07. 2月 2016 · バイオリン・コンサート はコメントを受け付けていません · Categories: 展覧会, 教育普及

2016年2月7日(日)

 

今日は名古屋出身のバイオリニスト、中川香さんと松本一策さんをお招きして、エコパリ展関連イベントとして「バイオリン・コンサート」を開催しました

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中川さんは武蔵野音楽大学音楽学部器楽学科を首席で卒業。現在はセントラル愛知交響楽団団員としてご活躍されています。

松本さんは信州大学理学部物理科学科を卒業後、愛知県立芸術大学へ進学。卒業後は自主企画のコンサートをはじめ、レッスン、依頼演奏やアマチュアオーケストラの指導など、後進の育成にも力を入れています。

今回はエコール・ド・パリ展にちなんで、同時代の音楽家やフランスの映画音楽などを中心に、全部で10曲(+アンコール1曲)演奏していただきました

1. ジュ・トゥ・ヴ (サティ)
2. シェルブールの雨傘 (ルグラン)
3. Where is your heart (オーリック)
4. 2台のヴァイオリンのためのソナチネ (オネゲル)
5. 亡き王女のためのパヴァーヌ (ラヴェル)
6. ハバネラ (ビゼー)
7. 月の光 (ドビュッシー)
8. 愛の賛歌 (モノー)
9. 私の心はヴァイオリン (ラパルスリー)
10. ツィガーヌ (ラヴェル)

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先着50名のイベントでしたが、立ち見も出るほど大勢のお客様にお越しいただきました

エコパリの芸術家たちが生きた時代、同じくパリで活動していた音楽家としてよく知られているのはエリック・サティやモーリス・ラヴェル。

少し上の世代にはクロード・ドビュッシーなどがいます。

オネゲル、オーリックは「フランス6人組」と呼ばれる作曲家集団のなかの2人で、彼らはモンパルナスの画家のアトリエで、美術と音楽のコラボレーション企画などもおこなっていたそうです

諸芸術が花開いた20世紀初頭のパリにおいて、絵画や彫刻だけでなく、音楽の世界にも新しい波がもたらされたことがうかがえますし、彼らがアトリエやカフェなどで芸術談義を交わしていたのだろうか・・・と妄想が膨らみます

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ご夫婦でもあるお二人。息ぴったりの演奏で、会場がパリの空気に包まれました

聞きなれた美しい旋律のメロディーもあれば、20世紀らしい個性的な調性の音楽もあり、エコパリ展の雰囲気をより深く味わっていただけるようなラインナップでした

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とくに、超絶技巧を要するラヴェルの「ツィガーヌ」は圧巻の一言!弾き終わるとみなさんの感嘆のため息が洩れました

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音楽家や曲のエピソード、練習の裏話などのトークも交えながらの楽しい1時間となりました

展覧会と合わせて、余韻に浸りながらお帰りいただけたのではないでしょうか?

 

残すところ会期もあと20日ほど。

まだ・・・という方も、もう一度!という方も、ぜひぜひお越しくださいませ。

 

【開催中】

北海道立近代美術館・札幌芸術の森美術館コレクションによる

エコール・ド・パリ -パリに咲いた異邦人の夢-

会   期:2016年1月9日(土)~2月28日(日)

開館時間:10:00~19:00 (入館は18:30まで)

休 館 日:月曜日

観 覧 料:一般700円、中学生以下無料

 

 

 

 

 

 

 

31. 1月 2016 · 「まるでパリじゃん!」 はコメントを受け付けていません · Categories: 展覧会, 教育普及

2016年1月30日(土)、31日(日)

 

エコパリ展のビッグイベント、「まるでパリじゃん!」が1月30日(土)、31日(日)の2日間をかけて開催されました

グラフィックデザイン、アートディレクション、イベント企画など幅広く活動するユニット、holidayの堀出隼さんによる似顔絵イベントです

堀出さんはいわゆる「似顔絵師」ではなく、さまざまな活動の内の一つとして、出会った人たちの似顔絵をその場で描く似顔絵イベントを各地でおこなっています。

(※holidayについてはこちら→http://we-are-holiday.com/

今回はエコール・ド・パリ展の内容に合わせ、モンマルトルやモンパルナスの街角にいるような似顔絵画家をヒントに、お客様がまるでパリの下町にいるかのような気分を少しでも味わっていただきたく、堀出隼もといCROQUIS MONSIEUR(クロッキームッシュ)として似顔絵を描きまくっていただきました!

ちなみに「まるでパリじゃん!」というタイトルも堀出さんのアイデアです。(ダジャレになっているの、気がつきましたでしょうか?)

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似顔絵はムッシュが手にしているトリコロールのカードに描きます。油性ペンで一発勝負。一人当たり5分ほどで完成させます。

(手前のカンヴァスはディスプレイですが、ムッシュの息子さんが2歳のときに描いた作品とのこと。)

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開館直後からたくさんの方にご来場いただき、瞬く間に予約でいっぱいに・・・

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お一人の方もいれば、カップルやご家族も。なかには「1枚は一人で描いてもらって、2枚目は家族と!」というお客様もいました

性別も年齢層もさまざまで、「美術館で似顔絵」という企画に興味津々。

しかしいざ始まるとけっこう緊張するもので・・・ スタッフも合間に描いてもらったのですが、誰かにずっと見つめられたり、5分間とはいえ目の前の人と言葉を交わさずじっと目を合わせたりというのは思っていたよりもどぎまぎしてしまうことがわかりました。これもひとつのコミュニケーションですね。

 

恥ずかしがりながらもモデルを努めたみなさん。

完成した似顔絵を目にすると思わず歓声と笑顔が!

とても特徴をとらえていて、名前もかっこよくデザインされています

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終日予約は途切れることなく、最終的に2日間で約80人の方に参加していただきました

展覧会を見たついでに寄っていかれた方、イベントを目当てに来られた方、みなさんがとても充実した表情で館をあとにされるのを見て、スタッフも大変嬉しかったです

エコール・ド・パリ展をちょっと異なる視点から楽しんでいただけたのではないでしょうか。

 

描き続けて腱鞘炎になってしまったムッシュも、「楽しかった!」と言いながら帰っていきました。

参加していただいたみなさま、堀出さん、本当にありがとうございました!

 

次のイベントは2月7日(日)14:00~のバイオリン・コンサートです。

名古屋出身のバイオリニスト、中川香さんと松本一策さんによるデュオをお楽しみいただけます。

★料金無料(要観覧料)

★先着50名(当日13:30から整理券配布)

 

 

【開催中】

北海道立近代美術館・札幌芸術の森美術館コレクションによる

エコール・ド・パリ -パリに咲いた異邦人の夢-

会   期:2016年1月9日(土)~2月28日(日)

開館時間:10:00~19:00 (入館は18:30まで)

休 館 日:月曜日

観 覧 料:一般700円、中学生以下無料

 

 

 

 

 

 

 

23. 1月 2016 · 第40回館長アートトーク:エコール・ド・パリ 藤田嗣治、困窮からパリの寵児へ はコメントを受け付けていません · Categories: 展覧会, 教育普及

2016年1月23日(土)

 

2016年最初の館長アートトークのテーマは「藤田嗣治」。

現在当館で開催中の「エコール・ド・パリ -パリに咲いた異邦人の夢-」展に作品が展示されている作家の一人です。

展覧会と合わせてご来場いただいた方が多かったようで、いつもより密集度高めです

藤田嗣治の人気の高さもうかがえますね

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エコール・ド・パリのなかでもとくにその名が知られる藤田嗣治。

東京美術学校(現在の東京藝術大学)卒業後、1913年に渡仏。

ピカソやモディリアーニなど当時の前衛美術の最先端にいた芸術家たちと交流しながら独自の画風を築き上げ、1920年代にはフランス国内で高い評価を得るようになります。

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この独特の風貌、見覚えある方もいらっしゃるかもしれません。

おかっぱ頭に丸眼鏡、両耳にリングのピアスをつけて粋なスーツを着こなす藤田は、当時のパリでもかなり個性的だったようです

(上映中の映画「FOUJITA」ではオダギリジョーが藤田を演じていますが、完璧に再現されていますね・・・!)

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藤田をフランス語表記にすると FOUJITA になることから、頭の「FOU」をとって「FOUFOU(フーフー=お調子者)」という愛称でも親しまれていました。

奇抜な格好をしたり、ユーモラスな愛称をつくったりすることは、彼にとって自己表現のひとつであったと言えます。

モンマルトルやモンパルナスにヨーロッパ中から大勢の芸術家の卵たちが集まってきた1920年代。遠い東の異国からやってきた名もなき日本人画家が、芸術の都パリでいかにして生き抜いていくかということは、非常に重要な問題だったでしょう。芸術家としての技術はもちろん、自分を売り込むための自己プロデュース力も必要になってきます。藤田はその点で突出した才能を見せ、一躍パリの寵児になったのです

 

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彼の作品の代表的な特徴といえば、乳白色の肌の裸婦です。特殊なメディウムの配合でつくり出されたなめらかで艶やかな肌の色は唯一無二のもの。

藤田は終生、自らの表現技法について誰かに教えることはなかったのだとか(近年研究が進み、タルク(ベビーパウダーの材料)を使用していたことが指摘されています

またその乳白色を際立たせているのが、日本画で使用する面相筆と墨を使って描かれた繊細な輪郭線です。

浮世絵をはじめ日本の文化がフランスで流行していたことは有名ですが、藤田は日本人という自分のアイデンティティを強みにして、作品表現に生かしていた部分もあったのでしょう

 

その後、世界恐慌から第二次世界大戦へと続く激動の時代に入り、藤田は日本に帰国します。

フランスで確立したスタイルだけでなく、そのときの興味関心や描く対象によってさまざまな画風を見せていることから、藤田の類稀なる芸術センスと技量がうかがえます

 

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戦中は軍からの要請で、戦地の様子を伝えたり兵士たちや国民の戦意を高揚させたりするような「戦争画」を手がけています。

こういった作品に対して今なおさまざまな意見がありますが、当時の日本に生きる画家として戦争に向きあい、彼ができることをやった結果であるということは言えそうです。

 

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戦後、藤田をはじめとする戦争画家たちは戦犯として糾弾されることとなります。彼はそのような日本の美術界に見切りをつけ、再びフランスへ。フランス国籍を取得し、キリスト教に改宗して洗礼名「レオナール」を授かります。

晩年は教会建築にも携わり、フランス人「レオナール・フジタ」として生涯を終えました。

 

美しい女性や可愛らしい子どもの絵だけではない、藤田の多様な作品。

いまだ謎めいている部分も多く、魅力は尽きません

 

今回のエコパリ展では藤田作品を3点展示。

独自の画風を確立する以前の初期の作品と、最晩年の作品になります。

貴重なラインナップなので、ぜひこの機会をお見逃しなく

 

【開催中】

北海道立近代美術館・札幌芸術の森美術館コレクションによる

エコール・ド・パリ -パリに咲いた異邦人の夢-

会   期:2016年1月9日(土)~2月28日(日)

開館時間:10:00~19:00 (入館は18:30まで)

休 館 日:月曜日

観 覧 料:一般700円、中学生以下無料

 

 

 

17. 1月 2016 · エコール・ド・パリ -パリに咲いた異邦人の夢- はコメントを受け付けていません · Categories: 展覧会

2016年1月17日(日)

 

エコール・ド・パリとは。

1920~30年代のパリで活躍した芸術家たちの総称で、「パリ派」という意味です

文化の中心地のパリには、当時世界中から多くの芸術家たちが押し寄せていました。

彼らは異邦人として差別を受けたり貧困にあえいだりしながらも、前衛的な芸術に魅せられ、

それぞれ独自の個性を発展させていきます。

なかにはフランス人も含まれていますが、異邦人の芸術家たちと共同アトリエやカフェで交流し、

同じく新しい表現を追求していました

今回の展覧会では、パスキン、シャガール、ローランサン、ユトリロ、モディリアーニ、キスリング、ルオー、ヴラマンク、藤田嗣治・・・などなど総勢17人の画家・彫刻家の作品を展示しています。

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作品はすべて、北海道立近代美術館と札幌芸術の森美術館からお借りしています

なかでも北海道立近代美術館が誇る日本有数のパスキン・コレクションは必見です

 

解説パネルや展覧会図録、オリジナル紙袋にはそれぞれの作家の似顔絵イラストが(好評です!)

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個性的な面々と合わせて作品をお楽しみください

 

2階オープン展示室では、「ピンナップ・パリマップ!」と題したミニワークショップを常時実施しています

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大きなパリの地図に、おすすめスポットや思い出のエピソードなどを書き込んだマスキングテープやふせんをぺたぺた貼って、世界にひとつだけのパリマップをみんなでつくろう!という企画です

すでにけっこうマニアックな情報が集まっています。。!

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展覧会を見たあとに、ぜひお立ち寄りください

パリの異邦人気分を味わっていただければと思います

 

★そのほかにもイベントいろいろ。詳しくはこちらをご覧ください。

 

2月1日(月)に展示替をおこない、前後期合わせて67点を展示いたします。

半期しか見られない作品もありますので、どうぞお見逃しなく!

 

【開催中】

北海道立近代美術館・札幌芸術の森美術館コレクションによる

エコール・ド・パリ -パリに咲いた異邦人の夢-

会   期:2016年1月9日(土)~2月28日(日)

開館時間:10:00~19:00 (入館は18:30まで)

休 館 日:月曜日

観 覧 料:一般700円、中学生以下無料

 

 

 

 

 

 

 

 

17. 1月 2016 · エコール・ド・パリ -パリに咲いた異邦人の夢- 【展示作業】 はコメントを受け付けていません · Categories: 展覧会

2016年1月17日(日)

 

年があけてすっかり日にちが経ってしまいました。本年もどうぞよろしくお願いいたします

2016年最初の展覧会は、

「北海道立近代美術館・札幌芸術の森美術館コレクションによる エコール・ド・パリ -パリに咲いた異邦人の夢-」展

です!

岡山県の新見美術館、大分県の大分市美術館、広島県のはつかいち美術ギャラリーから巡回して、

ついに当館にやってきました

まずは搬入・展示作業の様子を少しだけ。

梱包された作品が展示室に運び込まれたところ。

点数はもちろんわかっていますが、この物量に「本当にうちに入りきるのだろうか・・・」とちょっと不安になりました

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大きい作品は2~3人がかりで慎重に運びます。(このなかにはシャガールの作品が。)

輸送中の傷や異常がないか作品をチェックしながら開梱し、展示プランに沿って仮置きしていきます。

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作品間隔や並び順を調整して、壁掛け作業へ。

展示室がだんだん完成形に近づいていくのを見るのはわくわくします

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キャプションや解説パネル、章バナーなども取り付け、最後にライティング作業

100年ほど前の作品もありますので、光による傷みをできるだけ抑えるため、1点ずつ照度を測りながら照明を当てていきました。

 

今回の展覧会は、これまで当館ではあまり展示する機会のなかったジャンルのものです。

どのような印象になるか、実際に展示してみないとわからない部分が大きかったのですが、

作品をお借りした北海道立近代美術館、札幌芸術の森美術館からのアドバイスや、

他館での展示風景を参考にしながら、なんとか形にすることができました

じっくりと鑑賞を楽しんでいただけるのではないかなと思います。

 

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みなさまぜひお越しください

 

【開催中】

北海道立近代美術館・札幌芸術の森美術館コレクションによる

エコール・ド・パリ -パリに咲いた異邦人の夢-

会   期:2016年1月9日(土)~2月28日(日)

開館時間:10:00~19:00 (入館は18:30まで)

休 館 日:月曜日

観 覧 料:一般700円、中学生以下無料

 

 

 

 

 

 

18. 12月 2015 · アーティストシリーズVol.80 大山紗智子展 はコメントを受け付けていません · Categories: はるひ絵画トリエンナーレ, 展覧会

2015年12月17日(木)

 

今年度4人目のアーティストシリーズは、

「清須市第8回はるひ絵画トリエンナーレ」にて優秀賞を獲得した大山紗智子さん。

愛知県立芸術大学大学院に通う学生です。

 

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今回の個展では、「よくある運命」というサブタイトルで、

昨年・今年の2年間に制作した15点を出品しています。

 

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大山さんの作品には、人々の日常生活に戦闘機が突如出現するという場面がよく描かれます。

ただ、戦闘機の出現という異常な事態にもかかわらず、画中の人々は驚いている様子もなく、

入浴をしたり、食事をしたり、遊んだり、休息したりと、もっぱら日々の営みに没頭しています。

なぜでしょうか。

 

12月12日(土)、アーティストトークにて、大山さんが作品について語ってくださいました。

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戦闘機は、大山さんが愛好するプラモデルなのだそうです。

同時に、彼女にとっては、身近な人の死の象徴でもあります。

つまり、わたしたちの生の営みに突如出現するプラモデルは、

われわれに寄り添う、死の存在でもあるのです。

 

死はいつ私たちを襲うかもしれない。

けれど、それをことさらに恐れ、騒ぎ立てるのではなく、淡々と毎日を過ごしていきたい、

そんな思いがこめられています。

 

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大山さんの作品は、タイトルを一ひねりしてあったり、

よく見ると人が穴に落ちていたり、浴槽から脚だけが出ていたりと、

見る人をクスリと笑わせる部分があります。

テーマの重さは前面に出さず、ユーモアをもって人の営みを捉えているのです。

まるで、「人生は滑稽だ」と言っているかのよう。

 

そして、戦闘機の出現に驚くでもなく、目の前の用事を粛々とこなす人間の姿は、

現代社会の縮図にも見えてきます。

日々どこかで起こる事件を、新聞やテレビ、SNS等で見聞きしてはいても、

他人事に深入りすることなく、我が事にのみ心をくだいている。

そんな人間の様子を、「人間ってこうしたものだ」とやや離れた所から肯定的に見ているのが、

大山さんの作品世界のような気がします。

 

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ただ、最新作では、戦闘機が出現しない作品も。

色味も、赤茶と紺を基調にしたものから、紫がかった寒色を多く使ったものへと変化しています。

これら最新作では、物語性が引っ込んだ代わりに、

色や形をキャンバスにどのように配置するかという、造形的な実験が目を引きます。

 

今後の展開がとても楽しみな大山紗智子さん。

ぜひ、会場に足を運んで、大山ワールドを味わってくださいね。

12月27日まで開催中です。

 

 

 

【開催中の展覧会】

清須市はるひ絵画トリエンナーレ アーティストシリーズ Vol.80 大山紗智子展

会期:2015年12月10日(木)―12月27日(日)

開館時間:10:00―19:00

休館日:月曜日(ただし祝日の場合は開館、翌火曜日が休館)

観覧料:一般200円、中学生以下無料

03. 12月 2015 · アーティストシリーズVol.79 矢島史織展 はコメントを受け付けていません · Categories: はるひ絵画トリエンナーレ, 展覧会

2015年11月29日(日)

 

アーティストシリーズ3人目、矢島史織さんの展覧会を開催しています

矢島さんは清須市第8回はるひ絵画トリエンナーレで準大賞を受賞されました

受賞作《Monster》は、トリエンナーレ会期中の来場者の投票によって「美術館賞」にも選ばれています

《Monster ♯1》2015年

 

展覧会のタイトルは、「ひかりのなかの永遠」。

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矢島さんは、「光と影」をテーマに作品を制作してきました。

きっかけは木漏れ日のピンホール現象を見たこと。

無数の楕円形の光が地面に落ちて揺れ動いている光景に感動したそうです

はじめは目に映った景色そのものを表現していましたが、次第にテーマは「目に見えない光と影」へ。

人間の心のなかにある輝きと闇のようなものを、コップや家といった身近なものに映し出していきました

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今回の展示では、2009年から2015年までの22点の作品をご紹介しています。

注目は、最新作の《Monster》シリーズ!

受賞作品をきっかけとして、5作目まで制作されています。

子どもの成長をあらわしたこのシリーズ。繊細な筆遣いと色合いでありながら、生のエネルギーがみなぎるような画面は、矢島さんにとって新たな境地となる表現です

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今日おこなわれたアーティストトークでは、作品の制作背景や内容について、丁寧にお話ししていただきました。

矢島さんの作品は墨や岩絵具、膠(にかわ)、胡粉(ごふん)といった日本画の材質を使って描かれていますが、

なかなか扱いが難しいのだそう

それでも、自分の表現したいものに適しているからこそ、

こういった材質にこだわって作品を創り続けているんですね

キラキラと輝く岩絵具の質感、墨のにじみ、和紙のしっとりとした滑らかさを感じるような作品たちは、

どれも温かみがあり、見る人の気持ちを穏やかにしてくます。

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先日発表されたばかりの「シェル美術賞2015」でも、準グランプリを受賞された矢島さん!

今後の活躍がますます期待されます

12月5日(土)までの会期となっております。どうぞお見逃しなく

 

 

【開催中の展覧会】

清須市はるひ絵画トリエンナーレ アーティストシリーズ Vol.79 矢島史織展

会期:2015年11月18日(水)―12月5日(土)

開館時間:10:00―19:00

休館日:月曜日(ただし祝日の場合は開館、翌火曜日が休館)

観覧料:一般200円、中学生以下無料

 

 

 

 

11. 11月 2015 · アーティストシリーズVol.78 原賢二展 はコメントを受け付けていません · Categories: はるひ絵画トリエンナーレ, 展覧会

2015年11月11日(水)

 

季節はすっかり秋ですね。

日中はまだ暖かいですが、朝晩は冷えてくるようになりました。着るものに困りますね。。

美術館入口の花壇には秋の草花が綺麗に咲いております

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さて、現在開催中の展覧会は、

清須市はるひ絵画トリエンナーレ アーティストシリーズ Vol.78 原賢二展 です!

今年度のアーティストシリーズ、2人目の作家さんになります

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今年おこなわれた第8回清須市はるひ絵画トリエンナーレでは、《ティツィアンとティントレット》が優秀賞を受賞しました

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この作品、ぱっと見ただけでは(よく見ても)わかりにくいのですが、実は写真を使っています

手前のワイングラスに焦点が当てられていて、その後ろにいる2人の人物はかなりぼんやり。

プリントした写真のうえから筆で絵具が重ねられているので、写真なのか絵画なのかわからなくなってくるような、

不思議な画面が作り出されているのです

 

今回の展覧会タイトルにもあるように、原さんは「絵画と写真の枠組み」というものを意識して制作に取り組んでいます。

芸術表現を(便宜的に)隔てている「絵画」や「写真」といったジャンル、

1枚の画面という限りある表現媒体、作品をおさめる額縁・・・など、いろいろな意味での「枠組み」を、

分割・解体したり、横断したり、重ねたり、強調したり、再構築したりして模索しています

その表現方法はほんとうにさまざま。

今回は新作を含め44点の作品が展示されていますが、同じ人が描いたとは思えないほどバラエティ豊かです。

あえてカオスな展示にすることで、これまで自分がやってきたことを全体として見てほしい!との意向です

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先日はアートサポーターの鑑賞会のなかで一つ一つ詳しく解説していただきました

不思議なインパクトがある作品を見ながら、「どうなってるの?」「どうやって描いているの?」と直接本人に話を聞くことで、

面白さが増していたようです

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11月14日(土)14時から、原賢二さんによるアーティストトークがあります。

最終日ですので、ぜひこの機会をお見逃しなく!

 

【開催中の展覧会】

清須市はるひ絵画トリエンナーレ アーティストシリーズ Vol.78 原賢二展

会期:2015年10月28日(水)―11月14日(土)

開館時間:10:00―19:00

休館日:月曜日(ただし祝日の場合は開館、翌火曜日が休館)

観覧料:一般200円、中学生以下無料

 

 

 

10. 10月 2015 · アーティストシリーズVol.77 興津眞紀子展 はコメントを受け付けていません · Categories: はるひ絵画トリエンナーレ, 展覧会

2015年10月10日(土)

 

今年行われた「清須市第8回はるひ絵画トリエンナーレ」にて、

高く評価された作家さんを個展形式でご紹介するアーティストシリーズ。

7日から、興津眞紀子展が始まりました。

今年度のアーティストシリーズでは、

興津さんの展覧会を皮切りに、順次4名の作家さんをご紹介します。

 

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興津さんは、「清須市第8回はるひ絵画トリエンナーレ」の大賞受賞者。

《光と希望》(写真下)が最高賞に選ばれました。

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今年の2月頃、審査結果を受けて学芸員から興津さんへ、

この秋から始まるアーティストシリーズは、

ぜひとも大賞受賞者である興津さんの個展から始めたいとお願いしましたら、

別所での展覧会スケジュールを変更し、

当館の個展に向けて全力で挑んでくださいました。

 

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興津眞紀子展では《光と希望》のほか、15点を展示しています。

 

ところで、このアーティストシリーズでは、

はるひ絵画トリエンナーレで評価を受けた作家の最新作が見られる、

というのが一つの大きな魅力です。

 

つまり、展示の予定が決まると、作家は可能な限り、新たな作品作りに取り組みます。

ただ、展示室の壁面長は合計すると60メートルほどありますので、新作だけでは埋まりません。

どのくらい前までさかのぼって、過去に描いた作品もとりまぜて展示を構成するか、

その際、どんなテーマで見せるのか、そういったことも、作品制作と並行して練り上げます。

 

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興津さんは、展覧会まで半年しかないという短い期間に、新作をなんと11点も描いたそう。

いかに短期間に集中力を高めて描いていたかが窺えます。

本展ではそうした新作のうち、9点を展示しています。

 

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それから、展覧会サブタイトルは「光と希望」とつけました。

これは、大賞作品《光と希望》から取ったものです。

「この作品が私にとって文字通り〈光と希望〉となりました。」と語る興津さんの言葉が、

今回の展覧会の性格を最もよく言い当てていると思います。

 

 

さて、今日は作家自身が作品解説をするアーティストトークを開催しました。

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1点1点、何を試みた作品なのか、集まったお客様に丁寧に説明してくれました。

興津さんは絵を描き始めて40年ほど。その間、一貫して追求してきたのは「透明感」です。

そもそも学生時代に、ガラス板に反射して映る像と、

ガラス板越しに透けて見える物とを画面上に統合しようとしたのが始まりなのだとか。

 

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今回展示している2010年以降の作品では、その「透明感」を出すために、

画面に水滴や植物のシルエット、太陽に照らされて輝く水面などを配して、

手前から奥へと続く、空間の深さを作り出しています。

 

メインは、写真下の作品4点です。全て同じ大きさのキャンバス(162×162cm)に描かれています。

《光と希望》(写真下:左から2番目)のシリーズとして描いた新作。

《光と希望》がどういう作品だったのか、確かめるために描いたと言います。

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《光と希望》の受賞は、実は興津さんにとっては予想外だったそう。

なぜなら、それまで描いてきた、きっちり計算された構築的な画風と違い、

ラフな線や、偶然できた絵具の飛沫を活かした作品だったから。

これまで積み上げてきたものではない、別の側面を評価されて戸惑ったのですね。

 

はるひ絵画トリエンナーレに向けて制作していた作品が失敗し、締切が迫り、

時間のない中で、2作目として思い切って描いたことで、何かが吹っ切れたのでしょう。

それに、失敗した1作目があったおかげで、描きたいものが頭の中で整理されていたことが

結果的に功を奏したのかなと分析されていました。

 

 

作品解説をしながらも、興津さんの視線は決して過去に向いてはいませんでした。

作品ごとに更なる課題を見つけ、「次はこうしてみたい」と意欲を語る興津さん。

 

今後ますます、興津さんの作品世界は深化していきそうで楽しみです。

 

 

【開催中の展覧会】

清須市はるひ絵画トリエンナーレ アーティストシリーズ Vol.77 興津眞紀子展

会期:2015年10月7日(水)―10月24日(土)

開館時間:10:00―19:00

休館日:月曜日(ただし祝日の場合は開館、翌火曜日が休館)

観覧料:一般200円、中学生以下無料

 

 

 

 

23. 8月 2015 · 花になろう!蝶になろう! はコメントを受け付けていません · Categories: 展覧会, 教育普及

2015年8月23日(日)

 

今日はダンスワークショップ「花になろう!蝶になろう!」を開催しました。

 

「ミッフィーのたのしいお花畑」展は、そのタイトルの通り、

ディック・ブルーナの絵本の中から、お花や植物が出てくる場面を中心に紹介する展覧会。

ミッフィーの生まれたオランダは、チューリップなどお花で有名ですね!

 

今日のダンスは、実際に身体を使って

お花や蝶の出てくる絵本の世界に飛び込んでみよう!という企画です。

 

 

まずは展示室へ。ディック・ブルーナが描いた『はなのほん』を紹介します。

残念ながら邦訳が出ていないのですが、

ブルーナの絵本の中で最もシンプルな一冊とされ、ファンも多くいます。

 

 

「チューリップ、タンポポ、すずらん。このお花、知ってるかな?」

「花びらはどんな形?」

「花はどっちをむいて咲いている?」

問いかけに、子どもたちは思い思いに答えます。

 

花にはいろんな形や色があることが分かったら、

いよいよ場所を移してダンスワークショップスタート!

 

講師は舞踊家のこかチ ちかこさん。

Dance Workこかチの生徒さんがアシスタントに加わります。

 

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はだしになって、まずは準備運動!

 

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キュッとと小さくなったり、上下左右にぐーんと伸びたり。

ゆらゆらゆれて、体がほぐれてきたら、

一列になって前の人の肩をもち、、1匹の巨大なムカデになりました。

 

 

 

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前の人の動きに合わせて立ったり座ったり。

体で伝言ゲームをしているみたいです。

 

 

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ムカデの次はおもちゃになってみました。

ぬいぐるみや怪獣、ロボットに粘土、たくさんのかわいいおもちゃがいっぱいです。

大きな口の怪獣は「ガオー」と言いながら火を噴いたり、

粘土はこねられてごろごろと床の上を転がり お隣の粘土とくっついちゃったり。

 

 

 

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いよいよ次は、お花チームと蝶チームにわかれて踊ります!

お花チームは、種から芽が出で葉っぱを広げ、茎を伸ばして、

とうとうお花を咲かせました!

 

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蝶チームは、たまごから出てきた幼虫が、さなぎになり、

とうとう羽根を広げた蝶が誕生しました!

 

 

 

 

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蝶はひらひら飛んでお花までたどり着き、おいしい蜜をもらいます。

お礼に蝶はお花を誘って大空の旅にでました。

 

途中、突然の雨に風も強くなって雨宿り。

雨が止んだら外にでて、また元気いっぱいに旅をしました。

 

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みんなで空の大冒険をして、ワークショップはおしまい。

「もっとやりたーい」という声があがって、アンコールも。

 

みんな、初めてのお友達といっしょに即興で体を動かして、楽しみましたね。

今日は、たくさんのかわいいお花や蝶に出会えました。

 

ミッフィーのシリーズをはじめとするディック・ブルーナの絵本は、

シンプルな線と物語ゆえに、想像の翼を大きく広げることが出来ます。

いろんなことを想像しながら読んでもらえると嬉しいです。

 

 

 

【開催中】

ミッフィーのたのしいお花畑 ディック・ブルーナが描くお花と絵本の世界展

会   期:2015年7月4日(土)~9月30日(水)

開館時間:10:00~19:00 (入館は18:30まで)

休 館 日:月曜日(ただし祝日の場合は開館、翌平日が休館)

観 覧 料:一般800円、高大生700円、中学生以下無料

 

 

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