2015年3月14日(土)
今年度最後となる館長アートトークのテーマは、現代社会の闇をひたすらに描いた夭逝の画家、石田徹也
31歳の若さで事故死しましたが、そのあまりに短い生の時間を予兆していたかのように、膨大な数の作品を残しました
1973年に静岡県で生まれた石田徹也。
画家として活躍したのは、バブル崩壊後の1990年代から2000年代はじめです。
世の中が大きく動き、価値観が変わり、人々のなかに不安や孤独感が渦巻いていた時代でもあります
石田徹也が描くのは、そんな社会に生きていた名もなき「普通の人々」。
自画像ともいわれる、無表情の青年やサラリーマンが登場します。
↑ 代表作のひとつ、《飛べなくなった人》
大人になるにつれて、社会のいろいろなしがらみにとらわれて、身も心も羽ばたけなくなってしまった人。
夢も希望もなく、ただ過ぎていく無機質な時のなかで機械のように生きる人。
心に傷を負い、誰にも干渉されない自分だけの世界に閉じこもる人。
石田徹也の作品には、現実にはありえないことが描かれていますが、
現代に生きる誰もが共感できる、現実を突きつけられるような感覚があります。
そこで表現された痛みや苦しみは強烈で、なかには目を覆いたくなるようなものも・・・
22歳にして公募展のグランプリを受賞するなど、気鋭の画家として早くから注目されていましたが
世間からの評価に奢ることなく、黙々と制作を続けました。
とにかく描き、思考を繰り返した石田徹也の作品は、今もなお私たちの心に深く突き刺さります
2015年度最初の館長アートトークは4月25日(土)16時~、
テーマは「女流画家三岸節子、不屈の花世界。」です。
電話申込:052-401-3881
※前日までにお申込みください。