巻の画像を見ていきました。

 

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日本最古の絵巻、『源氏物語絵巻』は日本人であれば誰もが知っていると言ってもいい作品のひとつかもしれません。

作品の内容もさることながら、随所に見られる絵巻独特の表現技法も確認していきました

「俯瞰描写(ふかんびょうしゃ)」「吹抜屋台(ふきぬけやたい)」「作り絵」「引目鉤鼻(ひきめかぎばな)」など。

 

amakiminomaki178 伴大納言絵巻2

『信貴山縁起』や『伴大納言絵巻』では、物語の展開を担う主要人物が、絵巻を開き、巻くことを繰り返すなかで、

何度も画面に登場する「反復描写(はんぷくびょうしゃ)」や

ひとつの画面に同一人物が複数回登場する「異時同図法(いじどうずほう)」

という技法についてもお話しました。

 

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みなさん一生懸命メモを取ったり、質問をしてくださったり。とてもいい雰囲気の講座でした

ちなみに、みなさんに配布したテキストは、各回担当学芸員が講座の内容に合わせて作成しています。

自宅でもテキストを見ながら講座の内容が思い出せるよう、カラー図版もなるべくたくさん入れてみました。

みなさんの関心をより深められるお手伝いができたら嬉しいです!

 

さて、来月は美術館見学です。

愛知県陶磁美術館で開催中の「古唐津・古武雄」展を見学します!

普段はなかなか見ることのない九州の焼き物の展覧会です。

学芸員さんの解説も楽しみですね

 

 

【開催中の展覧会】

清須ゆかりの作家 鳥羽美花展 時空を超えて-辿りついた場所より

会   期:2014年4月12日(土)~6月8日(日)

開館時間:10:00~19:00(最終日18:30まで)

休  館  日:月曜日(月曜日が休日の場合は次の平日が休館)

〈インターネット入館割引券〉

 

 

 

 

19. 5月 2014 · 休館日の美術館で はコメントを受け付けていません · Categories: その他

2014年5月19日(月)

 

今日は休館日です。

お客様のいないこの日を利用して、当館では額装作業を行いました。

 

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カンバスに描かれた西村有さんの油絵作品2点。《庭園》と《竹林を抜けていく風景》。

これらは、当館のコレクション展で眼にされた方もいることでしょう。

 

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過去には、↑ こんな風にカンバスのまま展示もしました。

額縁がない方が、お客様には作品に集中して鑑賞していただけるという利点があります。

ただ、生のままのキャンバスは、移動時の振動や衝撃に弱く、傷みやすいという難点も。

 

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作品を長期間にわたってより安全に維持するためには、額で保護するのが一番。

ということで、少しずつ収蔵作品の額装を進めているのです。

 

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額の裏側には、保存性が高く、作品により安全な中性のボードを取り付けます。

これにより、作品の裏側からの衝撃を軽減し、ほこりがたまってカビの元になるのを防ぎます。

急激な温湿度の変化もおさえることができ、保存性が向上するのです。

ただ、残念ながらこのボードは日本では生産されておらず、輸入に頼っているのが現状だそうです。

 

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額の取り付けが終わったら、保存用のダンボールとのすきまに、クッションとなる材質をあてがいます。

作品の四つ角と、荷重のかかる下辺に挿入して出来上がり。

 

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当館では、作品は1点1点、段ボール箱に入れて、収蔵庫に保管しています。

 

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作品の色味にあわせて、左側の作品には少し白みがかった乳白色の額を、

右側の作品には、木地のままの額を選びました。

 

(左)Exif_JPEG_PICTURE (右)Exif_JPEG_PICTURE

微妙な違いかもしれませんが、額の色味は作品の印象にかかわるのでとても大事なんですよ。

 

さて今回は、額の取り付け作業の合間に、じっくりと作品を観察する時間が持てました。

《庭園》にはとってもかわいらしい魚が泳いで(飛んで?)います。

展示室ではなく、自然光が降り注ぐ明るい作業場では、その魚たちを描いた筆のタッチまで克明に見る事ができました。

 

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これらの作品は、またコレクション展で展示する機会もあるかと思います。

その際は、ぜひ、こんな愛くるしい魚にも眼を向けてくださいね。

 

そして、展覧会に行った時には、時々額縁を観察してみるのもいいかもしれません。

 

 

 

【開催中の展覧会】

清須ゆかりの作家 鳥羽美花展 時空を超えて-辿りついた場所より

会   期:2014年4月12日(土)~6月8日(日)

開館時間:10:00~19:00(最終日18:30まで)

休  館  日:月曜日(月曜日が休日の場合は次の平日が休館)

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15. 5月 2014 · 第2回清須アートサポーター はコメントを受け付けていません · Categories: 教育普及

2014年5月15日(木)

 

今日は、今年度第2回目の「清須アートサポーター」活動日。

「清須アートサポーター」は、「清須アートラボ」受講修了生の中から、

清須市はるひ美術館の運営をサポートしてくださる方が集まっています。

 

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4月の初顔合わせをすませ、今月から活動が本格的にスタート。

サポーターは今年度、総勢25名に増えました!

多くの方が清須市はるひ美術館の活動に興味を持ってくださり、うれしい限りです。

 

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まずはいつものように、最近訪れた美術館を、紹介する情報交換からはじめました。

それぞれの興味に応じて、どんな美術館・展覧会に行ってきたかを報告するのです。

ポイントは、作品を鑑賞するだけでなく、展示、ショップ、案内などに関してどのような工夫がしてあったか、

当館にも取り入れられることはないか、といった観点で見てくること。

今日は、県外の三重県や、東京での展覧会に出かけてきたと紹介してくれました。

 

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それから、国外に飛び出して、スペインの美術館めぐりをしたサポーターも。

スペインの地図を示しながら、訪れた都市を説明してくれました。

エル・グレコが住んだことで知られるトレドの町は、オススメだそうですよ。

 

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その後、↑のプリントを配り、私たち学芸員から、サポーターの今後の活動内容を発表

担当する内容に応じて3つのチームに分けることで、

大所帯となったサポーターの活動をより活発に進めよう!というわけなのです。

 

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チームは以下の3つ。

広報チーム: 清須市はるひ美術館の活動紹介定期刊行物の企画・発行

イベント企画チーム: サポーター主催のイベントの企画・運営、清須市はるひ美術館主催のイベントのサポート

美術館運営チーム: 清須市はるひ美術館の展覧会や運営のサポート

 

みんなどれかのチームに所属しています。

チームごとに集まって、さっそく具体的に何から取り組むか、作戦会議です。

 

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他の美術館や図書館で実際に行われているワークショップやイベント、

また、発行されているニュースペーパーの情報を集めたり、

当館で夏に開催予定の特別展「ブルーノ・ムナーリ展」について情報収集したり。

 

さぁ、パワーアップしたサポーター活動がこれからどんな展開をするか、楽しみですね。

次回以降、またこのブログでお知らせしていきます。

 

 

 

 

【開催中の展覧会】

清須ゆかりの作家 鳥羽美花展 時空を超えて-辿りついた場所より

会   期:2014年4月12日(土)~6月8日(日)

開館時間:10:00~19:00(最終日18:30まで)

休  館  日:月曜日(月曜日が休日の場合は次の平日が休館)

〈インターネット入館割引券〉

 

 

 

 

10. 5月 2014 · 第1回清須キッズアートラボ はコメントを受け付けていません · Categories: 展覧会, 教育普及

2014年5月10日(土)

 

清須市生涯学習講座の一環として、

市内在住の小学3・4年生向けに行っている「清須キッズアートラボ」。

固定メンバーで年4回連続開催しています。

今日は、新メンバーを迎えてはじめての回でした。

 

15名の子どもたちも初顔合わせということで、お互い自己紹介することに。

大人の世界では、自己紹介には「名刺」が欠かせませんよね。

まずは学芸員が手作りの「名刺」を見せて、自分の名前を紹介しました。

 

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次は、みんなの番。まずは自分の「名刺」を作るところからはじめましょう。

 

といってもただ紙に名前を書くわけではありません。

新聞やチラシ、雑誌など印刷物の活字を切り抜いて、作るのです。

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ひらがなでも、カタカナでも、漢字でもかまいません。

一文字一文字、紙面をくまなく見て、自分の名前に使われている文字を探します。

 

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見つけたらはさみで切り取って、台紙に糊ではりつけます。

文字はできるだけカラフルで、大きさが違っているほうが面白い名刺になります。

1時間ほど熱中して、それぞれ1~3枚の個性的な名刺ができあがりました。

 

中には、なかなか活字になっていない文字があって、

みんなで手分けして探してあげる場面もありましたね。

 

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できたら名刺を持って、みんなの前で自己紹介です。

ちょっぴり恥ずかしそうだけれど、みんなどこか誇らしげです。

 

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例えばおなじ「あ」という文字でも、細かったり太かったり、

デザインがいろいろあることに気づいたかな。

できた名刺を交換し合って、お友達になった子もいました。

 

このあと、場所を美術館展示室に移し、みんなで一緒に絵を鑑賞して楽しみました。

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「まずは静かにじっくり絵を見てね」の掛け声で、

子どもたちは画面を食い入るように見つめます。

しばらくして、「この絵には何が描かれている?」と問いかけると、

ハイハイっと手が上がります。

「自転車がある」「服がたくさん吊ってある」「青い鳥が飛んでる」「燃えてる!」

子どもたちは自由な発想で、見えた形をさまざまなものに見立てます。

観察が深まってくると、描かれた場面は洋服やさんで、時間は夜だ、

などと次第に輪郭ができ上がってくるのです。

 

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2点目もみんなでじっくり観察します。

「船がある」「崩れそうな家がある。津波が来たんじゃないか?」

「船長さんが座ってる」「バーベキューしてる」

一人のこの発言が、他の子どもたちを刺激し、新たな観察を引き出します。

 

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最後は大作に挑みました。

ここでもみんな細かな観察を披露してくれました。

言葉にはならないけれど、長い長い時の流れと、

人々がかつてそこにいたであろう雰囲気をちゃんとつかんでいました。

人知を越えた圧倒的な何ものかに対する畏怖の念を感じたようです。

 

 

今回は「この絵はこういう場面を描いた作品だよ。」というようなことは一切紹介しませんでした。

なので、中には未解決のままの、もやもやした感じが残った子がいたかもしれません。

そのもやもやは、絵を見ることに積極的だったからこそ残るものです。

 

絵の見方に正解はない。ただ、自分の感覚をフルに使うことが求められる。

それは、遊びに近い感覚かもしれません。

 

子どもたちには子どもたちなりの自由な絵の見方があっていい。

自分で「あれは何だろう?」と思って、主体的に観て、考えることが大切なのです。

そこから、いろんな世界が広がってきます。

 

 

 

【開催中の展覧会】

清須ゆかりの作家 鳥羽美花展 時空を超えて-辿りついた場所より

会   期:2014年4月12日(土)~6月8日(日)

開館時間:10:00~19:00(最終日18:30まで)

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08. 5月 2014 · 朝日新聞に作品紹介記事が掲載されました はコメントを受け付けていません · Categories: 展覧会

2014年5月8日(木)

 

開催中の鳥羽美花展が、朝日新聞夕刊の「美博ノート」の欄に

3週連続で取り上げられました。

展示作品の中から記者さんが3点を取り上げて、詳しく紹介しています。

作品の魅力が凝縮された記事ですので、以下転載してご紹介したいと思います。

 

 

4月23日(水)

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《オリエンタルドリーム》1998年 3曲屏風の一部

愛知県清須市出身の鳥羽美花は、日本の伝統的な型染めの技法でベトナムの移りゆく風景を20年にわたって描いてきた染色画家だ。中国の支配や、フランスの植民地時代、そしてベトナム戦争。「風景がこの国の変遷を見てきたんだと思う瞬間があった」と鳥羽は話す。

この初期の作品では、鳥たちを強い日差しから守る、布がかけられた鳥かごがずらりと軒に下がる様子を描いた。ベトナムには、年配の男性たちが朝の公園で大切に飼っている鳥を鳴かせ合う風習があり、ハノイの街には鳥や鳥かごを売る店がたくさんある。宙吊りの宮殿のように見えたという鳥かごには鳥はいない。生命を一切描かないことが、風景の中のざわめきや匂いをより鮮明にしているのだ。

 

 

4月30日(水)

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《香河》1998年 2曲屏風

朝のサイゴン川が、市場で売るバナナや野菜を運んできた舟で埋め尽くされている。舟には自転車や竿(さお)などさまざまなものが積まれて、家のようだ。

ホーチミンのありふれた朝の風景は、トラック輸送の発達により20年後の今では見ることはできない。染色画家の鳥羽はベトナムを訪れた当初から「ここは変わる」と直感し、作品として残した。懸命に働き、勉強する人々の姿から、この国の発展が当時から容易に予想できた。

ベトナムでの展覧会は5回開催され、会場には学生も訪れる。精緻(せいち)な職人技で染め上げた絹地を屏風(びょうぶ)の形で展示する作品は反響を呼んだ。しかし何より自分の目ではもう見ることができない母国の景色が彼らの心を捕らえたのかも知れない。

 

 

5月7日(水)

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三部作《辿りついた場所》2013年 4曲屏風

2~15世紀にベトナム中南部で栄えたチャンパ王国の聖地ミーソンに点在する遺跡を表現したインスタレーション。

この地を訪れた染色画家の鳥羽は、この盆地独特の蒸し暑さに日本の夏を思い出し、同時に王国の長い戦乱やベトナム戦争で破壊され続けた遺跡の女神やハスの花の台座のレリーフなどが昇華していくように感じたという。シャープな線や点を出すことのできる刀で、細部まで精緻に彫り込んでいる。昼から日暮れにかけて、レンガ造りの建物を照らす日の色あいが変わる3点の屏風(びょうぶ)を互い違いに並べることで、遺跡の間を通っていくような印象を与えている。

 

 

 

【開催中の展覧会】

清須ゆかりの作家 鳥羽美花展 時空を超えて-辿りついた場所より

会   期:2014年4月12日(土)~6月8日(日)

開館時間:10:00~19:00(最終日18:30まで)

休  館  日:月曜日(月曜日が休日の場合は次の平日が休館)

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