2015年1月4日(日)
今回の館長アートトーク(12月20日開催)でとりあげたのは、
日本画家・秋野不矩(あきの ふく)
50歳を過ぎてから出会ったインドに惹かれ、
従来の日本画の枠を超えた力強い作品を多くのこしています。
不矩の存命中に設立された秋野不矩美術館には、大作がずらり。
藤森照信氏による建築は、
木や土など自然の気配がのこる気持ちのいい空間です
さて、秋野不矩という少し変わったこの名前。
不矩の本名は「秋野ふく」ですが、
やわらかい印象の平仮名の代わりに、彼女が選んだ画号は「不矩」。
使われている漢字「矩」は、「ものさし、定規」を意味します。
型にはまることなく、創造的にありたいという画家の意思を感じさせますね。
そんな画号を反映してか、不矩は日本画の伝統的な主題である、
花鳥風月に興味がもてなかったようです
新しい日本画を求め試行錯誤していた不矩は、
インドで日本画を教えてみないか?という誘いに応じ、一年間インドに滞在
インドという土地の持つ力強さ、人々の暮らし、風習に魅了され、
その後インドを題材にした作品を多く発表してゆきます。
ヒンドゥー教の神像や、祈りをささげる女性。
濁流の中をゆったりと泳ぐ牛の姿。
どこまでも広がる地平と、乾燥して赤茶けた大地。
天竜川の山間の町に生まれた不矩にとって、
初めて見たであろう情景を、鮮やかな色彩で力強く描いています
そして最後にスライドに映し出されたのは、《オリッサの寺院》。
写真ではわかりませんが、実物はなんと縦7メートル・横12メートルもの大きさです。
横長の支持体をめいっぱい使った、迫力ある構図。
その細部をよく見てみると…
↓
日本画の伝統技法を彷彿とさせる、箔押しが用いられていますね
日本画家として、これまでにない日本画を生み出したい。
不矩の情熱が結実した大作です。
2001年に93歳で亡くなるまで精力的に活動した、
不矩の生涯に思いを馳せながらの館長アートトークでした。
当日はあいにくの雨でしたが、
色鮮やかで力強い作品からパワーをもらうことが出来たのではないでしょうか
次回の館長アートトークは1月24日(土)16時~、
「情熱の画家ゴッホ、その人生と名画」です。
ふるってご参加ください!
電話申込:052-401-3881
※前日までにお申込みください。
【開催中の展覧会】
清須市はるひ絵画トリエンナーレ アーティストシリーズ Vol.75 木下 令子 展
会期:2015年1月6日(火)―1月24日(土)
開館時間:10:00―19:00
休館日:月曜日(祝日の場合は開館、翌火曜日が休館)
観覧料:一般200円、中学生以下無料