28. 2月 2019 · 安曇野市での研修会 はコメントを受け付けていません。 · Categories: 教育普及

当館のボランティア組織である清須アートサポーターについて、ブログで発信したりしているせいか(最近あまり記事にしていませんが)、興味を持ってくださる方がたまにいらっしゃいます。

長野県安曇野市の職員の方から、「美術館職員やボランティアさんが集まる研修会で、活動について教えてくれませんか?」というお話をいただきまして、「茅野市美術館に続き再び・・・うちでいいのか??」と恐縮しつつ、お邪魔させていただきました。

長野は日本のなかでも美術館の多い県ですが、とくに安曇野市は「安曇野アートライン」という一帯を築くほどにたくさんの美術館・博物館がぎゅっと集まっている地域です。

美術館同士の連携が強く、ボランティア組織の「ミュージアムサポーター」も一つの館に所属するのではなく、お仕事があるたびに市内の複数の館に派遣されるというスタイルなのだそうです。

このミュージアムサポーターは昨年から始動したばかりなので、今後の活動の参考にするために、他館の例をいろいろと学んでいるとのことでした。

研修会前に寄った安曇野髙橋節郎記念美術館、田淵行男記念館、研修会会場の安曇野市豊科近代美術館。

天気が良くて、北アルプスの山脈が綺麗に見えました!

 

研修会には美術館の学芸員やサポーターの方々20名ほどにお越しいただきました。

当館のサポーターのこれまでの歩み、現在の活動状況、意義や課題など可能な範囲でお話させていただきました。

職員とサポーターとの心理的な距離感やサポーターの活動に対する姿勢に関する質問など、私にとっても勉強になる時間でした。

 

安曇野では、サポーターによる資料調査を展覧会として企画したり(髙橋節郎館で実際に展示中でした)、外国人観光客向けの英語ガイド(!)なども見据えているそう。

ボランティアスタッフの在り方は今後ますます多様になってくるのかもしれません。

当館もまだまだ模索中。現在のサポーターさんたちとの絆を大切にしながら、今後の活動を考えていきたいと気持ちを新たにいたしました。

 

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29. 1月 2019 · 収蔵作品展のワークショップ はコメントを受け付けていません。 · Categories: 展覧会, 教育普及

2019年1月26日(土)

現在、展示室1にて「どこからみる?彫刻・立体作品の魅力」展を

開催しています。

「これまであまり展示する機会がなかった彫刻・立体作品をみせたい!」

という思いのもと、企画しました。

いつも絵画の展示ばかりなので、

彫刻、立体作品の展示はすこし新鮮でした。

どこを正面と捉え、作品の向きはどうするか。

ちょっとした角度の違いが重要で、

作品のもつ迫力や纏っている空気感を生かすか殺すか・・・

ライティングもいろいろ試し、影のでき方をチェックします。

とくに難しかったのは、

渡辺おさむさんの《KARESANSUI》シリーズでした。

名前のとおり、枯山水・・・

「間のとり方が試されている!!?」と

あーでもない、こーでもないとせっせと向きや角度をかえ、

離れて近づいて何度も確認、そして・・・納得のいく位置に。

そして、展示室の床には、なぞのマークが!

大量の「!!(ビックリマーク)」ではありません・・・

鑑賞のお手伝いツールとして足跡マークを貼ってみました。

本展のねらいは、意識してからだを使って鑑賞をしてもらうこと。

絵画作品をみるときも、近づいて画家の筆致をみたり、

離れて構図や色合いのハーモニーをみたり、みなさんも

おそらく知らず知らずのうちに動き回っていると思います。

彫刻や立体作品も、作品のサイズによって

離れたり、近づいたりと作品との距離をかえて鑑賞されることでしょう。

今回はそこにもうひとつ。「上から・下から見ることを追加したい!」と

ワークショップ「どこからみる?からだをつかった鑑賞体験!」の

第1回目を実施しました!

作品の解説をしつつ・・・

こんなことをしたり

・・・こんなことまで!!!

(安心してください。洋服が汚れないようにシートの上です!)

なんともシュールな光景に。

(学芸員Fは、左端ローアングルからの《KARESANSUI》がおすすめ)

上からみないとわからない服の皺の表現。

下からみないとわからない奥行きの表現の仕方。

同じ作品でも、目線の位置や高さをかえることで

作品のみえるものは異なり、印象もがらりとかわります。

このブログを読んで、ちょっと気になったそこのあなた!

2回目の開催が決まっています!

是非お申込みください!!

【ワークショップ詳細】

日 時 : 1月26日(土)、2月23日(土) 各日、10:30~11:30
場 所 : 清須市はるひ美術館 展示室1
参加費 : 無料(観覧料は別途必要)
定 員 : 各日、先着6名(小学校低学年以下は保護者同伴)
申 込 : 電話受付 TEL: 052-401-3881

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おそらく、展示室に横になることができるのは

このときくらいしかないのでは・・・?!

いっしょに好きなアングルをみつけましょう!

【開催中の展覧会】

収蔵作品展「どこからみる?彫刻・立体作品の魅力

会期:2018年12月4日(火)~2019年3月8日(金)

開館時間:10:00~19:00(入館は18:30まで)

休館日:月曜日(ただし祝日の場合は開館、翌火曜日が休館)

観覧料:一般200円 中学生以下無料

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24. 1月 2019 · アートサポーター活動「名古屋市営地下鉄壁画めぐり」 はコメントを受け付けていません。 · Categories: 教育普及

今年度もさまざまな活動をおこなっているアートサポーター。

「みんなでどこかにお出かけしたい!」というご要望もあり、プチトリップを企画しました。

サポーターのみなさんは美術館にはよく足を運んでいるので、「美術館・博物館以外の隠れ(?)アートスポット」をお題に、12月の回にみんなで行先を話し合いました。

いろいろ出ましたが、最終的に「地下鉄アート」に決定!

「地下鉄アート」とは、ここでは名古屋市営地下鉄の壁画を指しています。※地下鉄アートという固有名詞が付いているわけではありません。

名古屋市内に住む学芸員Oが、通勤途中に出会う壁画を見ながらなんとなく気になっていたのがきっかけで、候補に推してみました(最終的に私の個人的な趣味にお付き合いいただいた感じに。ありがとうございます!m(__)m)。

名古屋近辺にお住まいの方なら必ず利用するであろう、名古屋市営地下鉄。公共建築によくある壁画が、ここにも設置されているのですが、なかなか面白いのです。

言い出しっぺなので、下調べをして旅のしおりも作ってしまいました。

調べてみると、6路線ある地下鉄のうち、後発の新しい路線である桜通線(1989年開通)に、計画的に壁画が設置されたことがわかりました。

今回は時間が限られていたので、桜通線のうちの7駅をピックアップしてめぐることにしました。

名古屋駅:高松次郎《イメージスペース・名古屋駅の人々》

ハイ・レッド・センターで有名な高松次郎の「影」シリーズがこんなところに。

吹上駅:ウィリアム・マクエルチュラン《“PLEASE DO NOT RUN”》

等身大の金属彫刻が大迫力です。

「そんなに早く走らないで。人生で最も美しいものを見失ってしまうから。」という言葉が添えられています。

 

桜山駅:《桜山物語》

桜が舞い散る金屏風と、その隙間から市電が走る昔の桜山のモノクロ風景がだまし絵のように描かれています。かなりクオリティの高い作品だと思うのですが、作者は不明です。

野並駅:川村秀樹《WHITE CONCEPTION》

セラミックデザイナーが手がけた、ボーンチャイナという高級磁器製の壁面装飾です。野並駅近くに本社がある鳴海製陶が寄贈しています。すべすべした特殊施釉が心地よい。

ところどころにスリットや突起があり、平面に表情を生んでいます。

・・・

このほかに、桜本町駅、御器所駅、車道駅を回りました。

サポーターは清須在住・在勤の方々なので、もともと桜通線を利用することは少ないようですが、「地下鉄にこんな見どころがあったなんて!」と興味津々に鑑賞していました。

なぜ桜通線にまとまって壁画が設置されたのか、他の路線にはどのような作品があるのか、作者がわからない作品などについて、詳しく調べることはできませんでしたが、劣化・損傷が激しい作品や、目に留める人がほとんどいない様子を見ると、これから顧みられることはないのかもしれないなと残念な気持ちにもなりました。

 

普段素通りしているようなところにも、アートがあったりします。

それに気づいたときはちょっとうれしくなりますし、日常の視点がちょっと変わるかもしれません。

 

O

 

13. 8月 2017 · 【特別編】学芸員の卵、参上! はコメントを受け付けていません。 · Categories: 展覧会, 教育普及

2017年8月13日(日)

こんにちは!博物館実習生Nです。

博物館実習生とは、言わば学芸員の卵というところです(自分で言っておいて恥ずかしいです)

実習生は学芸員になるため、実際に美術館の現場でその仕事を体験します。

清須市はるひ美術館には7月からおじゃましています。

もしかしたら、もうお会いしている人もいらっしゃるかもしれません…!

今までキッズアートラボのお手伝いやアートサポーターとの交流、

展示の工夫について教えていただく等々、多くの経験をしました。

実習生は事前に学校で講義を受けるのですが、現場に訪れると

学芸員の方がどのようなことを考えながらお仕事をしているのか

伺うことができ、発見ばかりです。

そして、本日は…こちら!

現在開催中の特別展「イラストレーター 安西水丸 ―漂う水平線(ホリゾン)―」展に

合わせて開催されたワークショップ「スノードームをつくろう!」のお手伝いをしました。

それぞれ自分の好きなオブジェを空き瓶にいれて、世界にひとつだけの

キラキラかわいいスノードームを作りました。

こちらのワークショップは人気のため、次回開催はすでに定員に達しております

実はワークショップ開催前に学芸員の方とスノードームの試作品をつくりました。

どうしたらスノードームが上手にできるのか、試行錯誤しました。

当日、参加者の皆さまにレクチャーできるように勉強することも

学芸員の仕事のひとつなのです。

学芸員の仕事のうち、普段私たちが目にする展覧会の企画・運営の仕事はほんの一部にすぎません。

実際は様々な活動をしており、突き詰めると奥が深いです。

私も学芸員になれるように精進します!

 

N

 

19. 3月 2017 · 親子ワークショップ「ポップアップカードを作ろう!」 はコメントを受け付けていません。 · Categories: 教育普及

2017年3月12日(日)

アートサポーターさんによる親子ワークショップ「ポップアップカードを作ろう!」を開催しました!

ポップアップカードとは、こんな風に…

ああああああ// じぃ~~~~~っ \\

とびだすカードのことです。

でははじめに、みんなで作り方のお話をききます。

今回は、このなかから好きなものを選んでもらって

つくります

くまさんにバス、パトカーにお家

まよってしまいそう…

つくるものを決めたところで、台紙に色をぬっていきましょう!

 

丁寧にぬってみたり、力強くぬってみたり…気のままにぬってみたり。

カラフルな台紙が完成していきます

次は、しかけにも色をぬりましょう

ああ

ああ\\ あっ!バスに人がのってる! //

お友達がのっているのかな??家族なのかな??

想像するとおもしろいですね。

色をぬれたら、台紙としかけをくっつけます!!

ここがいちばん難しいところ 気を抜かないでっ!!

見本をしっかりみたり、サポーターさんに教えてもらったり…

ゆっくり確実にくっつけていきます…どきどき

くっつけると…

ああああああ\\ 完成っ!!! //

じぶんだけのバス、お家ができました

みんな素敵です

そして、なんといっても…

親子ワークショップの魅力といえば、

ああああああ\\  これっ  //

親子一緒に楽しそうにつくっているところをみると

こちらまで楽しく、嬉しくなります

一緒になってつくるのはいいですね。

そして、こんなポップアップカードも…

アートサポーターさんが考えるワークショップはいつもおもしろいです

親子で一緒に遊べるワークショップは、これからも企画していきます。

お気軽にご参加ください

 

28. 1月 2017 · 第4回清須キッズアートラボ はコメントを受け付けていません。 · Categories: 教育普及

2017年1月28日(土)

 

清須市内の小学3~4年生を対象に年4回行っている子ども向け講座「清須キッズアートラボ」も今日で最終回

寂しいですね。。。

現在開催中の「アーティストシリーズVol.82 原勉展」と関連づけてみんなで「ステンシル」に挑戦してみました

ステンシルとは、図柄や文字を切り抜いて、その切り抜いた部分にスポンジや筆で色をつけていく、版画の一種です。

原さんの作品の下地には、本物のレースを使って模様を施されているのです(前回のブログを参照していただけるとわかります)。

まずは、みんなで作品を鑑賞します

「何が描かれているかな?」

「何をつかって色をつけてると思う?」

「どんな印象をもった?」

みんな作品をじっくりみて、言葉にしていきます。

また、おなじ名前の作品がいっぱいあることに気づいた子どもたち。

作品をみて、それぞれ何が違うのかを教えてくれました

すると途中で、スペシャルゲストが登場しました

原さんが来てくださり、話もしてくださりました

みんな真剣に耳を傾けます。そして、作品の下地には、

本物のレースを使い、模様をつけていることを直接教えてもらい、

いざ、ステンシルに挑戦です今回は原さんの真似っこをしてレースも使います。

何にステンシルをするかというと・・・

この時期には特に欠かせないマスクです

まずは、マスク全体に下地となるレースをのせて・・・

絵の具をつけたスポンジで ポンポンッ  レースの隙間部分に色をつけていきます。

力をいれすぎてしまうと、レースの模様がつぶれてしまい、

力を抜きすぎてしまうと、あまり色がつかず・・・力加減がむずかしい

全体にレースの模様がついたら、次は・・・

かための紙でつくった型紙をつかってアレンジしましょう

ああああああ\\   完 成   //

うっすらとレースの模様がでています。

ステンシルのやり方を学んだので、次はみんながつくる番です

あああああああああああああ//  ポンポンッ  \\

みんな上手です

レース模様の下地ができたら次はアレンジです。

三角形、四角形、丸形の型紙を組み合わせていきます。

大好きな緑色をたくさん使って模様をつけたマスク、

食べ物のような配色のマスク(みていてお腹が空いちゃいました・・・)

自分だけのおしゃれマスクがたくさん完成しました

レースの上からつけたアレンジがポイントになっていますね。

 

今回は、いつもとちがい、筆ではなくスポンジを使ってみました。

いろんな方法で色をつけることができると知ってもらえたかな

最後には、「清須キッズアートラボ」メンバーの認定書をひとりひとりに渡していきます。

この一年で、美術館が身近なところだと思ってもらえたら嬉しいです。

また、美術館でみんなの顔をみれますように

いつでもお待ちしております。

【開催中の展覧会】

「清須市はるひ絵画トリエンナーレ アーティストシリーズ Vol.82 原勉展」

会期:2017年1月17日(火)~2017年2月4日(土)

開館時間:10:00~19:00(入館は18:30まで)

休館日:月曜日(ただし祝日の場合は開館、翌火曜日が休館)

観覧料:一般200円 中学生以下無料

 

12. 11月 2016 · 第3回清須キッズアートラボ はコメントを受け付けていません。 · Categories: 教育普及

2016年11月12日(土)

 

清須市内の小学3~4年生を対象に年4回行っている子ども向け講座「清須キッズアートラボ」。

今回は、ちょうど当館でアニメーションの展覧会を開催中であることから、

「動く絵」をテーマとしたワークショップを行いました。

 

まずは「榊原澄人 永遠の変身譚(メタモルフォーシス)」を鑑賞。

長い絵巻状の壮大なアニメーションに、子どもたちはじっと見入っていました。

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その後作業スペースに移動して、榊原澄人さんは1秒間に12枚の絵を描いてアニメーションを作っていることを紹介。

つまり、先ほど見たアニメーションは、何千枚、何万枚の絵を描いてようやく完成するのです。

「さぁ、みんなも12コマの絵を描いて、絵を動かしてみましょう

dsc_3247

 

今回はまず、「ゾートロープ」という装置を作ります。

それから、紙に12コマの連続する絵を描き、紙を輪にしてゾートロープの内側に装着。

ゾートロープをくるくる回すと絵が動いて見える、という仕組みです。

 

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ゾートロープは、方眼の付いた黒い厚紙で12角形をつくり、その外周に壁を立て、覗き穴の切れ込みを12か所あけて作ります。

紙が厚いので、ホチキス留めをするちいさな手に力が入ります。

 

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なお、ゾートロープの設計図は少々込み入っているので、あらかじめ当館のアートサポーターさんの協力を得て準備しておきました。

厚紙に12角形を作図したり、方眼のます目を正確に数えたりの作業は、大人のサポーターさんでも「頭の体操」だったようです。

サポーターさん、ありがとうございました。

 

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さて話を元に戻して、こちらはゾートロープの回転軸となる割りばしを通す穴をあけているところ。

穴だけはハサミではあけられないので、カッターを上手に使って切り落とします。

 

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ゾートロープが出来上がったら、子どもたちお待ちかねのお絵かきの時間

あっという間に12コマを埋めていきます。

 

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半分に切られたリンゴが大きくなってまん丸になるもの。

怒った顔がにこにこした笑顔になるもの。

てるてる坊主が風に吹かれて右に左に揺れるもの。

水中を泳いでいたナマズが水から顔を出すもの。

 

みんな、動きの面白さを抽出し、シンプルに、しっかりとした線で描けていました。

それをゾートロープに装着して回してみると。。。。

dsc_3270

「動いた」と歓声があがりました。そしてとっても嬉しそう

自分の描いた絵がいきいきと動く。本当に、これはちょっとした感動です。

 

たった1秒分のアニメーションをつくるだけで、こんなにたくさんの絵が必要なんだ、と

身をもって知った子どもたちでした。

 

 

 

催中の展覧会】

「榊原澄人 永遠の変身譚(メタモルフォーシス)」

会期:2016年10月4日(火)~12月11日(日)

開館時間:10:00~19:00(入館は18:30まで)

休館日:月曜日

観覧料:一般500円 中学生以下無料

 

 

13. 10月 2016 · 第6回清須アートラボ はコメントを受け付けていません。 · Categories: 教育普及

2016年10月13日(木)

 

今日は日本美術の講座を開催。

安土桃山時代に活躍した長谷川等伯の《松林図屏風》を取り上げました。

《松林図屏風》は大変人気が高い水墨画で、1969年に切手も発売されたので、

どこかで見たことがあるという方も多いことでしょう。

また、東京国立博物館で毎年正月に公開されているのを、ご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。

 

ただ、この作品には謎が多く、等伯の作品ではこれだけが群を抜いて有名なため、

今回は等伯の画業の最初から《松林図屏風》を描くに至るまでをたどりながら、お話ししました。

 

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現在の石川県七尾に生まれた等伯は、33歳頃まで郷里で、主に仏画を描いていました。

落款に26歳の時の作品と明記されたものもいくつか残されています。

その後上洛し、画力を蓄えて、大徳寺の三門の天井に龍を描いたり、

同じく大徳寺の塔頭寺院・三玄院の襖に山水図などを描きます。

 

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その後描かれた畢生の大作が、現在智積院に残る《楓図》(写真上)。

当時、信長や秀吉など名だたる天下人の注文を一身に受けていた狩野派の様式から

影響を受けながらも、瀟洒な秋草を散りばめた独自の表現を開拓しています。

 

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等伯は、古の名画からも多くを学び、中国の画僧・牧谿が描いた手長猿から

インスパイアされた作品をいくつか残してもいます。

牧谿に比べて猿の表情は豊かで、親子の情愛が強く打ち出されています。

そして秀逸なのが樹木の表現。勢いのある筆で画面に対角線上に枝が描かれています。

こうした牧谿の様式を消化して生まれたのが《松林図屏風》と考えられています。

 

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《松林図屏風》をプロジェクターで写し、受講者の方に印象を聞いてみました。

皆さんそれぞれに感じるところがあるようで、

春霞を描いたのではないかとか、冬の朝霧を思い起こさせるとか、

この松林の先にはお寺がありそうだとか、興味深い答えが返ってきました。

 

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等伯がいつ、何のために描いたか謎の多い作品《松林図屏風》。

本画ではなく下絵だったのではないかとか、もともとは屏風ではなく、

障壁画として描いたものを後に改装したのではないか、などと推測されています。

 

ともかく、私たちはこの絵から湿り気のある大気を感じることは確か。

ことさらに武勇を誇り、威を示す外向きの絵ではなく、静かで瞑想的な画面から、

一人の人間としての等伯の生き様をそこに重ね、共感を覚えるのです。

400年という時代を超えてなお愛されるのは、普遍的な心象風景に見えるからでしょう。

 

 

次回清須アートラボでは、名古屋市美術館で開催される「アルバレス・ブラボ写真展」を鑑賞します。

お楽しみに。

 

 

 

【開催中の展覧会】

「榊原澄人 永遠の変身譚(メタモルフォーシス)」

会期:2016年10月4日(火)~12月11日(日)

開館時間:10:00~19:00(入館は18:30まで)

休館日:月曜日

観覧料:一般500円 中学生以下無料

 

 

 

 

 

 

 

 

20. 8月 2016 · 博物館実習 はコメントを受け付けていません。 · Categories: 教育普及

2016年8月20日(土)

 

清須市はるひ美術館では、毎年数名の博物館実習生を受け入れています。

今年は2人と少なめでしたが、密度の濃い実習期間を過ごしてもらいました。

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特別展の開会式スタッフに始まり、ワークショップのアシスタント、書誌目録の作成、野外彫刻の清掃、IPM(虫菌害対策)の勉強、収蔵庫での作品の取り扱いと調査、展覧会解説、展覧会見学レポート、展覧会企画発表・・・と盛りだくさんの内容を一生懸命こなしてくれた2人。

特に最終日の見学レポートと企画発表は重い課題だったにもかかわらず、充実した内容を披露してくれました

 

展覧会見学レポート

はるひ美術館以外の美術館や博物館(行先は自由)に実際に足を運び、お客さんとしてだけではなく学芸的な視点を意識しながら展覧会を見、気づいたことを発表する課題。

それぞれ、ヤマザキマザック美術館「パリの巨匠 アイズピリ」展、豊田市美術館「杉戸洋 こっぱとあまつぶ」展を選びました。

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展覧会を見るポイントとしては、

・展覧会タイトル・・・内容と合っているか、行きたいと思わせるか、インパクトがあるか、など

・展示・・・導線、章立て、キーワード、文字情報の量は適切か、文字の大きさは適切か、展覧会企画者の意図は伝わってくるか

・発見・・・見終わって、新しい知識を得たり、今まで考えたことがなかったテーマについて考えさせられたりしたという発見はあるか、あれば具体的にどのようなことか

といったことが挙げられます。

美術館は美術作品を見せるところ、という認識は一般的にあるかと思いますが、その作品の見せ方は学芸員の腕にかかっています。

展覧会は、作品の良さをどのように伝えるのか、どのようなところを見てほしいのか、またその作品の魅力を損なわないためにどのような展示環境が適切なのか、といったことが綿密に練られていますが、普段私たちが美術館で作品を鑑賞する際にはそのような「見せ方」について意識することはほとんどないと思います。

逆に「なぜこんな展示の仕方をしているんだろう?」とか、「解説があまり頭に入ってこない…」とか、作品以外のところに違和感を感じてしまうときには「見せ方」に改善の余地があるということなのかもしれません(あえてそのような違和感を演出することによって作品を効果的に見せる手法もありなのでしょうが)。

2人とも、選んだ展覧会のなかでさまざまなことにアンテナを張りながら鑑賞してくれました

作品の配置と流れによって画風の変化がわかりやすく提示されていたこと、壁や床の色を変えることで作品に共通するテーマが視覚的にあらわされていたこと、壁にキャプション(作品のタイトルや解説が書いてあるパネル状のもの)を付けずハンドアウトにまとめていることで作品の見方に違いが出ることなど、いつもとは違う視点で展覧会を見ることで、多くの気づきが得られたようです

 

展覧会企画発表

午後からは最終課題の発表。

これまでの実習で学んだことも踏まえながら、はるひ美術館の展示室を使うことを想定して展覧会企画を考え、プレゼンしてもらいました

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それぞれ自分の関心や問題意識に基づいて興味深い企画を提案してくれました。

もちろん内容としては粗削りですが、2人とも「何を伝えたいのか」という展覧会の根幹となる思いを明確に持っていた点は素晴らしかったです

発表を聞いた館長からも高評価で、斬新なアイデアに私たちも発見がありました

レジュメや展示室の図面、広報イメージ、作品の画像、聞き手への問いかけなどを織り交ぜたプレゼンにも工夫が見られ、飽きることのない発表でした。

お互いの発表を聞いて学ぶことも多かったのではないかと思います。

 

全6日間(1人は7日間)のカリキュラムを通して、常に真剣に取り組み学んだことを身に着けようとする2人の姿勢に関心しっぱなしでした。

将来学芸員の道に進むか否かは別として、今回の経験をこれからの人生に役立ててもらえたならうれしいです

2人とも、おつかれさまでした

 

 【開催中】

特別展「アルフォンス・ミュシャ デザインの仕事」

会  期:2016年6月25日(土)~9月25日(日)

開館時間:10:00~19:00 (入館は18:30まで)

休  館  日:月曜日(ただし祝日の場合は開館、翌平日が休館)

観  覧  料:一般800円、高大生600円、中学生以下無料

 

 

 

 

 

10. 8月 2016 · ワークショップ「ゲイダイでリトグラフ体験!」 はコメントを受け付けていません。 · Categories: 展覧会, 教育普及

2016年8月10日(水)

 

開催中のミュシャ展の関連イベントとして、8月6日に「ゲイダイでリトグラフ体験!」を開催しました。

ミュシャの作品に用いられている版画技法「リトグラフ」を体験する目玉企画です

リトグラフは特殊な溶剤や水洗い場、そして大きなプレス機を必要とする技法なので、美術館内で開催するのはちょっと難しいかもしれない…でもやりたい…

ということで、清須市のお隣、北名古屋市にある名古屋芸術大学にご協力いただけないだろうかと依頼しました。

美術学部の教授である西村正幸先生が快く引き受けてくださり、名芸リトグラフ工房での開催が実現したのでした

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はじめに先生からリトグラフやミュシャの作品について説明してもらい、デモンストレーション。

リトグラフは「石版画」と書くように、もともとは石灰石を使いますが、手に入りにくく扱いも難しいため、最近ではアルミ版を使うことが多いようです。

油性のリトクレヨンで描画した後、薬品をかけて化学反応を起こし描画を定着させ、版を水洗い。版が乾かないよう気を付けながらローラーでインクを付けてプレス機で印刷する。

先生の慣れた手つきにみんな興味津々で見入っていました

 

ひと通り工程を理解したところで、いざ実践

まずは作品のイメージ作りからテーマは「たからもの」。自分や家族の好きなものや好きなことをそれぞれアルミ版に描いていきます

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絵が描けたらタルクとアラビアガムを塗布。

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版画コースの学生さんたちにも手伝ってもらって、化学反応を起こさせる薬品を版に塗っていきます。

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乾燥→水洗いを経ていよいよインクを付けるところ!

ほかの版画と同じくリトグラフも色ごとに版が必要ですが、今回は2つの版のなかでローラーを使って色を塗り分けました。

版画用インクですが、普通の絵具と同じように複数のインクを混ぜて自分の好きな色を作ることもできます色とりどりのインクが練られたテーブルを見るだけでわくわくしますね!

IMG_3640 細かいところはローラーで色分けするのがちょっと大変

IMG_3627 プレス機の重たいハンドルを一生懸命回して…

IMG_3612 そーっとめくる…できてる??

IMG_3613 完成!カラフルなインクがしっかり乗っています!

版画は複数枚同じものが作れるところも大きな特徴。同じ作品を4枚印刷し、2版多色刷りのオリジナル版画が世界に4枚ずつ生まれました

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個性あふれる作品たち。最後に自分のサインとエディションナンバーを書き込み、プロのアーティストのよう

インクの渇きが遅かったため、残念ながら当日中にお持ち帰りいただくことはできませんでしたが、後日美術館から郵送させていただきました

受け取ったみんなの反応が見たかった!

 

ミュシャ展でもよくある質問ナンバーワンの「リトグラフ」。

私たちが一般的にイメージする版画とは少し異なるので、言葉で説明してもなかなかわかりづらい技法です。

今回のワークショップで実際に制作するところを目の当たりにできて、学芸員自身も勉強になりました

参加者みんなの夏の思い出に残りますように!

 

 

特別展「アルフォンス・ミュシャ デザインの仕事」

会  期:2016年6月25日(土)~9月25日(日)

開館時間:10:00~19:00 (入館は18:30まで)

休  館  日:月曜日(ただし祝日の場合は開館、翌平日が休館)

観  覧  料:一般800円、高大生600円、中学生以下無料