11. 6月 2016 · 第45回館長アートトーク はコメントを受け付けていません。 · Categories: 教育普及

2016年6月11日(土)

 

高北幸矢館長アートトークはここ最近、目に見えてお客様が増えてきました。

大変嬉しいことです。館長も、準備とトークにますます力が入ります。

 

今日のテーマは「印象派オーギュスト・ルノワール、薔薇色の絵画」。

偶然かどうか、館長のシャツも薄い薔薇色でした。

 

ルノワールはフランス中部リモージュの町に、仕立て屋の父とお針子の母のもとに生まれます。

3歳でパリに移り、画業のはじめには、磁器の絵付け職人として働きました。

ちょうど、東海地方の名だたる画家たちが、若き日にノリタケで絵付けをしていた例がたくさんあるのと同じですね。

 

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↑ これは、ルノワールが絵付けした壺。よく残っていたものです。

その後、機械化の波で職人仕事がなくなり、美術学校や画塾に通って画家となります。

ただ、職人としての経験は、印象派の画家のなかでも穏健なルノワールの画業に影響していると考えられています。

 

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↑ こちらは印象派の画家アルフレッド・シスレー夫妻の肖像。

人物画に定評があるルノワールですが、とりわけ人生の喜びに満ち溢れた、幸せそうな人々を描くのが得意でした。

温厚で画家仲間に慕われたらしく、睡蓮を描いたことで名高いクロード・モネともイーゼルを並べて

パリ郊外アルジャントゥイユで余暇を過ごす人々を描いていたりもします。

 

 

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↑ 現在国立新美術館で開催中の「ルノワール展」にも出品されている名作《ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会》。

当時パリっ子たちの間で流行っていたダンスホールでのひとこまを描いたものです。

着飾った人々が屋外で楽しげに過ごす様子を、すばやいタッチでとらえています。

実は、この同じ場所を描いたゴッホの作品が残っていますが、建物の外観を描いたやや寂しげな作品です。

余暇の喜びを画面にみなぎらせたルノワールとは対照的。

 

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また、同じこの場所を描いたロートレックの作品もあります。

こちらは、都会の疲れが出たような、退廃的な雰囲気。

こうして比較して見てみると、ルノワールが何を重視して描いたのかが分かります。

 

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↑ これはルノワール(左)とセザンヌ(右)が描いた、南仏のサント=ヴィクトワール山。

二人は家族ぐるみで仲良くしており、互いの家を訪ねて交流し、作風も影響しあいました。

けれど、目指すものはそれぞれ違います。ルノワールは純粋に風景を美しく描くことに重きを置き、

セザンヌは画面をいかに構築するかという造形的な関心が強かったことがうかがえます。

 

 

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今回の館長アートトークは、モネやゴッホ、セザンヌといった画家たちとの比較を通して、ルノワールの個性を際立たせるものでした。

ルノワールがこれほどまでに日本人に親しまれ、愛される理由は、何よりも画面に人々の幸せを捉えようとしたことにあるでしょう。

幸せそうな家族の肖像、友人と集いおしゃべりやレジャーを楽しむ人々の姿は、

100年を経てなお生の煌めきを放ち、眺める私たちの心まで満たしてくれるのです。

 

 

次回の館長アートトークについてはこちらをご覧ください。

 

 

 

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会   期:2016年4月23日(土)~6月14日(火)

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休 館 日:月曜日

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