2016年7月11日(月)
今回は、先日開催したワークショップ「あなたのミュシャ・スタイル」の模様について
このワークショップ、イベントのタイトルだけでは何をするのかわかりませんね。
まずミュシャ・スタイルとはなんぞや。
ミュシャの作品(おもにパリ時代のグラフィックデザイン)には、独特の「型」のようなものがあります。
明確に定義されているわけではありませんが、誰が見ても「これはミュシャの作品だ」あるいは「ミュシャっぽい」と思うような、ミュシャ作品らしい特徴を備えているということです(当然といえば当然なのですが)。
ミュシャが活躍していた当時からそれは「ミュシャ・スタイル」=ミュシャ様式 という言葉で呼ばれ、グラフィックデザインの流行として、“ミュシャもどき”のような多くの模倣作品が作られるまでに普及していたのでした。
ミュシャ・スタイルの特徴にはいくつかのポイントがあり、「パーツの組み合わせ」というのはキーワードの一つです
ミュシャの作品にはほとんどと言ってよいほど女性・植物・装飾文様のモチーフが登場しますが、それらは画面全体としてあらわされるというよりは、一つ一つ独立したパーツとして存在し、そのパーツの組み合わせによって画面が構成されています。
ミュシャ・スタイルが多くのデザイナーに模倣された背景には、個々のパーツに分解することができ、さらにその組み合わせによって無限にバリエーションを作ることができるミュシャ・スタイルの応用のし易さが影響していたのではないかと考えられます
そんなミュシャ・スタイルの特徴を生かしたのが今回のワークショップ
実際にミュシャの作品をパーツごとに分解して切り取り、それらを組み合わせて新たな作品を作る、というものです
手順はいたって簡単。色画用紙を台紙に、何種類もの作品から好きなパーツを切り取って貼り付けていくだけ
台紙の形も自由、ということにしましたが、あまり大きすぎると散漫なデザインになってしまうので、作品の画像シートはハガキサイズにしました。
どの作品にどんなモチーフが描かれているか、まずじっくりと作品を観察しながら、どのパーツを切り取るかアイデアをひねっているみなさんの様子が印象的でした
装飾フレームだけ切り取ってみたり、植物の装飾文様の一部を切り取ってみたり、人物モチーフを切り取ってみたり・・・
こちらはスタッフが用意したパーツのサンプルと制作例。本当にパーツを取り出せるんだということが実感できます。。
切り取ってからどのように配置するかということも肝ですね。みなさんかなり熱中して黙々と作業されていました
完成した作品の数々同じパーツを使っていても、まったく異なるデザインができあがっていますね。台紙の色や形によっても印象が変わってきます。
切り取り方もみなさんそれぞれオリジナリティーがあって、こんな作品にこんなモチーフが描かれていたのか!という新しい発見もありました
単純な作業ではありますが、性別・年齢を問わず楽しんでいただけたようです
このワークショップは同じ内容であと3回開催いたします。
(7月31日(日)、8月13日(土)、8月28日(日))
各回随時電話申込を受け付けておりますので、ぜひお気軽にご参加ください
・・・以下余談。
世の中のミュシャの受容度はどんなものかと日々検索エンジンやSNSなどを徘徊(?)してみたりしますが、インターネット上で「ミュシャ風」と検索すると驚くほどたくさんの「ミュシャ風イラスト」が出てきます。アニメキャラクターや少女漫画風の人物がパロディ化されているようなものがクオリティ高く表現されていたりして、オタク文化と結びつけられることも多いミュシャが日本人(特に若い世代!)に好まれる理由がちょっとわかるような気がします
これもミュシャ・スタイルの新たな形なのでしょうね
100年以上を経てもなお現代人に愛されるミュシャの魅力、おそるべし。
会 期:2016年6月25日(土)~9月25日(日)
開館時間:10:00~19:00 (入館は18:30まで)
休 館 日:月曜日(ただし祝日の場合は開館、翌平日が休館)
観 覧 料:一般800円、高大生600円、中学生以下無料