2013年11月3日(日・祝)
今日は午前ワークショップ、午後レクチャーとイベント続きの一日でした。
まずは、午前のワークショップ「隈取で変身!」について。
今回、講師をお願いしたのは美濃歌舞伎博物館相生座館長の小栗幸江さんです。
小栗さんは「地歌舞伎(じかぶき)」と呼ばれる東濃地域に伝わる歌舞伎を後世へ残し、
広めようと精力的に活動されています
小栗さん自身が役者も演奏もこなし、化粧から着付け、衣裳制作などなんでも出来るマルチぶり
今日の隈取(くまどり)はオーソドックスな「一本隈(いっぽんぐま)」という種類の隈に挑戦です。
さてさてどんな仕上がりになるか、参加者のみなさんはやや緊張気味の様子で
小栗さんの説明に耳を傾けていました
隈取は歌舞伎の代表的な化粧法を指します
白粉(おしろい)をしっかり顔に塗って、その後、紅などで隈を取っていきます。
※隈は「描く」ではなく「取る」と言うそうです。
相生座サポーターのお二人が今日は応援にかけつけてくださいました
ワークショップの前に小栗さんと3人で白粉の下準備です。
隈取はお化粧ですので、女性が普段お化粧をするときと基本的には同じような行程で進んでいきます。
まずは、下地クリームの役目を果たす下地油を顔につけます
手の温度で油を柔らかくして、ムラにならないよう満遍なく顔全体に馴染ませるのがコツ
この下地油を適当に塗ってしまうと、白粉がうまくのらないそうです。
下地を塗り終わったら、次は眉毛を消す作業
肌色の固形ファンデーションのようなもので眉毛を上から大胆に消していきます。
隈取は顔を大きく見せることもポイントなので、眉毛を本来の位置よりも高い位置に描くことで、
顔を大きく見せる工夫がされているそうです
眉毛を消したら、続いて白粉を顔に塗ります。
まずは顔の周りから、どんどん内側を塗りつぶしていきます。
ゆっくり塗っていると乾いてしまうので、ささっと、スピード感をもって塗らなければなりません
白粉が塗れたら、今度はパフで水分を取り除きつつ、白粉が顔に馴染むようたたいていきます。
なんだか、それっぽくなってきましたね~
みなさんもお手本に倣って挑戦中
「これでいいのかな?」「なんか変じゃない??」「難しい~!」など、さまざまな声が飛び交っていました。
白粉を塗り終わったら、いよいよ赤い筋を入れていきます
赤色の筋は「正義」「勇気」を表わし、また筋肉の盛り上がり、血管の高潮を表してもいます。
正義の味方、ヒーロー役に用いられます。
一方、黒や藍色系統の隈は悪役、特にスケールの大きな適役に使用されます。
このように隈取は色や種類によって人物の特性を表しているのです
今日はみなさん正義の味方の顔になれるわけですね!
おそるおそる筆を入れていきます・・・
小栗さんのお手本を参考にしつつ、自分たちの顔とにらめっこ。
女性陣は普段のお化粧とは全く異なるメイクなので、それはそれは違和感があるようでした。
最後は黒色で目に筋を入れ、眉毛をきりっと描いて完成!
隈取を布に転写したものを「押隈(おしぐま)」といいます。
歌舞伎役者さんの押隈はたいてい絹を使いますが、
今日のワークショップでは目の詰まった木綿を使用しました。
顔に布をあて、上から力いっぱい顔をこすっていきます。
すると・・・立派な押隈が完成です
みなさん、とてもかっこいい押隈ができましたね。
余白に自分の名前、今日の日付や展覧会名・美術館名などを書き込み、
額に入れて飾るのもいいですね!
1時間30分程度で完成した今回のワークショップですが、
役者さんたちは実際は数分で手早く仕上げてしまうそうです
今日は見学者の方も少しいらっしゃいましたね
隈取を生で見る機会はなかなかあまりありませんので、貴重な体験でした。
次回歌舞伎を見るときは、隈取にも注目して見てみたいですね
企画展 「歌舞伎 | 変身」
会期:2013年10月8日(火)~12月1日(日)
開館時間:10:00~19:00 (入館は18:30まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は開館、翌火曜日が休館)