21. 10月 2014 · 第25回館長アートトーク:シュールレアリズムの騎士ダリ、その奇想。 はコメントを受け付けていません · Categories: 教育普及

2014年10月18日(土)

 

第25回館長アートトークのテーマはシュールレアリスムの奇才、ダリ。

ナルシシズムに満ちた独創性と、強迫観念にも似た緻密さで超現実の世界を描きました。

その影響力は絶大で、

開催中の企画展「前衛を駆け抜けた画家 岡田徹展」で取り上げている岡田徹も、

特に戦前の作品においてダリの影響が見られる作品を遺しています

 

 

アートトークの冒頭は、10分で語る美術史!

美術史ってなんだろう?どの時代にどんな作品があったのかしら?

興味をもって美術史をひもとこうとすると、とかく通史は長い!そして重い…

そんな時、それぞれの時代を特徴付ける「祈り」「貨幣経済」「写真の登場」「産業革命」などのキーワードを

おさえて美術史を概観できれば、展覧会をおとずれた時、作品鑑賞の幅がひろがります

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こちらは配布資料の一部。館長自作の「10分で語る美術史」。

 

 

続いて、アートトークの真打・ダリの講演へ。

サルバドール・ダリは、スペインのカタルーニャ地方フィゲラスの裕福な公証人の息子として生まれました。

少年時代から絵に興味を持っていたダリは、首都マドリッドの美術学校で学んだのち20代前半の多感な時期にパリに赴きます。

新進気鋭のシュルレアリストたちと知り合ったのもこの時期。

それからしばらくして、詩人ポール・エリュアールの妻だったガラと知り合います。

恋に落ちた二人は逃避行の末、ガラはエリュアールと離婚し、ダリと再婚。

ガラはその後、生涯を通じてダリのミューズ、創作の源となり続けました

 

 

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こちらはダリの肖像(写真)。

ダリといえば、撫で付けた髪型、上向きにピンと整えられた口髭を思い浮かべる方も多いかもしれません

ダリは芸術家としての自己を演出することに非常にこだわった作家でした。

トレードマークの口髭も、そうしたセルフ・プロデュースの一環だったのかもしれません。

 

 

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スライドに見入る受講者の方々。

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ダリの作品には、やわらかく溶けたチーズのような独特のフォルムが繰り返し登場します

これは一体何を描いているのでしょう…??

少なくとも現実にはこんな物体は存在しそうにありません。

まさに「シュール」な、現実離れした画家の空想の産物に思えます。

ここで、シュルレアリスムが生まれた時代背景を考えてみたいと思います

 

写真の登場以降、それまで西洋絵画の伝統であった、自然をいかに二次平面である絵画に再現するか、

という方向性は一端終着点をむかえてしまいます。

また、発展をつづけてきたかに見えた西欧文明とその核をなす理性至上主義も、

世界大戦や社会の不安定化によって求心力を失いつつありました。

そんな時代背景のなか、それまで反理性としてかたすみに追いやられてきた夢や無意識に光をあてようという動きが起こります。

シュールレアリスムもそうした動きの中、産声をあげました

夢や無意識にインスピレーションを求めたシュルレアリストたちの描く作品には、現実のものとは思えない不可思議なモティーフが登場します。

しかし、彼らは現実とは別の世界にあるものとしてそれらを描いたのではなく、

むしろ意識―無意識、現実―夢の関係と同様に、現実と地続きの世界、「超現実」としてとらえていました。

彼らにとって夢や無意識は、普段現実世界の下層にとじこめられている超現実が姿をあらわす場所でした。

 

そう考えてみると、ダリの作品にしばしば登場する摩訶不思議なモティーフは、

現実離れしたファンタジーではなく、むしろ日常や個人的体験に端を発しているのかもしれません

 

 

 

次回の館長アートトークは11月22日(土)16時~17時、

テーマは「陶芸家 川喜田半泥子、その多様で豊かな人生」です。

半泥子は「東の北大路魯山人、西の川喜田半泥子」と評された趣味人で、財界で名を成したのち陶芸をきわめます。

芸術の秋、芸術と文化に情熱を注いだ半泥子の生涯に思いを馳せてはいかがでしょうか

電話申込:052-401-3881

※前日までにお申込みください。

 

 

【開催中の展覧会】

生誕100年 前衛を駆け抜けた画家 岡田徹展

会期:2014年10月5日(日)―11月30日(日)

開館時間:10:00―19:00

休館日:月曜日(ただし祝日の場合は開館、翌火曜日が休館)

観覧料:一般500円、中学生以下無料

 

 

 

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