2015年5月23日(土)
これまでにさまざまな芸術家を取り上げてきた館長アートトーク。
今回のテーマはグラフィックデザイナーの亀倉雄策(かめくら・ゆうさく)です。
同じくグラフィックデザイナーである館長の専門中の専門分野です
まずは「グラフィックデザイン」そのもののお話から
一口にデザインといっても、ファッションデザイン、建築デザイン、工業デザインなどさまざまなものがあります。
そのなかでグラフィックデザインはおもに印刷物のデザインのこと。
多くのグラフィックデザイナーは、コピーライターやイラストレーター、
広告カメラマンなどと協力しながら一つの作品を創り上げます。
日本では高度経済成長期にグラフィックデザインの分野が大きく発展し、
今でも世界的に高い水準にあります
1915年に生まれた亀倉雄策は、まさに日本グラフィックデザインの全盛を築いた人物でした
デザイナーとしての才能だけでなく、外交手腕にも長け、
日本を代表するグラフィックデザイナーとしてその名を轟かせました。
亀倉がグラフィックデザイナーを目指したのは、
1920~30年代に活躍したフランスのグラフィックデザイナー、
カッサンドルのポスターを見たことがきっかけだったそう。
フランスでは19世紀末からポスターの黄金期を迎えますが、
カッサンドルはこの分野で新しい時代を切り拓きました。
街角の人々の目を引き付けるため、明快で力強い構成、
存在感のある幾何学的なモチーフがデザインされています
↑亀倉雄策の初期の作品
まだ写真を使ったポスターが少なかった時代でありながら、積極的に写真を取り入れています
有名な企業のポスターも数々手がけるように・・・
そして代表作となったのがこちら↓
1964年東京オリンピックのポスターとロゴマークです。
リアルタイムでご覧になった方もいらっしゃるはず(館長は当時小学生で、学校に貼られていたのを覚えているとか。)
各国の選手(本物の陸上選手ではありません)がスタートダッシュを切る瞬間を捉えた、
スピード感とエネルギーあふれる作品ですね
五輪マークは本来の5色ではなく、あえて金色で統一されています。
そこに赤い日の丸をどどんと大きくデザインすることで、瞬時に「日本」をイメージすることができるのです
こちらは平和を訴える反戦ポスター。
炎に焼かれて燃え落ちる無数の蝶が、原爆投下を暗示しています。
見覚えのあるこんなマークも亀倉デザイン
グラフィックデザインは、絵画や彫刻といった美術作品とは異なり、基本的に街中に存在しているものです。
身近であるがゆえに、目を留めてもらうためにはかなりの工夫が必要になります。
しかし通りすがる人の目を一瞬でも引くことができれば、すぐにメッセージを伝えることができるのです。
亀倉はグラフィックデザインの機能をこのように理解し、制作に取り組んでいました
現在第一線で活躍するグラフィックアーティストたちにも多大な影響を与え続けている亀倉雄策。
実際にお会いしたこともある館長にとっても、偉大な存在だそうです。
次回の館長アートトークは6月27日(土)16時~、
テーマは 「風雲告げる日本画、片岡球子のエナジー。」です。
愛知にゆかりの深い日本画家を取り上げます。愛知県美術館で開催される展覧会の予習・復習にもおすすめ
電話申込:052-401-3881
※前日までにお申込みください。
【開催中の展覧会】
清須市第8回はるひ絵画トリエンナーレ
会 期|2015年4月19日(日)-6月7日(日)
休館日|
〈美術館〉4月20日(月)・27日(月)、5月7日(木)・11日(月)・18日(月)・25日(月)、6月1日(月)
〈図書館〉4月20日(月)・27日(月)・30日(木)、5月7日(木)・11日(月)・18日(月)・25日(月)~6月4日(木)
時 間|10:00-19:00(美術館の入館は18:30まで)
観覧料|〈美術館〉一般300円、中学生以下無料 〈図書館〉無料