2013年12月23日(月・祝)
昨日、開催中の展覧会「清須市はるひ絵画トリエンナーレアーティストシリーズVol.71 源馬菜穂展」のイベント、
アーティストトークがありました!
源馬さん自らが展示作品について、そして数年間を振り返るとても貴重なイベントとなりました
今回の個展は2007年の作品から最新作までを展示するもの。
特に2011年までの作品はその後の制作に大きな影響を与えた選りすぐりの数点のみ
トークの前半はそれらについてゆっくり、丁寧にコメントしていただきました
このあたりの作品が2009年~2011年制作
2007年で試みた風景と人物を同一画面に描く方法から、徐々に今の源馬さんらしさが構築されていく様子がよくわかります。
左の写真右側の白が基調の作品《flat》は、トーキョーワンダーウォール2009でトーキョーワンダーウォール賞を受賞した作品
この頃から描きたい内容と描き方が自分の中で確立してきたそうです。
その隣の緑が基調の作品《step》からは、周囲の自然を描くことを意識し始め、
当館の公募展で大賞を受賞した《contact》では、制作中に聴いていた音楽からも影響を受け、
自然と音楽と自分の気持ちをうまく融合させるような作品を描けるようになったそうです
こんな風に、ご自身の制作活動と作品とを照らし合わせながら、
優しい口調でみなさんにわかりやすくお話くださっていました
展示室には2012年の作品がありません。何故でしょうか
実は、だいぶ自分の描き方が見えてきた2010年以降、
源馬さんはその先どんな風に描いていけばいいか随分悩まれたそうです。
今振り返れば、2007年から2010年までは少しずつ少しずつ階段を登り、2010年の《contact》でようやく扉を開けた感じ。
でもその先がまったくみえず、2011年からは、まるで匍匐(ほふく)前進をしている気分、と当時の様子を振り返っていました。
つまり、「もがいていた」というわけですね
2012年は制作から少し離れて、自分を客観的に見たり、絵画以外のものに触れる機会をつくっていたそうです
そして2013年。
こちらの予想をはるかに上回る数の作品を仕上げてきてくださいました
2010年~2011年の描き方は余分な絵具の塗り重ねなどを避けて、必要最小限の絵具しか使っていませんでした。
そのため、一筆一筆にかかるプレッシャーがとても大きくなっていったそうです
そうなると、「何を描きたいか」よりも「どうやって描くか」の方が強くなってきてしまい、描けなくなってしまいました
そこで、2013年は「何を描きたいか」をより強く持つようにし、失敗を恐れず描くようになったそうです
まずは、小さな作品から取り組みました。
また、それまでは油絵具のみの制作でしたが、画材を変えて取り組むことにも挑戦したそうです
水彩画や紙に油彩、2013年の途中からテンペラ絵具も使うようになったそうです。
このあたりの作品からテンペラ絵具という古典技法を使うようになりました。
それが、源馬さんの絵画ととても相性が良かったようで、その後の作品のほとんどに、
テンペラ絵具を使用しています
また、今までの源馬さんの作品にはあまり見られなかった土色系の色も登場してきました。
2013年には80号1点、100号2点、130号1点という大型の作品にも意欲的に取り組み、
さらに今後の展開が楽しみになってきました
予定時間を20分ほどオーバーしてしまいましたが、とても充実したアーティストトークになりました。
ご参加いただいた30名ほどのお客様も大満足のご様子
当館開館以来続いている「アーティストシリーズ」では、数年前からこのように作家さん自身の言葉で、
作品や制作について説明していただく場を設けています。
それは、鑑賞者にとっても美術館にとっても充実した時間ですが、
何よりも、ご本人が自分を振り返る貴重な機会にもなっていると信じています
年明けは「栗原光展」「打田宗平展」が続きます。
展覧会だけでなく、アーティストトークもお楽しみください
【開催中の展覧会】
清須市はるひ絵画トリエンナーレアーティストシリーズ Vol.71 源馬菜穂展
会期:2013年12月8日(日)~12月27日(金)
開館時間:10:00~19:00
休館日:月曜日
観覧料:一般200円 中学生以下無料