2016年7月16日(土)
清須市内の小学生3・4年生を対象に開講している「清須キッズアートラボ」。
展覧会を一緒に見たり、工作したりして、美術に親しんでもらおうという講座です。
今日は今年度の初回ということで、15人のかわいい受講生たちの初顔合わせでした。
「一体今日は何をするのかな?」子どもたちはワクワク・ドキドキしています。
まずは開催中の展覧会「アルフォンス・ミュシャ デザインの仕事」を見に展示室へ。
「デザイン」。実はここに、今日やることのヒントが隠れているのです。
展示室にあるミュシャの作品は、ほとんどが「リトグラフ」という技法で刷られた版画。
小学校では紙や木を版にした版画を習うと思いますが、リトグラフは石の版を使います。
ミュシャが活躍したのは約100年まえ。この頃ちょうどリトグラフの技術が飛躍的に進歩して、多彩なポスター芸術が生まれました。
ミュシャのポスターをよく見ると、文字、人物、幾何学模様などを、その都度効果的にデザインしていることが分かります。
では、みんなも文字をデザインして、リトグラフに挑戦してみよう
今日は初対面なので、自己紹介を兼ねて、自分の名前の文字を書いてもらいました。
名前と一口に言っても、ひらがな、カタカナ、漢字、あるいはアルファベットと実にいろいろな文字で表現できます。
それぞれに、見た人に与える印象は異なります。また、文字のスタイル「書体」によっても、雰囲気が違ってきますね。
どういう大きさで、どのような書体を使って名前を書くと、自分のイメージが伝えられるか、
これを考えることがデザインなのです。
文字にもいろんな表情があるということを理解した子どもたち。
早速自分の名前をデザインします。
太い文字、のこぎり型の文字、ふわふわと柔らかそうな文字など、いろんなアレンジを考え出してくれました。
デザインができたら、いよいよそれをリトグラフにします。
リトグラフは水と油が混ざらずにはじき合う性質を利用したものなので、水と油は必須です。
今回は「キッチンリトグラフ」という、キッチンにあるもので手軽にできるリトグラフを行いました。
まず、版づくり。本格的なリトグラフの版は石ですが、台紙に貼ったアルミホイルで代用できます。
このアルミホイルに、筆を使って、それぞれがデザインした文字を反転させて書き写します。
その際、筆につけるのはオリーブオイル
そのあと、版になんとコーラと水を順番にかけ、それからローラーで油性インクをつけるのです。
バレンでこすってめくったら。。。
ほらこの通り。オリーブオイルで書いた文字が刷り上がりました。
手順が分かって、子どもたちは版づくりに取り掛かります。
この時、アルミホイルに手を触れないのがコツ。手の脂が付かないようにするためです。
博物館実習生の手を借りながら、一人ずつコーラと水をかけます。
最後にローラーでインクを付けて、紙を置き、上からこすると出来上がり。
紙をひっくり返して、刷り上がりを見る時が一番ワクワクします。
こうして1時間ほどでみんな自分の名前をデザインし、刷ることができました。
「刷り上がった文字は、みんなの想像通りでしたか?」という問いかけに首を横に振る子がちらほら。
思いのほか文字が細かったり、細部がくっきり出なかったり、逆にノイズが出たりして、
予想外の仕上がりに戸惑ったようです。
ですが、これが版画の面白さ。思い通りにコントロールしきれないところが味になるのですよ~。
版画の楽しさ、難しさを実際に体験したところで、ミュシャのポスターを見ると、
また一段と違って見えるはず。
次回は本格的な版画を作りに、名古屋芸術大学にお邪魔します。
みんな、お弁当を忘れないで持ってきてね。
会 期:2016年6月25日(土)~9月25日(日)
開館時間:10:00~19:00 (入館は18:30まで)
休 館 日:月曜日(ただし祝日の場合は開館、翌平日が休館)
観 覧 料:一般800円、高大生600円、中学生以下無料