24. 1月 2019 · アーティストシリーズVol.88 田岡菜甫展「全く同じ家」 はコメントを受け付けていません。 · Categories: はるひ絵画トリエンナーレ, 展覧会

当館恒例企画のアーティストシリーズは、開館当初からおこなっている絵画(平面作品)の公募展「はるひ絵画トリエンナーレ」の受賞者のなかから選抜してご紹介する展覧会です。

新しい審査体制となった第9回はるひトリエンナーレで大賞を受賞した田岡菜甫さんの個展を開催中です。

大賞受賞作《遠吠え》

田岡さんの作品を予備知識なしで見たとき、「なんだかよくわからないけどなんか変??」みたいな感想を抱く人が多いのではないかと思います。

描かれているものはなんとなくわかるけど、どうやって描いているのか、画面上で何をしているのかがとらえがたいというか、ノイズが入った途切れ途切れの音声のような、捕まえられそうで捕まえられないもどかしさを感じます。

田岡さんの関心は、オリジナリティの追求にあります。

芸術作品である以上それは当たり前といえば当たり前のことなのですが、田岡さんの場合は制作の過程がおもしろい。

例えば、

・実物を見て描いた絵と、描いた絵を見ながらそっくりそのまま写した絵を並べる

・両手で同じ題材を同時に描く

・キャンバスの四辺から異なる題材を描く

・自由に手を動かして引いた線を避けながら、別の絵を重ねて描く

・モノの輪郭線の一部を写し取り、脈絡なく別の部分のラインを繋ぎ合わせていく

・見たことのないものを想像で描く

等々、作品ごとにいろいろなことをおこなっているのですが、すべて描くうえでストレスとなるような行為であることがポイントです。

自分の好きなものを描いたり、思い通りに描くことをせずに、あえて「やりにくい」状態で描くことで、オリジナリティ(制御されてもなお発生してくるもの、癖や無意識の領域にあるようなもの)をあぶり出していく、という手法で制作しています。

田岡さんは、完成した一枚のキャンバスではなく、描く前の画材選びから展示空間にすべての作品を配置するところまでを含んで一つの作品ととらえています。

綿密に練られた展示構成のなかでは、見上げるような高さにある作品や、床に平置きされている作品、壁に立てかけられているだけの作品も。

また絵に描かれた題材の実物や造花などのモノも重要な役割を果たしています。

そういう、「なんか変」な展示のなかで、私たちは否応なく作品とモノを見比べたり、見る角度を変えてみたり、「なんでこれがこんなところにあるんだろう?」とか、「隣同士にあるこの作品たちはこういうところが共通しているな」とか、単純に「なんか変な組み合わせだな~」とか、翻弄されたりヒントを得たりしながら鑑賞していくことになります。

(謎の提灯!)

「全く同じ家」という展覧会タイトルには、コピーやトレース、シンクロといったイメージが含まれていますが、展示の内容と合わせて想像を膨らませていただければと思います。

かめばかむほどおもしろい“スルメ作品”ですので、ぜひ会場にて空間全体をじっくり鑑賞してみてください。

 

【開催中の展覧会】

清須市はるひ絵画トリエンナーレ アーティストシリーズVol.88 田岡菜甫展「全く同じ家」

会期:2019年月1月16日(水)~2月8日(金)

開館時間:10:00~19:00(入館は18:30まで)

休館日:月曜日(ただし祝日の場合は開館、翌火曜日が休館)

観覧料:一般200円 中学生以下無料

 

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24. 1月 2019 · アートサポーター活動「名古屋市営地下鉄壁画めぐり」 はコメントを受け付けていません。 · Categories: 教育普及

今年度もさまざまな活動をおこなっているアートサポーター。

「みんなでどこかにお出かけしたい!」というご要望もあり、プチトリップを企画しました。

サポーターのみなさんは美術館にはよく足を運んでいるので、「美術館・博物館以外の隠れ(?)アートスポット」をお題に、12月の回にみんなで行先を話し合いました。

いろいろ出ましたが、最終的に「地下鉄アート」に決定!

「地下鉄アート」とは、ここでは名古屋市営地下鉄の壁画を指しています。※地下鉄アートという固有名詞が付いているわけではありません。

名古屋市内に住む学芸員Oが、通勤途中に出会う壁画を見ながらなんとなく気になっていたのがきっかけで、候補に推してみました(最終的に私の個人的な趣味にお付き合いいただいた感じに。ありがとうございます!m(__)m)。

名古屋近辺にお住まいの方なら必ず利用するであろう、名古屋市営地下鉄。公共建築によくある壁画が、ここにも設置されているのですが、なかなか面白いのです。

言い出しっぺなので、下調べをして旅のしおりも作ってしまいました。

調べてみると、6路線ある地下鉄のうち、後発の新しい路線である桜通線(1989年開通)に、計画的に壁画が設置されたことがわかりました。

今回は時間が限られていたので、桜通線のうちの7駅をピックアップしてめぐることにしました。

名古屋駅:高松次郎《イメージスペース・名古屋駅の人々》

ハイ・レッド・センターで有名な高松次郎の「影」シリーズがこんなところに。

吹上駅:ウィリアム・マクエルチュラン《“PLEASE DO NOT RUN”》

等身大の金属彫刻が大迫力です。

「そんなに早く走らないで。人生で最も美しいものを見失ってしまうから。」という言葉が添えられています。

 

桜山駅:《桜山物語》

桜が舞い散る金屏風と、その隙間から市電が走る昔の桜山のモノクロ風景がだまし絵のように描かれています。かなりクオリティの高い作品だと思うのですが、作者は不明です。

野並駅:川村秀樹《WHITE CONCEPTION》

セラミックデザイナーが手がけた、ボーンチャイナという高級磁器製の壁面装飾です。野並駅近くに本社がある鳴海製陶が寄贈しています。すべすべした特殊施釉が心地よい。

ところどころにスリットや突起があり、平面に表情を生んでいます。

・・・

このほかに、桜本町駅、御器所駅、車道駅を回りました。

サポーターは清須在住・在勤の方々なので、もともと桜通線を利用することは少ないようですが、「地下鉄にこんな見どころがあったなんて!」と興味津々に鑑賞していました。

なぜ桜通線にまとまって壁画が設置されたのか、他の路線にはどのような作品があるのか、作者がわからない作品などについて、詳しく調べることはできませんでしたが、劣化・損傷が激しい作品や、目に留める人がほとんどいない様子を見ると、これから顧みられることはないのかもしれないなと残念な気持ちにもなりました。

 

普段素通りしているようなところにも、アートがあったりします。

それに気づいたときはちょっとうれしくなりますし、日常の視点がちょっと変わるかもしれません。

 

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