06. 8月 2017 · 安西水丸展 関連トークイベント はコメントを受け付けていません。 · Categories: 展覧会

2017年8月6日(日)

現在開催中「イラストレーター安西水丸 ―漂う水平線(ホリゾン)―」展、

関連トークイベント「知っておきたい!安西水丸さんのデザインを読み解くポイント」を開催

ゲストには、アートディレクターの水口克夫さんをお呼びして、

水丸さんのデザインのみどころを話していただきました。

水丸さんのデザインのお話にはいるまえに…

\\ デザインって、なんですか?//

さて、みなさん。

デザインという言葉は、いまや聞き馴染みのある言葉ですが、

説明できますか?

いざ、「デザインって、なに?」と聞かれると、意外に説明が難しいのではないでしょうか。

社会のあちこちにある課題(たとえば、若者の都会への流出による過疎化など)を解決し、

日常を豊かにするツールとしてデザインがあります。2016年のグッドデザイン賞金賞を

受賞したヤンマーの「トラクター(YT3シリーズ)」は、見た目のクールさだけではなく、

作業性にも配慮。若者も使いたくなるようなビジュアルで、農業への誇りを次世代の農業者に訴えかけています。

見た目の良さや、使いやすさだけではなく、社会の問題にもアプローチをするのがデザイン。深い。

水口さんのお話に、参加者のかたがたも学芸員も夢中でした。

そして、デザインについて学んだところで、水丸さんのデザインについてです

今回は、6つのテーマ(キャンバス、構図、モチーフ、色、文字、顔)に注目です。

教わったことを簡単にですが、以下にまとめてみます。

水丸展をご観覧されるときのご参考となれば幸いです

キャンバスについて

ーサイズを意識したデザインー

安西水丸さんの手がけた装丁をみてみると、

単行本と文庫本とでは表紙がガラッと変わっています。

本展でも展示している『村上朝日堂』は、その一例です。

中身は同じなのに、カバーが違う…

単行本の表紙を文庫本用に縮小したらいいのに…

なーんて思ってしまいそうですが、

大きさが違えば、絵の見え方も変わってきます。

それぞれのサイズに合わせてたイラストレーションを描くこと。

イラストレーターとしての水丸さんの誇りが感じられます。

構図について

ー全部は見せないずるさー

本展のメイン作品《スモモ》でもそうなのですが、

 

 

 

 

 

 

《スモモ》シルクスクリーン、1991年 ©Kishida Masumi

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右端の本のようにモチーフを全部みせず、途中で切り取る水丸さん。

皆川博子さんの『恋紅』(新潮文庫、1989年)のように

女性の顔が全部描かれず、特に目元がわからない…

表紙を見た人に「どんな女性なの?」と想像させる巧みな切り取り方です。

モチーフについて

ー描かれているモチーフは水丸さんのお気に入りたちー

水丸さんの好きなもの…スノードーム

多くの作品にモチーフとして登場しています。

たとえば、村上春樹さんの『夜のくもざる』(平凡社、1995年)や

山本益博さんの『食卓のプラネタリウム』(講談社、1984年)など

本展にもスノードームが描かれているものが多く、

「あそこにも!ここにも!」と探してもらうと楽しいですよ。

そして、もうひとつの好きなもの、野球についても取り上げてもらいました。

共通して言えるのは、同じモチーフであっても描き方が

何パターンもあってすごいということ。描き分けに注目です!

について

ー不自由の中の自由 制限の中の無限ー

(水口さんが述べられたこの言葉、本当にその通りだと思いました)

独特な配色も、水丸さんの魅力。

現代では、背景の色や配色をパソコンでいろいろ変えることはできますが、

水丸さんは、パントーンを使い、決められた色数の中で制作していました。

色の数が限定されているからこそ、さまざまな色の組み合わせを考えられる、

偶然性が生まれ、作品に独特の雰囲気が生まれる…

まさに、制限の中の無限。

田辺聖子さんの『女のおっさん箴言集』(PHP研究所、2003年)の、

背景のうすピンク色と黒色の配色は、毒を感じさせます。

 

文字について

ー書体は声質ー

書体が変わるとイメージも変化するもの。

イラストレーションだけで魅せるのではなく、

同時に文字でも魅了する水丸さん。

村上春樹さんの『螢・納屋を焼く・その他の短編』(新潮社、1984年)の

タイトルは手書きになっています(最終的に採用したタイトル文字は、

初めに電話で依頼を聞いたときにその場で書いたものだったようです!なんと驚き!)

タイトルの文字で本の世界観を表現するのは至難の業。

本展にも手書きタイトルのものがいくつか展示されているので、

見比べていただくと面白いかと思います。

について

ー「あぁ~、何かみたことあるような顔」ー

本の「顔」をつくるのが上手だった水丸さん。

水丸さんが描いた『普通の人』(宝島社、1982年)と『平成版・普通の人』(南風社、1993年)の

表紙に描かれている男性の顔。昭和の方は、しかめっ面でセンター分け、刈り上げた髪型…

平成の方は、両手にファーストフードをもち、ななめに分けた前髪、どこか緩さを感じさせます。

昭和と平成をうまく表現しています。

みるだけで、「あぁ!わかるわかる!」となってしまう水丸さんの描くイラストレーション。

「普通」をうまく表現できるのは、難しいことです(鋭い観察眼をお持ちだったことがわかります)

本展にも、たくさんの顔が描かれた「JALプランナー」のポスター作品が展示してあります。

その中には、なんと嵐山光三郎さんが隠れています!是非、探してみてください。

【ちょっとひと息学芸員のひとりごと】

デスクワークが多い日、「仕事の気分転換に…」と展示室に足を運ぶたび、

ほのぼのとした空間に心が休まります。

水丸さんの人柄が、この居心地のよい空間を生み出してくれているのだなと思うのです

(「うまく展示できたな」とかちょっとは思ったりもしますが笑)

カッターでパントーンを切った跡(ちょっとした引っ掛かり)など

作業の痕跡が伝わってくるのは原画ならでは。水丸さんを身近に感じられます。

とくに、北川 悦吏子さんの『ロングバケーション』(角川書店、1996年)の

原画はおすすめです。貝殻の白い部分は切り抜きになっており、

作業の細かさを感じさせます。是非、直接ご自身の目でみてください。

 

お し ま い .

 

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