元永定正展を7月14日(土)より開催しております!
外観風景
あ
具体美術協会(略称、具体)の代表的なメンバーでもあり、
人気絵本『もこ もこもこ』(文・谷川俊太郎)の絵を担当された元永定正さん(1922-2011)。
本展では、絵本原画を入口として元永さんの多岐にわたる作品をご紹介しています!
本展は4つのチャプターで構成しています。
あああ
▶Chapter 1 おと と かたち
あ
展示風景
あ
ここでは、絵本原画を展示しています。
元永さんは、「これまでにないものをつくる」というモットーを掲げていた具体に参加していました。
その精神は具体を脱退後も引き継がれており、抽象画の絵本をつくることとなりました。
『もこ もこもこ』では、オノマトペと何にでも見える生き物が登場します。
みなさんは、何にみえますか?山?パックマン?切れ込みのあるかまぼこ??
元永さんの作品には、何にでも見える抽象的なかたちがたくさん登場します。
あ
特にみどころは、『ころころころ』(どれも、みどころですが)!!!
《ころころころ》の展示風景
あ
今回は、都合上一列に展示することができなかったのですが、
実は、ページの終りの道の高さと、次ページの道のはじまりの高さが
同じで、絵本のページを追うと一本道になるようになっています。
凸凹の道や下り道、雲の上の道など、いろんなところを転がる色玉たち●●●●●
転がる道に意識すると、自然に「ころころころ」の読み方も変わるのではないでしょうか?
あ
あ
▶Chapter 2 空間 を あそぶ
ああ
ここでは、立体物と色玉シリーズの作品を展示しています。
展示している《ななころびやおき》と《もーやんるーれっと(黒)》は実際に触ってお楽しみいただけます。
《ななころびやおき》は靴下のようなⅬ字型をしており、おきあがりこぼしなのです!
時間があれば、ずっと作品をゆらゆらしていたくなります。
あ
\\ そして、なんといっても今回の目玉はこれ!!//
展示風景
あ
《いろだまごまいしろ》(内4枚のみ展示)と《いろだまボール》です!
平面に描かれた色玉が実際に木製の色玉となって床を転がり始めました!
あ
色玉は元永さん作品によく登場するモチーフのひとつです。
神戸の摩耶山のてっぺん辺りに輝くネオンの光からインスピレーションを受け、
ひっくり返したお椀のようなものの上に色玉をいくつか乗せた作品を描きました。
そこから色玉は絵画作品のみならず絵本『ころころころ』にも登場します。
あ
展示室を転がっているカラフルな色玉は、なんと240個。
触りたくなるのですが、この作品は触れません・・・!!
あ
とある日、保護者の方に止められながらも、
「靴を脱いだら入れるのでは?」と考えた幼児が頑張って自分の靴を脱ごうと
している姿が微笑ましくも、「酷なことをしてしまった!?」と
思わずにいられませんでした。
(そのかわり、2階のさわったり踏んだりするコーナーでしっかりと遊んでもらいました)
\\ 子どもたちに大人気!!!//
名古屋芸術大学の学生さんがつくってくれました
あ
ああ
▶Chapter 3 いろ と かたち
ここからは、もうひとつの展示室に移動します。
一番大きな作品(Chapter 4 で説明)以外は、版画作品です。
いろいろなかたちを見てもらおうと、ランダムに配置しています。
絵本に登場していたかたちや、よく登場する「Q」のようなかたち。いろいろと探してもらうと面白い・・・!
元永さんは、水たまりのかたちや壁の染み、傷など自然の中から
たくさんのかたちを見つけ出し、ヒントにしていました。
水たまりのかたちなんて、なかなかじっくり見る機会はないですよね。
意識をすると、身の回りに面白いかたちが溢れているのかもしれません。
ああ
▶Chapter 4 理屈のない世界
あ
ここでは、唯一、具体参加当時の作品を展示しています。
具体は、1954年に結成された関西の前衛美術グループです。
リーダーは吉原治良(よしはら・じろう)で、グループのモットーは
「これまでにないことをすること」、「他人の真似をしないこと」でした。
グループのメンバーは、足で絵を描いた白髪一雄(しらが・かずお)、
木枠に貼ったハトロン紙(計42枚)のあいだを突っ走って紙を破いた村上三郎(むらかみ・さぶろう)がいました。
それを聞いた人は、きっと「???」「なにがアートなの???」となってしまうのではないでしょうか。
ですが、彼らの中には確たるものがありました。それは、「精神と物質」についてです。
あ
「具体美術は物質を変貌しない。具体美術は物質に生命を与えるものだ。具体美術は物質を偽らない。
具体美術に於ては人間精神と物質とが対立したまま、握手している。物質は精神に同化しない。
精神は物質を従属させない。物質は物質のままでその特質を露呈したとき物語りをはじめ、絶叫さえする。
物質を生かし切ることは精神を生かす方法だ。精神を高めることは物質を高き精神の場に導き入れることだ。 」
(「具体美術宣言」『芸術新潮』1956年12月号)
あ
物質(絵具や紙など)を何かの表現するための道具として扱うのではなく、
精神を表現するときの相棒として物質と向き合っていました。
あ
物質性を強調する白髪さんの盛り上がった絵具、
自らの身体・精神と物質を衝突させた村上さん。
そういった視点でみると、彼らの作品はとても面白いんです。
さて、本チャプターで展示している《作品》をみて、
元永さんの物質との関わり方を感じてみてください。
あ
元永展のみどころはまだまだありますが、
とても長く書きすぎてしまったようなので、また次回に。
あ
あ
F
【開催中の展覧会】
会期:2018年7月14日(土)~9月30日(日)
開館時間:10:00~19:00(入館は18:30まで)
休館日:月曜日(ただし祝日の場合は開館、翌火曜日が休館)
観覧料:一般800円 高大生600円 中学生以下無料