2015年8月29日(土)
本日の館長アートトークのテーマは、フェルメール
17世紀オランダの画家です
現在真作とされているのが30点余りと寡作な画家ですが、
繊細でどこかほっとするような作品は、日本人にとても愛されていますね
17世紀オランダといえば、美術史において重要な時代のひとつ
スペインからの独立を機に、経済的に発展したオランダでは市民階級が台頭。
それまで重要視されていなかった、風景画、風俗画、肖像画、静物画など
市民の日常の視点から見た親しみやすい画題が好まれました。
フェルメールはいったん歴史のなかで忘れられた存在となりますが、19世紀フランスで再び評価されます。
作品数が少ないことで希少価値が高まり、ついには贋作事件・盗難事件などのスキャンダルに巻き込まれたことも・・・
そんなフェルメールの作品の魅力は、まず鮮やかな色
特に青色は、高価なラピスラズリという鉱石からつくられた、ウルトラマリン・ブルー
真っ白な壁を背景に白い牛乳が注がれる、質素な日常風景に、衣服の青・赤・黄が効いています。
それから、日常のドラマや会話に想像がふくらむような人物像(女性が多い)
何気ない日常の一こまを切り取ったスナップショットのようであり、鑑賞者は感情移入しやすいかもしれません。
ただその何気なさのなかでフェルメールは作品に寓意や象徴を紛れ込ませていて、
一種の謎解きゲームのような趣もあります
絵の主題が何なのか、いまだ研究者の意見がまとまっていない作品もあり、真相は画家のみぞ知る・・・
そして、なんといっても光の表現が特徴的です
画面の左側にある窓を光源として、1人の人物が窓に向かっているという構図が多い、フェルメールの室内画。
スポットライト的な光を当てて陰影との対比を強調したり、
部屋全体をやわらかく包むような光を当てたりと、巧みな表現力がうかがえます。
また、白い絵具で入れられたハイライトにも注目
真珠の鈍く上品な輝き、みずみずしい真っ赤な唇の照り、生気にあふれる瞳の光、
とても小さな部分ですが、このハイライトがあるのとないのでは、作品の印象が全く異なってくるでしょう
卓越した技術はもちろん、謎めいた内容やスキャンダルも含めて、世界中の人々を魅了するフェルメール。
やっぱり、すてきですね
ちなみに京都市美術館で9月27日まで開催している「ルーヴル美術館展」にフェルメールの《天文学者》が出品されているようです。
だんだんと過ごしやすくなってきたこの季節に、足を運ばれてみてはいかがでしょう
【開催中】
ミッフィーのたのしいお花畑 ディック・ブルーナが描くお花と絵本の世界展
会 期:2015年7月4日(土)~9月30日(水)
開館時間:10:00~19:00 (入館は18:30まで)
休 館 日:月曜日(ただし祝日の場合は開館、翌平日が休館)
観 覧 料:一般800円、高大生700円、中学生以下無料