私たちは、視覚的な体験をどのようなかたちで心にとどめているのでしょうか。
見るという行為は、実はとてもあいまいです。人はある光景や物体をクリアに捉えているようでいながら、実際にはぼんやりと知覚しているにすぎません。こまごました周辺の情報は捨象してしまっています。そうした不確かな視覚の痕跡が「残像」として残り、個人的な記憶を形成していきます。
ここでは、当館の収蔵作品の中から「残像」を思わせる作品を9点集めました。どこか頼りなく、はかなげなイメージ。虚と実を往還し、夢とも現(うつつ)ともつかぬ一瞬の印象を形象化したものです。
しかしこうした捉えどころのない「残像」も、体験した者にとっては真実に違いありません。身体というフィルターを通して得られた確かな手応えなのです。
作家を通して現れた「残像」は、みなさんを新たな視覚体験へと誘(いざな)うでしょう。
会 期 | 2014年12月7日(日)~2月14日(土) |
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開館時間 | 10:00~19:00 (入館は18:30まで) |
休館日 | 月曜日(祝日の場合は翌火曜日) 12月28日(日)~1月5日(月)、1月25日(日)~26日(月) |
観覧料 | 一般:200円 中学生以下、各種障害者手帳提示者及び付添人1名無料 |
柳澤裕貴《まどろむ時間の中で-記憶》2007年
今林明子《残像・光・影》2008年
No. | 作家名 | タイトル | 制作年 | 技法・材質 | サイズ(cm) |
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1 | 柳澤裕貴 | きらめく時間で-絆 | 2005 | アクリル、パネル | 72.7×91.0 |
2 | 柳澤裕貴 | まどろむ時間の中で-記憶 | 2007 | アクリル、パネル | 72.7×72.7 |
3 | 奥田文子 | Untitled | 2005 | 油彩、キャンバス | 116.9×91.0 |
4 | 奥田文子 | Untitled | 2004 | 油彩、キャンバス | 116.9×116.9 |
5 | 森本幸恵 | WATER III | 2005 | 油彩、キャンバス | 116.9×91.0 |
6 | 山田純嗣 | (03-1) ROAD | 2003 | エッチング、パネル、印画紙、 ゼラチンシルバープリント |
100.0×150.0 |
7 | 今林明子 | 残像・光・影 | 2008 | 油彩、キャンバス | 45.5×92.0 |
8 | 森川美紀 | Untitled | 2003 | 水彩、紙 | 53.8×53.8 |
9 | 森川美紀 | Janakpur | 2002 | 油彩、綿布 | 91.0×91.0 |