27. 10月 2013 · 第13回館長アートトーク はコメントを受け付けていません · Categories: 教育普及

2013年10月27日(日)

 

昨日開催した高北幸矢館長アートトークは、いつにもまして白熱しました。

テーマは「赤瀬川原平とハイレッドセンター」。

 

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ハイレッドセンターとは、1960年代に生まれた前衛美術グループのこと。

以下の3人のメンバーの頭文字を取って、ハイレッドセンターと名づけられたものです。

高松次郎の「高=ハイ」、赤瀬川原平の「赤=レッド」、中西夏之の「中=センター」。

シンプルだけど、なかなかのインパクト。ネーミングセンスを感じますね

 

さて、このグループの出現がいかに画期的だったかを理解するには、

長い美術の歴史を、ざっと振り返ってみる必要があります。

 

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有史以来近代まで、人類が生み出した美術の多くは、注文主がいて、

画家に制作を依頼してはじめて誕生していました。

レオナルド・ダ・ヴィンチの《最後の晩餐》は、教会の注文があって生まれました。

ナポレオンの肖像画は、ナポレオンがその権勢を示したいとの思いがあって生まれました。

つまり作品には、発注主の意向が色濃く出ていると言うわけですね。

 

近代以降、美術作品を買い求める層は、それまでの教会や王侯貴族から、

庶民へと急速に拡大します。

画商が間に入り、売れる作品が重視されていきました。

ここでもやはり、作品には買い手の意向が強く影響していたのです。

 

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これらは考えてみれば、これはごくごく当たり前のことです。

美術家だって、稼いで食べていかなくちゃいけませんから。

作品を買ってくれる人(クライアント)の意向は、ある程度汲み取りますよね。

 

ですが、純粋に美術家のやりたいことを追求するなら、発注者や買い手の意向はさておこう、

と考えたのが、ハイレッドセンターのメンバーなのです。

つまり、簡単に言えば「やりたいことのためには、売れない作品でも作る」という、

前代未聞のスタンスを打ち立てたのでした。

 

それは時に、作品というかたちあるものではなく、

パフォーマンスや文筆活動などでも様々に展開されていきます。

 

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芥川賞を受賞した短編から、最近話題になった『老人力』まで、

赤瀬川原平の著作は数知れず。

 

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また、代表作の一つとしては、上の写真のように《宇宙の缶詰》があります。

これは、缶詰の内側にラベルを貼ることで、私たちも含め缶の外側の宇宙全体を梱包したというもの。

このすごいアイディア、くすっと笑わせてくれます。

 

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路上に出て清掃をしたり、無用となった後もそのまま残っている階段やトンネルなどに注目したり。

ユーモアと機知に富んだ新しい物事のとらえ方を、行動や作品を通して次々に示しました。

(この路上観察は、とりわけ皆さんの関心を引いたようで、会場に笑いがおきていました。)

 

それまでの美術のあり方を問い直し、これからの美術はどうあるべきか

という根本的な問いを、赤瀬川原平は人々に投げかけたと言っていいでしょう。

 

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今回のテーマ、赤瀬川原平とハイレッドセンターを取り上げる展覧会が、

名古屋市美術館で11月9日(土)から始まります。

赤瀬川原平らの柔軟な発想にはっとさせられる、そんな面白い体験ができるかもしれません。

ぜひ見に行きましょう!

 

次回、館長アートトークは11月23日(土)16:00~17:00

「横山大観、大観の富士と富士への道」です。

こちらもどうぞご期待ください。

 

 

 

【開催中の展覧会】

企画展 「歌舞伎 | 変身」

会期:2013年10月8日(火)~12月1日(日)

開館時間:10:00~19:00 (入館は18:30まで)

休館日:月曜日(祝日の場合は開館、翌火曜日が休館)

 

 

 

 

 

19. 10月 2013 · 第4回キッズアートラボ はコメントを受け付けていません · Categories: 展覧会, 教育普及

2013年10月19日(土)

 

今日は、6月から4回開催している清須キッズアートラボの最終日。

市内の小学3~4年生11名が参加しました。

こうして集まるのも4回目なので、すっかり打ちとけてきました。

のびのびした子どもたちの様子を見るのは嬉しいものです。

 

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まずは現在開催中の「歌舞伎 | 変身」展を一緒に鑑賞します。

歌舞伎役者を描いた錦絵や、歌舞伎の舞台裏の種明かしをした江戸時代の本など、

子どもたちは興味津々

 

それから、展示室で一番目を引く歌舞伎衣裳もじっくり観察しました。

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金色に光るこの衣裳はどんな役の人が着ていたと思う?

そう、金持ちのおじさんの役! だから、金糸の刺繍がふんだんに施してあります。

 

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こちらは遊女の中でも最高ランクの花魁(おいらん)の役が着ていた豪華な衣裳。

正月を表すしめ飾りや門松などがあしらわれているんですよ。

とっても変わった着物だね!でもこの華やかさで、うんと舞台栄えしたはず。

 

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これは男の人の衣裳?それとも女の人の衣裳?

模様には、重たそうな雪をかぶった松がデザインされているよ。

そう、これを着ていた人は、寒い冬を耐えるように、苦労を耐え忍ぶ役柄だったのです。
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こちらは全面に桜が散らされた着物。

赤い色は若い娘役の色なんですよ。

さぁ、息を呑むような美しい衣裳をみたところで、子どもたちに今日のテーマを話します。

「今日はそれぞれの舞台衣裳を作ってみよう!」

 

衣裳には、それを着る人の特徴をあらわす色や模様が使われていました。

一つひとつ意味があるんですね。

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では、自分がこれから作る衣裳を着る人の性格を考えましょう。

キャラクター設定です。そして、そのキャラにふさわしい色や模様についてもアイディアを練ります。

 

イメージが固まったところで、実際に衣裳作りスタート

今日は、思い切って屋外に出ました。

と言っても、小雨が降ってきてしまったので、青空の下というわけにはいかなかったのですが、

それでもいつもと違う雰囲気に、子どもたちも心が躍るみたい。

 

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長い和紙を半分に折って、真ん中に切込みを入れれば、

単純だけど服のかたちになります。

えりぐりの形は丸でも三角でもOK。

 

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あとは、用意したリボン、色紙、布、スパンコールなどを自由に組み合わせて、装飾していきます。

 

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針金の入った金色のテープを立体的に組んでお花を豪華にしたり、

フェルトを桜の花びらのかたちに切って散らしたり。

 

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みんな、思い思いに楽しんで作っていました。

とくに、自分が絵を描いたりアップリケをつけたりしたものが

衣裳になるという感覚が面白かったようです。

 

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完成後はみんなで記念写真をパチリ。

画用紙で麦藁帽子を作ったり、リボンでウエストをしばったり、

仕上げにも余念がなくて、思いっきりステキな衣裳が出来上がりましたね。

 

次に何かの舞台や映画などを見ることがあったら、

みんなはきっと、衣裳から役柄にも思いをはせてくれることでしょう。

 

開催中の展覧会。

貴重な歌舞伎衣装を見るだけでも一見の価値ありです。

ぜひお出かけください。

 

 

 

【開催中の展覧会】

企画展 「歌舞伎 | 変身」

会期:2013年10月8日(火)~12月1日(日)

開館時間:10:00~19:00 (入館は18:30まで)

休館日:月曜日(祝日の場合は開館、翌火曜日が休館)

 

 

 

 

 

17. 10月 2013 · 第7回清須アートサポーター はコメントを受け付けていません · Categories: 教育普及

2013年10月17日(木)

 

今月もアートサポーターの活動日がやってきました。

前半は、現在開催中の展覧会「歌舞伎|変身」を学芸員の解説付きでじっくり鑑賞しました

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本展では錦絵が57点展示してあります。いずれも国立劇場所蔵の貴重なものばかり

「変身」というテーマのもと選ばれた錦絵には、

例えば、七変化(へんげ)、八変化、十二変化といった変化物(へんげもの)を紹介した錦絵、

東海道四谷怪談のお岩のように人間が幽霊になったもの、

あるいは、『義経千本桜』の狐忠信や『伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)』の

仁木弾正(にっきだんじょう)のように、人間が動物に化けるもの。などなど。

歌舞伎にはさまざまな「変身」が表現されています

 

Exif_JPEG_PICTURE Exif_JPEG_PICTURE錦絵のほかには、(株)三越伊勢丹所蔵の歌舞伎衣裳の展示も見所のひとつ

三越には昭和14年まで衣裳部があり、そこで数多くの役者の衣裳を作っていたそうです。

今回は、昭和初期のものを中心に展示してあります。

 

また、参考展示ということで鬘(かつら)の展示もご覧いただけます。

歌舞伎の鬘は、立役(男性役)で1,000種類、女形(女性役)で400種類もあり、

それぞれの役で鬘のかたちや飾りつけなどが決まっているのです

 

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他にも、昭和時代を代表する写真家、木村伊兵衛(いへえ)の写真や、隈取を絹に転写した押隈など、

普段あまり見ることのできない展示作品の数々に、サポーターの皆さんの眼差しも真剣

 

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今回は、特別に御園座さんから大道具も少しお借りして、展示してあります

大道具には様々な工夫が凝らされており、その仕掛けをじっくり見て、さわっていただけます。

また、そのスケールも客席から見ているだけでは伝わりにくいものばかり。

サポーターのみなさんも大道具の一つ一つの工夫や大きさに驚いていらっしゃいました

 

この後、いつものティータイムで一息入れて、次回以降の予定の確認等を行いました

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次回からは、作家調べ&発表という勉強会を開催します。

10月~12月頃に近隣で開催している展覧会で見ることのできる作家を1名選んで

各自調べて発表する、というものです。

●「時代を代表する巨匠たち展」 @メナード美術館

●「日本画家が描いた西洋風景展」 @稲沢市荻須記念美術館

●「生誕130周年 彫刻家 高村光太郎展」 @碧南市藤井達吉現代美術館

 

以上の3つの展覧会の展示を見て各自担当を決めることになりました。

いずれも優れた日本近代画家や彫刻家ばかり

文献もたくさんあって調べ甲斐がありますね!!

みなさんの発表が今から楽しみです

 

 

 

【開催中の展覧会】

企画展 「歌舞伎 | 変身」

会期:2013年10月8日(火)~12月1日(日)

開館時間:10:00~19:00 (入館は18:30まで)

休館日:月曜日(祝日の場合は開館、翌火曜日が休館)

 

 

 

 

10. 10月 2013 · 第6回清須アートラボ はコメントを受け付けていません · Categories: 教育普及

2013年10月10日(木)

 

10月と言うのに30度を超える暑い一日となりました。

今日は清須アートラボの第6回目。

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「描かれた美女たち ~ルネサンスから印象派前夜まで~」と題して、

約500年間の西欧美術史を、「美女」をキーワードにたどってみました。

 

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まず、みなさんに「西洋美術で美人といったらどんな作品を思い浮かべますか?」

と質問したところ、即座に「モナ・リザ」という反応が。

 

そこで、レオナルド・ダ・ヴィンチの名画「モナ・リザ」の見どころから話を始めました。

ぼかしの技法や遠近法など、レオナルド独自の新しい技法や、

当時どんな人が美人とされたのか、宮廷人のマナーブックからご紹介。

 

その後、西欧の二大美女として、近代以前、数多く描かれてきた「聖母マリア」と

美の神「ヴィーナス」の中から、珠玉の名作を取り上げました。

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↑ こちらはフラ・アンジェリコの描いた《受胎告知》。

聖母マリアが、神の子イエス・キリストを身ごもったことを知らされる場面です。

 

聖母マリアが描かれた作品をいくつか見ていくと、

聖書の登場人物が描かれる際の、ポーズや衣服の決まりごとが分かってきます。

でも、一定の決まりごとがありながらも、画家によって違う描き方になるのが面白いところ。

聖母信仰がどのような社会背景から生まれたかにも触れました。

 

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↑ こちらはボッティチェリが描いた《春》。 中心にヴィーナスが描かれています。

当時、ギリシア神話を題材として描くことは、大変に革新的なことでした。

このヴィーナスの立ち姿は、それまでヨーロッパの人が慣れ親しんだ

聖母マリアの形から採られています。

どんな天才でも、まったく新しいものをゼロから作ることはできません。

まさに、伝統と革新のせめぎ合いが見られる1点ですね。

 

この他、ルネサンス以降の、バロックや新古典主義の時代に描かれた美女たちも取り上げました。

いずれも、先代の巨匠から巨匠へと、脈々と影響を受けている名作ばかり。

後の画家が、前時代の名画の構図やかたちをどのように現代風にアレンジしたのか、

それを探るのが名画鑑賞の醍醐味です。

 

今回は「美女」をキーワードに、みなさん楽しんで見ていただけたようでした。

 

次回は名古屋市美術館の展覧会、

〈ハイレッド・センター:「直接行動」の軌跡展〉 にお邪魔する予定です。

お楽しみに

 

 

 

【開催中の展覧会】

企画展 「歌舞伎 | 変身」

会期:2013年10月8日(火)~12月1日(日)

開館時間:10:00~19:00 (入館は18:30まで)

休館日:月曜日(祝日の場合は開館、翌火曜日が休館)

 

 

 

 

 

28. 9月 2013 · 第12回館長アートトーク はコメントを受け付けていません · Categories: 教育普及

2013年9月28日(土)

 

毎月恒例となった、館長アートトークの第12回目。

と、言うことは…?そう、館長アートトークを始めて丸1年がたちました!

今では、月に一度のこの会を楽しみに、毎回かかさず来てくださるメンバーもいます。

 

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肩肘張らない、見どころをぎゅっと凝縮した小気味よいトークが館長の持ち味

今回は「アンディ・ウォーホルとアメリカンポップアート」と題して語りました。

その内容を一部ご紹介しましょう。

 

「ポップアート」は、「ポピュラーな(人気の)アート」の略で、1960年代に爆発的な人気を博しました。

 

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ポップアートのキーワードは、戦後アメリカが体現した大量消費社会をそのまま映し出す言葉ばかりです。

通俗的、一過性、消耗品、安価、大量生産、セクシー、見掛け倒し…。

 

長い歴史と文化の厚みをもつヨーロッパとは違う、

新興国アメリカならではの身軽さ、大衆の力、経済力を武器にして、

今までにない日常的なもの、安価なものをアートの対象としていきました。

 

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アンディ・ウォーホルはその代表格。

マリリン・モンローやエルビスプレスリーなど、有名人を題材にした作品を多く制作しています。

また、コカ・コーラやキャンベル・スープといった、

スーパーに大量に売られている商品も好んで取り上げました。

しかも、シルクスクリーン(版画の一種)という、大量生産が可能な方法で。

 

有名人やコカ・コーラなどは、誰でもが知っていて、たくさんの人が大好きなものですよね。

それらを題材に選ぶのは、より多くの人に売れるものを作るという、まさに資本主義的な戦略です。

こんな発想、かつては芸術の世界にはないものでした。

 

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ウォーホルは、日本のビデオテープのTVコマーシャルにも登場したことがあります。

ウォーホル自身、消費社会のアイコンとしても機能していたんですね。

 

ポップアートとデザインはとても密接に結びついています。

そもそも、デザイナーがデザインしたコカ・コーラの瓶やキャンベルスープのラベルを

アートに取り入れたのがポップアート。

そして、ポップアートの画面構成の分かりやすさ、強烈な色使い、大衆に訴える力などを、

逆に今度はデザイナーが取り込んでいきました。

↓下の写真にあるように、グラフィックデザイナーや画家として一世を風靡した横尾忠則などはその好例。

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60年代、アメリカで花開いたポップアートの波は日本にも押し寄せ、大流行しました。

当時デザイナーとしてその勢いを肌で感じてきた館長だからこその、熱いトークとなりました。

 

 

次回は10月26日(土) 16:00~17:00  清須市立図書館2F研修室

「赤瀬川源平とハイレッドセンター、赤瀬川源平の言葉の力。」

ぜひお楽しみに!

 

 

 

【開催中の展覧会】

「リサとガスパール&ペネロペ展」

会   期:2013年7月6日(土)~9月29日(日)

開館時間:10:00~19:00 (入館は18:30まで)

休  館  日:月曜日(ただし祝日の場合は開館、翌火曜日が休館)

〈インターネット入館割引券〉

 

20. 9月 2013 · 第6回アートサポーター はコメントを受け付けていません · Categories: 教育普及

2013年9月20日(金)

 

今日は月に一度のアートサポーターの日。

いつものように、最近おとずれた展覧会を紹介してもらい、情報交換します

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それから担当学芸員が次回展覧会の内容をお話し、

みなさんに刷り上ったチラシを見てもらいました

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次回の企画展は「歌舞伎 | 変身」

歌舞伎の奥深い世界を、「変身」をキーワードに見ていこうというユニークな展覧会です。

そこで、チラシのメインビジュアルに使った作品も、一風変わっています

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役者が丸い鏡台の前に座っています。

その左側には、歌舞伎に登場する様々な役のかつらが並んでいます。

そう、舞台に立つ前に、かつらをつけ、化粧をして準備する場面

これからまさに「変身」して役に扮するところですね

それを、着せ替え人形のようにして、

役者のかつらを取り替えて遊ぶことができる錦絵なのです。

 

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他にどんなものを展示するのか、サポーターのみなさんには一足先にご披露しちゃいます。

上の写真では、担当学芸員が「隈取」の本を広げてみなさんに見せています

今回の展覧会では、御園座所蔵の隈取を数点展示予定のため、

ちょっとだけ、隈取についてのお話をしました

 

「隈取」とは歌舞伎独特の化粧のことで、赤色や藍色系統の線が顔に描かれます。

赤い筋はスーパーマン的な英雄を、黒や藍色の筋は悪者を表したり、

役柄によって線の太さや数などもかわります

 

こんなふうに、化粧ひとつとっても見る者にさまざまな楽しみを与えてくれる歌舞伎。

本当に奥が深いのです

今回の展覧会は、歌舞伎初心者の方に是非見ていただきたい内容となっています。

歌舞伎は難しいから・・・と敬遠されていた方にこそ、足を運んでいただきたい

歌舞伎の面白さの一旦に触れていただきたい

そんな熱い思いを、延々とサポーターのみなさんに語った担当学芸員でした

 

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随分長く話し込んでしまったので、いつものようにブレイクタイム

休憩の後は、歌舞伎展関連のトークイベントチラシのデザイン案を見ながら、

さまざまな意見を出し合いました。

 

みなさん、いつも的確なご意見ありがとうございます!

展覧会オープンまであと少し、がんばります

 

 

 

【開催中の展覧会】

「リサとガスパール&ペネロペ展」

会   期:2013年7月6日(土)~9月29日(日)

開館時間:10:00~19:00 (入館は18:30まで)

休  館  日:月曜日(ただし祝日の場合は開館、翌火曜日が休館)

〈インターネット入館割引券〉

 

 

 

 

 

07. 9月 2013 · 第3回清須キッズアートラボ はコメントを受け付けていません · Categories: 教育普及

2013年9月7日(土)

 

昨日は毎年恒例の清須キッズアートラボ「キャンパス探検!」でした

今年も元気いっぱいのメンバーがドキドキ、ワクワク、初めての芸術大学へ行ってきました。

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めがねと髭がトレードマークの版画コースの西村先生

今年もよろしくお願いします。

版画コースの部屋には、なにやら見慣れないものばかり・・・?!みんな興味津々

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今日は銅版画のドライポイントとエッチングという技法に挑戦!

小さいサイズと大きいサイズの2種類に分けて作ります。

技法や材料の説明の後、先生がおもむろに取り出したのは絵本?!

 

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『パトカーとピーすけ』という絵本の朗読がはじまりました

みんな先生の素敵な朗読に釘付け状態

主人公の男の子が、小学生になってからあまり大事にしなくなったおもちゃのパトカーとピーすけを

公園へ置き去りにして帰ってしまい、二人は力を合わせて男の子の家まで力を合わせてたどりつく。

その後、男の子は戻ってきたおもちゃを再び大事にする、というおはなし

 

今回の版画では、みんながむかし大好きだったものと、いま大好きなものをテーマにしました。

大きな版にはむかし大好きだったもの。小さな版にはいま大好きなものを描きます。

 

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白紙にそれぞれの大好きなものを下書きし、銅板へ本書きします

大きな版は「ドライポイント」という技法で作ります。

これは、ニードル等で版面を引っかいて描画し、そこにできた溝にインクを詰めて、

プレス機で紙に転写します。

 

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一方、小さな版は「エッチング」と呼ばれる技法で制作しました。

こちらは、写真左のようにまず銅板の表面をグランドと呼ばれる描画用の防触剤で覆い、

その上をニードルで描画し腐食液に浸けると描画した部分が腐食されます。

そこで現れた腐刻線にインクを詰め、プレス機で紙に転写します。

 

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インクを詰める作業や、余分のインクを拭き取る作業などどれも意外に力のいることばかり

大学院生や助手のお姉さんたちにお手伝いしていただきながら、

みんなとっておきの一枚を完成するために一生懸命取り組みました

 

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さあ、いよいよプレス機に版をのせて、慎重に紙の位置も決めます。

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みんなの背丈くらいのハンドルをがんばってまわす姿が印象的でした。

これ、見かけ以上にまわすのが大変なんですよ

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おっ!かわいいのができましたね

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後片付けもしっかりやりました

 

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最後に版画のサインの入れ方やエディション番号のルールについて教えていただきました。

今日は一人2枚ずつ印刷したので、エディション番号は1/2、2/2と入れました。

自分の名前はローマ字でかっこよく書けましたね

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全員で、はいチーズ

 

2種類の銅板画の技法を一度に体験し、その出来上がりの違いも比較することができ、

版画の面白さを体験することができました。

そして何よりも、作品を作ることで大好きなものへ思いを馳せ

新たに大切な思い出と作品を手にすることができた、かけがえのない一日となりましたね

西村先生、名芸のみなさん、ありがとうございました

 

 

 

【開催中の展覧会】

「リサとガスパール&ペネロペ展」

会   期:2013年7月6日(土)~9月29日(日)

開館時間:10:00~19:00 (入館は18:30まで)

休  館  日:月曜日(ただし祝日の場合は開館、翌火曜日が休館)

〈インターネット入館割引券〉

 

 

 

04. 9月 2013 · 学芸員実習最終日 展覧会を企画しました! はコメントを受け付けていません · Categories: 教育普及

2013年9月4日(木)

 

計8日間の博物館実習も、いよいよ今日が最終日。

実習の集大成として、実習生5人には、最後に大きな宿題を課していました。

それは、清須市はるひ美術館の展示室を使った展覧会をそれぞれ1つ企画し、発表すること

 

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↑ 発表前の最終準備をする実習生たち

 

どんなジャンルの展示でも。それぞれの専門分野に関連させた企画も大歓迎です。

でも、押さえておきたいポイントはいくつかあります。

 

・どうしてその展覧会をここで開催するのか

・具体的な展示作品はなにか

・展示内容から、どのような来館者層を想定し会期を設定するか

・人をひきつける展覧会タイトルはなにか

・関連イベントはなにをするか

これらを考え合わせて、展覧会の全体像をプレゼンしてもらいます。

 

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ポイントは5つですが、実際に考えるとなるとこれは大変な作業です。

企画を立案するには、これまでの美術館体験、読書体験、専門分野の研究、

もっと言えば、日ごろの問題意識や人生経験などを総動員する必要があるからです。

 

実習中にお話した、当館での展覧会ができるまでのお話や、

体験したイベント補助の経験が、少しは役にたつかもしれませんね。

 

さぁ、いよいよ発表です みんな緊張の面持ち。

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こちらは、展示室の見取り図を拡大したものに展示プランを書き込んで、

お客さんがどのような順番でどんな作品を見るかを説明しています。

アニメーションの展示だったので、モニターで動画も示してくれました。

 

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こちらは、展示室の立体模型を作って説明。

これだと、入口に立った時に、どの作品が見えるかもよりはっきり分かりますね。

彼女は、実際に自分が美術館に行った時の「分からない」という感想から、

お客さんに少しでも「分かった!」と思ってもらえるような展示をしたいとの思いで、

「怖い絵」という明確なテーマをかかげ、説明文を充実させる方向性を打ち出しました。

 

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こちらは、オーストリアの画家・建築家フンデルトヴァッサーを取り上げました。

フンデルトヴァッサーは自然を愛し、自然界にある曲線や渦巻きをモチーフに制作をした人。

清須市はるひ美術館の、自然に囲まれた建物の雰囲気から着想したそうです。

図版を見せながら、作品説明をしてくれました。

 

ここにご紹介できないのは残念ですが、

他にも、それぞれに思い入れのある作家や作品をテーマにした展覧会が披露されました。

 

学生さんたちはこれまで、(当然ですが)お客さんとして美術館の展覧会を見ていたはず。

それが、今回の発表で、展覧会を企画・運営する側から、

魅力的な計画を立てることの難しさと面白さを感じてもらえたのではないでしょうか。

 

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最後に、博物館実習で学んだこと、感じたことを書いた実習記録を完成させます。

実習生たちはそのみずみずしい感性で吸収した様々なことを、

こんなにぎっしり書き込んでいました。

 

実習生たちの熱意と真剣さに、私たちもエネルギーをもらいながら、

改めて美術館の仕事を見つめる7日間となりました。

 

今後皆さんはそれぞれの道を歩んでいかれることでしょう。

どんなかたちであっても、当館での経験がいきることがあれば嬉しいです。

実習が終わっても、気軽に遊びに来てくださいね!

 

 

 

 

【開催中の展覧会】

「リサとガスパール&ペネロペ展」

会   期:2013年7月6日(土)~9月29日(日)

開館時間:10:00~19:00 (入館は18:30まで)

休  館  日:月曜日(ただし祝日の場合は開館、翌火曜日が休館)

〈インターネット入館割引券〉

 

 

 

 

 

31. 8月 2013 · 実習生 ギャラリートークに挑戦! はコメントを受け付けていません · Categories: リサとガスパール&ペネロペ展, 展覧会, 教育普及

2013年8月30日(金)

 

博物館実習生5人。県内の大学4年生たちが、

現場で美術館全体の運営を学んだり、学芸員の仕事を体験したりしています。

 

先日は、一人ずつ展覧会の解説にトライしました。

一般のお客様のいる展示室で、実際の作品に囲まれてのギャラリートークです。

初めてのことに、少々緊張の面持ちの実習生たち。

 

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持ち時間はだいたい15~20分程度。この間に、要点を絞ってお話しなければなりません。

 

何歳ぐらいの、どういうお客様に対してお話しするのか、

どういう順番で、どの作品を選んでご案内するのか、

その作品のどの部分に注目するのか。

そのやり方は、それぞれにゆだね考えてもらいました。

 

マニュアルなどはありませんので、さぞ戸惑ったことでしょう。

 

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実習生たちは、リサとガスパール、ペネロペシリーズやその作者についてそれぞれ調べ、

解説するポイントをぎっしりノートに書いて挑みました。

真剣そのもの。気迫が伝わってきます。

 

絵本を読み込んで、ストーリーの面白さを紹介したり、

原画をよく見て、配色のすばらしさを指摘したり、

大人ではなく、小学生に語りかけるように話したり、

それぞれに工夫が凝らされていました。

 

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人前に立つとどうしても緊張して、シミュレーションどおりにはいかないものです。

終わった後で、あの時はこう言えばよかったのに、と悔しい思いもあったでしょう。

 

でも、みんな一生懸命伝えたいという姿勢で、持ち味を生かしてやりきりました。

すばらしい!

 

一人ずつ解説し終わったあとは、お互いに、よかった点と、改善点とを出し合いました。

みんなよく観察していて、的確な指摘をします。

それに、人のやり方を見て、いいところをすぐに取り入れられていました。

 

作品解説は、基本は他人と会話すること。

相手に合わせて、声のトーンも変われば、言葉の使い方だって変わります。

 

けれど基本的には、

・客観的な事実と、個人的意見とを自分の中で分けておく。

・相手が理解できているかどうか確認しながら進める。

・自分が感動した点を、他の人に伝える。

これらができれば、お客さまも安心し、興味をもって聞いてくださるのではないでしょうか。

 

ちなみに、私はまだ毎回試行錯誤しながらやっています。

経験を重ねることが、上達へのなによりの道なのかもしれません。

 

 

 

 

 

【開催中の展覧会】

「リサとガスパール&ペネロペ展」

会   期:2013年7月6日(土)~9月29日(日)

開館時間:10:00~19:00 (入館は18:30まで)

休  館  日:月曜日(ただし祝日の場合は開館、翌火曜日が休館)

〈インターネット入館割引券〉

 

 

 

 

 

29. 8月 2013 · 第5回清須アートサポーター はコメントを受け付けていません · Categories: 教育普及

2013年8月29日(木)

 

今日は、月に一度清須アートサポーターのみなさんが集まる活動日。

 

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いつものように、最近出かけた展覧会の情報交換から始めました。

 

ここ1ヶ月は記録的な猛暑のため、外出がままならない日が続いたのですが、

それでも、箱根まで行ってきたよと報告してくれる方もいました。

出かけた先の美術館で、清須市はるひ美術館のチラシを見つけて嬉しかったと。

ラックにたくさんのチラシが掲出されている中で、ほんの少し端が見えていただけだったけれど、

すぐに、うちのチラシだって分かったんだそうです。

 

サポーターの皆さん、外出先でもそうやって気にかけてくれてるんですねっ。

いっしょにはるひ美術館を盛り上げましょう!

 

ひとしきりお話した後は、作業に移りました。

二手に分かれて、チラシ送付作業と額磨き作業です。

 

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↑ こちらはチラシ送付作業。

今年度後期の、高北幸矢館長アートトークのスケジュールが分かるチラシと、

秋の企画展「歌舞伎 | 変身」のチラシ送付が控えているので、その準備です。

封筒の大きさは3種類。適した大きさの封筒に、それぞれ間違いなく、宛名ラベルを貼っていきます。

 

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↑ こちらは額磨き作業。

展示で使った額は、どうしても手垢やほこりで汚れてしまうもの。

1つずつ、箱から出して、ガラスの表と裏をふいて、きれいにします。

100個ほどの額を、汗をかきながら一生懸命磨いてくれました。

こうしておくと、次回使う時にスムーズで、気持ちいいですよね。

 

どちらも人手があると大助かり。

 

休憩時間には、紅茶を入れて一息つきました。

Kさんが持ってきてくれた新鮮なレモンのスライスを浮かべると、

いつもの庶民的なお茶が、高級レモンティーにはや変わり

さわやかな香りも、みんなの疲れをいやしてくれました。

また次ももってきてね! みんなから熱いリクエストが寄せられていました。

 

アートサポーターの皆さんは、この全体の活動日のほかにも、

開催中の「リサとガスパール&ペネロペ展」のイベントを支えてくれています。

その様子はまたこのブログでお話ししていきますね。

 

 

 

 

【開催中の展覧会】

「リサとガスパール&ペネロペ展」

会   期:2013年7月6日(土)~9月29日(日)

開館時間:10:00~19:00 (入館は18:30まで)

休  館  日:月曜日(ただし祝日の場合は開館、翌火曜日が休館)

〈インターネット入館割引券〉

 

 

 

 

 

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