2013年9月3日(火)
現在、美術館となりの清須市立図書館たたみコーナーでは、
名古屋芸術大学 美術学部 大学院2年生 中野彩愛(さえ)さんの作品を展示中です。
四畳半のスペースに、4点の銅版画がイーゼルに乗せられています。
白い紙に黒のインクで描かれた、不思議な世界。
不定形な線が、伸びたり縮んだり、うごめきながら空間を漂っているかのようです。
作品に添えられた、作者の言葉を以下にご紹介しましょう。
「時間の流れること、気になることができた時、好きなものが分かった瞬間、
わたしは〈言葉がおちる〉と言います。
私の中に、とけて、沈んで、しみこむ感覚があるから、そうやって言うのです。
スッと音がしない感じで、心の中に入ります。
なぜ言葉なのかと言うと、〈言葉がおちる〉ってリズムが良いからです。
おちたものたちは、私のなかにあります。
絵を描く時に、おちたものたちを探します。
それらの形や色や空間を見つけて描いています。」
作者の日常の光景や体験、心の動きなどが少しずつ静かに身体に堆積し、
それが手を動かしている時に、形となって結晶化する、そういうことでしょうか。
4点の作品に付けられたタイトルを読むと、
言葉にしがたい混沌とした世界が広がっています。
・青い花にそそぐグレーの紅茶を
・春和の日をやぶるフロートガーデン
・on the night
・in time
作者にとっては、自分の奥深くにしみ込ませ、
ある種の手ごたえをもってつかんでいる感覚を表しているのでしょう。
そうしたことを考えながら、決して明確には形や意味を成さない線と言葉に、
身をゆだねてみるのもいいのではないでしょうか。
今週中までの展示となります。
【開催中の展覧会】
会 期:2013年7月6日(土)~9月29日(日)
開館時間:10:00~19:00 (入館は18:30まで)
休 館 日:月曜日(ただし祝日の場合は開館、翌火曜日が休館)