2015年1月10日(土)
現在開催中の『アーティストシリーズVol.75 木下令子展』。
出展作家によるアーティストトークが行われました
アーティストシリーズとは、
当館が開館以来継続して開催してきた公募展で、高い評価を得た作家を個展形式により紹介する企画です。
現在出展中の木下令子(きのした れいこ)さんは、
2012年の公募展、第7回清須市はるひ絵画トリエンナーレにて優秀賞を受賞された作家さんです
優秀賞を受賞した2011年の作品《fixing》から、2014年の最新作に至る全33点が一堂に会しています。
14時から始まったアーティストトーク。
木下さんによるトークに入る前に、簡単にアーティストトーク&木下さんの経歴についてご紹介
木下さん自身による制作の裏側が聞けるとあって、たくさんの方が参加してくれました!
木下さんの作品の特徴のひとつは、制作技法にエアブラシを取り入れていること。
そんなエアブラシを使って制作された、最初期の作品《fixing》からトークがスタート。
エアブラシ特有の、ぼんやりした、筆触がわからない背景。
白く浮かび上がっているのは、髪の長い人の後姿
その上から、ドリッピングされたり絵筆で描かれた色班が、しみのように重なり、
まるでレンズ越しにみえるピントのずれた風景のような、不思議な景色を作っています。
この《fixing》が優秀賞を受賞したことで、エアブラシという技法をもっとつきつめてみよう、
そう決心がついたと言います。
2012年以降は、布のしわが画面に登場します。
もともと画布にしわが寄るのがストレスだったという、木下さん。
ある日、アトリエに丸まって捨てられていた紙を広げて見たところ、
しわが寄った紙の中に、文字がぼんやりと判別できたそうです。
そんな体験から得た感覚をヒントに、布にあえてしわを寄せ、
その痕跡をエアブラシによって浮かび上がらせる制作スタイルへと変わってゆきます。
吊るしたり、地面においてしわを寄せた布に、外側から徐々にエアブラシで絵具を定着させ、
ひきのばして木枠に固定すると、平面でありながら非常に立体的でオールオーヴァーな画面が現れます
また、この頃から制作に取り入れる素材も多様化。
たとえば、印画紙という光を受けて変色する紙や、日焼けしてぼろぼろになった古本、何かを包んでいた包装紙。
こうした素材を使い、時間の経過そのものや、誰かの手元にあったという由来や痕跡、
そして人と人との日常のやり取りを想起させるような作品を制作しています
それぞれの作品について、丁寧に説明してくれた木下さん。
トーク終了後も、参加者の方が質問をされていました。
『木下令子展』は1月24日(土)までの開催です。
忘れていた昔の体験や、見落としがちな日常のやり取りを思い出し、
ふりかえるきっかけを与えてくれるような作品がたくさん出品されています。
どうぞ足をお運びください
【開催中の展覧会】
清須市はるひ絵画トリエンナーレ アーティストシリーズ Vol.75 木下 令子 展
会期:2015年1月6日(火)―1月24日(土)
開館時間:10:00―19:00
休館日:月曜日(祝日の場合は開館、翌火曜日が休館)
観覧料:一般200円、中学生以下無料