2014年7月27日(日)
毎月1回開催の館長アートトークも気がつけば22回目です!
初回からもうすぐ2年が経とうとしています。常連のお客様も徐々に増え、嬉しいかぎりです
さて、今回は日本人ならば誰もがうっとりするはず(?!)の東山魁夷についてのお話でした。
東山魁夷といえば、やはり緑青をたっぷりと使った美しい緑や青の世界ですよね。
あるいは、「白馬」のモチーフを思い浮かべる方も多いのかもしれません
どこかで一度は見たことがある、それが東山魁夷作品に対する多くの人の経験だと思います。
そのようなわけで、東山魁夷といえば誰もが認める天才画家と思われがちですが、
実はかなり遅咲きの画家。そして努力の画家だったようです
長寿のため、たくさんの作品を残したことも彼の名声を高める要因の一つだったといえます。
東山魁夷や彼の作品の魅力をホワイトボードに列挙。
・美しい絵
・風景を美しく描く画家
・旅情
・自然の移ろいがつくり出す美
・小さいけれど燃え上がる命
こうした言葉からも想像できるように、わたしたち日本人は、東山作品にどこか「共感」できる部分があり、
だからこそ「いい絵だな」「ずっと見ていたいな」、そんな風に感じるのでしょう
そして、東山魁夷といえば、構図の大胆さ、新しさも注目すべき点です
それまでにない斬新な構図は、風景という概念や、風景の見方そのものを大きく変えるものでした。
このあたりにくると、もはや抽象絵画?!と思ってしまうくらいの大胆さが感じられます。
日本画や風景画と対峙し、新しいものを見出そうと挑戦し続けてきた画家の姿が想像できます
また、東山魁夷は絵画だけでなく文章もたくさん残したことでも知られていますし、
小説家の川端康成との親交も深かったそうです。
川端が東山魁夷の作品について書いた文章です↑
「日本の自然を身にしみて感じ、日本人である自分の心情を見出して静かな安らぎに慰められる。
清らかないつくしみに温められる。」
これもまた、川端が東山の作品に「共感」を覚えたことを表現しているといえます。
東山作品は斬新な構図や、時に西洋の風景画や風景を取り入れながらも、
どこかに私たち日本人が「共感」する、心に染み入ってくる情景が表現されているのです。
こちらの2点はヨーロッパの風景を描いた作品です。
こちらは、水面に映る月光と山や森を描いています。
静寂と澄んだ空気の臭いまでが感じられそうな神秘的な作品です。
最後に、紅葉した木の様子を描写した作品《行く秋》を見て、本日の館長アートトークは終了しました。
最初から最後まで、作品の画像にうっとり魅了された参加者のみなさん
やはり、東山魁夷作品は日本人の心に触れるものがあることを改めて感じました。
次回、館長アートトークは、現在開催中の展覧会「ブルーノ・ムナーリ アートのなかの遊び」
にあわせて、8月と9月と入替えて行います。
テーマは、「トリック宇宙で遊んだ福田繁雄のデザインとアート」です。
8月23日(土)16時~17時。
電話申込:052-401-3881、前日までにお申込みください。
福田繁雄はムナーリと親交もあり、また大のムナーリファンだったそうです
展覧会と併せてお楽しみください
【開催中の展覧会】
会 期:2014年7月5日(土)~9月28日(日)
開館時間:10:00~19:00(最終日18:30まで)
休 館 日:月曜日(月曜日が休日の場合は次の平日が休館)