クレパスは「ももいろ」だった。なぜ「ももいろ」は使われなくなったんだろう。英語が氾濫したということもある。しかし、青い、赤い、黒い、白いなど形容詞になる基本の色は、英語化の頻度は低い。多くの色の中で、「ももいろ」の発音は重くて籠る。「ピンク」は弾ける発音で、耳障りが良い。かわいい色のNo.1とピンクの発音のかわいさが、ピッタリきている。
一方で、桃色は桃の花の色(桜色も桜の花の色)というように、具体的な色を表している。ピンクは赤と白の間の幅広い色として呼ぶことができるので、とても使い勝手が良い。幅広いピンクのイメージを限定するためには、コーラル(珊瑚)ピンク、サーモン(鮭)ピンク、チェリー(桜)ピンク、そのほかベビーピンク、ショッキングピンク、ダスティ(濁った)ピンクがある。
残念ながら、日本色名に幅広いピンクに該当するものがない。
(絵:サノエミコ)