23. 11月 2013 · 第14回館長アートトーク はコメントを受け付けていません · Categories: 教育普及

 

今回の館長トークは、「横山大観、大観の富士と富士への道」がテーマでした。

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皆さんは、有名な日本画家というと、まず、誰を思い浮かべますか

今回のテーマでもある「大観」ではないでしょうか。

その有名な大観が描いた富士は、会社経営者の方とくに男性にとりわけ人気があるそうです。

 

ではなぜ、大観の富士は有名で人気があるのでしょうか。

 

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例えば、館長は「立派」という言葉をひとつの手がかりとしてお話しました。

富士が持つ荘厳さや日本の象徴といった一般的なイメージと、

日本画家として世間に認められた大観とが、

ある種のブランドを確立してきたため、これほどまでに高く評価されていると考えられます。

 

大観は、それまでの日本画で重要視された輪郭線を排除した

面で捉える没骨描法という新しい表現を打ち立てます。

今では、日本画の近代化を起こした革新的な表現とされていますが、

当時は、「朦朧体」と揶揄され、世間には認められませんでした。

そんな最中、代表作の《屈原》がうまれます。もちろん当時は悪評に晒されましたが、

大観が《屈原》に自身を重ねて、自分を認めない世の中に問いかけているようです。

 

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このあたりは特に館長の解説にも熱がこもります。

 

こうした苦難の時代を 乗り越えて、「大観の富士」というスタイルを確立してゆきます。

商業化の波が押し寄せる時代背景も相まって、誰もが抱く富士の神々しさと大観の没骨描法(朦朧体)は、

まさしく富士が日本の象徴であるように、大観もまた日本を代表する画家として世間一般に広く認められたのです。

なるほど、経営者の方や男性が「大観の富士」を好む理由がわかりますね~

 

 

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大観の生きた時代を詳しく知りたい方にお勧めなのが、映画「天心」です。

明治初期、廃仏毀釈によって、仏像が壊されるという惨事が起こり、

天心はフェノロサと共に日本美術の保護に心血を注ぎます。

一方で、大観や春草ら若き日本画家とともに新しい表現を生み出そうとする

葛藤と師弟愛の物語だそうです。

 

11/23よりロードーショーですので、ご興味のある方は是非、映画館へ足をお運びください

 

 

 

 

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