2013年10月10日(木)
10月と言うのに30度を超える暑い一日となりました。
今日は清須アートラボの第6回目。
「描かれた美女たち ~ルネサンスから印象派前夜まで~」と題して、
約500年間の西欧美術史を、「美女」をキーワードにたどってみました。
まず、みなさんに「西洋美術で美人といったらどんな作品を思い浮かべますか?」
と質問したところ、即座に「モナ・リザ」という反応が。
そこで、レオナルド・ダ・ヴィンチの名画「モナ・リザ」の見どころから話を始めました。
ぼかしの技法や遠近法など、レオナルド独自の新しい技法や、
当時どんな人が美人とされたのか、宮廷人のマナーブックからご紹介。
その後、西欧の二大美女として、近代以前、数多く描かれてきた「聖母マリア」と
美の神「ヴィーナス」の中から、珠玉の名作を取り上げました。
↑ こちらはフラ・アンジェリコの描いた《受胎告知》。
聖母マリアが、神の子イエス・キリストを身ごもったことを知らされる場面です。
聖母マリアが描かれた作品をいくつか見ていくと、
聖書の登場人物が描かれる際の、ポーズや衣服の決まりごとが分かってきます。
でも、一定の決まりごとがありながらも、画家によって違う描き方になるのが面白いところ。
聖母信仰がどのような社会背景から生まれたかにも触れました。
↑ こちらはボッティチェリが描いた《春》。 中心にヴィーナスが描かれています。
当時、ギリシア神話を題材として描くことは、大変に革新的なことでした。
このヴィーナスの立ち姿は、それまでヨーロッパの人が慣れ親しんだ
聖母マリアの形から採られています。
どんな天才でも、まったく新しいものをゼロから作ることはできません。
まさに、伝統と革新のせめぎ合いが見られる1点ですね。
この他、ルネサンス以降の、バロックや新古典主義の時代に描かれた美女たちも取り上げました。
いずれも、先代の巨匠から巨匠へと、脈々と影響を受けている名作ばかり。
後の画家が、前時代の名画の構図やかたちをどのように現代風にアレンジしたのか、
それを探るのが名画鑑賞の醍醐味です。
今回は「美女」をキーワードに、みなさん楽しんで見ていただけたようでした。
次回は名古屋市美術館の展覧会、
〈ハイレッド・センター:「直接行動」の軌跡展〉 にお邪魔する予定です。
お楽しみに
企画展 「歌舞伎 | 変身」
会期:2013年10月8日(火)~12月1日(日)
開館時間:10:00~19:00 (入館は18:30まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は開館、翌火曜日が休館)