名古屋市千種区にある古川美術館分館爲三郎記念館にて、当館館長・高北幸矢の個展が開催されています。
近年、椿、しかも枝から落ちた後の落花をモチーフに作品を制作している高北館長。
花びらが散るのではなく花が丸ごと落ちる落椿は、縁起が悪いと言われることもありますが、枝から離れてもなおさらに大地で美しく咲き誇るその生命力に、惹かれ続けているそうです。
今回の個展のタイトルは「落花、未終景。」
造語ですが、「未だ終わらぬ景」という言葉からは、まさに落ちた椿の終わらぬ命を思い起こさせます。
一つずつ木彫りでつくられた無数の椿は、さりげなく佇んでいることもあれば、圧倒的な力で迫ってくることもあります。
同じ形のようでいて、一つとして同じ形はなく、一つ一つが人格をもっているようにも思えてきます。
《終景》
生と死は相反するものではなく共存するもの。生があるからこそ死は尊く、死によって生が輝く。
生々流転、諸行無常、輪廻転生。
四季のめぐりの循環を思わせる空間になっていました。
会期は7月15日(月・祝)まで。
都会のオアシスのような爲三郎記念館で、静かなひと時をぜひどうぞ(抹茶もおいしい)。
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