2014年11月12日(水)
今日は、当館から最も近くの美術館である
稲沢市荻須記念美術館にお邪魔してきました。
お目当ては、現在ここで開催されている特別展「小磯良平展」です。
HPはこちら→小磯良平展
小磯良平(1903-88)は、荻須記念美術館がコレクションの主軸としている
荻須高徳(1901-86)の東京美術学校(現・東京藝術大学)時代の同級生。
ともにフランスに渡り絵を学んでいます。
特別展の小磯良平作品と、常設展の荻須高徳作品を、
比較しながら同時に見られる貴重な機会とあって、
アートラボのメンバーはとても楽しみにしていました。
展示室に入る前に、担当学芸員の河合さんが、小磯良平の画業について
展覧会に出品されている作品を中心にお話くださいました。
小磯良平は、気品のある女性像を得意とした画家です。
1903(明治36)年、モダンな洋館の立ち並ぶ神戸の裕福な家に生まれ、
1922(大正11)年、東京美術学校に入学。
同級生には、荻須のほか、猪熊弦一郎もいました。
きら星のごとき作家たちを輩出した時代だったのですね!
中でも小磯は東京美術学校を首席で卒業しているので、群を抜いていたはず。
まだ若い在学中に、《T嬢の像》が帝展で特選を獲得するという前代未聞の快挙を経て、フランスへ留学。
印象派以降の比較的新しい時代の表現だけでなく、
ヨーロッパの古典的な技法を積極的に学んでいます。
2年後に帰国してからは、安定感のあるピラミッド構図に、
光を受けた物質の質感を巧みに表現する作品を数多く制作しました。
戦後は母校の東京藝術大学で教鞭をとり、
当時学部長だった伊藤廉(いとう・れん)とともに、
初めて版画教室を創設するなど、意欲的に後進の育成に取り組みます。
伊藤廉は名古屋出身の画家で、現在、碧南市藤井達吉現代美術館で
回顧展を開催中ですので、こちらもぜひ訪れてみてください。
HPはこちら→伊藤廉展
小磯良平は自分の考えを押し付けず、個性を伸ばす教育方針の持ち主で、
学生たちにとても慕われたそうです。
都会的でおしゃれな雰囲気をまとった女性像を多く描いた小磯良平と、
人物は描かないものの、町並みによってその存在を感じさせる風景を描いた荻須高徳。
じっくりと二人の画家の軌跡に思いをはせることのできる展覧会でした。
荻須の復元されたアトリエへと続くアプローチを歩きながら、
美術館に隣接する公園を眺めることもできる気持ちのいい美術館です。
まだの方はぜひ、小磯良平展(12月7日まで)にお出かけになってみてください。
【開催中の展覧会】
会期:2014年10月5日(日)―11月30日(日)
開館時間:10:00―19:00
休館日:月曜日(ただし祝日の場合は開館、翌火曜日が休館)
観覧料:一般500円、中学生以下無料