07. 7月 2015 · ミッフィーのたのしいお花畑 開幕! はコメントを受け付けていません · Categories: 展覧会

2015年7月4日(土)

 

みなさん、ご存知でしたか?今年はミッフィーが誕生してから60周年の節目にあたります。

当館では毎年夏休みを挟む時期に、家族連れで楽しんでいただける展覧会を企画していますが、

この夏は、「ミッフィーのたのしいお花畑 ディック・ブルーナが描くお花と絵本の世界展」を開催。

今日はそのオープン初日ということで、開会式をおこないました。

 

DSC_0486

この展覧会を一番楽しんでもらいたいのは子どもたち。

というわけで、清須市にお住まいの幼稚園・保育園年長クラスと小学1年生から希望者をご招待しました。

あら、ミッフィーも椅子にちょこんと座っていますね。

 

DSC_0505 DSC_0507

ご招待したお子さまも2人加わって、テープカット。

リボンを切り終えたら、いよいよ「ミッフィーのたのしいお花畑」展の開幕です。

 

DSC_0520

展示室の扉をオープンして、これから約3ヶ月続く展覧会の初めてのお客様が入ります。

 

展示室の中を少しご案内しましょう。

DSC_0535 DSC_0537

ミッフィーの生みの親であるオランダのディック・ブルーナの紹介や、

ブルーナがどうやって絵本を作っているか、その工程をみていただくことが出来ます。

 

DSC_0538 DSC_0533

ミッフィーをはじめとして、絵本の登場人物であるボリスやうたこさん(ポピーさん)を描いた

作品の数々が並びます。

 

DSC_0541 DSC_0544

展示室の一角には読書スペースも。

展示しているイラストが使われた絵本を、実際に手にとって読むことができます。

 

 

DSC_0601

2階では、工作コーナーと写真コーナー、それに読書コーナーがあって、自由に楽しめるスペースになっています。

 

DSC_0605 DSC_0646

↑ こちらは「いろがみワーク」といって、

ミッフィーのイラストに色紙を切って貼って、上から透明シートをかぶせ、

ディック・ブルーナの絵本の作り方が体験できるもの。

 

DSC_0588 DSC_0603

↑ こちらは印刷されたミッフィーの耳をチョキチョキ切り取って、

頭にかぶってミッフィー気分をあじわえる「みみmiミッフィー」。

 

DSC_0653 DSC_0610

ミッフィーやボリスたちと記念写真が取れるステージや、靴を脱いでゆったりとブルーナの絵本が読める場所も。

みなさん思い思いに時間を過ごしていらっしゃいました。

 

これらのコーナーは、他の大きなイベント開催時に一時的にご利用いただけない場合もありますが、

そのほかは会期中ずっとお楽しみいただけます。

 

小さなお子様をお連れの方も、安心してぜひ遊びに来てくださいね。

 

 

ミッフィーのたのしいお花畑 ディック・ブルーナが描くお花と絵本の世界展

会   期:2015年7月4日(土)~9月30日(水)

開館時間:10:00~19:00 (入館は18:30まで)

休  館  日:月曜日(ただし祝日の場合は開館、翌平日が休館)

観  覧  料:一般800円、高大生700円、中学生以下無料

 

 

 

27. 6月 2015 · 第33回館長アートトーク:風雲告げる日本画、片岡球子のエナジー。 はコメントを受け付けていません · Categories: 教育普及

2015年6月27日(土)

 

今回のアートトークのテーマは、愛知県にもゆかりのある日本画家、片岡球子。

現在愛知県美術館にて「生誕110年 片岡球子展」が開催されていますね

一度見たら忘れられない、強烈な作品はどのようにして生まれたのでしょうか

北海道札幌市で生まれた球子。

画家を目指して上京し、大学卒業後は小学校の教師をしながら制作に励みます

エリート街道を進んでいたにもかかわらず、帝展や院展では落選が続き、ようやく入選したのが《枇杷》という作品↓

あの独特の雰囲気はこのころはまだほとんど見られず、伝統的な日本画の繊細な美が表現されています

その後も不遇の時期が続きますが、1940年ごろから次第に頭角をあらわし、小学校教師をやめて大学教授に就任。

1966年に開校した愛知県立芸術大学の日本画科主任教授も務めています

だんだんと球子スタイルが現れ始め・・・

型破りな描き方や激しい色づかいに対し、当時の大家・小林古径はなんと「ゲテモノ」とまで評しています

しかし古径は球子を否定しているのではなく、続けて「ゲテモノと本物は紙一重。あなたはこの絵を変えてはいけない!」と、その得体の知れない才能に期待を寄せたのです

代表作のひとつである「富士山」シリーズは、それまで多くの画家たちが描いてきた富士のイメージを一変させるものでした

球子が描く富士は鮮やかに彩られ、ごつごつとした山肌や圧倒的な存在感が観る者を圧倒し、生命感にあふれています

美しさだけが表現の全てではないと信じ、描く対象を通して自らの内側から湧き上がるエネルギーそのものを映し出した境地です。

スケッチなどの資料も多く残っていますが、このスケッチだけでも表現に対する球子の並々ならぬ思いや熱量が十分に伝わってきますね

また1966年からのライフワークとなった「面構(つらがまえ)」シリーズでは、足利尊氏や葛飾北斎などの歴史上の人物や物語の登場人物が、球子というフィルターを通して描き出されました。

球子は古い図像を徹底的に研究したうえで、濃厚な色彩や主張の激しい着物の文様などを用いて、球子ワールドのなかに彼らを住まわせています。

実際に存在しないものまでも、目の前で言葉を発しているかのように描き出す球子の力それは単に「リアル」という言葉では説明できません。

 

103歳で亡くなるまで、描き続けた球子

自らの芸術のために、文字通り命をかけて信念を貫き通したスーパーウーマンです

 

【次回の展覧会】

特別展 ミッフィーのたのしいお花畑 ディック・ブルーナが描くお花と絵本の世界展

会期:2015年7月4日[土]~9月30日[水]

時間:10:00~19:00 (入館は18:30まで)

休館日:月曜日(祝日の場合は開館、翌火曜日が休館)

20. 6月 2015 · 第1回清須キッズアートラボ はコメントを受け付けていません · Categories: 教育普及

2015年6月21日(土)

 

清須市内の小学生を対象とした教育普及プログラム、キッズアートラボ。

年4回のプログラムを通して、アートを楽しんでもらいます

 

参加してくれたのは15人のお友達

今日は1回目ということで、まずは自己紹介を兼ねて自分の「名刺」を作りました

大人の世界では欠かせない名刺。自分の名前を知ってもらうためにはとっても便利なツールですよね

みんなには、ちょっと変わったやり方で名刺を作ってもらいました。

用意したのはたくさんの雑誌

たくさん書かれた文字のなかから、自分の名前の文字を探して切り抜きます

ひらがなでも、カタカナでも、漢字でも、アルファベットでもOK!

文章を読むことはあっても、それを「文字」として意識して見ることはあまりないかもしれません。

同じ文字でもいろいろな形、書き方があることに気付いたかな?

大きな字、小さな字、太くて強そうな文字、細くてきれいな字・・・などなど。

たくさん文字を切り抜いて、そのなかからお気に入りのものを選んで台紙に貼っていきます。

雑誌の写真などで飾りつけをする子も世界で1枚しかない名刺、できたかな~?

完成した名刺をみんなに発表!

いくつも違うバージョンを作った子、名前が暗号のようになっている子、カラフルな文字を使った子、

みんなそれぞれ素敵な名刺ができました

最後はお友達と名刺交換新しい仲間もできて、みんな楽しんでくれたようです

 

次は場所を移動して、たくさんの作品がある展示室へ

現在「清須市はるひ美術館収蔵作品展 その道の向こうに」が開催されています。

床に広げたのはいろいろな色のカード。

自分の好きな色のカードを選んだあと、「この色が使われている作品を探そう!」というゲームをしました

散り散りになって作品に向かうみんな。(美術館のなかでは走らないでね)

カードと同じ色を作品のなかに見つけていきます。

この色は、今回展示している作品のなかにはあまり使われていない色でしたが、微妙なグラデーションのなかに発見!

同じ作品のなかに「私の色も見つけた!」という子がたくさん。1つの作品にいくつもの色が使われていることがわかりました

ほかにも、普段見ているものが意外な色で描かれていることや、色の組み合わせ方、同じような色でも微妙に異なっていることなど、

色に注目することで作品に隠されたいろんな秘密が探れましたね

色からインスピレーションを得て、作品の印象をみんなで話し合ったり、作品のタイトルにも想像をふくらませたりと

みんなの口からどんどん面白い意見が飛び出して、学芸員の私たちもとっても楽しかったです!

 

作品の見方にきまりはありません。

美術館の鑑賞マナーを守って、これからもアートを楽しんじゃいましょう

 

【開催中の展覧会】

清須市はるひ美術館収蔵作品展 その道の向こうに

会期:2013年6月17日[水]~6月27日[土]

時間:10:00~19:00 (入館は18:30まで)

休館日:月曜日(祝日の場合は開館、翌火曜日が休館)

 

 

 

 

 

 

16. 6月 2015 · はるひ絵画トリエンナーレ「美術館賞」発表! はコメントを受け付けていません · Categories: はるひ絵画トリエンナーレ

2015年6月16日(火)

 

4月19日から始まった「はるひ絵画トリエンナーレ」。6月7日をもちまして閉幕いたしました

会期中にはたくさんのお客様にご来場いただき、誠にありがとうございました

 

「はるひ絵画トリエンナーレ」は、平面作品であるということと、サイズの制限はありますが、

誰もが自由に参加できる公募展です

性別や年齢、描き方もさまざま。鑑賞者にもいろいろな思いがわきあがります。

作家さんや学生さんのなかには、制作活動の刺激になった方もいらっしゃるのではないでしょうか

次回は3年後。みなさまのご応募、お待ちしております!!

 

さて、会期中に美術館の玄関付近に置いてあった投票箱・・・

DSC_0277

DSC_0278

ご来場いただいたお客様に、美術館に展示してある作品のなかからお気に入りの1点を選んでいただく

「美術館賞」の投票をおこなっておりました

総数683票ものたくさんの投票をいただきました。ありがとうございます

集計結果が出ましたので、発表いたします!

 

【美術館賞】

矢島史織 《Monster》 53票

590mini

 

野中洋一 《海辺の療養所》 53票

694mini

 

なんと同票数で2点の作品が選ばれました!!おめでとうございます!

光と影をテーマに、清らかな色彩でかわいらしい子どもを描いた《Monster》。

療養所をバックに、ざわめく草木を黒いペンと墨でびっしりと描き込んだ《海辺の療養所》。

どちらもとても魅力的な作品ですね

 

審査員による評価とは別に、

自分がどんな作品のどんなところに惹かれるのか、ということを考えながら作品を鑑賞することは、

美術館を楽しむコツの一つでもあります

これからもぜひ、美術館で「自分のお気に入り」を探してみてくださいね

 

 

 

 

 

 

 

 

14. 6月 2015 · 第3回清須市4中学校美術部展 小さなアーティストたち はコメントを受け付けていません · Categories: 展覧会, 教育普及

2015年6月14日(日)

 

6月13日(土)、14日(日)の2日間、清須市4中学校美術部展が開催されました

毎年恒例になりつつあるこの展覧会も3回目。

清須市の清洲中学校、春日中学校、新川中学校、西枇杷島中学校の4校の美術部による合同展です

この展覧会は生徒のみんなが主体。展示作業も自分たちでおこないます

作品を仮置きして配置を決め、壁に貼ったりワイヤーで吊ったり。

スペースやバランスを考えるのはなかなか難しい作業ですが、顧問の先生方の指導もあり、さくさくと準備が進んでいました

 

300点近い作品が展示され、いよいよ展覧会がオープン

初日からたくさんのお客様にご来場いただきました

美術部員はもちろん、保護者の方々、お友達もみんなそれぞれの力作を熱心に見て、会話が弾んでいたようです

 

作品は絵画や立体、グループによる合作など学校によってもさまざま。個性が光ります

「技術賞」「にっこり賞」「芸術が爆発で賞」などなど、先生方の審査による賞も付けられています。

こちらは4中学校の部員が共通のテーマで描いたF0号の作品。今年は「わ・た・し」というテーマでそれぞれが表現しました

第1展示室では卒業生も特別参加!高校生になっても制作を続けています。

受付係も生徒たちが交代で務め、しっかりとご案内していました

こんなかわいいオリジナルアンケートボックスも・・・

日曜日の午前中には、春日中学校の吹奏楽部も駆けつけて、展覧会を大いに盛り上げてくれました!

 

美術部員のみんなの今後がとても楽しみな、充実した展覧会でした

部員や先生方はとても大変だったと思いますが、4つの中学校の美術部が学校の外でいっしょに発表の場を持つというのは

刺激的な経験となったのではないでしょうか

素敵な作品を見せていただいてありがとうございましたこれからもみんなの活躍を期待しています!

 

 

【次回の展覧会】

清須市はるひ美術館収蔵作品展 その道の向こうに

会期:2013年6月17日[水]~6月27日[土]

時間:10:00~19:00 (入館は18:30まで)

休館日:月曜日(祝日の場合は開館、翌火曜日が休館)

 

 

 

 

 

 

 

23. 5月 2015 · 第32回館長アートトーク:グラフィックデザイナー、亀倉雄策の王道。 はコメントを受け付けていません · Categories: 教育普及

2015年5月23日(土)

 

これまでにさまざまな芸術家を取り上げてきた館長アートトーク。

今回のテーマはグラフィックデザイナーの亀倉雄策(かめくら・ゆうさく)です。

同じくグラフィックデザイナーである館長の専門中の専門分野です

 

まずは「グラフィックデザイン」そのもののお話から

一口にデザインといっても、ファッションデザイン、建築デザイン、工業デザインなどさまざまなものがあります。

そのなかでグラフィックデザインはおもに印刷物のデザインのこと。

多くのグラフィックデザイナーは、コピーライターやイラストレーター、

広告カメラマンなどと協力しながら一つの作品を創り上げます。

日本では高度経済成長期にグラフィックデザインの分野が大きく発展し、

今でも世界的に高い水準にあります

 

1915年に生まれた亀倉雄策は、まさに日本グラフィックデザインの全盛を築いた人物でした

デザイナーとしての才能だけでなく、外交手腕にも長け、

日本を代表するグラフィックデザイナーとしてその名を轟かせました。

 

亀倉がグラフィックデザイナーを目指したのは、

1920~30年代に活躍したフランスのグラフィックデザイナー、

カッサンドルのポスターを見たことがきっかけだったそう。

フランスでは19世紀末からポスターの黄金期を迎えますが、

カッサンドルはこの分野で新しい時代を切り拓きました。

街角の人々の目を引き付けるため、明快で力強い構成、

存在感のある幾何学的なモチーフがデザインされています

 

↑亀倉雄策の初期の作品

まだ写真を使ったポスターが少なかった時代でありながら、積極的に写真を取り入れています

有名な企業のポスターも数々手がけるように・・・

 

そして代表作となったのがこちら↓

1964年東京オリンピックのポスターとロゴマークです。

リアルタイムでご覧になった方もいらっしゃるはず(館長は当時小学生で、学校に貼られていたのを覚えているとか。)

各国の選手(本物の陸上選手ではありません)がスタートダッシュを切る瞬間を捉えた、

スピード感とエネルギーあふれる作品ですね

五輪マークは本来の5色ではなく、あえて金色で統一されています。

そこに赤い日の丸をどどんと大きくデザインすることで、瞬時に「日本」をイメージすることができるのです

 

こちらは平和を訴える反戦ポスター。

炎に焼かれて燃え落ちる無数の蝶が、原爆投下を暗示しています。

見覚えのあるこんなマークも亀倉デザイン

 

グラフィックデザインは、絵画や彫刻といった美術作品とは異なり、基本的に街中に存在しているものです。

身近であるがゆえに、目を留めてもらうためにはかなりの工夫が必要になります。

しかし通りすがる人の目を一瞬でも引くことができれば、すぐにメッセージを伝えることができるのです。

亀倉はグラフィックデザインの機能をこのように理解し、制作に取り組んでいました

 

現在第一線で活躍するグラフィックアーティストたちにも多大な影響を与え続けている亀倉雄策。

実際にお会いしたこともある館長にとっても、偉大な存在だそうです。

 

次回の館長アートトークは6月27日(土)16時~、

テーマは 「風雲告げる日本画、片岡球子のエナジー。」です。

愛知にゆかりの深い日本画家を取り上げます。愛知県美術館で開催される展覧会の予習・復習にもおすすめ

電話申込:052-401-3881

※前日までにお申込みください。

 

【開催中の展覧会】

清須市第8回はるひ絵画トリエンナーレ

会  期|2015年4月19日(日)-6月7日(日)

休館日|

〈美術館〉4月20日(月)・27日(月)、5月7日(木)・11日(月)・18日(月)・25日(月)、6月1日(月)

〈図書館〉4月20日(月)・27日(月)・30日(木)、5月7日(木)・11日(月)・18日(月)・25日(月)~6月4日(木)

時  間|10:00-19:00(美術館の入館は18:30まで)

観覧料|〈美術館〉一般300円、中学生以下無料 〈図書館〉無料

 

 

20. 5月 2015 · H27第2回清須アートラボ はコメントを受け付けていません · Categories: 教育普及

2015年5月20日(水)

 

美術について楽しく学んでいただこうというアートラボ。

前回のオリエンテーションを経て、今回から美術講座に入ります

テーマは「琳派の魅力 没後300年 尾形光琳」です

 

「琳派(りんぱ)」という言葉、みなさん聞いたことがあるでしょうか?

日本美術の歴史のなかで、桃山期から江戸後期にかけて発展した流派の一つです。

俵屋宗達から尾形光琳を経て、酒井抱一まで続くこの系譜は、

狩野派や土佐派といった他の流派と異なり血縁関係がなく、作品を介してエッセンスが継承されていきました。

後世になってから、尾形光琳の「琳」の字を取って「琳派」という名前が付けられました。

 

今年は光琳の没後300年!琳派誕生から400年!ということで、各地で琳派の展覧会が開催されています

光琳は300年も昔の人ですが、この時代には珍しく、資料や画稿がたくさん残っているため、

研究はかなり進んでいます

 

京都有数の呉服商に二男として生まれた光琳。

裕福な家庭に育ち、若い頃はふらふらと遊び歩いていたようですが、

40代ごろから画家として生計を立てることを考え始め、59歳で亡くなるまでに数々の傑作を生み出しています

光琳といえばまずはこれ、《燕子花図屏風》。

伊勢物語の一節を題材に、金地に群青と緑青の燕子花だけが描かれた大胆な作品です

リズミカルに配された燕子花は、装飾文様のように一定のパターンが反復されていることがわかります。

これは版木を使った俵屋宗達の手法を参考にしていると考えられています。

これも有名ですね。《紅白梅図屏風》です。

こちらも金地に梅と水流のみ、というシンプルでありながら壮麗な作品。

渦巻く水流の迫力や、「たらし込み」というにじみを生かした技法で凹凸が表現された梅の幹、

不自然に折れ曲がって視線を誘導する枝の動きなど、全てが観る者を圧倒します

 

琳派のつながりを示すものとして有名なのがこちら↓

この作品は、光琳が宗達の《風神雷神図屏風》を模写したものです。

宗達の作品がこちら↓

全く同じように見えますが、色の塗り方や構図などが微妙に異なります。

さて、光琳の思惑はいかに・・・

 

そして、光琳の《風神雷神図屏風》の裏側に描かれていた(現在は別装されています)のがこちら↓

酒井抱一の《夏秋草図屏風》です。

光琳の影響を受けた抱一は、しなだれる草花を描くことで、

まるで表側にいる風神と雷神が起こした風雨に煽られているかのような効果を生み出しています。

金地に対する銀地、空中に浮かぶ構図と画面の下部に集中した構図といった対比も効いています

 

独特の絵画世界を生み出し、今なおその清新さを留める琳派の作品。

国宝に指定されているものも多く、まさに日本美術を代表する画家・流派の一つですね!

「琳派イヤー」の今年、あまりお目にかかれない作品を見ることができるチャンスですので、

みなさんも展覧会に出かけてみてはいかがでしょう

 

次回は碧南市藤井達吉現代美術館で開催中の「生誕150年記念 竹内栖鳳」展にお邪魔します

清須からは少々(かなり?)遠いところですが・・・

ちょっと足を延ばして、楽しみましょう

 

【開催中の展覧会】

清須市第8回はるひ絵画トリエンナーレ

会  期|2015年4月19日(日)-6月7日(日)

休館日|

〈美術館〉4月20日(月)・27日(月)、5月7日(木)・11日(月)・18日(月)・25日(月)、6月1日(月)

〈図書館〉4月20日(月)・27日(月)・30日(木)、5月7日(木)・11日(月)・18日(月)・25日(月)~6月4日(木)

時  間|10:00-19:00(美術館の入館は18:30まで)

観覧料|〈美術館〉一般300円、中学生以下無料 〈図書館〉無料

 

 

 

 

09. 5月 2015 · 清須市第8回はるひ絵画トリエンナーレ アーティストトーク はコメントを受け付けていません · Categories: はるひ絵画トリエンナーレ

2015年5月9日(土)

 

現在開催中の清須市第8回はるひ絵画トリエンナーレ。

今日は、大賞を受賞した興津眞紀子(おきつ・まきこ)さんによるアーティストトークがおこなわれました

まずは学芸員からトリエンナーレと興津さんについて、簡単にご紹介します。

興津さんにバトンタッチし、これまでの制作や今回受賞した作品について語っていただきました

美術部だった学生時代からずっと絵を描き続けてきた興津さん。

美術大学に進み、当時の先生の影響で「新制作」という公募展に出品

毎年150号の作品を2・3点仕上げて、23年間出し続けたそうです。

 

ガラスをモチーフに選び、最初は無機質で幾何学的な作品や

きっちりと作りこんだ作品を目指していたという興津さん。

確かに、写真で見ると現在の作風とはかなり印象が異なります

公募展だけでなく、自由に作品を展開できる個展なども経験し、描き方は変化していきました。

 

余白や遊びを残したり、あらかじめ明確な計画を立てずに筆を進めたりして、

画面は柔らかく、繊細になっていきます。

↑この作品は、植物の形のような淡いシルエットや、中央に置かれた四角形、

水分の多い絵具を染み込ませたようなにじみなどに、

今回の受賞作品《光と希望》と通じるところがありますね

 

作品には植物が登場しますが、興津さんご自身、ご自宅のお庭で植物を育てることがお好きだそうです

また、なんといっても興津さんの作品の魅力はその清廉なブルー!

初期の作品からブルーがよく用いられていますが、当初は、

ブルーという色は薄いものから濃いものまで全てきれいな色であるため、その「使いやすさ」を気に入っていたとのこと。

ですが最近は、色は「組み合わせ」が重要で、きれいな色でも組み合わせによっては魅力が損なわれてしまうということも考えているそうです

とくに注目しているのは白色の表現で、つやのあるもの、マットなものなどを使い分けながら

新しい表現に取り組まれています

《光と希望》にも新たな白色が表現されていますので、角度を変えたりしながらじっくり見てみてくださいね

作品の透明感そのままに、やさしい語り口でお話しいただいた興津さん…ありがとうございました

 

今年の10月には、トリエンナーレ受賞者をピックアップする「アーティストシリーズ」にて

興津さんの個展を開催する予定です。

今日ご紹介された初期の作品や新作も含め、作品の展開をたどれるような展示になりそうです。

みなさまどうぞお楽しみに

 

【開催中の展覧会】

清須市第8回はるひ絵画トリエンナーレ

会  期|2015年4月19日(日)-6月7日(日)

休館日|

〈美術館〉4月20日(月)・27日(月)、5月7日(木)・11日(月)・18日(月)・25日(月)、6月1日(月)

〈図書館〉4月20日(月)・27日(月)・30日(木)、5月7日(木)・11日(月)・18日(月)・25日(月)~6月4日(木)

時  間|10:00-19:00(美術館の入館は18:30まで)

観覧料|〈美術館〉一般300円、中学生以下無料 〈図書館〉無料

 

 

 

 

 

 

 

 

29. 4月 2015 · H27第1回清須アートラボ はコメントを受け付けていません · Categories: はるひ絵画トリエンナーレ, 教育普及

2015年4月29日(水)

 

「清須アートラボ」とは、清須市生涯学習講座の一環として美術館が担当している、

清須市在住・在勤の方を対象にした通年の講座です。

学芸員が当館の展覧会をご紹介したり、美術史講座を行ったり、

また、みんなで他館の展覧会を見に行くこともあります。

 

開講してから5年目。

毎年新たな受講生をお迎えし、今回は12名の方が登録されました。

 

初顔合わせの今日はまず、開催中の展覧会「清須市第8回はるひ絵画トリエンナーレ」をご案内。

この展覧会は、当館が開館以来ずっと続けていて、活動の1つの柱となってもいるものです。

近隣の方が対象なこともあって、15年前の第1回展も見たよ!という嬉しい声も。

 

←大賞を受賞した興津眞紀子さん《光と希望》

 

北海道から沖縄まで、1,021点もの応募作品が寄せられ、

その中から選ばれた28点が美術館に展示してあります。

 

 

描かれているテーマ、使われている技法、作者の意図、そして審査員によって評価されたポイントなど、

かいつまんでお話しました。

 

写真と絵画を融合した作品があったり、

こつこつと気の遠くなるような作業を積み重ねで描かれた作品があったり、

現実にはありえない組み合わせを楽しむユーモラスな作品があったり。

一口に「絵画」と言っても、作家によってとても多様な表現があるのだ、ということにみなさん驚かれたようです。

 

 

最後には、自分の好きな1点を選んで、投票もしてもらいました。

みなさん、ビビビッとくる作品と出会えたでしょうか!?

 

そのあと、会場を移して高北館長から、絵の楽しみ方についてお話がありました。

絵が「分からない」という感覚は誰しももつもの。

それを、こわがらないで、嫌がらないで、大事にしてほしい。

現代社会では効率や結果を追い求め、ややもすると、すぐに白黒をつけたがります。

けれど、分からないものの前で立ち止まって、これは何だろう?と

考えをめぐらせてみることも、時には必要。それが心の豊かさにつながります。

ぜひ、このアートラボを、一つの新しい世界への扉を開くきっかけにしてください。

そういうお話でした。

 

 

最後に、メンバーが一人ずつ自己紹介して、話に花が咲き、和やかな雰囲気に。

 

アートに親しんできた人もそうでない人も、これから1年間、楽しんでともに学びましょう!

 

 

 

【開催中の展覧会】

清須市第8回はるひ絵画トリエンナーレ

会  期|2015年4月19日(日)-6月7日(日)

休館日|

〈美術館〉4月20日(月)・27日(月)、5月7日(木)・11日(月)・18日(月)・25日(月)、6月1日(月)

〈図書館〉4月20日(月)・27日(月)・30日(木)、5月7日(木)・11日(月)・18日(月)・25日(月)~6月4日(木)

時  間|10:00-19:00(美術館の入館は18:30まで)

観覧料|〈美術館〉一般300円、中学生以下無料 〈図書館〉無料

 

 

 

25. 4月 2015 · 清須アートサポーターワークショップ:鯉のぼりをつくろう! はコメントを受け付けていません · Categories: 教育普及

2015年4月25日(土)

 

いつも美術館の活動にご協力いただいているアートサポーターさん

今日はそのなかのイベント企画チームによる第2回ワークショップが開催されました!

 

5月5日は子どもの日ということで、

季節にちなんだイベントができないかと企画された、今回のワークショップ。

題して、「鯉のぼりをつくろう!」

Exif_JPEG_PICTURE

高いところに吊るすとゆらゆら揺れる「モビール」、

風車つきのミニチュア鯉のぼり「フラッグ」、

平らなところに置いて、泳ぐ鯉のぼりを楽しむ「ピラミッド」

を考案していただきました

 

子どもたちが集まってくれるかな・・・という不安もありましたが、

ちょうど定員の10組の方々にご参加いただきました

 

まずは鯉のぼり型の名札に名前を書いてもらって・・・

Exif_JPEG_PICTURE

手順を説明します。

Exif_JPEG_PICTURE Exif_JPEG_PICTURE

 

さっそく、作業開始!

パーツとなる鯉のぼり作りの練習から。目やウロコを付けていきます。

Exif_JPEG_PICTURE Exif_JPEG_PICTURE

Exif_JPEG_PICTURE Exif_JPEG_PICTURE

切れ込みをいれたり、のりでくっつけたりしてできた鯉のぼりはこんな感じ↓

Exif_JPEG_PICTURE

 

ここから、「モビール」「フラッグ」「ピラミッド」それぞれ自分が作りたいものを選んで、

グループに分かれて作ります

 

竹ひごと紙ねんどでピラミッドの骨組みを作っています。

Exif_JPEG_PICTURE Exif_JPEG_PICTURE

 

フラッグは大中小3種類の鯉のぼりを作ったり、風車を取り付けたり。

Exif_JPEG_PICTURE Exif_JPEG_PICTURE

モビールはバランスを取るのがちょっと難しそう・・・

Exif_JPEG_PICTURE Exif_JPEG_PICTURE

 

 

 

試行錯誤して、サポーターさんのアドバイスを受けながら、

個性あふれるすてきな作品を完成させました

Exif_JPEG_PICTURE Exif_JPEG_PICTURE

 

とっても充実したワークショップとなりました

ご参加いただいたみなさん、ありがとうございました

そしてサポーターのみなさん、お疲れさまでした

 

「次のイベントはいつ??また参加したい!」とのお声もあり、スタッフとしてもうれしい限りです

このようなイベントを継続していけたらいいなと思っています。

サポーターのみなさん、また次回に向けてがんばりましょう~!

 

 

【開催中の展覧会】

清須市第8回はるひ絵画トリエンナーレ

会  期|2015年4月19日(日)-6月7日(日)

休館日|

〈美術館〉4月20日(月)・27日(月)、5月7日(木)・11日(月)・18日(月)・25日(月)、6月1日(月)

〈図書館〉4月20日(月)・27日(月)・30日(木)、5月7日(木)・11日(月)・18日(月)・25日(月)~6月4日(木)

時  間|10:00-19:00(美術館の入館は18:30まで)

観覧料|〈美術館〉一般300円、中学生以下無料 〈図書館〉無料

 

 

 

 

 

 

 

ツールバーへスキップ