12. 11月 2014 · 第7回清須アートラボ はコメントを受け付けていません · Categories: 教育普及

2014年11月12日(水)

 

今日は、当館から最も近くの美術館である

稲沢市荻須記念美術館にお邪魔してきました。

お目当ては、現在ここで開催されている特別展「小磯良平展」です。

HPはこちら→小磯良平展

 

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小磯良平(1903-88)は、荻須記念美術館がコレクションの主軸としている

荻須高徳(1901-86)の東京美術学校(現・東京藝術大学)時代の同級生。

ともにフランスに渡り絵を学んでいます。

特別展の小磯良平作品と、常設展の荻須高徳作品を、

比較しながら同時に見られる貴重な機会とあって、

アートラボのメンバーはとても楽しみにしていました。

 

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展示室に入る前に、担当学芸員の河合さんが、小磯良平の画業について

展覧会に出品されている作品を中心にお話くださいました。

 

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小磯良平は、気品のある女性像を得意とした画家です。

1903(明治36)年、モダンな洋館の立ち並ぶ神戸の裕福な家に生まれ、

1922(大正11)年、東京美術学校に入学。

同級生には、荻須のほか、猪熊弦一郎もいました。

きら星のごとき作家たちを輩出した時代だったのですね!

中でも小磯は東京美術学校を首席で卒業しているので、群を抜いていたはず。

 

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まだ若い在学中に、《T嬢の像》が帝展で特選を獲得するという前代未聞の快挙を経て、フランスへ留学。

印象派以降の比較的新しい時代の表現だけでなく、

ヨーロッパの古典的な技法を積極的に学んでいます。

2年後に帰国してからは、安定感のあるピラミッド構図に、

光を受けた物質の質感を巧みに表現する作品を数多く制作しました。

 

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戦後は母校の東京藝術大学で教鞭をとり、

当時学部長だった伊藤廉(いとう・れん)とともに、

初めて版画教室を創設するなど、意欲的に後進の育成に取り組みます。

伊藤廉は名古屋出身の画家で、現在、碧南市藤井達吉現代美術館で

回顧展を開催中ですので、こちらもぜひ訪れてみてください。

HPはこちら→伊藤廉展

 

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小磯良平は自分の考えを押し付けず、個性を伸ばす教育方針の持ち主で、

学生たちにとても慕われたそうです。

都会的でおしゃれな雰囲気をまとった女性像を多く描いた小磯良平と、

人物は描かないものの、町並みによってその存在を感じさせる風景を描いた荻須高徳。

じっくりと二人の画家の軌跡に思いをはせることのできる展覧会でした。

 

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荻須の復元されたアトリエへと続くアプローチを歩きながら、

美術館に隣接する公園を眺めることもできる気持ちのいい美術館です。

まだの方はぜひ、小磯良平展(12月7日まで)にお出かけになってみてください。

 

 

 

 

【開催中の展覧会】

生誕100年 前衛を駆け抜けた画家 岡田徹展

会期:2014年10月5日(日)―11月30日(日)

開館時間:10:00―19:00

休館日:月曜日(ただし祝日の場合は開館、翌火曜日が休館)

観覧料:一般500円、中学生以下無料

 

 

 

 

21. 10月 2014 · 第25回館長アートトーク:シュールレアリズムの騎士ダリ、その奇想。 はコメントを受け付けていません · Categories: 教育普及

2014年10月18日(土)

 

第25回館長アートトークのテーマはシュールレアリスムの奇才、ダリ。

ナルシシズムに満ちた独創性と、強迫観念にも似た緻密さで超現実の世界を描きました。

その影響力は絶大で、

開催中の企画展「前衛を駆け抜けた画家 岡田徹展」で取り上げている岡田徹も、

特に戦前の作品においてダリの影響が見られる作品を遺しています

 

 

アートトークの冒頭は、10分で語る美術史!

美術史ってなんだろう?どの時代にどんな作品があったのかしら?

興味をもって美術史をひもとこうとすると、とかく通史は長い!そして重い…

そんな時、それぞれの時代を特徴付ける「祈り」「貨幣経済」「写真の登場」「産業革命」などのキーワードを

おさえて美術史を概観できれば、展覧会をおとずれた時、作品鑑賞の幅がひろがります

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こちらは配布資料の一部。館長自作の「10分で語る美術史」。

 

 

続いて、アートトークの真打・ダリの講演へ。

サルバドール・ダリは、スペインのカタルーニャ地方フィゲラスの裕福な公証人の息子として生まれました。

少年時代から絵に興味を持っていたダリは、首都マドリッドの美術学校で学んだのち20代前半の多感な時期にパリに赴きます。

新進気鋭のシュルレアリストたちと知り合ったのもこの時期。

それからしばらくして、詩人ポール・エリュアールの妻だったガラと知り合います。

恋に落ちた二人は逃避行の末、ガラはエリュアールと離婚し、ダリと再婚。

ガラはその後、生涯を通じてダリのミューズ、創作の源となり続けました

 

 

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こちらはダリの肖像(写真)。

ダリといえば、撫で付けた髪型、上向きにピンと整えられた口髭を思い浮かべる方も多いかもしれません

ダリは芸術家としての自己を演出することに非常にこだわった作家でした。

トレードマークの口髭も、そうしたセルフ・プロデュースの一環だったのかもしれません。

 

 

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スライドに見入る受講者の方々。

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ダリの作品には、やわらかく溶けたチーズのような独特のフォルムが繰り返し登場します

これは一体何を描いているのでしょう…??

少なくとも現実にはこんな物体は存在しそうにありません。

まさに「シュール」な、現実離れした画家の空想の産物に思えます。

ここで、シュルレアリスムが生まれた時代背景を考えてみたいと思います

 

写真の登場以降、それまで西洋絵画の伝統であった、自然をいかに二次平面である絵画に再現するか、

という方向性は一端終着点をむかえてしまいます。

また、発展をつづけてきたかに見えた西欧文明とその核をなす理性至上主義も、

世界大戦や社会の不安定化によって求心力を失いつつありました。

そんな時代背景のなか、それまで反理性としてかたすみに追いやられてきた夢や無意識に光をあてようという動きが起こります。

シュールレアリスムもそうした動きの中、産声をあげました

夢や無意識にインスピレーションを求めたシュルレアリストたちの描く作品には、現実のものとは思えない不可思議なモティーフが登場します。

しかし、彼らは現実とは別の世界にあるものとしてそれらを描いたのではなく、

むしろ意識―無意識、現実―夢の関係と同様に、現実と地続きの世界、「超現実」としてとらえていました。

彼らにとって夢や無意識は、普段現実世界の下層にとじこめられている超現実が姿をあらわす場所でした。

 

そう考えてみると、ダリの作品にしばしば登場する摩訶不思議なモティーフは、

現実離れしたファンタジーではなく、むしろ日常や個人的体験に端を発しているのかもしれません

 

 

 

次回の館長アートトークは11月22日(土)16時~17時、

テーマは「陶芸家 川喜田半泥子、その多様で豊かな人生」です。

半泥子は「東の北大路魯山人、西の川喜田半泥子」と評された趣味人で、財界で名を成したのち陶芸をきわめます。

芸術の秋、芸術と文化に情熱を注いだ半泥子の生涯に思いを馳せてはいかがでしょうか

電話申込:052-401-3881

※前日までにお申込みください。

 

 

【開催中の展覧会】

生誕100年 前衛を駆け抜けた画家 岡田徹展

会期:2014年10月5日(日)―11月30日(日)

開館時間:10:00―19:00

休館日:月曜日(ただし祝日の場合は開館、翌火曜日が休館)

観覧料:一般500円、中学生以下無料

 

 

 

16. 10月 2014 · 第7回アートサポーター はコメントを受け付けていません · Categories: 教育普及

2014年10月16日(木)

 

今日は第7回アートサポーターの活動日でした。

まず、10月5日(日)~11月30日(日)まで開催中の企画展『岡田徹展』を鑑賞します

 

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担当学芸員の解説に聞き入るサポーターさんたち。

シュルレアリスムの技法や、生涯反戦をつらぬいた岡田徹の生き様を知ることで、

作品の見方も深まります

 

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さらに、

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二階にあるシュルレアリスム体験コーナーも見学。

メンバーが準備したリボンや紙のきれはし、木の葉が用意されてあるので、

これらを駆使してコラージュ&フロッタージュ作品を実際に作ることもできますよ

 

 

内容の濃~い作品解説&鑑賞会の後は、恒例のミーティングを行いました

冒頭、メンバーがおとずれた展覧会の紹介がありました。

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チラシやホームページの情報だけではわからない、

意外な出品作品、ワークショップ情報、展示室の内装など、

見てみて初めて感じたことを交えて紹介

こうした情報交換をとおして、知らなかった展示に出会えたり、

また当館の運営のアドバイスともなります。

 

さらに、美術館運営チーム・イベント企画チーム・広報チームに分かれ、

それぞれ活動を行います。

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こちらは広報チーム。

アートサポーター初となる広報誌「アートサポーター便り」を作成中

開催中の岡田徹展のみどころや、館長アートトークについても紹介します。

 

また、イベント企画チームは

12月に実施する親子向けワークショップの企画です。

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クリスマスにあわせたワークショップが出来ないか模索中です

こちらは試作品たち。

 

また、美術館運営チームは最寄り駅から当館までのアクセス方法について

活発に話し合ってくれました。

当館は最寄り駅から徒歩20分という立地ですが、その地理的ハンデをものともしない、

名所や由来を盛り込んだ歩いて楽しい地図があればいいよね、ということで、

次回のミーティングではメンバーが実際に駅から美術館までの道を歩いて検討することになりました

 

それぞれのグループの活動がさらに本格的に、かたちになってきました。

次回以降のブログでも随時お知らせしてゆきます。

 

 

 

【開催中の展覧会】

生誕100年 前衛を駆け抜けた画家 岡田徹展

会期:2014年10月5日(日)―11月30日(日)

開館時間:10:00―19:00

休館日:月曜日(ただし祝日の場合は開館、翌火曜日が休館)

観覧料:一般500円、中学生以下無料

 

 

 

11. 9月 2014 · 博物館実習7日目(最終日) はコメントを受け付けていません · Categories: 教育普及

2014年9月11日(木)

 

長かった大学生の夏休みも残りわずかとなりました

今夏、当館では6名の博物館実習生を受け入れ、さまざまな実習に取り組んでもらいました。

その様子はこのブログでもご紹介させていただいてきましたが、みなさんとても熱心で感心させられます

 

さて、最終日の課題は「展覧会企画発表」です

当館の展示室1を利用して、展覧会企画案をプレゼンしてもらうというもの。

それぞれの個性が出た大変興味深い発表ばかりでした

 

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パワーポイントをしっかり準備してきたり、見やすくきれいな「企画書」を作成し説明してくれる学生もいました

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こちらは古代人の生活を紹介する展示を企画した学生で、図版なども持ちこみ熱弁してくれました

 

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みなさん自分の関心にひきつけつつ、清須市はるひ美術館で展示する意義や、

集客のための工夫、展示の工夫、イベントなど本格的なプランをいくつも提示してくれ、

館長も学芸員の私たちも真剣に聞き入っていました

 

それゆえ、コメントも少々厳しいものになりましたが、

それは実習生のみなさんのレベルが高かったからこそ。非常に充実したプレゼンだったと思います

 

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全ての実習が終了し、最後は美術館の前で記念撮影

長そうであっという間の実習期間。学芸員資格取得のための実習ではありましたが、

それに留まることなく、今回の実習が今後のみなさんの勉強や就職の役に立ててもらえれば嬉しいです

 

みなさん本当にお疲れ様でした

またいつでも美術館に遊びに来てくださいね

 

 

 【開催中の展覧会】

特別展 ブルーノ・ムナーリ アートのなかの遊び

会   期:2014年7月5日(土)~9月28日(日)

開館時間:10:00~19:00(最終日18:30まで)

休  館  日:月曜日(月曜日が休日の場合は次の平日が休館)

〈インターネット割引券〉

 

 

 

10. 9月 2014 · 第5回清須アートラボ はコメントを受け付けていません · Categories: 教育普及

2014年9月10日(水)

 

今日は清須アートラボで他館の展覧会見学の日でした。

今回の訪問先は、アートラボのメンバーが最も苦手?

とする現代美術の展覧会が始まったばかりの名古屋市美術館を訪れました

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開催中の展覧会は「現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展 ヤゲオ財団コレクションより」

というとっても長くて、なんだか聞きなれないタイトルです

 

見学の前に、展覧会担当の中村学芸員に40分ほど解説をしていただきました

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今回の展覧会は、世界トップクラスとされる台湾のヤゲオ財団コレクションの一部を展示したもの。

現代美術の一級品が盛りだくさんで、

これが国や公共の力ではなく1人のコレクターの手によって集められたというので驚きです

 

そして、展示も非常に趣向を凝らしたものでした。

美術史的な紹介はもちろんありますが、それと並行してアートマーケットにも目を向け、

作品の金額を提示したり、また鑑賞者に金額を考えさせるゲームも取り入れられていました

 

通常、美術館では切り離されたそうした市場の流れも意識させる本展覧会は、

これまでの現代美術の展覧会の常識を覆す、新しい試みだったと思います。

 

参加した受講生のみなさんも、ヤゲオコレクションの天文学的な金額の数字に驚きながらも、

楽しく現代美術に触れていた様子が印象的でした

 

間口を広く、多くの人に関心を持たせつつ、美術作品の「価値」について考えさせられる

良質な展覧会だったと思います

 

今回は展示室内の撮影ができなかったので、文章ばかりになってしまいましたが、

是非多くの方に見ていただきたい、企画者の思いが詰まった展覧会でした

中村学芸員、お忙しいなか丁寧な解説をありがとうございました

 

 

 【開催中の展覧会】

特別展 ブルーノ・ムナーリ アートのなかの遊び

会   期:2014年7月5日(土)~9月28日(日)

開館時間:10:00~19:00(最終日18:30まで)

休  館  日:月曜日(月曜日が休日の場合は次の平日が休館)

〈インターネット割引券〉

 

 

 

28. 8月 2014 · 博物館実習6日目 はコメントを受け付けていません · Categories: 教育普及

2014年8月28日(木)

 

博物館実習6日目は、昨日と今日の2日間に分けて少人数制で実施しました。

今回は「ギャラリートーク」「作品調書と作品の扱い方」について

 

1日目は2名の実習生で実施しました。

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このように、実習生が学芸員になったつもりで、開催中の展覧会を案内してくれます

それぞれ対象は誰なのか、人数は何名くらいなのかなど設定します。

 

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トーク後はみんなで講評会

どこが良かったのか、悪かったのか。もっとこうしたらより良くなるのでは?!

人のいいところや悪いところを見極める力も必要です

とはいえ、「言うは易く行うは難し」で、実習生に指摘しながらもわが身を振り返り反省したり・・・

学芸員も日々勉強、そして成長しなければなりません

 

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2日目のメンバーもそれぞれ工夫を凝らした発表をしてくれました。

ムナーリについて勉強し、なおかつそれを他人にわかりやすく説明をする。

想像以上に難しかったのではないでしょうか

 

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講評会も熱が入ります。

一生懸命準備をしてきたからこそ、できなかったことや困ったことなどもどんどん意見として出てきました

人前で話すこと自体、みなさん普段あまりしないことなので大変だったと思います。

厳しい指摘はたくさんしましたが、必ずどこかで生きてくるはずです

 

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2日間とも、午後は収蔵庫に入り作品の扱い方や調書の取り方を学びました。

人生初の収蔵庫。木のいい香りと快適な温湿度に実習生からは驚きの喚声があがっていました

収蔵庫はとにかく作品を守らなければならない場所。万全の状態を保っていなければなりません。

ひととおり収蔵庫の仕組みを説明したあとは、作品を取り出し「調書」の取り方を説明しました。

「調書」とは、作品の状態を記述すること。作品を管理する上では基本中の基本

 

時間をかけてじっくり観察し、作品のコンディションをチェックしました。

ギャラリートークに作品調書、博物館実習6日目もおつかれさまでした

残すところあと1日。がんばりましょう

 

 

 

【開催中の展覧会】

特別展 ブルーノ・ムナーリ アートのなかの遊び

会   期:2014年7月5日(土)~9月28日(日)

開館時間:10:00~19:00(最終日18:30まで)

休  館  日:月曜日(月曜日が休日の場合は次の平日が休館)

〈インターネット割引券〉

 

 

 

 

06. 8月 2014 · 博物館実習5日目(歴史資料編) はコメントを受け付けていません · Categories: 教育普及

2014年8月6日(水)

 

今日は博物館実習5日目でした。

いつもは美術館での実習が多いのですが、本日の午後は清須市歴史資料展示室の

担当職員・小出さんにレクチャーをしていただきました

清須市には美術作品のほかにも、歴史民俗資料がたくさんあります!

ちなみに、午前中は美術館で「展覧会の企画・運営について」のレクチャーでした。

(レクチャーの嵐・・・

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小出さんお手製の実習生用資料

きっちりまとめられていて勉強になります!

この資料をもとに「歴史民俗資料の調査・収集・保存整理」についてのお勉強

 

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こちらは中性紙という特殊な紙でできた封筒にひとつずつ資料を入れて、

特注のダンボール箱に収納されている様子です。

資料は大小さまざまなものがあり、時代もばらばら。

丁寧に保管してしすぎることはありません。保管用の資材はとても重要なのです

 

ということで、このダンボール箱の製作を体験

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意外と難しいのです。

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少しでも適当に折ってしまうと、しっかりしまりません。

実習生のみなさん、悪戦苦闘中?!でも、きれいにできていましたね。

 

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続いて、先ほどのダンボール箱には収まりきらないさまざまな資料の保管の様子を見学しました

このスペースには展示スペースはなく、すべて資料の保管場所として活用しています。

展示スペースは少し離れた市立図書館内にあります。

 

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民俗資料も山のようにあります。懐かしの?家庭で使われていた電化製品や道具類などなど。

でも、実習生のような若いみなさんにとってはもはや「懐かしの」という言葉も合わないですね

初めて見るようなものばかりではないでしょうか・・・

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なんだかよくわからないものを発見(左写真)

まるで理科室みたいと大はしゃぎ

右の写真は戦争関連のものを集めたスペースです。

とにかく、市内のご家庭で眠っていて資料として価値のあるものが集まっていますので、

場所がどれだけあっても足りないし、また管理台帳の整理も大変だというお話がありました。

 

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最後に、町史などの紙媒体の資料が保管されているスペースへ。

実習生のみなさん、とにかく資料の多さとスペースの広さに驚いている様子

 

だいたい資料保管の状況を把握した後、場所を移動しました。

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こちらは、清須市立図書館内にある「歴史資料展示室」です。

2年前にできたばかりなのでとってもきれい

現在は「戦争の軌跡―出征と帰還―」という展覧会を開催中です。

さきほど見学した場所から今回のテーマにあった資料が展示されています。

展示の工夫や展示内容を丁寧に説明していただきました。

 

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こちらの独立展示ケースは常設展示コーナーです。

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こちらも常設展示。

昔のそろばんや黒電話、商売で使った台帳なども展示されていました

右写真の奥に見えるのは、「棚階段」といって、階段の下に箪笥のように抽斗(ひきだし)がついていて、

しかも自由に階段ごと動かすことができる、可動式収納付階段なのです。

昔の人の生活の知恵が随所に垣間見え、とても楽しい展示空間になっていました

 

今日の午後はしっかり歴史民俗資料の調査・収集・保存・展示について学ぶことができました。

美術館との比較などしてみるのも、それぞれの特徴をより深く理解するのに役立つはずです

 

実習期間もあと2日間です。

みなさんがんばりましょう

 

 

 

【開催中の展覧会】

特別展 ブルーノ・ムナーリ アートのなかの遊び

会   期:2014年7月5日(土)~9月28日(日)

開館時間:10:00~19:00(最終日18:30まで)

休  館  日:月曜日(月曜日が休日の場合は次の平日が休館)

〈インターネット割引券〉

 

 

 

 

27. 7月 2014 · 第22回館長アートトーク:雄弁なる東山魁夷の日本画 はコメントを受け付けていません · Categories: 教育普及

2014年7月27日(日)

 

毎月1回開催の館長アートトークも気がつけば22回目です!

初回からもうすぐ2年が経とうとしています。常連のお客様も徐々に増え、嬉しいかぎりです

さて、今回は日本人ならば誰もがうっとりするはず(?!)の東山魁夷についてのお話でした。

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東山魁夷といえば、やはり緑青をたっぷりと使った美しい緑や青の世界ですよね。

あるいは、「白馬」のモチーフを思い浮かべる方も多いのかもしれません

どこかで一度は見たことがある、それが東山魁夷作品に対する多くの人の経験だと思います。

 

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そのようなわけで、東山魁夷といえば誰もが認める天才画家と思われがちですが、

実はかなり遅咲きの画家。そして努力の画家だったようです

長寿のため、たくさんの作品を残したことも彼の名声を高める要因の一つだったといえます。

 

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東山魁夷や彼の作品の魅力をホワイトボードに列挙。

・美しい絵

・風景を美しく描く画家

・旅情

・自然の移ろいがつくり出す美

・小さいけれど燃え上がる命

こうした言葉からも想像できるように、わたしたち日本人は、東山作品にどこか「共感」できる部分があり、

だからこそ「いい絵だな」「ずっと見ていたいな」、そんな風に感じるのでしょう

 

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そして、東山魁夷といえば、構図の大胆さ、新しさも注目すべき点です

それまでにない斬新な構図は、風景という概念や、風景の見方そのものを大きく変えるものでした。

 

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このあたりにくると、もはや抽象絵画?!と思ってしまうくらいの大胆さが感じられます。

日本画や風景画と対峙し、新しいものを見出そうと挑戦し続けてきた画家の姿が想像できます

 

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また、東山魁夷は絵画だけでなく文章もたくさん残したことでも知られていますし、

小説家の川端康成との親交も深かったそうです。

川端が東山魁夷の作品について書いた文章です↑

「日本の自然を身にしみて感じ、日本人である自分の心情を見出して静かな安らぎに慰められる。

清らかないつくしみに温められる。」

 

これもまた、川端が東山の作品に「共感」を覚えたことを表現しているといえます。

東山作品は斬新な構図や、時に西洋の風景画や風景を取り入れながらも、

どこかに私たち日本人が「共感」する、心に染み入ってくる情景が表現されているのです。

 

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こちらの2点はヨーロッパの風景を描いた作品です。

 

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こちらは、水面に映る月光と山や森を描いています。

静寂と澄んだ空気の臭いまでが感じられそうな神秘的な作品です。

 

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最後に、紅葉した木の様子を描写した作品《行く秋》を見て、本日の館長アートトークは終了しました。

最初から最後まで、作品の画像にうっとり魅了された参加者のみなさん

やはり、東山魁夷作品は日本人の心に触れるものがあることを改めて感じました。

 

次回、館長アートトークは、現在開催中の展覧会「ブルーノ・ムナーリ アートのなかの遊び」

にあわせて、8月と9月と入替えて行います。

テーマは、「トリック宇宙で遊んだ福田繁雄のデザインとアート」です。

8月23日(土)16時~17時。

電話申込:052-401-3881、前日までにお申込みください。

 

福田繁雄はムナーリと親交もあり、また大のムナーリファンだったそうです

展覧会と併せてお楽しみください

 

 

【開催中の展覧会】

特別展 ブルーノ・ムナーリ アートのなかの遊び

会   期:2014年7月5日(土)~9月28日(日)

開館時間:10:00~19:00(最終日18:30まで)

休  館  日:月曜日(月曜日が休日の場合は次の平日が休館)

〈インターネット割引券〉

 

 

 

 

 

26. 7月 2014 · 第2回清須キッズアートラボ はコメントを受け付けていません · Categories: 展覧会, 教育普及

2014年7月26日(土)

 

清須市内の小学3・4年生を対象に、美術作品の鑑賞や創作を行う清須キッズアートラボ。

今回は、開催中の展覧会「ブルーノ・ムナーリ アートのなかの遊び」を鑑賞し、

その後、ムナーリのワークショップ「アートとあそぼう」のなかの「テクスチャー」に挑戦しました

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展示室に入る前に、注意事項の確認です。さすが、アートキッズメンバーは美術館に慣れているので、

みんなスラスラと注意すべきことを言ってくれました

さて、この展覧会、展示室に入る前からなにやら壁にカラフルなものが貼ってあり、「?」と思う人も多いのです。

これは一体なんでしょうか??

ポイントは「目を閉じて、ゆっくり触ってみること!」

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このカラフルなシートは、「ざらざら」「つるつる」「ぼこぼこ」「ちくちく」「がたがた」「さらさら」・・・・

様々な手ざわりを感じることができる素材でできています。

目を閉じて触っていると、この感覚を手ざわりのみで感じ取ることができます

目が見えていると、触る前から、それがどんなものであるのかをなんとなく想像してしまいます。

そうではなくて、触覚だけで何かを感じたり、伝え合ったりすることができる

ムナーリはそのように考えていました。

展覧会の入口では、そんなムナーリの考えを肌で感じてもらいながら入っていく構成になっています。

そして、後半に実施するワークショップ「テクスチャー」はまさに、

この触覚への関心から生まれたワークショップなのです。

 

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展示室内を約1時間、みんなでいろいろな意見を出し合いながら鑑賞していきました。

ムナーリの作品は、いつもどこかウィットに富んでいて、ちょっとおちゃめでいたずらっぽい部分があります。

こどもたちは、そんなムナーリらしさを瞬時に察知し、反応してくれます

こちらが思いもつかない意見が出ることもしばしば。

ムナーリの作品は、こどもの想像力を存分にかき立ててくれるようです

 

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展覧会鑑賞後は、ワークショップです!

「テクスチャー」というワークショップは、その名のとおり「触覚、手ざわり」を意識したもの。

さまざまな手ざわりのボードを用意し、

その上にコピー用紙を置いてそれぞれの「テクスチャー」を浮かび上がらせます

 

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色をかえて重ねてみたり、素材をかえて重ねてみたり。

みんな思い思いの模様をつくり、無限にできる独特な表現を楽しんでいました。

 

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ある程度、模様ができたら、今度はそれを切り貼りしていきます

浮き出させたテクスチャーの模様をいかして、一枚の絵をつくります。

 

Exif_JPEG_PICTURE ←見本はこんな感じです。

 

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黙々と集中して、各自でつくりあげたテクスチャー模様の紙をどんどん形にしていきます。

さすが、キッズアートラボのメンバーは鑑賞だけでなく創作もお手のもの。

みんなあっという間に素敵な作品が完成していきました

 

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最後は一人ずつ発表してもらいました

何をつくったのか、どんな工夫をしたのか。それに対して、みんなで意見交換しました。

作ることも見ることも、どちらも同じくらい大切なことですし、

どちらも同じくらい楽しい!と思ってもらえたら嬉しいです

 

次回は名古屋芸術大学でキャンパス体験&版画体験をします

どんな面白いことが待っているのか、今から楽しみですね

 

 

 

【開催中の展覧会】

特別展 ブルーノ・ムナーリ アートのなかの遊び

会   期:2014年7月5日(土)~9月28日(日)

開館時間:10:00~19:00(最終日18:30まで)

休  館  日:月曜日(月曜日が休日の場合は次の平日が休館)

〈インターネット割引券〉

 

 

 

 

16. 7月 2014 · 第4回清須アートラボ はコメントを受け付けていません · Categories: 教育普及

2014年7月16日(水)

 

今日の清須アートラボは、日本美術の魅力をお伝えする講座を行いました。

テーマに選んだのは、江戸時代中期に京都で活躍した画家、伊藤若冲(じゃくちゅう)です。

 

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若冲は、2000年に京都国立博物館で没後200年を記念する展覧会が開かれたのを機に、

広く知られるところとなり、一大ブームを巻き起こしました。

そのずば抜けた個性と筆力に大勢の人が目をみはり、

評判が評判を呼んで、主催者の予想をはるかに超える入館者数を記録。

以来、日本のみならず、海外でも非常に人気の高い画家です。

今日はその若冲の画業をたどり、江戸絵画の面白さに触れていただこうと2時間お話しました。

 

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まずは、修行時代の紹介から。絵描きの修行は、過去の名作を模写するのが基本です。

写真の右は中国明代の画家が描いた鶴。それを手本として若冲が模写したのが左です。

ただ、模写と言っても全くそっくりに写しているわけではありません。

じっくり見比べて、違いを受講生の方々に言ってもらいました。

崖の線や波の形が違いますね。

ではそれらが違うことによって、印象がどう変わるのでしょうか?そんなことも一緒に考えます。

 

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それからこちらは虎の図。

右の明代の画家の作品を手本として、左を若冲が描きました。

「私は虎の実物を見た事がないので、中国の作品を模写するしかないのだ」と

若冲本人が言い訳のように、作品の右上に書いています。

 

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若冲は修行を経て、過去の名作を自分のものにしてしまうと、

模写に飽き足らず、実物をつぶさに観察して描くようになりました。

そして生まれたのが、彼の代表作、30幅からなる「動植綵絵」です。

鶏をはじめとする様々な鳥、梅や松やひまわりなどの植物、虫、魚、貝といった

生物が、鮮やかな色彩で描かれています。

 

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今回は1点ずつプロジェクターで投影して、全30幅の魅惑の世界をご堪能いただきました。

ちょっとした鑑賞会です。

皆さん、若冲独特の色彩、画面を埋め尽くすモチーフ、鶏の精悍な様子に

食い入るように見入っていました。

 

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若冲は「動植綵絵」のほかにも、寺院の障壁画や、ユーモラスな水墨画も多く残しています。

真正面から見た、とぼけた鶏の顔など、おかしくて噴き出しそうになりますよ。

 

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最晩年には、お釈迦さまの涅槃図(ねはんず)ならぬ、野菜涅槃図なるものも描いています。

なんと二股大根をお釈迦さまに見立て、様々な野菜たちがその脇で死を嘆き悲しんでいるというもの。

当時の人たちも、これにはクスっと笑ったのではないでしょうか。

 

若冲の作品には人をあっと驚かせる独創性があり、ずっと見ていたいと思わせる妙技があります。

今日は、そうした一人の絵師の魅力と、江戸絵画の奥深さに触れていただけたことと思います。

 

これを機に、実際の作品を鑑賞しに展覧会に出かけたり、

京都に行った際には、若冲のことを思い出していただけたら嬉しいです。

 

 

 

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