2013年8月21日(水)
今年度受け入れている博物館実習生は5人。
いつもは美術館で展覧会の実務に関わりながら、現場の仕事を体験していますが、
今日は清須市春日公民館に出かけ、市の歴史民俗資料を扱っている小出さんにお話をうかがいました。
学芸員と一口に言っても、歴史系、美術系、生物系など専門は多岐にわたります。
今日はその歴史系のお仕事について学んでもらおうという回です。
はじめに、歴史民俗資料のなかでも、古文書の扱いについてお話がありました。
1点ずつハケで掃除をして、台帳のもととなる調査カードに資料名、年代、形態などを記入して整理しています。
例えばどんな文書資料があるか、ということで、
実際に保存してある大日本帝国発行の証券などを見せてくれました
めずらしい資料に、実習生も真剣なまなざし。
そうした文書は、丁寧に1点ずつ資料の情報を手書きした封筒に入れて、保管しています。
この封筒や封筒の束を入れるダンボールは、長期間の保存に適した「中性紙」でできたもの。
特注品です。
それから、展示解説パネルを作成するときに気をつける点を聞いたり、
文書資料の複写、記録台帳なども見学。
次に、出土した史料の保管場所へ。
清須市は、弥生時代に全国屈指の大きな集落がつくられ、1,000人ほどの人々が住んでいました。
また、戦国時代、信長が清須城を拠点にしていたことでも知られます。
そうした歴史の厚みがあり、発掘調査によって得られたたくさんの史料は、
1点ずつビニール袋に小分けして、出土場所によってきちんと分類されています。
清須城で使われた、金箔を貼った瓦も!
これは、信長の息子、信雄の代に、安土城に倣って作られたそう。
キラキラと光って、さぞ豪華だったことでしょうね~。
棚にずらりと並んでいるのは民具。
生活用具や農機具など、市内で使われていたものが歴史の証人として集められています。
最後に清須市歴史資料展示室へ。
ここは、清須市立図書館の一角にある、オープンしてまだ1年の新しいスペース。
現在、企画展「戦争中の暮し ―銃後の清須の女性と子どもたち―」を開催中(9/29まで)です。
特別に、ガラス展示ケースを開けて見せてくれました。
実習生はおじいちゃん・おばあちゃん世代の暮しを、「モノ」を通して身近に感じてくれたことと思います。
歴史資料を扱うのも、美術作品を扱うのも、
基本的には「モノ」に語ってもらう、というスタンスは同じです。
「モノ」をじっくり観察して、調査結果を展示という場でどのような文脈で見せるか、
それが学芸員の仕事だということを感じ取ってもらえたのではないでしょうか。
【開催中の展覧会】
会 期:2013年7月6日(土)~9月29日(日)
開館時間:10:00~19:00 (入館は18:30まで)
休 館 日:月曜日(ただし祝日の場合は開館、翌火曜日が休館)