28. 2月 2014 · 第9回清須アートラボ:清須アートラボ検定 はコメントを受け付けていません · Categories: 教育普及

2014年2月28日(金)

 

昨日の清須アートラボでは、「清須アートラボ検定」を実施しました

「検定」といっても、一年間学んできた成果を確認するような内容です。

それでも数十年ぶりに受ける「テスト」に、受講生のみなさんはやや緊張の様子

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選択問題、穴埋め問題、記述問題とあらゆる問題形式で力試しです!

西洋美術はルネサンスから20世紀美術まで、日本美術は平安・室町時代の絵巻から、狩野派まで。

みなさんいくつ答えられるか、問題を作成した学芸員もわくわく、どきどき

 

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回答時間が終了し、答え合わせです。

間違っていても正しい答えを確認することが大切

ひとつずつ学芸員の解説を加えながら答え合わせをしていきます。

正解を伝えると、「あー!そうだった。」「すっかり忘れてた!」など、さまざまな声が起こり盛り上りました

 

「楽しくアートに触れる」

これが、このアートラボで目指していることです。

一年を通して、受講生のみなさんが少しでも「楽しくアートに触れる」ことができていれば嬉しいですね

 

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答え合わせの後は、清須アートサポーターのメンバーからサポーター勧誘のプレゼンテーションがありました

主に清須アートサポーターの活動を、画像をお見せしながら紹介してもらいました。

現役メンバーによる生の声に、アートラボの受講生も参加意欲を掻き立てられたようで、

帰り際に早速、サポーター申込書を提出してくださる方もたくさんいらっしゃいました

 

今年度最後のアートラボは来月の愛知県美術館「印象派を超えて」展鑑賞です。

名画がたくさん見られる貴重な機会

みなさんと楽しく鑑賞したいと思います。

 

 

【開催中の展覧会】

清須市文化協会 新川写真クラブ 風景写真展

会   期:2014年2月25日(火)~3月2日(日)

開館時間:10:00~18:00 (最終日は17:00まで)

 

遊びと創造の場 こどもデザイン室展2014 

会   期:2014年2月26日(水)~3月2日(日)

開館時間:10:00~19:00 (最終日は17:00まで)

 

 

 

 

20. 2月 2014 · 第11回清須アートサポーター はコメントを受け付けていません · Categories: 教育普及

2014年2月20日(木)

 

今日は月1回の清須アートサポーターの日でした

まずは、新しい展示をみんなで鑑賞します。

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現在開催中の展覧会は、

「清須市・ヘレス市子ども絵画交換事業 子ども絵画展」です。

ヘレス市はスペインの南部にあり、歴史の古い都市だそうです

そのヘレス市と清須市は友好姉妹提携を結んでいて、

5年前から両市の小学生が描いた絵画を交換し展示しています。

 

スペインの国旗のカラーを壁一面に展開した展示室は圧巻!

たくさんのこどもたちの作品がずらっと並んだ様子も、またまた圧巻!!

サポーターのみなさんとじっくり鑑賞しました

子どもの絵画は技術的には大人にはかないませんが、

色使いや発想は、大人には真似できない自由でのびのびしたところが魅力的でしたね

 

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鑑賞後、展示室からサポーターが集まる部屋へ移動しました。

最近行った展覧会の報告や、これから行こうと思っている展覧会の紹介などで盛り上がり、

みなさんの鑑賞への意欲はどんどん向上していっているように感じました

3月にはアートラボとアートサポーターのメンバーで(もちろん学芸員も一緒に!)、

愛知県美術館で開催される「印象派を超えて 点描の画家たち」展へ行きます。

その予習ということで、メンバーの1人が新聞を見せながらNHKの「日曜美術館」で学んだことなどを

他のメンバーに講義してくれました

 

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続いて、現在制作中の「清須市第8回はるひ絵画トリエンナーレ」のチラシ・ポスターのデザイン案を

見比べいろいろ意見を出し合いました。

文字や色の印象、全体のバランス、書体、等々・・・。

貴重な意見をありがとうございました

 

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さらに、今日は新しいアートサポーターを勧誘するための作戦会議も

この「清須アートサポーター」は清須市生涯学習講座の一環で開講している

「清須アートラボ」のメンバーの中から希望者のみ参加できる仕組みになっています。

なので、アートラボ最終日に毎年、サポーターのメンバーが勧誘する時間を設けて、

興味をもったアートラボメンバーが次年度よりサポーターとなるわけです

 

是非多くの仲間を増やして、アートサポーターの活動を盛り上げていきましょう

 

 

【開催中の展覧会】

清須市・ヘレス市子ども絵画交換事業 子ども絵画 展

会期:2014年2月19日(水)~2月23日(日)

開館時間:10:00~19:00

休館日:月曜日(祝日の場合は翌平日)

観覧料:無料

 

 

30. 1月 2014 · 第10回アートサポーター はコメントを受け付けていません · Categories: 教育普及

2014年1月30日(木)

 

今月もアートサポーターの集まりがありました

最初に、現在開催中の展覧会「打田宗平展」を、担当学芸員の解説を交えながら鑑賞しました。

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清須市在住作家さんということもあり、みなさん興味津々

大きなキャンバスを前に圧倒されつつも、思い思いの感想を口に出し、にぎやかな鑑賞となりました。

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富士山やクモ、自宅の台所や居間など、わたしちにもとても馴染み深いモチーフ

だけど、どこか不思議な感じがするのです。

打田さん独自の視点が入ったこれらの作品は、サポーターのメンバーも「どこか気になる存在」のようでした

 

作品を見ながら意見を交し合っていた様子が印象的でしたね

知らないうちに、サポーターのメンバーは鑑賞の楽しみ方を習得しているようでした。

 

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さて、いつもの場所へ移動して1時間くらいは雑談。

「雑談」といっても、もちろんアートサポーターですからアートについての雑談です

最近行った展覧会やアートスポット、これから始まる気になる展覧会などなど。

情報交換会のようなかんじです

実は学芸員もなかなか行けないようなところへ行ったり、

知らなかった展覧会などの情報も飛び交うなど、とても貴重な時間なのです。

 

このように、誰かに報告する場があると、それだけで展覧会の見方や情報収集のアンテナも

変わってくるんですよね

 

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情報交換会のあとは、前回に引き続き美術史の勉強会

今日の発表者は2名。高村光太郎と国吉康雄について。

 

高村光太郎は12月15日まで碧南市藤井達吉現代美術館で開催されていた展覧会と

メナード美術館で12月23日まで開催されていた「コレクション名作展Ⅴ」に展示されていたため調べてもらいました。

国吉康男もメナードのコレクション展に展示されていて、発表者が気になった作品を中心に調べてきてくれました。

 

メナード美術館のカタログを持参したり、10年近く前に開催された国吉康男展のチラシやポストカードを持参したり。

なんとかそれぞれの作家や作品の魅力を伝えようと工夫していました

「1人の作家や作品を調べると、もっともっといろんなことが知りたくなった」

こんな風におっしゃっていたメンバーの感想が嬉しかったです

 

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休憩タイムはみなさん持ち寄りのお菓子でいっぱい。

自宅で採れたみかんもありました。お菓子とお茶をいただきながら、またまたアート談義に花を咲かせました

 

月1回だけですが、こうしてみなさんと活動していく時間はとても貴重なものです。

清須市はるひ美術館をもっともっと盛り上げていこうという話し合いもしている最中です。

サポーターのみなさんの力も借りながら少しずつ成長していきたいと思います

 

 

【開催中の展覧会】

清須市はるひ絵画トリエンナーレアーティストシリーズ Vol.73 打田宗平 展

会期:2014年1月30日(木)~2月15日(日)

開館時間:10:00~19:00

休館日:月曜日(祝日の場合は翌平日)

観覧料:一般200円 中学生以下無料

 

 

 

 

25. 1月 2014 · 第16回館長アートトーク はコメントを受け付けていません · Categories: 教育普及

2014月1月25日(土)

 

今年初めての館長アートトーク。

「円空の正体、祈りと創造」というテーマでお話しました。

 

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円空(えんくう)ってご存知でしょうか?

江戸時代、各地を旅しながら木彫りの仏をたくさん作ったことで知られる僧です。

現在でも、円空が彫った素朴で温かみのある仏さまが、お寺や個人宅に多く伝えられています。

 

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円空が生涯に作った仏の数は、半端ではありません。

なんと12万体もの仏像を彫ったとされています。

並外れて多作だったために、現存する像も多いんですね。

とりわけ、出身地である岐阜や、お隣の愛知には作例が多いんですよ。

 

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当館が位置する愛知県清須市にも、円空仏を大切に守り伝えているお寺・栄寿院があります。

スライドでお見せしているのが、その栄寿院さんにある合掌する円空仏。

にっこりと私たちに微笑みかけて、気持ちを和ませてくれます。

スライドの写真は、館長がこのトークの前に栄寿院さんにおじゃまして、

撮らせていただいたものです。

 

円空仏の魅力は、なんと言ってもそのお顔。

ふくよかでにこやか。悩みを吹き飛ばしてくれそうな表情です。

それに、彫りあとが残る木彫の素朴な肌合いと、大胆に簡略化した姿に

とっても親しみやすさを感じますね。

 

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この彫り方は、最初からこうだったわけではありません。

東北地方に多く伝わる初期の作品は、まだ硬直さがあり、

美しく形を整えようとする若き円空の意思が見て取れます。

しかし晩年に近づくにつれ、そうした職人的な几帳面な仕上げから自由になり、

荒削りだけれども味があり、あたたかみのある表現になっていくのです。

 

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このように、見る人を包み込むような表情はどこから生まれるのでしょうか。

館長は、その理由を、円空が手業より先に信仰がある人だったことに由来するのでは?と言っていました。

つまり、ものづくりの人・仏師である前に、祈る人・僧であったからなのではないかと。

 

その祈りが、幾体もの仏のかたちとなって生み出されるのですね。

年齢を重ねるにつれ、作品も堅さが取れ、魅力を増していく。

円空仏そのものが、なぞの多い円空自身の人となりや生き様を語っているようです。

 

 

次回の館長アートトークは以下の内容で開催します。

ぜひ、お気軽にご参加ください!

2月22日(土) 16:00~17:00

「田中一村、孤高なる人生と奄美の風土」

 

 

 

【開催中の展覧会】

清須市はるひ絵画トリエンナーレアーティストシリーズ Vol.73 打田宗平 展

会期:2014年1月30日(木)~2月15日(土)

開館時間:10:00~19:00

休館日:月曜日(祝日の場合は翌平日)

観覧料:一般200円 中学生以下無料

 

 

 

 

18. 1月 2014 · 第8回清須アートラボ はコメントを受け付けていません · Categories: 教育普及

2014年1月16日(木)

 

今日は清須アートラボ第8回目でした。

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今回は美術史講座

お題は「ピカソって何で天才なの?! ~印象派から20世紀美術まで~」

という壮大なタイトル

 

ピカソの名前はもちろん知っているし、作品もなんとなく想像がつく

という方は多いはず。

でも、何でピカソがこんなにも有名で、すごい画家なのか、、、

実はよくわからないという声もよく聞きます。

 

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そこで、今回は「近代絵画の父」と呼ばれるエドゥアール・マネから20世紀初頭までの美術史を

駆け足でみていき、最後に「ピカソは何で天才なのか?!」というところを考えてみることにしました

 

キーワードは、「アヴァンギャルド/前衛」。

新しい美術が生まれては消え、また生まれる

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めまぐるしく美術が変わってきたこの時代を追うには、2時間という時間はあまりにも少ないのですが、

学芸員お手製テキストとともに、みなさんの感想や考えも聞きながら講座を進めていきました

 

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「ピカソって何で天才なの?!」という問題は簡単に説明できるものではありません。

でも、ピカソのすごさを知るためには、ピカソだけを勉強してもまったく理解できないのです。

ピカソ以前の芸術家たちの実践、そして作品を理解してこそようやくピカソのすごさがわかるもの

 

今日の講義は内容盛りだくさんの上に、猛スピードで駆け抜けていく感じになってしまったので、

みなさんがどこまで理解してくださったか心配ではありますが・・・

わからないところは、またいつでも質問してください

 

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そして、次回はいよいよ「清須アートラボ検定」です

この1年間の成果を十分に発揮してくださいね

 

今日はおつかれさまでした

 

 

 

【開催中の展覧会】

清須市はるひ絵画トリエンナーレアーティストシリーズ Vol.72 栗原 光 展

会期:2014年1月7日(火)~1月25日(土)

開館時間:10:00~19:00

休館日:月曜日(祝日の場合は翌平日)

観覧料:一般200円 中学生以下無料

 

 

 

 

21. 12月 2013 · 第15回館長アートトーク:民俗学と日本の伝統パッケージデザイン。 はコメントを受け付けていません · Categories: 教育普及

2013年12月21日(土)

 

年内最後の館長アートトーク、今日はいつもよりもやや参加人数が多かったですね

師走の忙しい、そして寒い時期にご参加いただきありがとうございました

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今日は「民俗学と日本の伝統パッケージデザイン」というテーマでした

通常は美術の話が多いこの館長アートトーク。

しかし、当館の高北館長はデザイナーの顔ももっています。

今回のテーマはまさに館長の専門領域のお話でしたね

 

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さて、「みんぞくがく」と言っても、漢字で書くと2通りあります。「民族学」と「民俗学」 

今日のお話は後者、「民俗学」について。

「民族」は、例えば大和民族などと言うように、土地や血縁関係、言語(母語)や宗教など、

ある一定の文化的特徴を基準に区別されるもの

一方、「民俗」はというともう少し小さい枠組みのことを指します。

主としてひとつの国や民族のなかの習慣や風俗、伝説、民話、生活用具など

日常生活の中に芽生える様々なものを対象としています

 

そんな「民俗学」ですが、特に日本の民俗学研究では、まず柳田國男の名前が挙げられます。

そして、その後を折口信夫が引きついでいったといえます。

日本の民俗学研究において、この二人の残した功績ははかりしれないものでしょう

 

と、こんな感じの座学のあとは、実際にどんな伝統パッケージが民俗学と結びついているのか、

膨大な量の画像を次から次へと見せてもらいました

 

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こちらは、誰もが知っている祝儀袋や香典袋ですね

一番下は最近はあまり見られなくなった結納袋。

こうしたものに、デザイナーという人は存在しません。

必然から生まれ、民俗のなかで発展していったものなんです

だから、どんな祝儀袋も香典袋も基本的なところはみんな同じデザインになっています。

「祝儀袋とはこうあるべきもの」、というように自明のこととしてみんなが知っていますよね

 

普段、何気なく使っているこうした袋もよく見ると紐の結び方、色、全体のバランス等々。

どれをとってもとても美しい仕上がりになっています

こうしたところに、民俗が育んできた美的感覚を感じることができます。

 

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例えば、今ではほとんど見なくなりましたが、干物を干すときのこのような状態や、

卵を持ち運ぶために考えだされた入れ物の美しさなどは、機能と見栄えが上手く融合した生活の中から生まれたデザインです。

 

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ちまきの「包み」もいろいろなものがありますが、どれも美しいですね。

ちまきは笹で包まれていますが、もともと日本では「チガヤ」という植物で包まれていたことから、

「ちまき」という名前になったそうです

 

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羊羹や豆のお菓子のパッケージデザインも、もともとは食べやすさ、保存のことなどが考えられていたとか。

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こちらは、昔、駅弁を買うとついてきたというお茶の入った水筒

それぞれ陶器でできていて、よく見ると駅名が入っています

なんともおしゃれなかたちですよね。

 

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と、こんな風に日本で生まれ根付いたパッケージデザインを民俗学的な視点から見ていくと、

身近にある様々なものがさらに美しく、そして愛おしく思えてきました

 

これで今年の館長アートトークは終了です。

毎回参加いただいている方も、そうでない方も、来年もどうぞよろしくお願いいたします

次回は1月25日(土)、テーマは「円空の正体、祈りと創造」です。

参加ご希望の方は、前日までにお電話かFAXでお申込ください。

 

 

 

【開催中の展覧会】

清須市はるひ絵画トリエンナーレアーティストシリーズ Vol.71 源馬菜穂展

会期:2013年12月8日(日)~12月27日(金)

開館時間:10:00~19:00

休館日:月曜日

観覧料:一般200円 中学生以下無料

 

 

 

 

 

 

12. 12月 2013 · 第9回清須アートサポーター はコメントを受け付けていません · Categories: 教育普及

2013年12月12日(木)

 

今日は美術館アートサポーターの第8回目。

師走の忙しい合間をぬって、5人が参加しました。

 

メンバーが集まると自然にアートの話に花が咲き、

毎回この時間を楽しみにしてくれていることが分かります。

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まずは当館で始まったばかりの新たな展覧会をご案内。

2012年に開催した「清須市第7回はるひ絵画トリエンナーレ」で大賞を受賞した

源馬菜穂さんの個展を、担当学芸員が解説しました。

 

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大賞作品《contact》(2010年)に見られる源馬さん独自の描き方は、絵の具がかすれたような薄く長いストローク。

さわやかな風が通り過ぎていくような草原が表現されています。

この手法が生まれるまでの画風の変遷を追うことができるのが、今回の展覧会の見どころの一つなんです。

 

長いストロークは2013年の新作でも健在ですが、

3年前の受賞作には見られなかった、新たなモチーフや色にも挑戦しています。

まだご覧になっていない方は、それが何なのか、ぜひ会場で探してみてくださいね。

 

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続いて収蔵作品展「緑を想う」も楽しみました。

これは、作品に使われた「緑色」に注目しようという企画です。

作品を前に、みんなで気づいたことや感想など、話が弾みます。

みなさん、積極的に絵を楽しみながら見ようとされているのが素敵でした。

 

 

その後控え室に移って、今度は美術の勉強会です。

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開催中の展覧会3つの中から好きなものを選んで足を運び、

印象に残った作家について各自調べて発表するというもの。

 

前回のアートサポーターのブログ→こちら

 

Kさんは、稲沢市荻須記念美術館「日本画家が描いた西洋風景展」に

作品が出品されていた、前田青邨(まえだ・せいそん)を選びました。

生まれ故郷中津川出身の画家で、以前から気にはなっていたけれど、

これを機にちゃんと調べてみようと思ったそうです。

 

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Aさんは同展覧会の画家、東山魁夷(ひがしやま・かいい)を選びました。

石造りの路地を描いた風景を見て、人は描かれていないのに

確かにそこに人の気配を感じる雰囲気にひかれたそうです。

 

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Uさんはメナード美術館「コレクション名作展V 時代を代表する巨匠たち」で紹介されていた

岸田劉生(きしだ・りゅうせい)を選びました。

劉生は、娘の肖像画「麗子像」シリーズを描いたことで有名です。

これまで麗子は少々不気味だというイメージだったのですが、

1点、子どものあどけなさを漂わせる麗子像を見て、興味がわいたそうです。

 

自分が興味を持った作家や作品は、やはり調べ甲斐もありますし、

他のみんなにも感動を分かち合いたくて、発表にも熱が入りますね

作品を目にした時の驚きや心の揺さぶられた感じがダイレクトに伝わってくる皆さんの発表でした。

 

この充実感たっぷりで楽しい勉強会は、また次回も続きます。

 

 

【開催中の展覧会】

清須市はるひ絵画トリエンナーレアーティストシリーズ Vol.71 源馬菜穂展

会期:2013年12月8日(日)~12月27日(金)

開館時間:10:00~19:00

休館日:月曜日

観覧料:一般200円 中学生以下無料

 

 

 

23. 11月 2013 · 第14回館長アートトーク はコメントを受け付けていません · Categories: 教育普及

 

今回の館長トークは、「横山大観、大観の富士と富士への道」がテーマでした。

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皆さんは、有名な日本画家というと、まず、誰を思い浮かべますか

今回のテーマでもある「大観」ではないでしょうか。

その有名な大観が描いた富士は、会社経営者の方とくに男性にとりわけ人気があるそうです。

 

ではなぜ、大観の富士は有名で人気があるのでしょうか。

 

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例えば、館長は「立派」という言葉をひとつの手がかりとしてお話しました。

富士が持つ荘厳さや日本の象徴といった一般的なイメージと、

日本画家として世間に認められた大観とが、

ある種のブランドを確立してきたため、これほどまでに高く評価されていると考えられます。

 

大観は、それまでの日本画で重要視された輪郭線を排除した

面で捉える没骨描法という新しい表現を打ち立てます。

今では、日本画の近代化を起こした革新的な表現とされていますが、

当時は、「朦朧体」と揶揄され、世間には認められませんでした。

そんな最中、代表作の《屈原》がうまれます。もちろん当時は悪評に晒されましたが、

大観が《屈原》に自身を重ねて、自分を認めない世の中に問いかけているようです。

 

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このあたりは特に館長の解説にも熱がこもります。

 

こうした苦難の時代を 乗り越えて、「大観の富士」というスタイルを確立してゆきます。

商業化の波が押し寄せる時代背景も相まって、誰もが抱く富士の神々しさと大観の没骨描法(朦朧体)は、

まさしく富士が日本の象徴であるように、大観もまた日本を代表する画家として世間一般に広く認められたのです。

なるほど、経営者の方や男性が「大観の富士」を好む理由がわかりますね~

 

 

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大観の生きた時代を詳しく知りたい方にお勧めなのが、映画「天心」です。

明治初期、廃仏毀釈によって、仏像が壊されるという惨事が起こり、

天心はフェノロサと共に日本美術の保護に心血を注ぎます。

一方で、大観や春草ら若き日本画家とともに新しい表現を生み出そうとする

葛藤と師弟愛の物語だそうです。

 

11/23よりロードーショーですので、ご興味のある方は是非、映画館へ足をお運びください

 

 

 

 

04. 11月 2013 · 歌舞伎衣裳の秘密 はコメントを受け付けていません · Categories: 展覧会, 教育普及

2013年11月4(日)

 

昨日から今日にかけて、当館はイベントづくし。

今日は昨日の午後のイベントの様子をお知らせいたします

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午後の講師も美濃歌舞伎博物館相生座館長の小栗さんと相生座サポーターのお二人。

レクチャー前に帯の準備中です

歌舞伎の衣裳では、とにかくスピードが肝心なため作り帯を用意するそうです。

 

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本日も大勢のお客様にお集まりいただきました!

着物姿の方もちらほら

お着物の方が館内を歩いていらっしゃると、華があっていい雰囲気でした

 

相生座は歌舞伎衣裳を4,000着も所蔵しているそうです。

古いものもたくさんあるけれど、小栗さんやサポーターのみなさんで

ひとつひとつ丁寧に直しながら使っているそうです

江戸時代のものや、一部江戸時代の布で繕った衣裳もあるそうです。

 

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いろいろお話いただいた後、いよいよ歌舞伎衣裳の着付け実演です。

モデルは当館学芸員です

彼女が着付けてもらっているのは、いわゆる一般的な娘役の衣裳。

歌舞伎衣裳の着付けは時間が勝負!

そのため、通常の着物の着方よりも簡略化されていたり、大胆な着方になっていたりします

 

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最後に帯を締めます。

左写真の帯を締めたあと、右写真の先ほどレクチャー前に小栗さんたちが準備をしていた

作り帯を差し込みます。とっても簡単

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こんな感じです。

あっという間に出来上がり!!

モデルの学芸員いわく、通常の着物よりは着心地はいいそうです。

歌舞伎衣裳は、動きやすく負担が少ない着方によって、役者が演技しやすくなっています

 

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続いて男性の衣裳。

モデルは清須市在住のアーティスト、打田宗平さん。今日は特別にモデルをお願いしました!!

 

なんだか派手な衣裳

これは四天(よてん)と呼ばれる衣裳で、広い袖と短い裾が特徴です。

主役級の人物が着るものと捕手や軍兵が着るものと2系統ありますが、今回は主役級のもの!

「四天」は衣裳を指す以外に、捕手や軍兵が着ることからそれらの役柄を示す言葉にもなっています。

 

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あれっ?!せっかく豪華な衣裳を隠すように袴姿に変身??

 

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すると、小栗さんがモデルの背後に廻って留め糸をほどき始めました

この衣裳は「早変り」用の衣裳。

白い着物から一瞬にして先ほどの豪華な衣裳に変わるのです。

 

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両肩にある丸い玉状のものを掴み、それを思いっきり引っ張ると・・・

あっという間に下に着ている衣裳が出てきました

 

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早変りの後、こんな風に広げて見せたりします

真っ白でおとなしい雰囲気から、金色で豪華絢爛な衣裳への変身ぶりは、

見かけは草食系だけど、実は肉食系だった男性の衣裳、そんな風に捉えることもできますね!

 

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小栗さんから所作の指導が入ります。

二人揃って「はい、ポーズ!」 なんちゃって役者気取り?!似合ってますよ!!

 

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せっかくなので、お客様の中から1名ずつモデル体験をしてもらいました。

 

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四天は女性が着てもかっこいいですね

 

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その後も楽しい衣裳の話や舞台の裏話。

また、私たちが一般的に想像する歌舞伎は「大歌舞伎」といいますが、

それとは別の地歌舞伎や地芝居と呼ばれる地方に根付いた民衆の歌舞伎について

大変興味深いお話も聞かせていただきました

 

愛知県や岐阜県はこの地歌舞伎や地芝居がとても盛んな地域なんです。

是非、みなさん積極的に見に行かれることをオススメします

実は展覧会担当者も、今年の夏初めて相生座で地歌舞伎体験をしました。

いままで想像してきた江戸時代の歌舞伎の雰囲気がそこにあるように感じました

 

小栗さん、サポーターのお二人、今日は一日本当にありがとうございました。

そして、これからも歌舞伎をどんどん盛り上げていってください

 

 

 

【開催中の展覧会】

企画展 「歌舞伎 | 変身」

会期:2013年10月8日(火)~12月1日(日)

開館時間:10:00~19:00 (入館は18:30まで)

休館日:月曜日(祝日の場合は開館、翌火曜日が休館)

 

 

 

03. 11月 2013 · 隈取で変身! はコメントを受け付けていません · Categories: 展覧会, 教育普及

2013年11月3日(日・祝)

 

今日は午前ワークショップ、午後レクチャーとイベント続きの一日でした。

まずは、午前のワークショップ「隈取で変身!」について。

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今回、講師をお願いしたのは美濃歌舞伎博物館相生座館長の小栗幸江さんです。

小栗さんは「地歌舞伎(じかぶき)」と呼ばれる東濃地域に伝わる歌舞伎を後世へ残し、

広めようと精力的に活動されています

小栗さん自身が役者も演奏もこなし、化粧から着付け、衣裳制作などなんでも出来るマルチぶり

 

今日の隈取(くまどり)はオーソドックスな「一本隈(いっぽんぐま)」という種類の隈に挑戦です。

さてさてどんな仕上がりになるか、参加者のみなさんはやや緊張気味の様子で

小栗さんの説明に耳を傾けていました

 

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隈取は歌舞伎の代表的な化粧法を指します

白粉(おしろい)をしっかり顔に塗って、その後、紅などで隈を取っていきます。

※隈は「描く」ではなく「取る」と言うそうです。

 

相生座サポーターのお二人が今日は応援にかけつけてくださいました

ワークショップの前に小栗さんと3人で白粉の下準備です。

 

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隈取はお化粧ですので、女性が普段お化粧をするときと基本的には同じような行程で進んでいきます。

まずは、下地クリームの役目を果たす下地油を顔につけます

手の温度で油を柔らかくして、ムラにならないよう満遍なく顔全体に馴染ませるのがコツ

この下地油を適当に塗ってしまうと、白粉がうまくのらないそうです。

 

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下地を塗り終わったら、次は眉毛を消す作業

肌色の固形ファンデーションのようなもので眉毛を上から大胆に消していきます。

隈取は顔を大きく見せることもポイントなので、眉毛を本来の位置よりも高い位置に描くことで、

顔を大きく見せる工夫がされているそうです

 

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眉毛を消したら、続いて白粉を顔に塗ります。

まずは顔の周りから、どんどん内側を塗りつぶしていきます。

ゆっくり塗っていると乾いてしまうので、ささっと、スピード感をもって塗らなければなりません

 

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白粉が塗れたら、今度はパフで水分を取り除きつつ、白粉が顔に馴染むようたたいていきます。

なんだか、それっぽくなってきましたね~

 

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みなさんもお手本に倣って挑戦中

「これでいいのかな?」「なんか変じゃない??」「難しい~!」など、さまざまな声が飛び交っていました。

 

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白粉を塗り終わったら、いよいよ赤い筋を入れていきます

赤色の筋は「正義」「勇気」を表わし、また筋肉の盛り上がり、血管の高潮を表してもいます。

正義の味方、ヒーロー役に用いられます。

一方、黒や藍色系統の隈は悪役、特にスケールの大きな適役に使用されます。

このように隈取は色や種類によって人物の特性を表しているのです

 

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今日はみなさん正義の味方の顔になれるわけですね!

おそるおそる筆を入れていきます・・・

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小栗さんのお手本を参考にしつつ、自分たちの顔とにらめっこ。

女性陣は普段のお化粧とは全く異なるメイクなので、それはそれは違和感があるようでした。

 

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最後は黒色で目に筋を入れ、眉毛をきりっと描いて完成!

 

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隈取を布に転写したものを「押隈(おしぐま)」といいます。

歌舞伎役者さんの押隈はたいてい絹を使いますが、

今日のワークショップでは目の詰まった木綿を使用しました。

 

顔に布をあて、上から力いっぱい顔をこすっていきます。

すると・・・立派な押隈が完成です

 

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みなさん、とてもかっこいい押隈ができましたね。

余白に自分の名前、今日の日付や展覧会名・美術館名などを書き込み、

額に入れて飾るのもいいですね!

 

1時間30分程度で完成した今回のワークショップですが、

役者さんたちは実際は数分で手早く仕上げてしまうそうです

 

今日は見学者の方も少しいらっしゃいましたね

隈取を生で見る機会はなかなかあまりありませんので、貴重な体験でした。

次回歌舞伎を見るときは、隈取にも注目して見てみたいですね

 

 

【開催中の展覧会】

企画展 「歌舞伎 | 変身」

会期:2013年10月8日(火)~12月1日(日)

開館時間:10:00~19:00 (入館は18:30まで)

休館日:月曜日(祝日の場合は開館、翌火曜日が休館)

 

 

 

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