2015年5月20日(水)
美術について楽しく学んでいただこうというアートラボ。
前回のオリエンテーションを経て、今回から美術講座に入ります
テーマは「琳派の魅力 没後300年 尾形光琳」です
「琳派(りんぱ)」という言葉、みなさん聞いたことがあるでしょうか?
日本美術の歴史のなかで、桃山期から江戸後期にかけて発展した流派の一つです。
俵屋宗達から尾形光琳を経て、酒井抱一まで続くこの系譜は、
狩野派や土佐派といった他の流派と異なり血縁関係がなく、作品を介してエッセンスが継承されていきました。
後世になってから、尾形光琳の「琳」の字を取って「琳派」という名前が付けられました。
今年は光琳の没後300年!琳派誕生から400年!ということで、各地で琳派の展覧会が開催されています
光琳は300年も昔の人ですが、この時代には珍しく、資料や画稿がたくさん残っているため、
研究はかなり進んでいます
京都有数の呉服商に二男として生まれた光琳。
裕福な家庭に育ち、若い頃はふらふらと遊び歩いていたようですが、
40代ごろから画家として生計を立てることを考え始め、59歳で亡くなるまでに数々の傑作を生み出しています
光琳といえばまずはこれ、《燕子花図屏風》。
伊勢物語の一節を題材に、金地に群青と緑青の燕子花だけが描かれた大胆な作品です
リズミカルに配された燕子花は、装飾文様のように一定のパターンが反復されていることがわかります。
これは版木を使った俵屋宗達の手法を参考にしていると考えられています。
これも有名ですね。《紅白梅図屏風》です。
こちらも金地に梅と水流のみ、というシンプルでありながら壮麗な作品。
渦巻く水流の迫力や、「たらし込み」というにじみを生かした技法で凹凸が表現された梅の幹、
不自然に折れ曲がって視線を誘導する枝の動きなど、全てが観る者を圧倒します
琳派のつながりを示すものとして有名なのがこちら↓
この作品は、光琳が宗達の《風神雷神図屏風》を模写したものです。
宗達の作品がこちら↓
全く同じように見えますが、色の塗り方や構図などが微妙に異なります。
さて、光琳の思惑はいかに・・・
そして、光琳の《風神雷神図屏風》の裏側に描かれていた(現在は別装されています)のがこちら↓
酒井抱一の《夏秋草図屏風》です。
光琳の影響を受けた抱一は、しなだれる草花を描くことで、
まるで表側にいる風神と雷神が起こした風雨に煽られているかのような効果を生み出しています。
金地に対する銀地、空中に浮かぶ構図と画面の下部に集中した構図といった対比も効いています
独特の絵画世界を生み出し、今なおその清新さを留める琳派の作品。
国宝に指定されているものも多く、まさに日本美術を代表する画家・流派の一つですね!
「琳派イヤー」の今年、あまりお目にかかれない作品を見ることができるチャンスですので、
みなさんも展覧会に出かけてみてはいかがでしょう
次回は碧南市藤井達吉現代美術館で開催中の「生誕150年記念 竹内栖鳳」展にお邪魔します
清須からは少々(かなり?)遠いところですが・・・
ちょっと足を延ばして、楽しみましょう
【開催中の展覧会】
清須市第8回はるひ絵画トリエンナーレ
会 期|2015年4月19日(日)-6月7日(日)
休館日|
〈美術館〉4月20日(月)・27日(月)、5月7日(木)・11日(月)・18日(月)・25日(月)、6月1日(月)
〈図書館〉4月20日(月)・27日(月)・30日(木)、5月7日(木)・11日(月)・18日(月)・25日(月)~6月4日(木)
時 間|10:00-19:00(美術館の入館は18:30まで)
観覧料|〈美術館〉一般300円、中学生以下無料 〈図書館〉無料