19. 3月 2016 · 第47回館長アートトーク はコメントを受け付けていません · Categories: 教育普及

2016年3月19日(土)

 

本日の高北幸矢館長アートトークのテーマは、「遠くを見る瞳、彫刻家舟越桂の精神世界。」

現在、三重県美術館で企画展「舟越桂 私の中のスフィンクス」(4/10まで)が

開催されているのに合わせたものです。

すでにご覧になった方もいらっしゃると思いますが、

「遠くを見る瞳」をもつ作品の世界観を損なわないよう、作品と作品のあいだに空間をたっぷり確保してあるので、

舟越ワールドにひたれる素敵な展示空間になっています。

 

三重県美術館←三重県美術館

三重県美術館 舟越桂展は→こちら

 

さて、舟越桂への注目度が高まっていることもあってか、いつにも増して大勢の方が集まってくださいました。

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舟越桂は、1951年、彫刻家である舟越保武を父として生まれます。

彩色をした上半身の木彫で広く知られ、小説の表紙などにもたびたび採用されています。

黒、灰、青といった落ち着いた色調が使われ、どこか瞑想的で静寂な雰囲気。

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この雰囲気は何に由来するのでしょうか。

特徴はその表情です。

大理石がはめ込まれた瞳はわずかに外向きにずらしてあることが多く、

わたしたちが像の前に立って見ても、視線が合いません。どこか遠くを見ているよう。

この、遠くを見やり物思いにふけるような表情の人物は、

文学的で暗示的なタイトルとあいまって、作品の詩情をいっそう高めています。

 

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男性、女性という性別を超えて、中性的な魅力を放つ作品も。

最近では、両性具有の人体にも取り組んでいます。

 

今回、館長は「異形の人」というテーマから、ここ三十年ほどの舟越作品の変遷を紹介しました。

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肩が盛り上がり、山のような景色を生み出している人物。

頭から角や人工物が突き出ている人物。

背中から手が生えている人物。

胴体を共有するふたりの人物。

 

これらは、通常の状態から逸脱した「異形(いぎょう)」です。

作品から伝わってくるのは、その異形の者たちを蔑視し排除するのではなく、

人間を深く理解しようとする、人間愛のまなざし。

舟越桂はこう言っています。「個人はみな絶滅危惧種という存在」だと。

 

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「異形」というテーマは、見る人の心を強烈にとらえる魅力をもっています。

そして、アートだからこそ取り組めるものです。

常に標準的であり明瞭を旨とするデザインではとても扱えない。

 

今回の館長アートトークは、舟越桂の作品の魅力に迫るだけでなく、

デザインとの比較を通してアートの特性にも迫る内容でした。

 

舟越作品は慎重に「異形」の度合いを増し、

近年ついに、「スフィンクス」のシリーズを生み出すに至りました。

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首や耳など、これまで以上にデフォルメ(変形)を加えられたその生き物の威容は、

大いなる自然を内包し、人間の力を超えた、超越的な存在に見えます。

 

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スフィンクスは、わたしたちに人間存在とは何かを問いかける怪物。

私自身も三重県美術館の展示を拝見しましたが、

屹立するスフィンクスの前に立つと、人間は一体どこへ向おうとしているのか?と

問いを投げかけられているように感じました。

 

次回の館長アートトークは4月30日(土)16:00~

「造形を着る、三宅一生のファッションスピリット」

2016年度上半期のスケジュールはこちらをご確認ください。

 

【開催中の展覧会】 貸ギャラリー展示

■高橋遊写真展「み仏」

会   期:2016年3月15日(火)~3月21日(月・祝)

開館時間:10:00~19:00(最終日16:00まで)

 ■こどもデザイン室展2016

会   期:2016年3月16日(水)~3月21日(月・祝)

開館時間:10:00~19:00(最終日17:00まで)

 

16. 3月 2016 · 作品撮影作業 はコメントを受け付けていません · Categories: その他

2016年3月16日(水)

 

美術館は絵を見るところ、ではありますが、お客様の目には触れない裏方仕事がたくさんあります。

今日は3月初めの休館日中におこなった作品の写真撮影作業について、少しご紹介します

 

美術館にはたくさんの作品が所蔵されていますが、それらを管理するうえで写真データは必要不可欠です。

いろいろな用途がありますが、言ってみれば作品の「証明写真」のようなものですね

データベースで作品情報を整理するときはもちろん、展示プランを考えるときや広報活動などでも使用します。

レンズの歪みや色ムラ、光の反射が出ないようにする技術が必要になるので、美術作品の撮影経験が豊富なプロのカメラマンさんにお願いしました

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撮影スタジオがある美術館もありますが、当館にはないので展示室でおこないました。

(必然的に、展覧会撤収直後か搬入直前の休館中しかできない作業です・・・

エコパリ展撤収後、何もなくなったがらんとした展示室に、撮影対象の作品をずらっとスタンバイ。

撮影スペースに作品を1点ずつ運んで、撮り終えたら次の作品と交代

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大きな作品はとくに工夫が必要です。

照明の角度やカメラの高さなど、微調整しながら撮影します

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表面がガラスやアクリル板で保護されているものはストロボの光が反射してしまうので、額から取り出します。

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作品の下に敷いてある黒い布も、反射を防ぐためのもの。白い台や布の上に置くと、作品画面そのものの写り方に影響してしまいます

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見にくいですが、作品の上にある細長い2つのカードはカラーチャートこれと一緒に撮影することで、デジタル画像になっても実作品に忠実に色補正ができます

 

普通の写真撮影に比べて少し特殊なテクニックが必要な作品撮影ですが、さすがプロの力あっという間に約50点の撮影が終了しました

 

休館中の作業も無事終えて、現在は貸ギャラリーの展示中

学芸員は4月末からの企画展に向けて、絶賛準備中です

 

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3月も半ば。春が近づいております。早咲きの河津桜が満開です

 

【開催中の展覧会】

貸ギャラリー展示

■高橋遊写真展「み仏」

会   期:2016年3月15日(火)~3月21日(月・祝)

開館時間:10:00~19:00(最終日16:00まで)

 ■こどもデザイン室展2016

会   期:2016年3月16日(水)~3月21日(月・祝)

開館時間:10:00~19:00(最終日17:00まで)

 

 

 

 

 

20. 2月 2016 · 第41回館長アートトーク:マリー・ローランサン、華やかなマドンナ画家。 はコメントを受け付けていません · Categories: 展覧会, 教育普及

2016年2月20日(土)

 

前回に引き続き、今回もエコパリ展に関連した作家がテーマです。

マリー・ローランサンはエコール・ド・パリの芸術家のひとりで、パリ生まれの女性画家

やわらかく丸みをおびた身体にパステルカラーのドレスをまとい、どこか物憂げな表情を浮かべた女性像などで人気を集めています。

現在、碧南市藤井達吉現代美術館でも展覧会が開催されていますね!

(美術館サイト→マリー・ローランサン 愛と色彩のシンフォニー

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ここ最近で最多の参加者です!ローランサン人気、おそるべし

 

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ローランサンはお針子の母に育てられ、名門女学校にも通いますが、画家として生きる道を諦めきれず、母の反対を押し切って前衛芸術の世界に足を踏み入れます

モンマルトルの共同アトリエ「バトー・ラヴォワール(洗濯船)」で交流したのは、ジョルジュ・ブラックやピカソなどキュビストたちでした。

詩人のギヨーム・アポリネールとも出会い、恋人関係に。ローランサンの画業に大きな影響を与えます

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あえて形を単純化・平面化して、稚拙にも思えるような画面に仕上げるのは、素朴派アンリ・ルソーからの影響です。

伝統的な写実絵画からは程遠い表現技法は、当時の前衛芸術家たちの目には新しく魅力的なものとして映ったようです

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やがて作品にはキュビスム的な要素が入り込んできます。が、その難解な理論には興味を示さず、自分らしい表現をつくりあげるうえでの一要素として、表面的に摂取していたといえます

存在感のある建物の輪郭線が画面を分割しながらも、グレーやピンクの淡くくすんだ色調はローランサンらしいやわらかさを感じさせます。

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第一次大戦後に、現代の私たちがイメージする「ローランサンらしい」画風が確立されます。

細く幾何学的だった人物の身体はふっくらと肉感を持ち、黒く鋭い輪郭線は消え、パステルカラーの色面で画面が構成されているのがわかります。

灰色を基調としながらも、ピンクや水色などの割合が増してより明るく華やか、フェミニンな印象に

当時の上流階級のご婦人方はこぞってローランサンに肖像画を注文したのだとか

まさに、女性による、女性のための、女性らしい作品として受け入れられていたのでしょう

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今回は館長独自の視点として、東山魁夷や東郷青児も取り上げられました。

東山魁夷が描いた白馬シリーズや、東郷青児が描いた物憂げな少女は、どことなくローランサンの作品を思わせる独特の美しさによってファンを得ています。

直接的な影響関係というよりは、多くの人々が理屈抜きで「なんだかいいな」「部屋に飾りたいな」と思うような作品の「愛されポイント」のひとつとして、「ローランサン風」という特徴が共通しているということなのかもしれません。

 

変遷の過程がなかなか面白いマリー・ローランサンの作品。エコパリ展では初期と晩年の二作品を展示しています

同じ作家の作品の画風の違いなどもぜひ比較してみてください

 

【開催中】

北海道立近代美術館・札幌芸術の森美術館コレクションによる

エコール・ド・パリ -パリに咲いた異邦人の夢-

会   期:2016年1月9日(土)~2月28日(日)

開館時間:10:00~19:00 (入館は18:30まで)

休 館 日:月曜日

観 覧 料:一般700円、中学生以下無料

 

 

14. 2月 2016 · 染め花でつくるバラのコサージュ はコメントを受け付けていません · Categories: 展覧会, 教育普及

2016年2月14日(日)

 

次々と開催しております、エコパリ展のイベント。

今回はワークショップ「染め花でつくるバラのコサージュ」です。

講師は「染め花horry」の矢野仁代さんです。

イベントを企画するにあたり、展覧会に合ったワークショップを何かできないだろうか~と思い悩んでいたところ、矢野さんの染め花作品を見つけ、これだとひらめきました。

矢野さんはいろいろな染め花作品を制作されていますが、儚げな造形や美しくくすんだ色合いがどこかエコール・ド・パリの作品と通じるところがあって、とても魅力的です

身に着けられるコサージュは、形に残る展覧会の思い出にもなるのではと思い、講師をお願いするに至りました

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染め花というのは、染料で染めた布でつくった植物のこと(つまり、造花です)

本来は布を染める段階から作業が始まりますが、今回は手軽なワークショップということで、矢野さんが1人ずつにキットを準備してきてくださいました。

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何種類かの花びら、がく、葉、飾りのリボンなどのパーツを組み立てていきます

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まずは芯に最初の花びらのかたまりを貼り付けて、つぼみのようなバラの核を作ります。

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次に大輪に咲く花びらのニュアンス付け。5~6枚重なっている花びらの端にボンドを少しつけて、すぐに手のひらでこすり合わせて、あえて「しわ」や「めくれ」を付けます。

そのままでもきれいな花びらですが、この一手間を加えることで華やかさが全然違ってくるんですね

みなさん「ここまでやっていいの…?」とおそるおそるこすっていましたが、思い切ってゴシゴシとしたほうが全体的にきれいなバランスになるようです。

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大きさが少しずつ異なる花びらの束にボリュームが出ました

重なっている花びらはそれぞれ生地の素材も違っていて、それらを組み合わせることで独特の味わいが生まれるんだとか。

すこしだけ濃いピンク色に染められた部分がポイントになっています

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だんだんと花の形が見えてきて・・・

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茎や葉、がく、リボン、ブローチピンも取り付けて、完成です!

手作りとは思えないクオリティ、みなさんすばらしいです一番外側の花びらの位置やしわの付け方などでそれぞれの個性が出ます。色は白とピンクから選んでいただきましたが、どちらも素敵に仕上がりました

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落ち着いた色とデザインなので、どんなお洋服にも合いやすそうです

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10人という少人数制のワークショップで、それぞれのテーブルではわきあいあいと会話も弾ませながら作業を進めている様子がみられました

1時間半ほどで作り上げたコサージュたち、美術館の思い出になれば幸いです

 

【開催中】

北海道立近代美術館・札幌芸術の森美術館コレクションによる

エコール・ド・パリ -パリに咲いた異邦人の夢-

会   期:2016年1月9日(土)~2月28日(日)

開館時間:10:00~19:00 (入館は18:30まで)

休 館 日:月曜日

観 覧 料:一般700円、中学生以下無料

 

 

 

 

 

 

07. 2月 2016 · バイオリン・コンサート はコメントを受け付けていません · Categories: 展覧会, 教育普及

2016年2月7日(日)

 

今日は名古屋出身のバイオリニスト、中川香さんと松本一策さんをお招きして、エコパリ展関連イベントとして「バイオリン・コンサート」を開催しました

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中川さんは武蔵野音楽大学音楽学部器楽学科を首席で卒業。現在はセントラル愛知交響楽団団員としてご活躍されています。

松本さんは信州大学理学部物理科学科を卒業後、愛知県立芸術大学へ進学。卒業後は自主企画のコンサートをはじめ、レッスン、依頼演奏やアマチュアオーケストラの指導など、後進の育成にも力を入れています。

今回はエコール・ド・パリ展にちなんで、同時代の音楽家やフランスの映画音楽などを中心に、全部で10曲(+アンコール1曲)演奏していただきました

1. ジュ・トゥ・ヴ (サティ)
2. シェルブールの雨傘 (ルグラン)
3. Where is your heart (オーリック)
4. 2台のヴァイオリンのためのソナチネ (オネゲル)
5. 亡き王女のためのパヴァーヌ (ラヴェル)
6. ハバネラ (ビゼー)
7. 月の光 (ドビュッシー)
8. 愛の賛歌 (モノー)
9. 私の心はヴァイオリン (ラパルスリー)
10. ツィガーヌ (ラヴェル)

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先着50名のイベントでしたが、立ち見も出るほど大勢のお客様にお越しいただきました

エコパリの芸術家たちが生きた時代、同じくパリで活動していた音楽家としてよく知られているのはエリック・サティやモーリス・ラヴェル。

少し上の世代にはクロード・ドビュッシーなどがいます。

オネゲル、オーリックは「フランス6人組」と呼ばれる作曲家集団のなかの2人で、彼らはモンパルナスの画家のアトリエで、美術と音楽のコラボレーション企画などもおこなっていたそうです

諸芸術が花開いた20世紀初頭のパリにおいて、絵画や彫刻だけでなく、音楽の世界にも新しい波がもたらされたことがうかがえますし、彼らがアトリエやカフェなどで芸術談義を交わしていたのだろうか・・・と妄想が膨らみます

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ご夫婦でもあるお二人。息ぴったりの演奏で、会場がパリの空気に包まれました

聞きなれた美しい旋律のメロディーもあれば、20世紀らしい個性的な調性の音楽もあり、エコパリ展の雰囲気をより深く味わっていただけるようなラインナップでした

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とくに、超絶技巧を要するラヴェルの「ツィガーヌ」は圧巻の一言!弾き終わるとみなさんの感嘆のため息が洩れました

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音楽家や曲のエピソード、練習の裏話などのトークも交えながらの楽しい1時間となりました

展覧会と合わせて、余韻に浸りながらお帰りいただけたのではないでしょうか?

 

残すところ会期もあと20日ほど。

まだ・・・という方も、もう一度!という方も、ぜひぜひお越しくださいませ。

 

【開催中】

北海道立近代美術館・札幌芸術の森美術館コレクションによる

エコール・ド・パリ -パリに咲いた異邦人の夢-

会   期:2016年1月9日(土)~2月28日(日)

開館時間:10:00~19:00 (入館は18:30まで)

休 館 日:月曜日

観 覧 料:一般700円、中学生以下無料

 

 

 

 

 

 

 

31. 1月 2016 · 「まるでパリじゃん!」 はコメントを受け付けていません · Categories: 展覧会, 教育普及

2016年1月30日(土)、31日(日)

 

エコパリ展のビッグイベント、「まるでパリじゃん!」が1月30日(土)、31日(日)の2日間をかけて開催されました

グラフィックデザイン、アートディレクション、イベント企画など幅広く活動するユニット、holidayの堀出隼さんによる似顔絵イベントです

堀出さんはいわゆる「似顔絵師」ではなく、さまざまな活動の内の一つとして、出会った人たちの似顔絵をその場で描く似顔絵イベントを各地でおこなっています。

(※holidayについてはこちら→http://we-are-holiday.com/

今回はエコール・ド・パリ展の内容に合わせ、モンマルトルやモンパルナスの街角にいるような似顔絵画家をヒントに、お客様がまるでパリの下町にいるかのような気分を少しでも味わっていただきたく、堀出隼もといCROQUIS MONSIEUR(クロッキームッシュ)として似顔絵を描きまくっていただきました!

ちなみに「まるでパリじゃん!」というタイトルも堀出さんのアイデアです。(ダジャレになっているの、気がつきましたでしょうか?)

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似顔絵はムッシュが手にしているトリコロールのカードに描きます。油性ペンで一発勝負。一人当たり5分ほどで完成させます。

(手前のカンヴァスはディスプレイですが、ムッシュの息子さんが2歳のときに描いた作品とのこと。)

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開館直後からたくさんの方にご来場いただき、瞬く間に予約でいっぱいに・・・

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お一人の方もいれば、カップルやご家族も。なかには「1枚は一人で描いてもらって、2枚目は家族と!」というお客様もいました

性別も年齢層もさまざまで、「美術館で似顔絵」という企画に興味津々。

しかしいざ始まるとけっこう緊張するもので・・・ スタッフも合間に描いてもらったのですが、誰かにずっと見つめられたり、5分間とはいえ目の前の人と言葉を交わさずじっと目を合わせたりというのは思っていたよりもどぎまぎしてしまうことがわかりました。これもひとつのコミュニケーションですね。

 

恥ずかしがりながらもモデルを努めたみなさん。

完成した似顔絵を目にすると思わず歓声と笑顔が!

とても特徴をとらえていて、名前もかっこよくデザインされています

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終日予約は途切れることなく、最終的に2日間で約80人の方に参加していただきました

展覧会を見たついでに寄っていかれた方、イベントを目当てに来られた方、みなさんがとても充実した表情で館をあとにされるのを見て、スタッフも大変嬉しかったです

エコール・ド・パリ展をちょっと異なる視点から楽しんでいただけたのではないでしょうか。

 

描き続けて腱鞘炎になってしまったムッシュも、「楽しかった!」と言いながら帰っていきました。

参加していただいたみなさま、堀出さん、本当にありがとうございました!

 

次のイベントは2月7日(日)14:00~のバイオリン・コンサートです。

名古屋出身のバイオリニスト、中川香さんと松本一策さんによるデュオをお楽しみいただけます。

★料金無料(要観覧料)

★先着50名(当日13:30から整理券配布)

 

 

【開催中】

北海道立近代美術館・札幌芸術の森美術館コレクションによる

エコール・ド・パリ -パリに咲いた異邦人の夢-

会   期:2016年1月9日(土)~2月28日(日)

開館時間:10:00~19:00 (入館は18:30まで)

休 館 日:月曜日

観 覧 料:一般700円、中学生以下無料

 

 

 

 

 

 

 

23. 1月 2016 · 第40回館長アートトーク:エコール・ド・パリ 藤田嗣治、困窮からパリの寵児へ はコメントを受け付けていません · Categories: 展覧会, 教育普及

2016年1月23日(土)

 

2016年最初の館長アートトークのテーマは「藤田嗣治」。

現在当館で開催中の「エコール・ド・パリ -パリに咲いた異邦人の夢-」展に作品が展示されている作家の一人です。

展覧会と合わせてご来場いただいた方が多かったようで、いつもより密集度高めです

藤田嗣治の人気の高さもうかがえますね

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エコール・ド・パリのなかでもとくにその名が知られる藤田嗣治。

東京美術学校(現在の東京藝術大学)卒業後、1913年に渡仏。

ピカソやモディリアーニなど当時の前衛美術の最先端にいた芸術家たちと交流しながら独自の画風を築き上げ、1920年代にはフランス国内で高い評価を得るようになります。

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この独特の風貌、見覚えある方もいらっしゃるかもしれません。

おかっぱ頭に丸眼鏡、両耳にリングのピアスをつけて粋なスーツを着こなす藤田は、当時のパリでもかなり個性的だったようです

(上映中の映画「FOUJITA」ではオダギリジョーが藤田を演じていますが、完璧に再現されていますね・・・!)

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藤田をフランス語表記にすると FOUJITA になることから、頭の「FOU」をとって「FOUFOU(フーフー=お調子者)」という愛称でも親しまれていました。

奇抜な格好をしたり、ユーモラスな愛称をつくったりすることは、彼にとって自己表現のひとつであったと言えます。

モンマルトルやモンパルナスにヨーロッパ中から大勢の芸術家の卵たちが集まってきた1920年代。遠い東の異国からやってきた名もなき日本人画家が、芸術の都パリでいかにして生き抜いていくかということは、非常に重要な問題だったでしょう。芸術家としての技術はもちろん、自分を売り込むための自己プロデュース力も必要になってきます。藤田はその点で突出した才能を見せ、一躍パリの寵児になったのです

 

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彼の作品の代表的な特徴といえば、乳白色の肌の裸婦です。特殊なメディウムの配合でつくり出されたなめらかで艶やかな肌の色は唯一無二のもの。

藤田は終生、自らの表現技法について誰かに教えることはなかったのだとか(近年研究が進み、タルク(ベビーパウダーの材料)を使用していたことが指摘されています

またその乳白色を際立たせているのが、日本画で使用する面相筆と墨を使って描かれた繊細な輪郭線です。

浮世絵をはじめ日本の文化がフランスで流行していたことは有名ですが、藤田は日本人という自分のアイデンティティを強みにして、作品表現に生かしていた部分もあったのでしょう

 

その後、世界恐慌から第二次世界大戦へと続く激動の時代に入り、藤田は日本に帰国します。

フランスで確立したスタイルだけでなく、そのときの興味関心や描く対象によってさまざまな画風を見せていることから、藤田の類稀なる芸術センスと技量がうかがえます

 

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戦中は軍からの要請で、戦地の様子を伝えたり兵士たちや国民の戦意を高揚させたりするような「戦争画」を手がけています。

こういった作品に対して今なおさまざまな意見がありますが、当時の日本に生きる画家として戦争に向きあい、彼ができることをやった結果であるということは言えそうです。

 

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戦後、藤田をはじめとする戦争画家たちは戦犯として糾弾されることとなります。彼はそのような日本の美術界に見切りをつけ、再びフランスへ。フランス国籍を取得し、キリスト教に改宗して洗礼名「レオナール」を授かります。

晩年は教会建築にも携わり、フランス人「レオナール・フジタ」として生涯を終えました。

 

美しい女性や可愛らしい子どもの絵だけではない、藤田の多様な作品。

いまだ謎めいている部分も多く、魅力は尽きません

 

今回のエコパリ展では藤田作品を3点展示。

独自の画風を確立する以前の初期の作品と、最晩年の作品になります。

貴重なラインナップなので、ぜひこの機会をお見逃しなく

 

【開催中】

北海道立近代美術館・札幌芸術の森美術館コレクションによる

エコール・ド・パリ -パリに咲いた異邦人の夢-

会   期:2016年1月9日(土)~2月28日(日)

開館時間:10:00~19:00 (入館は18:30まで)

休 館 日:月曜日

観 覧 料:一般700円、中学生以下無料

 

 

 

20. 1月 2016 · 第8回清須アートラボ はコメントを受け付けていません · Categories: 教育普及

2016年1月20日(水)

 

清須市内在住在勤の方を対象に通年で開講している「清須アートラボ」。

今日は美術講座の西洋美術編②として、

「ルネサンスの幕開け ボッティチェリの《ヴィーナスの誕生》」と題してお話しました。

 

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《ヴィーナスの誕生》といえば、名画中の名画。

ルネサンス期に入って、ギリシア神話の女神ヴィーナスを等身大の裸体で表現した

初めての作例として名高い作品です。

 

改めてよく観察してみようということで、何が描かれているのか一つひとつ確認してみました。

描かれた人物は何人か、場所はどこか、天候はどうか、季節はいつか、構図はどうなっているか?

気づいたことを各自書き込んでいきます。

 

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まずはじっくり画面を見る。当たり前のようですが、これが絵画鑑賞の基本ですね。

 

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描かれている人物や構図を確認したところで、

次はその人物のしぐさや姿勢が、何を参考に描かれたのかを探っていきます。

 

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いかに高名なボッティチェリといえども、ゼロから全てを作り出すことはできません。

当時目にすることができた美術品などからアイデアをもらったはず。

親方ヴェロッキオの作品、パトロンだったメディチ家のコレクションのカメオ、

彼が暮らすフィレンツェの教会に描かれていた壁画、古代ギリシア・ローマの石像など、

いろんなものを着想源にして、描いたと言われています。

 

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当時、《ヴィーナスの誕生》の優雅で堂々とした女性のヌードは非常に革新的なものでした。

 

現代の私たちからすると、見慣れてしまっているものでも、

当時の人たちの目にはとても斬新に映ったり、不快なものだったり、

挑戦的なメッセージを放つものだったりということがよくあります。

 

それは、ボッティチェリ一人の作品を見ているだけでは分かりません。

同時期に活躍した画家や、ボッティチェリ以前の作品と比較することで、

彼の独自性や立ち位置が浮かび上がってくるのです。

 

また、ボッティチェリが生きた当時の社会情勢、宗教や思想、パトロンとの関係なども

作品の理解を大いに助けてくれます。

 

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それから、《ヴィーナスの誕生》の対作品と言われることも多いもうひとつの傑作《春》。

《春》は、ここに描かれた神々が一度に登場する文学的典拠がないために、

謎多き作品として、古来たくさんの研究者たちによって議論されてきました。

 

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ですが、注文主も制作年もはっきりせず、未だ結論は出ていません…。

いろんな解釈が可能な点も、多くの人をひきつけてやまない理由なのでしょう。

 

さまざまな先行作品や新しい思想を貪欲に吸収し、

歴史の大きなダイナミズムの中で、自らの才能を開花させ、

後世に残る名作を残したボッティチェリ。

 

今回は、1つの名画に見え隠れする、美術作品の図像の連鎖、

そして作者を取り巻く社会との関係に思いをはせる時間になったのではないでしょうか。

 

 

 

【開催中】

北海道立近代美術館・札幌芸術の森美術館コレクションによる

エコール・ド・パリ -パリに咲いた異邦人の夢-

会   期:2016年1月9日(土)~2月28日(日)

開館時間:10:00~19:00 (入館は18:30まで)

休 館 日:月曜日

観 覧 料:一般700円、中学生以下無料

17. 1月 2016 · エコール・ド・パリ -パリに咲いた異邦人の夢- はコメントを受け付けていません · Categories: 展覧会

2016年1月17日(日)

 

エコール・ド・パリとは。

1920~30年代のパリで活躍した芸術家たちの総称で、「パリ派」という意味です

文化の中心地のパリには、当時世界中から多くの芸術家たちが押し寄せていました。

彼らは異邦人として差別を受けたり貧困にあえいだりしながらも、前衛的な芸術に魅せられ、

それぞれ独自の個性を発展させていきます。

なかにはフランス人も含まれていますが、異邦人の芸術家たちと共同アトリエやカフェで交流し、

同じく新しい表現を追求していました

今回の展覧会では、パスキン、シャガール、ローランサン、ユトリロ、モディリアーニ、キスリング、ルオー、ヴラマンク、藤田嗣治・・・などなど総勢17人の画家・彫刻家の作品を展示しています。

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作品はすべて、北海道立近代美術館と札幌芸術の森美術館からお借りしています

なかでも北海道立近代美術館が誇る日本有数のパスキン・コレクションは必見です

 

解説パネルや展覧会図録、オリジナル紙袋にはそれぞれの作家の似顔絵イラストが(好評です!)

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個性的な面々と合わせて作品をお楽しみください

 

2階オープン展示室では、「ピンナップ・パリマップ!」と題したミニワークショップを常時実施しています

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大きなパリの地図に、おすすめスポットや思い出のエピソードなどを書き込んだマスキングテープやふせんをぺたぺた貼って、世界にひとつだけのパリマップをみんなでつくろう!という企画です

すでにけっこうマニアックな情報が集まっています。。!

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展覧会を見たあとに、ぜひお立ち寄りください

パリの異邦人気分を味わっていただければと思います

 

★そのほかにもイベントいろいろ。詳しくはこちらをご覧ください。

 

2月1日(月)に展示替をおこない、前後期合わせて67点を展示いたします。

半期しか見られない作品もありますので、どうぞお見逃しなく!

 

【開催中】

北海道立近代美術館・札幌芸術の森美術館コレクションによる

エコール・ド・パリ -パリに咲いた異邦人の夢-

会   期:2016年1月9日(土)~2月28日(日)

開館時間:10:00~19:00 (入館は18:30まで)

休 館 日:月曜日

観 覧 料:一般700円、中学生以下無料

 

 

 

 

 

 

 

 

17. 1月 2016 · エコール・ド・パリ -パリに咲いた異邦人の夢- 【展示作業】 はコメントを受け付けていません · Categories: 展覧会

2016年1月17日(日)

 

年があけてすっかり日にちが経ってしまいました。本年もどうぞよろしくお願いいたします

2016年最初の展覧会は、

「北海道立近代美術館・札幌芸術の森美術館コレクションによる エコール・ド・パリ -パリに咲いた異邦人の夢-」展

です!

岡山県の新見美術館、大分県の大分市美術館、広島県のはつかいち美術ギャラリーから巡回して、

ついに当館にやってきました

まずは搬入・展示作業の様子を少しだけ。

梱包された作品が展示室に運び込まれたところ。

点数はもちろんわかっていますが、この物量に「本当にうちに入りきるのだろうか・・・」とちょっと不安になりました

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大きい作品は2~3人がかりで慎重に運びます。(このなかにはシャガールの作品が。)

輸送中の傷や異常がないか作品をチェックしながら開梱し、展示プランに沿って仮置きしていきます。

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作品間隔や並び順を調整して、壁掛け作業へ。

展示室がだんだん完成形に近づいていくのを見るのはわくわくします

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キャプションや解説パネル、章バナーなども取り付け、最後にライティング作業

100年ほど前の作品もありますので、光による傷みをできるだけ抑えるため、1点ずつ照度を測りながら照明を当てていきました。

 

今回の展覧会は、これまで当館ではあまり展示する機会のなかったジャンルのものです。

どのような印象になるか、実際に展示してみないとわからない部分が大きかったのですが、

作品をお借りした北海道立近代美術館、札幌芸術の森美術館からのアドバイスや、

他館での展示風景を参考にしながら、なんとか形にすることができました

じっくりと鑑賞を楽しんでいただけるのではないかなと思います。

 

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みなさまぜひお越しください

 

【開催中】

北海道立近代美術館・札幌芸術の森美術館コレクションによる

エコール・ド・パリ -パリに咲いた異邦人の夢-

会   期:2016年1月9日(土)~2月28日(日)

開館時間:10:00~19:00 (入館は18:30まで)

休 館 日:月曜日

観 覧 料:一般700円、中学生以下無料

 

 

 

 

 

 

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