2013年11月17日(日)
本展覧会では、少しでも歌舞伎に触れ、歌舞伎をより身近に感じていただきたいという思いから、
たくさんのイベントを開催してきました
歌舞伎役者の中村児太郎さんと歌舞伎研究者の安田文吉先生とのトークイベントに始まり、
「大向こう」「隈取り」「衣裳着付け」「長唄三味線ライブ」。いずれも大盛況でした
本日、最後のイベント「歌舞伎舞台を支える狂言方と附打ち」を開催しました。
講師は、株式会社三光で狂言方と附打ちをご担当されている逆瀬川浩さんと、
同じく株式会社三光で音響をご担当されている金光浩昭さんです。
イベント前に音のチェック
通常は劇場で行う狂言方や附打ち。いつもと響き方が違うため、念入りに調整しています。
音響の金光さんには、下座音楽(げざおんがく)を流していただきます
二人でタイミングを打合せ中
こちらが逆瀬川さんの仕事道具 附け木と附け板です。
拍子木は別の入れ物に入っていました。
今回も非常にたくさんのお客様にお集まりいただきました
自己紹介程度の簡単な挨拶をして・・・
「まずはみなさん目を閉じてください。」と一言。
何だろう??と思いながらもみなさん目を閉じると・・・
「チョン・チョン・チョン・・・・」と歌舞伎に欠かせないあの音が聞こえてきました。
そのまま止まることなく、「バタバタバタ・・・バッタリ」と附打ちの力強い音が
目を閉じてその音を聞いているだけで、歌舞伎を見に来たような気分でした。
最初は、黒御簾(くろみす)の中で演奏される下座音楽の説明から始まりました
なぜなら下座音楽は狂言方と附打ちにとって、なくてはならないものだからです。
続いて、狂言方と附打ちについて歴史的背景から、それぞれの決まりごとなど、
細かい説明を聞くことができました
狂言方はもともとは狂言作者(歌舞伎の脚本を書く作者)のことを指し、現在は柝を打って開幕を知らせるなど、
主に舞台進行を担当する役を指します。
拍子木や附け木はそれぞれ2本1組ですが、2本は同じ木から切り取られるそうです
ちょうど上の写真右側の図にあるような部分です。
このように切り取られた拍子木や附け木だと、きれいな音が出るそうです
拍子木の打ち方(写真左)、附打ちの打ち方(写真右)なども紹介
附打ちの際、下に敷く附け板は会場の響き方に合わせて変えるそうです。
大きさや木の種類が違いますね
狂言方や附打ちの方々は非常に目立たない存在ですが、お芝居では欠かせない重要なお仕事です。
私たちにとっては、最も馴染みのないお仕事のひとつと言ってもいいかもしれません。
今日はそのような方のお話を聞ける絶好の機会
メモを取る参加者もいつになく多かったように感じました
最後に、狂言方や附打ちの音に注意しながら15分程度DVDを鑑賞
これでお芝居の理解もぐんと深まりましたね
その後、質疑応答タイム
「狂言方や附打ちは世襲制なのか?」
「手や腕はつかれないのか?」
「役者さんの動きに合わせるのは大変か?タイミングがずれることもあるのか?」
などなど。
みなさんどんどん質問をされていて、いかに狂言方や附打ちへの関心が深いかが伝わってきました。
逆瀬川さん、金光さん、今日は素晴らしい時間をありがとうございました。
これでまた、歌舞伎を見に行く楽しみが増えました
企画展「歌舞伎|変身」も残すところあと2週間。
まだご来館いただいていない方、歌舞伎の印象ががらっとかわるはずです
すでにお越しいただいている方、何度でも楽しめる展覧会です。
お時間がありましたらどうぞご来館ください。
みなさまのご来館お待ちしております
企画展 「歌舞伎 | 変身」
会期:2013年10月8日(火)~12月1日(日)
開館時間:10:00~19:00 (入館は18:30まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は開館、翌火曜日が休館)