21. 11月 2018 · 収蔵作品展「連想ゲーム」 はコメントを受け付けていません · Categories: 展覧会

「美術に対する知識がないから、何をどう見たらいいのかわからない。」

お客様からよく言われる言葉の一つです。

学芸員としては「これはですね・・・」とすべてに対して明確にお答えしたいのはやまやまですが、実際のところ私たちにもよくわからないものもたくさんあります。

もちろん、知識があるに越したことはありません。しかし「わからない」から「見ない」のは早計です。

開催中の収蔵作品展「連想ゲーム」は、絵画鑑賞のひとつの楽しみ方を提案する企画です。

タイトルの通り、ゲームのように鑑賞のルール(手順)を設けています。

キャプションにあるキーワードから、連想して作品をつなげていくようなイメージで展示室を進んでいきます。

例えばこちらのキャプション。キーワードが2つありますがサンプルとして「幻想的な赤色」を選んでみましょう。

作品①と②はどちらも同じキーワードが当てはまりますが、①の「幻想的な赤色」と②の「幻想的な赤色」は全く同じではないはずです。

同じ赤色でも、温かさのある夕焼け空のような赤色、鮮烈な血液のような赤色、神秘的な夜の空気をまとう赤ワインのような赤色と、表現はさまざま。

見る人によっても解釈が異なるでしょう。

キーワードを足掛かりにして、共通するところ、違うところを比較しながら鑑賞してみるだけでも、作品を見る行為を主体的に楽しめるのではないかと思います。

ちなみにキーワードの内容は描かれたモチーフや制作技法、作者の心情、作品の雰囲気などさまざまな観点から設定しています。後半になるにつれて難易度が上がります(個人差あり)。

(先日アートサポーターの皆さんにも実践してもらいました。キーワードを選びながら思い思いにうろうろ。)

 

人は一般的に、「理解できること」「知っていること」「見たことがあるもの」に対して安心感を持ち、「理解できないこと」「知らないこと」「見たことがないもの」を拒絶します。

わからないからこそ、見て、感じて、考える(考えてもやっぱりわからなければそれはそれで良いのです)という、ある意味「手間」とも言える作業を惜しまずに、生きていきたいものです。

 

収蔵作品展「連想ゲーム

会期:2018年11月3日(土)~11月28日(水)

開館時間:10:00~19:00(入館は18:30まで)

休館日:月曜日(ただし祝日の場合は開館、翌火曜日が休館)

観覧料:一般200円 中学生以下無料

 

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10. 11月 2018 · 臨時休館中の美術館では・・・ はコメントを受け付けていません · Categories: その他

前回のブログから2ヶ月が経ってしまいました。

元永展のみどころをご紹介するはずだったのですが、台風21号の暴風雨を受け、展示室に雨漏りが発生。

そのため、元永展は9月11日(火)より開催中止となりました。

そして、長期間の臨時休館をいただいて、補修工事を行っていました。

不幸中の幸いで、作品に被害がなかったことが何よりでした。

酷暑だった8月からようやく涼しくなってきた9月末、

これから元永展に行こうと予定を立てていただいていた皆様には、

大変ご迷惑をおかけし、誠に申し訳ありません。

「元永展をより多くの方にみていただきたかった。魅力を紹介したかった。

楽しんでいただきたかった。」という思いを抱きながら、

作品のこと、これからの展覧会と美術館のことを考えると、

いま休館することが良いのではないかという判断となりました。

ただただ悔しい気持ちで胸がいっぱいでした。

「台風なんてこなければ・・・」「もっと前から対策ができたのでは?」と

沢山の「たられば」が頭をかすめつつ、臨時休館に伴う普段とは異なる

慣れない業務に追われました(この対応が相応しいのだろうかという不安に苛まれる日々)。

そして、一刻も早く開館できるように、雨漏りの原因解明につとめていました。

ですが、雨漏りの原因解明は一筋縄ではなかなかいかず、

怪しいとおぼしき箇所を補修しては、雨を降るのを待ち、

雨が降ったら、また雨漏り・・・。

「さて、次に怪しいところは・・・」の繰り返しでした。

他にも、建物の図面を引っ張り出してきて、建物の構造を確認したり、

過去の修繕記録を確認して「この建物の弱いところは、ここか」と知ったり。

前向きに捉えるならば、

これまで以上に、はるひ美術館について詳しく知ることができました。

学芸員のお仕事は

「収集・研究」、「展示・公開」、「保存・保管」、「教育普及」とよくいわれますが、

美術館の建物自体を知ることも重要なことですね。

とくに当館のような小さな美術館では、改修する予算を得ることも難しく、

予算が下りずに閉館を余儀なくされることも。

美術館を存続させていくためには、魅力的な展覧会を企画しつづけるだけではなく、建物自体を長く維持することも必要なのです。

今年は、愛知県美術館や豊田市美術館など改修工事で休館する美術館が多いです。

休館のあいだは、展覧会がみられないので寂しい・物足りないでしょうが、

建物自体の長寿命化は、美術館の長寿命化だとポジティブに考え、

次の展覧会を楽しみにゆったりと待つのもいいかもしれませんね。

そして当館は、11月3日(土)より開館しています。なんとか雨漏りがとまりました!!

現在は、収蔵作品展「連想ゲーム」を開催中です。

また、来月12月4日(火)からはお待たせしていた

清須市はるひ絵画トリエンナーレ アーティストシリーズVol.87 田中秀介展」がはじまります!

※当初のスケジュールから変更がありましたので、

新しいスケジュールはこちらからご確認ください。

無事にふたたび開館することができ、美術館スタッフ全員一安心。

(でも、やっぱり元永展中止は悔しい・・・)

これからも、はるひ美術館をどうぞよろしくお願いします。

【開催中の展覧会】

収蔵作品展「連想ゲーム

会期:2018年11月3日(土)~11月28日(水)

開館時間:10:00~19:00(入館は18:30まで)

休館日:月曜日(ただし祝日の場合は開館、翌火曜日が休館)

観覧料:一般200円 中学生以下無料

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